十二話『暴力装置、襲来』


「もう誰もいないな!」


 学校を一応確認したが、生徒は誰もいない!後いるのは戦ってる奴と敵だけ!なら俺も本気でやれるってもんだ!まぁ腕しかないんですけど。大丈夫でしょ、少なくともあの専用機と当たらなければ。


「まずは誰かと合流するか!」


 戦力は把握している!俺らは五人、敵は沢山!が、敵は雑魚ばっかだ!敵にすらならん!適当に倒して後は拘束して終わり!とりあえず同じ階にいるルミナ先生に任せるとして……。


「あっルミナ先生!生徒は全員避難完了です!」


「了解!スマンが私も避難させてもらう!」


「くっ、ぶっ壊されましたか……!」


「すまん、なんだか烏っぽい奴に出会ってだな、なすすべなく……だ。奴は体育館に向かった」


「いえ、それだけ分かれば大丈夫です!避難していてください!後別棟にいる皆を守ってください!」


「あぁ!」


 恐らくその烏っぽい奴ってのが専用機だな。……よし、行くか。死ぬなと言われたが、結局命捨てに行くのが俺だ!俺が行けばそいつもちょっとは止まるだろう!その隙に……


「って悲鳴?!誰のだ!?」


「ハー…ッ!ハー…ッ!」


「弱いな。さっきのがおかしかっただけか」


 この声は……パール!なんだってそんなことになってんだよ!?お前専用機持ちだろ?!いくら何でもそんな一方的にやられるなんてこと……ッ!


「あっそう言う事かぁ……ッ!」


「む、来るか」


 確かに専用機同士の戦いならパールが負けるとは思えない。だが二対一ならどうだ?それなら……ッ負ける!俺が加勢に入らなけりゃ奴は殺される!


「食らえやぁ!」


「一応避けておこう。何があるか分からん」


 慢心も無しか!確かにこいつには『一撃超強化ブレイクアップ』を当ててたから、避けて正解だがな。ついでに言えばそれも壊れちゃったし。そんな事よりパールの方が重要だ!


「おいパール!?しっかりしろ!」


「や……。いや……!」


「クソッ、俺がもう少し早く来ていれば……!」


 相当痛めつけられたみたいだな、折れた場所から骨が見えかけるって何されたんだよお前!なんでこんなことになってんだよ!しかもこの感じ、相当こっぴどくやられたっぽいな……!


「やだ……!助けて……!」


「心配するな、助けてやる」


 しかしどうする?二対二だが、実質二対一とお荷物一つ、こっちに勝ち目はほぼない。そして奴は恐らくパールを人質に使おうとするだろうな、ここまで痛めつけたんだ、わざわざ見逃す訳が無い!


「俺の背中に捕まってろパール!」


「ん……!」


 さぁここからだ!逃げ道が一つしかない今、かなり不味い状況だ!と言うのもこの体育館はBAの実践教習をする場所でもあり、下手な攻撃じゃ傷一つつかない!つまり裏を返せば壊して逃げられないって訳だ!


「怖いよ……」


「安心しな、パール。……いざとなったら俺がおとりになる」


 呼吸を整えて……。走る!


「やはり逃げると思っていた」


「俺もだ!」


 残りのエネルギー全消費!それをこいつに向けて撃つんじゃなく!出口の反対方向に向けて放つ!そうすれば反動で……。俺が出口まで吹っ飛ぶだろうよ!


「ほぉ」


「クソッ腕が……!だが逃げ切ったぞ!」


 やっぱり右腕だけにダメージが出るか!いってぇマジで!折れちゃいねぇがギリギリだぞこの野郎!けどパールの方が痛いんだ、俺が出来る事はパールを無事なところに送る事だけ!


「走るぞパール!舌噛むなよ!」


「……!」


 そして追ってくる奴らから全力逃走!捕まったらただじゃ済まねぇ!下手すりゃ死ぬだろうな!だが生きてりゃ反撃だって出来る!逃げきりゃこっちの勝ちだ!って、なんか人影が……


「ッ!?」


「成程。流石に唯一のBA装着者なだけはある」


 な、なぜいる?!後ろからも追って来てるんだぞ!?まさか三人に分身出来るって事かよ!?と言うかなんか右手に……ってカイネ!なんでお前もボロボロになってんだ!?


「おいそいつはどうした!?」


「ん?あぁこれか。弱かったんでな、気絶させるだけに留めておいたが……する?」


 ……人質って事かよ!どうする?!瑠璃はどこに行ったんだか分かんねぇし、もう残ってるエネルギーは一切なし!ってこれ……いわゆる詰み……?終わっ


「白銀!下だなぁ!」


 えっ瑠璃?でもどこから声が聞こえるんだこれ?上か?上なのか?


「壊して大丈夫!?」


「えっはい!そ、そうです!」


 あっ、あの野郎天井を普通に砕きやがったぞ!確かに一番早いルートだってのは分かるけどさぁ!いやいいや、大丈夫だ!と言うかなんか背負ってるんだけど……。銀?!


「よっ、白銀!大丈夫だった?」


「いやなんでいるんだ!?」


「あーいやね、この子から聞いたんだけど、メチャクチャヤバい状況だったんでしょ?だったら即!駆けつけないとね!ほら渡すものあるんでしょ」


 って事は間に合ったんだな!?こりゃ希望が見えてきたな!


「白銀!これを!」


「させるか!」


 クソッ不味い先に取られる……!


「なんだこれは。BA……のようだが、何かがおかしい!手が焼ける!」


「無駄ですよ!もうその機体は白銀以外に装着することはおろか触る事すら不可能です!」


「ぐあぁっ!」


 よし手放した!そしてこいつは……俺の物だ!融合合体!瞬間装着!さてどうなるか……だ!


「これが……新しいBAか!」


 おー……。いいね!このメタリックなフォルム!様々な武装!そして何より銀が作ったんだろうって事を示すこのマーク!もう誰だろうがこの機体を侮辱することは許さない!


「銀」


「はい」


「完璧だ」


 さてと。まずはカイネを救出するとしますか!両腕と両足のジェット噴射を全力だぁっ!お前の顔面ぶん殴ってやるから覚悟する事だな!まぁそれ相応の火力になるから覚悟しとけよ!?


「まずはカイネの分だッ!」


「くっ、防」


 防げる訳ねぇだろうが……ラァッ!おぉ、すげぇ勢いで吹っ飛んでいったなぁ。さてと。


「おい瑠璃!」


「えっ何ッてどわぁ!?」


「カイネとパールを頼む、俺は今からこいつらをぶちのめしてやるからよ」


「はいはい……了解!そんなのに負けないでよね!」


「勝ってよ、白銀!」


 さてと。どうやら起き上がって来たみたいだ。で、今殴ったのが本体って感じだな、一応防御して来たからな。だが悪いが……もう負けねぇよ。色々負けらんねぇ覚悟背負ってきてんだよこっちは。


「じゃー。第二ラウンドと行きますか?」


「そうさせてもらうぞ、白銀!」


 成程、分身体を使った時間差攻撃か、遠距離ユニットも添えて攻守のバランスもいい。が、その程度では俺を倒すことは出来ない!ナメてんじゃねぇぞ!コラ!


「ようやくお披露目だな!これが俺の新機体、名前を……『しろがね』と呼ぶ!」


「それがどうしたぁ!」


「この機体のナノマシン残量は以前着ていた機体の数十倍!大量の武器を作る事が出来る……こんな風にな!」


 体中からマシンガンを作成!そのまま全方向に向けてこいつをぶっ放す!全方向どこから来ようが知ったこっちゃねぇ!防御?無駄だよ、こいつは相当な火力なんだよなぁ!


「ぐぅっ!」


「そしてぇ!」


「何ッ」


「お前が本体だろ?」


 更に視界を360°カメラで確認する事が出来るようになったんでな、後ろからの不意打ちもバッチリって訳だ!まぁ基本的に凄い疲れるから使わないけど。今回は別だ、不意打ちなんて食らったら即死ぬ!


「このままぶん投げてやるよ!」


「うぐう……ッ!」


 で、一瞬怯んだ分身に関しては素手で破壊させてもらうぞ!以前の機体に比べ攻撃力が増してるんだよ!主に質量な質量、単純な打撃武器としても使えるくらいだぞ!


「ッらぁ!」


「分身を一撃で破壊した!?何の強化も無しにあの強さって訳だと……?!」


「その通り!」


「クッ一旦逃げるか」


「おっとぉ逃げられねぇよ!」


 遠距離ユニットも大幅改造済みだ!どこまでもナノマシンだけどな!まるで回転ノコギリのような物質を発射する特殊な物だ!ナノマシンの量が多いからそんなに大量に撃つことは出来ないけどな。


「ぎg」


 これで分身は全て破壊した。残るは本体が入っているであろう一機だけ。それだけ無駄に硬かったし……。やっぱお前が本体だよな?


「うぐぐ……分身を全て破壊されたか……」


「あぁ、でどうする?降伏するなら警察に突き出してそのままってんでもいいんだが?」


「成程なぁ……。だがあいにく、こちらは全てを失う覚悟で来ている。敵に許しを乞うぐらいなら、戦い、死なせてもらおう」


「上等!なら正々堂々とぶっ潰させてもらうぞ!」

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