第八話『俺、二度吹っ飛ぶ』
「死んだかと思った」
「あうぅ……す、すみません!」
「いいよ別に。それよりお前……ずいぶん小っちゃいんだな」
なんと、あいつのBAは遠隔操作して操ってたのであって、中に入っているわけではなかったようだ。んで今目の前に中身がいる。随分BAの時とは見た目が違うと言うか……ホント、単なる少女って感じだよ。
「そう言えば名前は?」
「はい、『
「なんか爺ちゃんに似てるな、名前」
「よく言われます」
……けどこいつの両親は何を考えて爺ちゃんに似た名前を付けたんだろうなぁ?嫌味かな?嫌味だったらヤダなぁ。
「で、なんでこいつで身を隠してたんだ?」
「この体だとバカにされるから」
「まぁ小っちゃいしな、お前」
確かにこんな小っちゃいのがアレ作ってるんだって考えると、そう言う考えになるのかもしれない。知らんけど。大体体の小さい大きいは関係ないだろ、偏見だろうそれは。
「だからナメられないように大きくなってるんだ」
「まぁ俺は別に今のままでもいいと思うけどなぁ。可愛いし」
「ふぇっ?!そ、そうですか……」
俺なんか変な事言った?なんかいきなりこっちを向かなくなったんですけど。さてとりあえず俺が出来る事はこれで終わったとして、ここからだな。
「じゃ、とりあえずコイツが完成品な」
「あっはい!了解です!」
……なんかかわいいなこいつ。多分その感情は小動物系に向けた感情なんだろうけど。実際小動物みたいな奴だし。さてとりあえず重要になってくるのは、やはりデザインだろう。
「デザインはそこに置いておくから」
「分かりました!任せてください三日で完成させます!」
「そんな急がなくていいよ、急ぐ程でもないし」
うん、とりあえず今のところは両腕パーツだけでも余裕で戦えるって感じだ。だから早急に必要って訳じゃない。まぁヤバい奴がやってきたら話は別だけどな!ワハハ。
「さてと……街に出るか」
この一週間部屋にこもりっきりって訳じゃないが、寝る間も惜しんでほぼ作る事だけに熱中してたからなぁ、臭いな俺。風呂にでも入りに行くかな。ここから近くにいいサウナ屋があるんですよね。
「はー今日はメンズデーだ」
基本的にここのサウナは女性優先。だが月一でサウナが男性限定で開放のだ。という訳で早速入りましょうね。
「いやー運がいいなぁ」
本当は他の所に行く予定だったけど、別にどこに入ろうが俺の自由だからな!にしてもやっぱりにぎわってるなぁ。ま、月一の特別な日だからしかたねぇか……・
「うーんにしてもサウナ混んでるなぁ」
月一だからね。そりゃ混むよね。まずは風呂にでも入りましょ。露天露天!あぁ暖かい……。
「あ゛ークッソ疲れた」
「クソ……最近疲ればっかり溜まるなぁホント」
お、なんか疲れてそうな人がいる。まぁ分かりますよその気持ち。ま、俺とこの人じゃ疲れのベクトルが違うだろうけど!
「っすよねぇ。自分は三日間もぶっ続けで作り続けてたら腕メチャクチャ痛いんですよね」
「あぁそうか?私はいわゆるリーダーという立場にいてだな。リーダーと言う立場はいつも疲れるのだ」
「へー、リーダーなんですか。お疲れ様です」
……しかし知らない人だな。でもどっかで見た事がるような?まぁ別に誰かを詮索する意味はないか。とにかく今はサウナに入る事が最優先、おっとどうやらサウナから人がいっぱい出てきたようだ。
「うおっサウナやべぇ!」
ちょっと予想してたより凄いなこりゃ!熱量がやべぇ!ここのサウナ温度百度越えてんじゃん!怖いねぇ。
「まぁ最上段に座るんですけど」
ん、隣にさっきの奴が座って来たぞ。こいつも同じような感じかな?割と対抗意識があるんじゃないですか?まぁ勝手に我慢比べでもするかな……。てか、俺ら以外人いなくね?なんでこんなに人がいないんでしょう。
「オラァ!ロウリュするから覚悟しろや!」
「!?」「?」
なんでこんな場所にBAを着た女が入ってくるの!?と言うかロウリュ……。あっ、やべ逃げ
「なめてんじゃねぇぞ!こら!」
「あわ……わわ……」
強風だぁ!まるで竜巻の中にいるようだ!あっつ!いやマジでやばいこれ!死人が出るぞ!息がまともに出来ねぇ!なんだこれオーブンの中かな?BAに乗ってる時も結構あっつくなるけどさぁ!これはもうそう言う度を越えてるよな!?
「よーしアウフグースの時間だ!」
(今ので本番じゃねぇのかよ!?)「……」
更に風が強くなったんだけどぉ!?竜巻から台風にランクアップだなこりゃ!下手すりゃ死ぬっすねこれ!
「よーし終わりだ野郎ども!じゃあな」
「死ぬ!死ぬ!死ぬ!アァキモチイイ!」
シャワーが近くにあるから楽に水風呂に入れるぜ!うわぁ気持ちいいなぁ!散々労働した後の風呂は気持ちいいなぁっ。そりゃ凄い気持ちがいいからね。
「あ゛ーっ最高だなこりゃ。今度から月一で毎回来るか」
「お前、あの『爆炎ロウリュ』に耐えるとはやるじゃないか」
「アッ隣の人」
「『
変な名前だなぁ。相変わらず名前を気楽に変えられるからって変な名前つける奴がいるんだから。せめて苗字を変えられるのはやっぱ法律で禁止した方がよかったんじゃね?
「お前変なこと考えてるだろ」
「うっ、ソンナコトハナイデスヨ」
「嘘を付け。その顔はなんだ」
バレたか。まぁうちの爺ちゃんも大概変な名前だしなぁ。金って。でも爺ちゃんはその名前に誇りを持ってたからなぁ。俺もこの名前を誇りに思ってるよ。
「ところで一ついいか?」
「なんだ?」
「……お前、BA着れるだろ」
……え?俺顔出ししてないよ?
「お前……今、なんて?」
「確か今から一か月ほど前、確かにBAを装着出来る奴が現れたと聞いた。……お前だろう?」
「な、なんの事だ?俺はそう言うのは違うんだが?」
「……違うか。すまない、どうやら勘違いだったようだ」
な、なんだったんだあいつ……上がっていきやがったし……。うーん、爺ちゃんの関係者か?にしちゃぁ見たことのない顔だったけど。まぁいいか、とにかく今はサウナだ!疲れなんてぶっ飛ばしてやる!
~30分後~
「はーっ整うのは気持ちいいなぁ」
やっぱスーパー銭湯は最高だな。こんな気持ちのいい感覚が千円足らずで味わえるんだから最高でしょ。……。しかし、確かに俺の事は名前だけ出ていたはずだが……。
「しかしやはりさっきの奴は気になるな」
しかし名前だけ分かったところで、検索して出て来るような相手じゃ無い事くらいは分かっている。それにしても変な名前だった。税豪って……。
「ん?待てよ、税豪……。そう言えば聞いたことがあるな」
そうだ。俺が部屋で基盤を作っている途中、乾くまで暇だったんで見ていた
「それが俺に関わってきた……と」
このサウナにはだいぶ通い詰めてる感じだったし、本当に単なるサウナマニアとして俺を勧誘しに来たのか、それとも俺を企業にスカウトにでも来たのか……。真相は謎のままだな。
まぁ帰るか。今日はぐっすり寝れそうだ。バスバスっと。
「ん-っ。今日の風呂はいい風呂だった」
さ、明日からも頑張りますかね!ん、前の席で学生が喋ってる。うるさいなぁ。バスの中じゃ静かにしなさいよ。
「ところでさぁ、お前知ってる?この噂」
「なんだよいきなり」
「いやさ?なんかどっかのBAを着てる奴が最近暴れに暴れまくってるんだってよ」
「へー。怖いね」
なんだそりゃ。なんて野郎だ。いや野郎じゃないか、とにかくそりゃ危険だなぁ俺も気を付けないと……って俺は止める側だな、むしろ出会ったら即ぶっ飛ばさないと。
「って今の俺は手しか装着できなかったわ!」
そうだった忘れてたわ、俺全然駄目だわこういう時って。なんかもう帰って寝たい……。
「うわっなんだ?!」
「えっ何!?」
ん?なんだこの感覚は……って車体が浮き上がってる?!なっ、なんだぁっ!?
「おい見ろよ!さっき言ってた奴だぜ!」
何だって?!よーしぶっ飛ばしてやる!手だけでも大丈夫だろう!多分!
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