第28話  マラ山の魔族

 僕の提案が通って、一同は水の路での移動となった。


 マラ山……と言っても活火山の山だ。水なんてあるのだろうか。

 ……と、ゴンガガ山の麓に人の集落のような印が地図にあった。

 よし、ここに、路を開こう。


 僕は、エラドーラの街の噴水からゴンガガに道を開いた。

 水鏡に映っていたのは、民家の台所のようだったので、人がいるかもしれない。

 こんな所にか!?


「僕の後に飛び込んで来いよ」


 そう言って、噴水の中に飛び込んだ。

 後の三人は顔を見合わせていたそうだ。

 男らしく、ダイチが二番手に来た。


 次は・・・リッセルドか!? と思ったらシベールが湯気を出しながら出て来た。

 凄いな。シューシュー言ってるぞ。


 リッセルドはバックレル気か!? と思って、しばらく待ってこなかったら、この場を離れようと思っていたら、来た。人間の姿で。


 メンツが揃ったので、ダイチの最後の旅に出発だ!!


 ゴンガガ地方____

 僕たちが、着地したのは、人の家の廃屋だった。

 もう何年も、人の住んでない状況だ。

 おまけに活火山地帯で、とても暑い。

(僕は精霊のおかげで、みんなの様な思いはしてなかったけど)

 見たことも無い木の森を越えて、マラ山に向かうと山のあちこちに蜂のようにブンブン飛んでいる物体がいた。


「あれなんだ!?」


「魔族のアルゲイ族ね。翼を持ってて鋭い爪で、人を襲うわ。

 かなり討伐されたと聞いてたのに、こんな所で繁殖してたのね」


 ダイチは震え出した。


「空飛ぶ吸血鬼なんて聞いてないぞ!!」


「あら、触られるだけで精気を抜かれる魔族もいるわよ」


「こんな世界はも~~ やだ~~ 早く帰りてーー!!」


 ふむ、ダイチが平和な世界が来たのは本当のようだな。


「この山、一直線に登れば早いでしょ!?」


『おいら、人型だと辛いから竜に戻るよ。それで、先頭を行くね』


 リッセルドは、ダイチにの前で、初めて竜身に戻った。

 銀色に身体が、光って、グングン身体が大きくなっていく。

 僕が、初めて会った時のチビ竜から比べれば、随分と大きくなってる。

 一体どのくらいの間、心臓と離されていたんだ?

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