第27話 ツンデレ
「だから~~ 神殿の魔法陣で、火の国と呼ばれるゴンガガ山の麓まで行ってしまった方が早いだろ!?」
「神殿の魔法陣なんて嫌!! 揺れるし、目を回すし。酔うんだもの!!」
シベールの神殿嫌いはここにもあったのか。
確かにこの時代の魔法陣は、後世よりも揺れまくって、悪酔いする人も多いんだよな。
「じゃあ、僕の水の路で良い!?一番近くに出れると思うけど」
シベールは考え込んでしまった。
確か、シベールは水の路は知らないはずだ。
あれは、僕と精霊だけの秘密の手段だったから。
「羽が濡れるのが嫌だから、おいらは、待ってるよ!!」
リッセルドは勝手なことを言っている。
「そんなことを言って、人間に捕まったら、竜だとバレたらどうするんだ!? また、心臓と身体を分けられたらややこしいことになるんだろ!?」
「ぐぅ……」
リッセルドは黙ってしまった。
「マラ山てどこにあるの!?」
ダイチが聞いてきた。
僕は机に地図を広げ、左下の方を指差した。
僕が持ってるのが、砂漠を中心にした西域の地図だったから、マラ山のあるゴンガガ火山地帯は左下になってしまうのだ。
「このまま南下して行っても、山岳地帯を越えて熱帯の森も越えてくんだ。歩きは、体力の消耗だけだと思うよ」
「テオなら、マラ山まで、一気に行けるんだ」
何故だか、ダイチがキラキラした目で、僕を見て来た。
「後は、からくり箱の持ち主と、水の嫌いなリッセルドだ。どうする!?」
「分かったよ~~あの時は、有無を言わさず、竜の姿で飛び込んだから。
今度は、人間の姿で飛び込むよ」
僕はうんうんと頷いた。
後はシベールだけだが、彼女はまた身体から湯気を出して怒っていた。
「テオ!! 私の魔法は火なのよ!! 水なんかに飛び込んで、力が消えたらどうするのよ!!」
「僕の精霊は君の力を奪ったりしないよ。それより、火の精霊がいっぱい、いそうなとこだろよ。お前も火の精霊と契約すればいい」
「それなら……良いわ」
ツンデレだな。
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