第24話   エラドーラの午後

 この時代のヴィスティンの王都は、東方にあった。

 後年、ドーリアの王都。ヴィスティン王国が、アスタナシヤに攻め入って、そこに遷都したのは当時の王都のエラドーラが大陸の内陸部にあって、かなり気候が厳しかったことが一因であると言われている。


 そんな中で、僕たちは11日目には、エラドーラの都市に着いていた。


 リッセルドが回収して来たアタッシュケースという物は、今は僕が持っている。

 シベールから、からくり箱という魔法グッズを借りて。

 普段は、懐に入るくらいの大きさだが、結構大きな物も入るんだ。

 そして、からくり仕掛けの鍵と封印の魔法を、僕とシベールでかけておいた。

 そして、一番の木偶の坊だと罵って、僕に持たせるなんて矛盾があると思うんだが……。


 ともあれ、今の仕事を終わらせることが第一だ。

 ル・ルーは子爵家の子息(?)らしい。

 どうしても女性になりたくて、文化の進んだ、アルテアまで行ったが身体まで女性になれなかったという事だ。


 か弱そうな物腰を見ていると、本当に勘違いしてしまいそうになるけど、よく見れば、髭の後なんてあるし、ついてるモンはついてるんだろうな……。

 そのル・ルーの家まで送って、僕たちは任務を終えた。

 帰りは、彼らの自由だ。

 金を積めば神殿も鬼じゃないから、ル・ルーと一緒ならアスタナシヤくらいまで、魔法陣を使わせてくれるだろう。


「マラ山て何処にあるんだ!?」


「大陸の南方だな。突き出た半島の山が活火山のマラ山だ。そこになにかようなのか?」


 僕の問いに大地が答えた。


「アタッシュケースを捨てに行く。それで、俺は元の世界に戻れるはずなんだ」


「魔族がうようよいる所よ!!私は嫌だわ。」


「シベール!!」


「とにかく、私は行かないわ。三日間この王都で休んで帰りましょ。じゃ、」


 シベールは、僕たちにそれぞれ三日分のお金をくれると、サッサとその場を離れて行ってしまった。

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