第20話 極悪人の警護
風竜のリッセルドが15歳くらいの少年まで、成長していた。
『おいら、風の魔法も使えるよ。黒髪のお兄さんの探し物も、手伝ってあげれるよ』
『どうやってだよ。何処にあるのかだって、分からないんだぞ!?』
ダイチがレトア語を話している。
神に会って、この世界の知識を少し得た、というのは本当のことのようだ。
『風の精霊に聞くんだよ。風の精霊は何処にでもいるし、とっても噂好きだから、重くても水に浮いちゃう珍しい、四角の箱の事をおいらがもう、精霊たちに探してくれって頼んどいたよ』
リッセルドは、これまた美少年らしく微笑んだ。
淡い金髪が、朝日に透けてきっと、ダイチには後光が見えてたに違いない。
『ありがとう!!助かるよ!!……でなんで、お前そんなこと知ってるの!? あの場には居なかったよな??』
『竜の耳を舐めてもらっちゃ困るよ』
『竜!?』
ダイチは素っ頓狂な声を出して、僕たちの方を見た。
「その子は風竜のリッセルドよ。これからはパーティーを組む仲間よ」
「仲間!?」
僕とダイチが同時に言った。
「そう、火の魔法使いの私、水の精霊使いのテオ、大地の加護のあるダイチ、そして風に祝福された風竜が揃ったわ。これだけのメンツが揃うなんて冒険者パーティー出もそうそうないわ」
「そんなに簡単に行くかね~~ ほとんどビギナーばっかりだぜ。」
「テオとは、昔馴染みだし、あんたとは、報酬3割アップが掛かってるし、風竜の坊やはテオが面倒見るでしょ」
なんで、僕がリッセルドのお守り役なんだよ!!
反論したら、
「今は、あんたが坊やの飼い主じゃないの」
と言われた。
強引に押し付けられただけなのに!!
「それより、仕事の話よ。ヴィッツ・コージュ、成金の金持ちなんだけど、かなり悪い事ををして、今の地位にいる人物よ」
「何者なんだ!?」
聞いてみる。
「若い頃から、人を踏み台にしてのし上がってきたのよ。今のコージュ家の主になったのも、前当主を騙して養子に入り込んで、毒殺したともっぱらの噂よ。とにかく、悪評が高いの」
「名前を変えてもか!?」
「神殿に出禁くらって、似顔絵が出回ってるのよ。全国にね」
「なるほど……顔まで知られてるのか……」
僕は納得した。
この西域には、神殿の力はあまり及ばないが、東方に行くほど神殿の力は増す。
てことは、ヴィッツ・コージュなる人物は、東方への旅を望んでるのか?
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