第19話  リッセルドが・・・  

そういえば……あのチビ竜がいないじゃないか。

僕がシベールに最高金貨を2枚借りて、手持ちの1枚と合わせて3枚をシベールに渡すと、彼女はすんなりと心臓の結晶石をリッセルドに渡した。

それ以降姿を見ていない。

恩知らずな竜だな。


……と思ってた次の朝。

僕は、ダイチと共にシベールに朝一に起こされた。

宿屋の朝ごはんもそこそこに、出かける準備をさせられて、冒険者ギルドにやって来た。彼女曰く、割のいい仕事を取るためだとか。


運よくなのか、シベールの気に入った仕事を見つけ、これも三人パーティーの仕事だそうだ。


「護衛!?」


「そうよ。去る要人の移動の際の護衛よ」


「そんなのに三人もいるのか!?」


「恨みを買ってる奴だからよ。金払いが良いの」


「そんな奴、水の路で送ってしまえば、難しくないぞ」


僕の言葉にシベールの身体がプルプルと震えた。


「そんなに簡単に終わらせちゃったら、仕事にならないでしょ!!」


「なら、神殿の魔法陣を使えば!?」

「悪人だから、神殿も出禁なの!!うるさいわね、テオ。文句があるの!? 早く、最高金貨3枚の借金を返しなさいよ!!」


うっ……シベールめ、こんなに金に汚かったのか・・・

銀の森にいた頃は、真面目に呪文を学ぶ可愛い魔法使い見習いだったのに。

はぐれ魔法使いなんて、苦労も多かったろうに……


僕の涙目に気が付いたシベールは、チョイチョイと僕の頭を下げるように手で合図した。

何のことかと言われた通りにすると、思い切り、ゲンコツで殴られた。


「どうせ、私の事を憐れんで、金に汚くなったとか思ってたんでしょう!?」


ズバリ!! 当たってる!!


「痛いよ!! 違うって!! 昔の君は可愛かったって思ってただけだよ」


「今は可愛くなくて悪かったわね!!」


「あの~~ 痴話喧嘩はそれくらいにしてくんない?」


ダイチだった。

彼の存在を忘れていた。


「恨んでる人が多いから、護衛の数も多い方が良いって言うんだろ!?

じゃあ、早くやって終わりにしようぜ」


「ダイチ、頼もしいわ~~」


僕はムカッとしたけど、何も言わずに三人で冒険者ギルドを出た。


『おいらも連れて行ってくれよ~~!!』


レトア語の低い男の声だった。

目の前には15歳くらいの少年がいた。


『心臓を返してくれてありがとう。お礼にお兄さんたちに協力するよ』


風竜のリッセルドが心臓が戻ったことで、元の体形に戻れて成長したらしい。



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