第17話  山田大地の話(4)俺の任務

《ダイチ視点》


 ベッドの中で俺は目覚めると、俺は全てを思い出していた。


 そう、俺の名前は、山田大地。

 地球世界の純日本人で、花ケ咲高校の二年生。

 剣道部の副主将をしている。腕は初段だが、これには訳がある。

 俺のじいちゃんが、居合道の達人なんだ。

 俺もじいちゃんの影響で、小さなころから、おもちゃの刀を振り回して遊んでいたが、母ちゃんが刃物を持って振り回すなんて……と泣くものだから、中学から剣道を始めたんだな。


 学校の創立記念日の休日にダチとみなと公園にやって来て、不審な取引現場を発見。

 そこを一網打尽にしようとしてた,警察屋さんが、飛び出してきて乱闘騒ぎ。たまたま俺の方に逃げて来たオッサンを、上段の構えからエイっとやってしまった。その後、俺は後頭部を何かで殴りつけられたようだ。


 ぴちぴち17歳なのに~~!! 年齢イコール彼女無し歴。くそー!!

 戻ったら、絶対シベールなんて目じゃない美人を彼女にするぞ~~


「大丈夫なの!?ダイチ」


 シベールが心配そうに俺の額に手を当ててきた。


「シベール!! 思い出したぜ!! 全部!!」


「何が!?」


「俺の事、俺のいた世界のこと。それから、俺がこの世界に来た理由もな」


「何かあったの?」


 シベールはしかめっ面をして言う。


「テオ!!」


「ん!?」


 シベールは後ろに控えていたテオと呼ばれた美男を呼んだ。


「交代よ。なんか、聞きたくないような話が出てきそうだから、あんたが聞いて」


「お前が拾った男だろ!?お前が責任持てよ」


「拾ったんじゃなくて、モタモタしてたから、ギルドの登録をしてあげたのよ!!」


「だったら、最後まで面倒見ろよ」


「こいつの言ってることが、全然理解出来ないわ。ハッキリ言って、今からこいつが言う事はあなたの方が理解できると思うのね。」


 シベールはテオって男に、背伸びしながら言ってる。

 テオドールって奴が俺の側に来て言った。


「んで、? なんだって!?」


「俺、ロイルの神に言われたんだ。任務を終了すれば、地球へ帰れるって!!」


「神に会ったのか!?」


「言ってるだろ~~ 俺の記憶も返してもらったし、ここでの最小限の知識も与えてもらったんだ」


「これに、レトア語で名前を書いてもらって良い?」


 テオは俺に羽ペンを差し出した。

 何時代だよ。シャーペンはないのかよ。

 俺はきっちり、デカく、レトア語とやらで、書いてやった。

 テオは、ヘッタクな字!! とか小さな声で言ってたけど俺のはハッキリと聞こえていた。


「それで、その人は銀色に輝いてたかい!?」


「人型は見えなかったけど、銀色の光が点滅して喋ってた感じ。あれが神か!?」


「いや、伝わってる話だと、銀色の髪と瞳を持つ輝かしい人型になるらしい」


「あんたみたいな……か?」


 このテオドールという男、自分のことでも言ってるように聞こえるが、


「僕の事じゃない。誤解しないでくれ!!確かにロイル本家から、近い親戚だけど、この容姿はたまたま僕の両親が従兄妹婚で、僕の一族には良くあることなんだ」


 シベールを見ると、知らんぷりしている。

 ホントにさっきの、ラブラブキスシーンは何だったんだろう……。

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