第15話 僕の価値
「Bランクでも、ビギナーの方ですよね~~??」
受け付けのお姉さんは、値踏みするように僕を上から下まで眺めた。
「精霊使いですか。ロイルの神殿所属……で、あのロイル家の六親等の血族なのですね。それでその銀髪。」
そこに僕の髪の色は関係ないと思うのだが……。
僕は居心地が悪くて、縮こまっていた。
「精霊の種類は!?」
「水専門です」
「それだけ?」
「はい。僕と水の王子の絆は、分かちがたい仲なんです!!」
後ろを見ると、シベールが吐く真似をしていた。
本当に性根が曲がったな。
「テオドール・ロイルさん。あなたに貸せるお金は、最高金貨1枚と銀貨が5枚ね」
「え!?」
「これでも高く見積もってるのよ。神殿所属なら、持ち逃げされても訴えられるし、でも、冒険がビギナーなのはネックね。」
「待ってください!! お姉さん!! 僕は竜の心臓の結晶石より価値がありませんか!?」
「ありません。経験値を増やしてからおいでください」
「それでも良いから貸して」
僕が立ち上がりかけた時に、シベールが言った。
「では、手数料を引いてテオドールさんには、最高金貨、1枚と銀貨を4枚銅貨を15枚です」
その金はシベールが持って行った。
ギルドの中で、シベールのパーティーは解散したようだった。
その後、俺とリッセルドはシベールに言われるままに宿屋に着いた。
あの黒髪の、のっぺら顔の男も一緒だ。
宿に着くなり、二つ部屋を取らされ、僕は有り金を全部シベールに巻き上げられた。
「ここに、あと2枚最高金貨があるわ。これをあなたに貸してあげる。これで3枚になったわ。どう!?」
「それは、もともとお前の今回の報酬だろう!? 僕に恩なんか売っても良いことは無いぞ」
「知ってるわ。嘘つきの一族ですもんね。神の血が流れてるなんて気取って、赤い血が流れてるわ。ほ~~んと嘘つき!!」
とか言って、僕に最高金貨を3枚握らせて、改めて僕の手から取り上げた。
「商談成立ね。はい結晶石はチビ竜君のものよ」
「わ~~い!! お姉さん、ありがとう!!」
世の中では、こういうタイプの女をツンデレとか言うのか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます