第11話  元カノ

《テオドール視点》 


オアシスを出た所で現れた10歳くらいの淡い金髪の美少年!!

 こいつがとんでもないことを、僕に言ってきた!!


『おいらの心臓も取り返してよ』


 何で、こいつレトア語で喋るわけ!?


『なんで僕が?』


 僕も一応、レトア語で向き合う。


『おいらを自由にしてくれたろ? なら、新しい飼い主はあんただ。責任もって、最後まで面倒を見てくれないと困るよ』


 ここでハッと思い至った。

 こいつの淡い金髪は、チビ竜の鱗と同じ色!!


『お前は、あのチビ竜か!?』


『今頃何言ってるの?おじさん』


 おじさん……?

 初めて言われたぞ!!

 僕はまだ、18歳なのに!!


 僕がショックにひしがれ、プルプル震えてると、チビ竜の人型は近寄ってきて、


『ねぇ、あっちの方に飛べない!?』


 北を指して言った。


『あっちの方の国に、僕の心臓が売られたんだと思うんだ』


『この砂漠の北にある国って言ったら、古王国のドーリアか、アルテアか?』


『いろんな人が出入りするのは……?』


『商売が盛んなアルテアだろう』


『じゃあ、そこまで飛んでよ~~』


『はぁ!?』



 そして___


 チビ風竜と僕は、夜に砂漠の旅をする羽目になった。

 僕の作る水の路に羽が濡れるから嫌だと、飛び込みたくないチビ竜のせいだ。

 前に、強制的に水の路で移動したのが、よっぽど嫌だったのか。


『どうして、水の王子なんて上位の精霊連れてるくせに、風の精霊は連れてないんだよ!!』


 夜になって、人目を気にせずとも良い時は、リッセルドは

 竜の姿に戻っていた。

 小さな羽根で、バタバタと飛んで、僕の後をついて来た。


『言っとくが、他の精霊と契約しないのは、水の王子の為だ。それだけ俺たちの絆は強いんだ』


『フ~~ん』


 リッセルドは、僕の答えを分かったようなフリで答えた。

 納得はしていまい。


 僕たちは、オアシスで休憩を取りながら、5日間北上した。

 ドーリアのアスタナシヤを抜けて、アルテアの王都に入った。


 リッセルドは、アスタナシヤに入ってからは、ずっと人間のフリをしている。

 竜的には、どうなんだろうね。

 こんな状態が続くのは。

 リッセルドは、アルテアの王都に入ってから、口数が少なくなってしまった。


『骨董屋か、蚤の市ででも売られてるかもしれないぞ。』


『竜の心臓は結晶化させると、とっても綺麗なんだよ!! どうして骨董屋になんてあるのさ!! 近くにあるの分かってるんだ……でも、魔法の力が邪魔して……』


 今、僕たちがいるのは大通りの端の骨董屋の前。

 僕が骨董屋に入ろうとしたのを、凄い勢いでリッセルドが止めて来たのだ。


『おまえな~~ 見るだけでも~~』


『僕の心臓見つけた~~!!』


 見れば、冒険者パ-ティーの帰還のようだった。

 リッセルドは真っすぐにそのパーティーにいた小柄な女性に向かって突進していった。

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