第8話  ガーランド・オクビュー  

 シベールは、何かキラキラした拳くらいの玉を持っていた。


「あんたが遅いから、私まで買い物をしてしまったわ!!」


 ブツクサ言ってる割に嬉しそうである。


「なんなの!? それ?」


「竜の心臓らしいわ。」


 竜!?

 鯉が出世してなる奴!?

 それとも、火を吹くタイプの……


 俺が固まっていたらシベールが、しれッと言ってくれた。


「竜くらい普通にいるでしょ!?まぁ昨今は珍しくもなってきたわね」


「竜くらいって言うけど、まさか竜退治なんてお仕事があるわけじゃ」


「弱虫ね!! ほんっとに冒険者ランクをFランクマイナーにしておいて良かったわ。骨董屋でも売れなかったんでしょ!?その鎖帷子。

 サッサとギルドに行って、仕事を探すわよ。

 仕事は出来高報酬だから、高いのから取られちゃうんだから!!」


 俺たちは、昨日のギルドの登録所とは違う冒険者ギルドの本店に行ってみた。

 体格の良いマッチョのおじさん達の寄り合い所みたいだ。


 ここは、冒険者たちの仕事の斡旋所であり、報酬を受け取る所でもあった。


 主な仕事は張り出しコーナーに書いてあったが、受付嬢のお姉さんが紹介してくれる場所もあった。

 俺としてはそっちに行きたかったが、シベールの奴が、初心者なんだから張り紙で十分と行かせてもらえなかったのだ。クスン


 シベールが目を留めた張り紙があった。


『ラト山に棲む半妖に盗まれた家宝の金剛石を取り戻してくれた者には金貨15枚。』


「あら、これ割の良い仕事ね。」


 シベールが張り紙を取ろうとしたら、先にその紙に手を伸ばした奴がいた。


「おの仕事は俺が貰ったぜ。」


 ガハハハと下品に笑う男、ガーランド・オクビューだった。

 もちろん、俺は初対面。

 だけど、シベールには面識があるようで……


「また、あなたなの!?ガルル!!」


「俺は、ガーランドだ!! ガルルじゃないぞ!! 魔法使い!! この仕事は俺が貰った!! 魔法使いは失せろ!!」


「良いの!? 相手は半妖よ。魔法使いも必要ではないかしら!?」


 ここで、ガルル……もといガーランドは声に詰まった。

 ハンヨーってなんだろうな……。

 俺は首を傾げた。


「ねぇ、シベール、ハンヨーって何!?」


「闇の眷属と人の混血よ。ほとんど、山の奥に籠って暮らしてるけど、たまに、こんな風に悪さをする輩もいるの」


「そいつら、怖いの!?」


「Aランクなら楽勝でしょうね」


 ガーランドが声をかけて来た


「シベール・ロペス、一緒にパーティーを組もう」


「こちらは、2人よ。あなたの取り分は、金貨5枚。それなら手をうつわ」


「ううぅっ!! 人の弱みに付け込んで~~ でも、魔法使いの加護は欲しいし……」


 ガーランド・オクビューが仲間になった。

 身長俺より確実に20センチは高く、マッチョだ。

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