第7話 大地の剣
次の日に俺とシベールは、アルテアの繁華街にたつという蚤の市に、時代遅れだという、鎖帷子を持って行った。
シベールに立て替えてもらった宿屋の金を返すためでもあった。
「防具より、骨董としての方が価値があるんじゃないですかね~?」
持って行った防具屋の親父に言われてしまった。
後ろには、シベールが今かと、今かと待ってるし~
「骨董屋さんてどこにあるの!?」
「ブレバのじいさんの所へ持って行くと良い。この通りの端だ」
俺は回れ右して、シベールに骨董屋さんに行く旨を伝えた。
そうしたら、彼女は意外にも好意的について行くと言ってきた。
「古い物は好きなの。神秘的じゃない?」
という事らしい。
蚤の市の出ている繁華街の通りを端まで歩いて行くと、大きな骨董屋があった。
『ブレバ骨董屋』
手広く商売をしているらしく、店構えも大きかった。
「こんちは~~ 鎖帷子買ってください~~」
「この時代に鎖帷子だと!? 何処の蔵から引っ張り出したものだ!?」
奥から、出て来たじいさんが言う。
「これっす」
俺は鎖帷子を脱いだ平服なので、ここは高く売って、防御力の高い今風の装備を買わねば……
「これ、ホントに売って良いのかね?」
へ!?
「どういう事っすか!?」
「この鎖帷子には、一つの鎖ごとに魔法の文字が彫ってある。これを着ていれば、ほとんど不死身並みの防御力になるよ」
売るのやめた。
俺はじいさんから、鎖帷子をひったくるように受け取った。
多少、時代遅れでも良い、不死身になるんだったら!!
「お前さん、面白い剣を持っているな。」
じいさんは今度は俺の持ってた剣に興味を持ったらしい。
「これは、どのくらいの攻撃力があるんだ!?」
俺はじいさんに、剣を渡して聞いてみた。
じいさんは、鞘から、剣を抜いて刀身をジッと見つめていた。
「古き言葉で大地の加護と彫ってある」
「ダイチって俺の事じゃん!!」
「攻撃力は分からんが、持ち主を傷つけることだけはせぬだろう。」
「うほほ~~い~~!!」
俺は嬉しくなってしまった。
この世界に俺を転移? 転生? させた(神)は、取り合えず俺の命の保障はしてくれるらしい。
俺は意気揚々と骨董屋を出て来た。
先に店を見回って外に出ていたシベールが、手を出して言った。
「いくらで売れたの!? その鎖帷子?」
シベールはまた身体から湯気を出していた。
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