第6話  宿屋にて・・・

「こっから、こっちへ来たら、あんたの事燃やすわよ。」


 物騒なことを言って、シベールは狭い宿屋の部屋を俺の領地と彼女の寝る所に分けたのだった。

 驚くことに指から火を出して、床を薄く燃やして線を付けたのだ。

 そういや、魔法使いで、専門は火だとか言ってたな……

 だからか!? 怒らせると、身体から湯気が出ていたのは??


「湯に入りに行く前に、あなたに身体を診てあげるわ。これでも、治療師の資格もあるのよ。ここへ来て、その時代錯誤な鎖帷子脱ぎなさい。ここは商人の国のアルテアよ。売ったら? 少しは旅の資金になるわよ」


 と、助言してくれた。

 そうか……鎖帷子はもう古いのか。

 ???何時代なんだよ~~!!


「全く、どこから来たのか分からないなんて!!」


「多分とは言えるけど、地球世界だな。俺は17歳くらいのはずだ。

 剣は持ったことは無いけど、木刀はいつも持ってた気がする」


 漠然とだけど、脳裏にある情報をシベールに伝えた。

 シベールは俺の身体を、あちこち調べてくれた。

 頭に手が行った時に、


「ふ~~~ん、あっ!! 大きなコブね~!! 痛くないの!?」


 そういえば、痛いような……

 苦笑いしてたら、頭を叩かれた。


「いてーよ!!」


「記憶喪失は多分これが原因ね。地球世界なんて、どこにあるか知らないけど、ここはロイルの神の支配する地よ。徐々にこの世界のことに馴れていけば良いと思うわ」


 やっぱり異世界なのかよ~~

 だったら、俺は地球世界で死んだってことか!?

 ロイルの神~~~??

 初めて聞いたぞ!!

 俺をこの世界に記憶喪失と時代錯誤な格好で、冒険者ギルドの前に放り出した奴!!

 覚えてろよ~~ 会ったらギチョンギチョンにしてやる!!

 俺が一人で興奮してるのを、シベールは覚めた目で見ていた。

 そして、はっ!! と思いましたね。


「この世界には、何で冒険者ギルドなんてモノがあるのでしょうか!?」


「そうしないと、いけないくらいこの世界には、まだ魔族や魔物が多いってことよ」

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