第4話  山田大地の話  (2)

 皮紙を持ったまま、固まったままでいる俺を見て美少女は見かねたのか、


「貸しなさいよ!! 私が書くわ!!」


 皮紙をひったくられて、ペンも持っていかれた。


 事務所の記入する所へ俺を誘って、いろいろ俺の経歴を聞いて来た。


「名前は!?」

「山田大地(ヤマダダイチ)です」


「変わった名前ね、ヤマダなんて。で、姓がダイチね?」


「あっ!! 逆! 逆!! 名前がダイチで姓がヤマダ」


「紛らわしいわね!!」


 怒る美少女。

 最初からこの調子で大丈夫かね~~


「年は!?」


「さぁ~~?」


「出身は!?」


「さぁ~~?」


 あれれれ、金髪美少女の身体から湯気が見える……


「どうして、名前は分かってるのに年も出身地も分からないのよ!!」


「だって、気がついたらこの建物の前に居たんだよ。この剣を持って」


「分かったわ。勝手に書くわ。」


 俺は、美少女が空欄をスラスラ埋めていくのを見ていた。


「これで、良いわ。受付に出してらっしゃい」


 と言って皮紙を寄越したので、言われるままに受付のお姉さんの所へ持って行った。


「エル・ヴァサロ出身の20歳ね。職業は戦士でFランクマイナーね。遠い所をようこそ、これから頑張ってね。」


 お姉さんに言われたけど、俺は意味不明。


「俺が20歳なんてあり得ないし、エル・ヴァサロって何処だよ~~!!」


「うるさい、黙れ!! せっかく私が書いてやったのに!! 気に食わないって言うの!? それより私の番よ!!邪魔!!」


 美少女の迫力に蹴落とされて、俺は泣く泣く少女に受付の順番を譲った。


「シベール・ロペス、18歳のはぐれ魔法使い。専門は火よ。これでも他のギルドで冒険の経験は3度あるわ。最終ランクはBランクよ。」


 金髪美少女はシベールという名らしい。皮紙は用意してあったらしく、サクサク事務手続き進んで行く。


 俺は納得がいかず、ずっと、シベールの手続きが終わるのを待っていた。

 彼女が18歳だという事も納得できなかった。


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