第3話  山田大地の話  (1) 

《ダイチ視点》 


異界転移……話では聞くが、俺の身にも起こるとは……。


 俺の名は山田大地(ヤマダ ダイチ)

 多分地球世界の生まれのはずだ。

 ……なんて思ってるのは記憶がないからだ。

 気がついたら、剣を一本持って、ゲームの世界の鎖帷子っていうのか!? そんな恰好を着て中世以前の街の中に立っていたんだ。

 ボケっとっ立っていたら、14~5歳の女に邪魔!! と言われてしまった。


「あとがつかえてるのよ。早くして頂だい!!」


 うっ!! 金髪碧眼の美少女が怒っている。


「次の方~~ どうぞ」


 俺は、声の聞こえてきた方を見た。

 周りには何人か人がいて、俺の事を見ていた。

 何か目的があって、ここに集まっている人ばかりじゃないか!?


 俺が惚けてると、少女に手を掴まれて、声のした建物の中へ連れ込まれてしまった。


「あなたの次が私の順番なの!!早くしてもらわないと、困るわ」


「あの……順番て!?」


「はあ?」


 俺は、記憶喪失の善良な市民なのに、この女、もとい美少女は一瞬火が見えたように怒り出した。


「あなたね!! アルテアの冒険者ギルドに登録しに来たのでしょう!? 早く手続きをやってしまいなさいな!! 私の番があなたの次なの!! OK?」


 冒険者ギルド!? 登録??


「あなたは戦士よね。魔法剣士かしら?その剣、魔法の匂いがするわ」


 俺はイマイチ状況が理解できない。

 高い所から落ちて、頭でも打ったのかな


「ここは、冒険者ギルドの登録場所よ。ギルドは街の中央通りにあるわ」


 そんな所にピンポイントで狙ったように、落ちてた俺って……


 茶色い髪を後ろで結んだお姉さんが、事務所のような建物の中に座っていた。


「ここに得意技とランクを書いてね。仕事は毎日、ギルドの方に張り出されるわ」


 と言われてお姉さんに皮紙をもらって、そのまま美少女に丸投げしちゃった俺。

 字が読めない!! 日本語じゃない! 英語でもない!!


「レトア語じゃない。共通語が読めないの!? あなた、馬鹿なの!?」


 もう何とでも言ってくれ!! 俺は山田大地だってことしか覚えてない!!

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