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そして、夏の終わり、私はいつものように海藻を採りにいった。だけど、私の秘密基地に見知らぬ男の人が3人、朝から、ビールを飲んでいるみたいだった。私は、知らんぷりをして、海藻を拾って、早々と立ち去ろうとした時、大波が来て被ってしまった。おそらく、白いTシャツにブラが透けて見えてしまっていたのだろう。
「おい! あいつ 女なんだぞー」という声が聞こえて来た。
「そうか 男かと思ってたけどなー」
私は、構わず黙ってその横を立ち去ろうとした時
「おねえちゃん 遊ぼうぜ 俺等と 楽しませてやるからさー」と、二人が私を掴まえてきて、倒されてしまった。私は、声をあげたけど、あっと言う間にシャツをたくし上げられて、胸をもまれながら、短パンとショーツを下げられる、嫌ぁーと思った時
「ワン ワォー グルルー」と、バクだ。男に飛びかかっていた。
「ワァー なんだ この犬」
その時、巌さんの声で「おーい バク バクー」と
「やばい 誰か来るぞ ヤバイ 逃げるぞー」と、男たちはあわてて退散していった。
「あいつ等 何なんだ おそらく、昨日の夕方の船で来て、そのまま野営してたんだなー」
「おじさん それより バクが 棒みたいなんで叩かれとった 大丈夫かなー」
おじさんとバクを見ると耳の後ろが血が滲んでいた。
「バク 私のために・・ ありがとう」と、抱きしめながら
あの人との想い出の場所で汚されようとしたことが、悔しくて涙が止まらなかった。もう一度、私は「バク 有難う」と、抱きしめてキスまでしてしまった。その時、私は、巧さんのことが頭をかすめていたのだ。あの人と・・。
そして、その秋。船で通っている本土の高校から帰ってきた時、おばぁちゃんが店の中で倒れていた。
「おばぁちゃん しっかり わかるぅー」と、私は、叫んで診療所に連絡をして、緊急に本土の病院に連れてってもらったのだけど、手遅れで・・脳溢血だった。
葬儀を終えて、私は本当に独りぼっちになってしまったのだ。巌さんが「うちに くるかい」と声を掛けてくれたが、考えられなかった。この先の希望も何にも無かったのだ。
「おばぁちゃん 私を 見守って・・」と
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