第24話 もう、止まらない

「みーくん、ご飯作っておくからお風呂どうぞ」

「うん、わかった」


 和葉と一緒に家に着いたとき、胸の高鳴りが一層激しくなった。


 今日、俺は和葉を抱く。

 そう思うと、自然と妄想が膨らんでいき、体が熱くなる。


「みーくん、ドキドキしてる。お顔、真っ赤だよ」

「だ、だって……」

「大丈夫だよ、和葉は逃げないから」

「う、うん」


 俺は興奮が収まらないまま風呂場へ逃げ込む。

 和葉は逃げない、か。

 おかしな話だ。

 俺が逃げたくて仕方なかった和葉にそんなことを言われるなんて。


 でも、今は風呂から出たとかに和葉がいなかったらどうしようなんて、そんなことを少し考えてしまっていた。


 結局、腹を括ってみたらこんなものか。

 もうすこし遊びたかったとか、他の子とも恋愛してみたかったとかそんな浮気心を捨ててみたら案外、これでよかったのだと思えてくる。


 まあ、それもこれも和葉がここ最近おとなしくなったからだろう。


 理由はどうあれ、暴力的でなくなった今の和葉は可愛いとすら思えるようになった。


 まだ危険な香りは残るが、今までと比べればなんてことのないものばかり。

 それに、ちゃんと俺が和葉への愛情を示してあげればもしかすると。


 和葉も安心してくれて、極端な束縛なんかもなくなるかもしれない。


 そんな期待と己の股間を膨らませながら風呂を出る。


 そして部屋に戻ると、そこには静かにベッドに腰掛ける和葉がいた。


「みーくん、早かったね。もうご飯の支度は終わったから」


 ニッコリ笑う和葉を見ると、今までとは違う感情が込み上げてくる。


「……和葉は、風呂入らなくていいのか?」

「えへへ、入ってきた方がいい?」

「え、ええと……どっちでも」

「じゃあ……もう、寝る?」

「……うん」


 キッチンに置かれた夕食を食べることなく、俺は和葉の方へ寄っていき、灯を消す。


 そして、和葉は布団に入るとそっと目を閉じる。

 俺も、目を閉じて和葉にキスをする。


 いつもならこのままこう着状態が続くのだけど、今日は違う。


 和葉の柔らかい胸にそっと触れると、和葉はキスの途中で「あっ」と声を出して、喘ぐ。


「ん……みーくん、もっと……」


 そんな色っぽい声に俺の手はもう止まらない。

 和葉の下半身に手が伸び、そしてとうとう、初めて、女の子のパンツに手を入れる。


「……和葉」

「だ、大丈夫だよ? もっと、もっと触ってほしい」


 俺から魂を吸い出す勢いでキスをする和葉。

 そして俺は未知の感触に頭が真っ白になっていき。


 やがて、知らぬ間に二人とも服を脱いでいて。

 そのまま、体を重ねる。


「……和葉、いい?」

「うん……きて、みーくん」


 和葉の女の子らしい柔らかい体は、俺の脳を溶かす。


 ゆっくりと、ぎこちなく、和葉の中に入っていく。


 その瞬間、何かが弾けたような気がした。

 無心で、体を動かした。


 気がつけば味わったことのない快感が込み上げてきて。


 俺はそのまま、和葉の中で果てた。



「……和葉」

「みーくん、すごく幸せな気分だよ。みーくんがいっぱい和葉を求めてくれたから、嬉しい」


 すっかり暗くなった部屋のベッドで二人、裸のまま顔を突き合わせて語り合う。


「和葉、気持ちよかった。俺、こんなに誰かが愛おしいと感じたの、初めてだよ」

「和葉もだよ? でも、今日はいっぱいしちゃったから眠くなっちゃった。みーくんも眠たいよね?」

「うん。ぐっすり眠れそうだ」

「えへへ、おやすみだよ、みーくん」

「おやすみ、和葉」


 そのまま目を閉じる。

 さっきまでの悶える和葉の顔がうっすら頭に浮かんでまた体が熱くなる。


 しかし、それ以上に和葉のぬくもりに癒されて。

 さっき体中のエネルギーを使い果たしてしまったこともあって、すぐに眠気が襲ってきた。


 今日はいい夢が見れそうだ。

 明日も、いい夢の続きが待ってますように……。



「……きゃはっ、みーくん寝ちゃった」


 初めて。

 みーくんに初めて抱いてもらった。

 みーくんが和葉の初めてをもらってくれた。

 みーくんの初めてを私がもらっちゃった。


 それも、みーくんの方から和葉を求めてくれた結果。

 今まで、どんなにキスしても全然なびかなかったのに、最近はキスするたびに苦しそうにしてたし、和葉にのびようとする手を必死に我慢してた。


 それもこれも、ゆかちゃんにアドバイスもらってからだ。

 飴と鞭、いい言葉だなあ。


 あはは、いっぱい飴ちゃんあげたから、みーくんはすっかり和葉に夢中だったね。

 うん、大好きみーくん。


 和葉を抱くとき、必死になってるみーくん大好き。

 和葉で気持ちよくなって、必死に我慢してるみーくん大好き。

 みーくんの全部が好き、大好き。


 大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き。


 えへへー、もうみーくんじゃなきゃやだよ?

 和葉はみーくん以外の男の人に触られるのもやだよー?


「もう、和葉からは逃げられないからね」


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 

 

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