勇者パーティーから追放されたので、自由に暮らしたい!〜最強の加護を貰ったけど満足できない冒険者へ送る第二の人生〜
あずま悠紀
第1話
あれから暫くすると僕は目を覚ましたわけだけど目の前には僕の顔を見ながら涙を流す少女がいたんだ。
でもこの光景を見る限りどう考えてもさっきのはただの夢じゃないと思う。それによく考えたらこの子見た事あるような気がするんだよね?まぁそんなこんながあって結局あの女性は神様らしいって事がわかったんだけどそれから僕は彼女の力を借りながら今の世界に転生することになったんだよね。
ただその時に彼女から色々と説明を受けたんたんだけどそれがあまりにも突拍子の無い話ばかりだったから正直今でも半信半疑だよ。でもあの時彼女が見せた笑顔を思い出すとそれを信じざるを得ないって気持ちもあるんだ。だから今はまだ信じきれないけどそのうち本当の意味で信じていくよ。とりあえず今は彼女にお礼を言いたいし僕の人生はこの人からもらった物だと思うから精一杯感謝しながら生きていきたいとは思う。だってこれがもし嘘だとしたらきっと僕を騙して何かしら得する事があるんだろうしさ。だから騙されたと思って彼女を幸せにしてやろうかなってそう思えるぐらいの恩は返せたんじゃないかなって思い始めてる。それにさすが神様だけあって容姿も良いし料理上手だし気立てが良いんだよ。これは将来結婚したとしてもきっと幸せな生活を送れると思うんだ。いやまぁ僕に彼女ができるかどうかなんてまだわからんけさとりあえず頑張って行くことにするわ。んじゃあ早速行ってきます。
「うぉっしゃああ!!俺の時代来たぜーっ!!!」
俺は拳を突き上げて喜びを露にした。何故なら遂に、俺にもチート能力が開花したからだ! 何が起こったかというと、俺は異世界でチート能力を授かった。だがそれは決して万能ではないという欠点もあったりするが。まぁそれも含めて、俺にとってのチート能力って訳だ。という訳で俺、天宮(あまみや)真斗は異能力を手に入れたぞ。これでもう俺は無双状態確定だぜ!!ひゃっほう! まず俺が手に入れたのは、どんなものでもその手で触れると一瞬のうちに粉々になってしまう超強力破壊の力―――粉砕だ!ちなみに能力は触れたもの全てを破壊するというもの。試しに手刀を作ったところ豆腐を切るかのように簡単に手に触れるだけでバラバラになってしまったのである。マジぱねぇです!これを使えば大抵のものは全て粉々になり無敵モード間違い無しなはず。しかもこの能力のおかげで俺は物理ダメージ無効になっているようだ。まさにチート過ぎるだろう。
さらにこの力はもう一つ使い方があった。それは武器を作るときのことである。つまり剣を作ろうとしたら剣が瞬時に作れて尚且つ破壊できちゃうのだ。そしてなんとその威力たるや、普通の人間なら一発触っただけでも即死してしまう程のパワーだった。これを前に出して戦う姿を見たものはこう言うだろう『あれこそが真の最強戦士の姿』とな。まさに完璧過ぎる最強の男となったわけですよ。いぇ~。
ちなみに他にもまだ使えるスキルはある。それは念動力というものだ。これは目に見えている範囲のものを意のままに移動させることが出来る能力である。この力が発動するとまるで超能力みたいになるのだ。
このように様々なチートスキルを駆使してこの世界を生き抜いて行くぜ!ひょっとしてもうハーレム出来ちゃったりとかあるのか?ぐふふっ。そんな妄想を繰り広げつつこれからの人生を考える俺であった。
*
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真人君は今頃どうしてるかな?私も一緒に異世界行きたかったな。真人君がいないこの世界でこれから私はどうすればいいんだろ?そんな事をずっと考えている日々が続いていたある日の事。家のポストに見慣れない一通の手紙が入っていた。宛先人は私の知らない人だったけど差出人の名前を見て驚いた。そこに書かれていた名前は―――天上真也様となっている。どう見てもあの人の手紙だ。そう思って封筒を破って中身を読んでみた。内容は私が知りたい事について全部書いてあった。この世界にいる人たちの名前やその性格など全てが。
でもこの内容ってまさか異世界からの?え?どうしよう?もし本当だとしたら私これからどうなるんだろう?不安になった私は急いでこの事を報告するためお父さんに相談する事にした。この事を話し終えるとすぐに真剣そうな表情で私に話してくれた。その内容はとても信じられないものだったが確かに手紙の内容はこの前聞いた内容と同じ事が書かれているからきっと事実なんだと思う。
でもこんな話を信じる事が出来たのも異世界から送られてきたと思われるものを持っているというのが大きいと思う。だってあの人が持っていた物が本物だという証明にもなったし。
それから数日後。突然、玄関の扉が大きな音を立てて開かれた。慌てて向かうとそこには息を切らしたお母さんがいた。その顔はとても必死なもので只ならぬ事態が起きたのだという事に気が付いたのである。それから話を聞いたところあの人の家にあるものが送られてきたらしくそれが届いたからあの人と連絡が取りたくてここまできたとのことらしいが生憎その肝心の本人は異世界から戻って来ていないと伝えると凄く悲しそうな顔をされたけどそれもそうだ。何しろ数日経った今もあの人に会えてないというからね。あの人から話を聞くまでは会うことが出来ないからと。だからお母さんが持ってきてくれた例の物をお母さんには渡さずに預かる事にして、もし何かあればこちらからご報告しますと言う事で納得してもらった。そして後日、再びこの家に誰かが訪れたのだけど、どうやらその人というのが真斗君の知り合いであり元冒険者でもある人だった。あの人は真斗君が異世界に行った後行方がわからなくなって心配していたがあの人から異世界の話を聞いてここを訪れたという訳なのだがそこで私はとんでもない事を聞かされたのである。実は、この人というのは異世界に行って帰って来たという経歴の持ち主だった。そして真斗君が異世界に行っていた事と同じような経緯のようで、やはり真斗君と同様にチート能力を得ていたのだと言う。そしてその力を使いこの世界の人達と協力して魔物と戦ったりしていたのだが、その時の仲間の一人であり幼馴染である女性が魔王の娘だったというのだ!でもその人は勇者と共に魔王を倒して平和を取り戻す事が出来なかった事を後悔していると。
その後その話はまた今度と言って帰ってしまったが私はこの時真斗君の身に一体何が起きているのだろうと気が気でならなかったのであった。
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俺の新たな能力が開花してから三年の月日が流れたある日。
俺は今現在進行形で絶賛大ピンチ中だ。何故ならば目の前には大量のゾンビたちがいて、それらが一斉に俺の方に向かって襲い掛かって来たからだ。ちなみに今俺がいるのはとある廃墟の中だ。だがこの廃墟もつい最近まで使われていたような感じの造りをしていてかなり広い空間が広がっている場所だ。
この三年間俺は色々なことをやって過ごしていた。勿論最初は戸惑いもあったがそれでもこの世界で生きているうちに段々と順応して行ったわけだ。そしてそんなある日。俺はこの異世界での俺の能力を使ってこの世界での自分の立ち位置を理解しようと試みていた。というのも今まで俺はただ破壊するだけで特に何かを成し遂げようとしたことはなかったからだ。だが俺の持つ力はそれでは宝の持ち腐れだと思い、まずは世界を知ることから始めようと思った。それで色々と見て回ろうと決意したのがつい最近のことだ。まぁそんなこんなで俺なりの方法で調べて行こうとした矢先。運悪く俺はモンスターの群れに出くわしてしまったのである。
俺はとりあえず逃げ回るがさすがに多勢相手に逃げ切れるほど俺は足は速くないので追い詰められてしまうのも時間の問題だろう。そう思った時、俺は咄嵯の判断から一つの行動に出た。
『破砕!』
その言葉を発した瞬間。その言葉通り一瞬にして周りにいたモンスター達は俺に触れることもなく粉々になって消滅した。これが俺のチート能力の一つだ。これは触れた物体を破壊するというもの。
だがこれだけの力をたった一撃だけで消費するのはあまりにも燃費が悪くて勿体無いという事で、この技を何度も連発出来るように俺はあるスキルを習得しておいた。それが念動力である。念動とは目で見た物や手で触れる事なく物を移動させたりすることが出来る能力である。この能力は破壊系能力のように手を使わなくても物を動かすことが可能となる為、かなりの節約になるはずだ。なので早速俺はこのスキルを利用してその場から逃げたのだ。
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それから何とか逃げることが出来た俺は街の中で人気の少ない場所に移動して休憩を取っていた。そしてここで今後の方針を決めることにした。
とりあえず当面はこのままこの世界に溶け込んでこの世界での生活を満喫しようと思っている。というのも俺はチート能力を得たことでもう元の世界に戻れないのではないかという疑念を抱いてしまい、俺にとっては既に異世界での生活のほうが長くなっているのだ。
だからこそここは異世界で第二の人生を歩むことを選んだのだ。まぁそもそも異世界に転生するという経験自体滅多にないことだし、俺はこのチャンスを最大限に利用しようと考えた結果である。
ただ問題があるとすればこのチート能力が強力過ぎるという事だ。そのため俺自身あまり人目に晒される訳にもいかないのは言うまでもないだろう。
しかし今の俺はそんな状況下に置かれているにもかかわらずこの世界でも無双状態でいることが出来るのではないかと思っていたりする。だって破壊の力は強すぎて触れただけで何でも壊せちゃうからね。
しかも俺の身体はこの世界で生きる為に改造を施してあるのでこの世界基準だと俺ってめちゃ強いんだよな。しかも念動力も使ってしまえば更に無双状態になるし、俺ってもう無双状態の完成形だよね。だって念じるだけで全てを粉砕できちゃうんだぜ。これもう最強すぎじゃね?そんなことを考えつつこの先どうしていくべきか考えを纏める俺なのであった。
私は天上(あまみ)彩奈(あやな)と言います。今は冒険者として日々活動しているのですけど少し前から私は不思議な出来事に巻き込まれているのです。
始まりはあの人が行方不明になったという知らせを受けた事から始まったと思います。でも私とあの人はそれほど親しい仲ではないので別にどうでもいいと当時は思いました。
でも何故かその話をした相手からは絶対にあの人を捜すべきだと熱く説得されてしまいました。
そして私はあの人を探すべく、この国のあちこちを訪ね回り、情報を集めていった。
その途中であの人が使っていたという装備を手に入れてからは、その力でどんどん依頼をこなしていき、やがてあの人が失踪したという情報を手に入れた。
そこから私はあの人の居場所を探し回ったんだけどどうも上手く情報が集まらない。どうやら国ぐるみで隠しているらしいけど私には関係なかった。私は私の信じるままに進み続けついに見つけた。その人物は真斗という名前らしくあの人と同じくこの国に突然現れそのまま姿を消した人だということ。彼は真也という名の人と旅を共にしていたということを聞いた時は少しだけ嬉しかったです。でもまさかこの二人が同じ日にいなくなったなんて本当に偶然なのかなって疑問を抱くこともありましたけど、そんなの私の勝手な推測だからそこまで重要視することはないかとこの時は思っていました。
私はその後も調査を続けるために彼が住んでいた家に足を運び、そこに置かれていた彼の遺品とも言えるアイテムボックスの中身を整理していたところその中に一つ奇妙な物があった。
「これは?なんでしょう?」
それは小さな宝石のようなものが埋め込まれている指輪だ。この宝石が何の効力を持つのかよくわからないので私はそれを鑑定士に見せてみる事にした。そしてその結論はまさかの出来事だった。この指輪の効果はどうやらこの世界を創造したものが作った神具と呼ばれるもののようで、その性能は世界を変える事が出来るほどの力を持っているとのこと。
その事を知った時、私はすぐに真斗さんの身が危ないと思ってその指輪を持って王都に駆け込んだわけだけど、どうやらすでにその指輪は持ち去られた後だったみたいで。私はすぐに真斗さんの足跡を辿る事にしました。そして辿り着いた場所は、この世界の何処よりも栄えており人族や亜人種などが住む様々な種族が住まう国。通称【グランディア】と呼ばれている王国へと辿り着くことが出来、そこで情報収集を行う事にした。
そこで分かったのは彼の消息は既に絶たれたというものでしたがそれでも私の中ではどこかまだ安心できずにずっと不安を抱え続けていたんです。それから私もこの国で冒険者になりそれなりに稼げるようになった頃に私は遂に見つける事が出来ました。あの人が異世界へ渡る際に身につけていたとされる腕輪を。その日はとてもうれしかった。ようやくこれであの人と再会できるのだと思うと。でもそれと同時に異世界を渡るなんて事は普通に考えると不可能だからもしかしたら別人かもしれないという疑念も生まれ、実際に顔を見てみて、確信に変わり、涙が流れ落ち、抱き着きたい衝動が湧き上がったがそこはなんとか耐えた。そしてこの場には他にも大勢の人がいるのだから冷静にならないといけませんから、とにかく一旦この場を離れましょうと思いその場を後にして宿に戻ったの。その道中では色々とあの人の事について考えたわ。異世界に渡って来たということは、あの人もまた勇者の素質を持っていたということなのだと思う。
そして私が異世界に来れたのは間違いなく真斗さんの力が働いた結果であり私はそれに感謝しなければいけない。そうじゃないとこうしてまた会うことは出来なかったはずですもの。それにもし彼が異世界に来た時と違う力を持っていなければこの世界で生きて行くことはきっと出来なかった筈よ。そうなると今の私はこの世界で生きていたことになるのよね。それもこれも全ては彼と真也のおかげかしらね。
それから私は彼に会った時どんなことを言えばいいのか考えていた。まずは心配をかけた事を謝ってそれからそれからえーっと、あれも言わないと駄目だよね!でも恥ずかしいなぁでも伝えないといけない事だもん。ちゃんと言うんだから頑張らないと。よし!覚悟を決めて言おう!
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「初めまして、天上彩奈と言います。私は真琴君、いえ真央君の幼馴染なんですよ」
俺は彼女の口から放たれた言葉を聞いて頭が混乱していた。彼女は何を言っているんだと本気で思う程だ。だって彼女が俺の彼女?いやまて待て。そんな馬鹿なことがあってたまるか。そもそもこの人は何故俺の名前を知っているのだろうか。確かに真斗と天上彩奈という名前を並べてみると俺と同じ音に見えなくもないけどもさすがに俺の関係者だと言われても全く納得出来ないぞ。俺に女友達なんか居ないし、この世界に来てからも知り合いと言えるような存在は俺の周りじゃあいつしかいない。そのことから考えればまずは俺の事を知らない可能性が一番高いんじゃないかと思うわけで。
俺は色々と思考を巡らせて行くと俺の頭の中である考えが思い浮かんできた。そうか、つまりこういうことだ。彼女は俺が異世界に転移する際に身に着けていたと思われる装備を身に付けていた。だがそれは俺の装備ではない。という事はもしかすると俺ではなく、俺に似た容姿を持った別人と勘違いしているという可能性も十分にあるだろう。まぁ異世界から来たなんて突拍子の無い話はそう簡単に信じられるものではないだろうからそういう解釈もおかしくはないとは思う。ただ念のために一応確認を取っておこう。
俺はとりあえず彼女に自分がどういう存在であるかを説明することにした。
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それから暫く話した後、彼女が俺に対してとんでもない発言をする。いやさっきの俺の予想は見事に的中していたというのを実感させられたな。
俺が実はこの世界とはまた別な異世界の住人で、俺はそこの魔王を倒すべくしてこの世界にやって来たということがバレてしまっていたのである。俺はこの世界に来る時にとあるスキルを手に入れて異世界の言葉を理解し、その異世界で得た力をこの世界で使う事が出来るようになっている為、異世界の言葉を理解できる。だからこそ俺は彼女の話をしっかりと聞く事ができていたが、正直かなり驚いた。だってそうだろ。俺が異世界人って言われて信じてくれる奴がいたとしたらそいつはかなりのお人好しだと思うぞ俺は。まあ俺は異世界人って言う事実を隠す気は全く無いんだけどね。だって隠したところで何の意味も無いってわかっているから。まぁとりあえずは俺の素姓についてもある程度把握してくれたみたいなので良かったかな。それからは俺の異世界の話とかをした。まぁほとんど聞き役に徹したんだけど。まぁ異世界って言うワード自体が既に凄いし信じるしかなかったっていうのもあるのだろう。そして俺はふと思った。俺が異世界人だって言ったら彼女はどうなるのだろうかと。
もしかして怖がるんじゃないだろうか?でももう既に俺は彼女に異世界人だってカミングアウトしてしまった以上今更誤魔化すことは俺の性格的にもできないからこのまま真実を打ち明けた方が良さそうな気がするんだよな。なので俺がこれから取るべき行動というのは、俺が異世界人であることを彼女に話すこと以外に他ならなかったのだ。
ただ俺は少し不安になっていた。異世界に行っていたという事実を話しただけで引かれた経験があったからだ。でもここで何も喋らなかったとして今後何か困ったことになったときに、異世界の単語を使う事でなんとか切り抜けることが出来る可能性もあるかもしれない。だからこのタイミングで打ち明けん方がいいかもしれないけど俺は彼女ともっと一緒にいたかったからな。という訳で俺は自分の素性を明かしてもいいか聞いてみたところ彼女は快く受け入れてくれた。本当にありがとうと心の底から感謝しているぜ。そしてこの出会いを大切にしよう。
でもまだ彼女からは聞かなければならないことがあるし、それを確かめてから俺はこの世界から離れるとするか。俺の素性を知っちまった以上、ここに居るのは得策とは言えないだろうから。
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その後、私達は宿に帰って来て今は私達の部屋のベッドで向かい合うようにして座っていた。私は早速彼――真斗くんに私達が置かれている状況とこの世界の状況をお互いに知っておいた方が良いと思って、この世界で起こったことと私の知る限りのことを彼に教えた。すると彼はこの世界で起こっている異変や彼の持つ不思議な力と関係があるという事を知る事が出来たようで驚いている様子だった。私もその反応を見て思わずクスリと笑ってしまう。
「そんなことが、でもそれだと俺の力の正体はまだよくわからない感じですか?」
どうやら真斗くんは私の話を聞いたことで、自分がこの世界の人達と明らかに違う力を使えるということに疑問を抱いたようだ。私はその答えを知っているため彼の問いに答えることにする。
「うん、真也はあなたと同じ異世界からやって来た人間なの。その異世界での能力は破壊を司る力と言われているわ。そしてあなたの持っているその指輪こそ、真也の能力を発動するためのキーアイテム。それがその腕輪ね」
「成程。その能力ってのは俺の場合はどんなものなのかわかりますか?」
どうやら彼が抱いている疑問については解消され、彼も自身の能力が一体どんなものなのか知りたいみたい。そして私がそれを真斗くんに告げると彼は嬉しそうに口角を上げている。恐らくだけど自分が持つ能力がどんなものかを聞けば嬉しい気持ちになる人は多いはず。だって、もし私が同じ立場だったら絶対に喜んでいちゃうと思う。だって自分の好きな人がこの世界でもトップクラスに強いって言われるほど強い存在だったなんて言われたら。
「その指輪が触れたもの全てを瞬時に粉砕するという能力みたい。その効果は一度使っただけで周囲のものを粉々にするくらいのものよ。しかもどんな硬い金属でも一瞬のうちに粉砕できてしまう程の力がある。だけど使いすぎは危険だから注意してね」
「マジでっ!?俺って最強じゃん!!これさえあれば何でも出来る!」
彼が喜んでいるところを見ると私までうれしくなる。私は彼に笑顔で話しかけていた。それから暫くの間は彼が私に色々と質問をして来たのでそれに答える。そして彼が満足いく回答が得られた後、彼はあることを口にする。
「俺はこの異世界に留まろうと思います。だから彩奈さん、しばらくの間よろしくお願いします。俺に出来ることがあったらなんでも協力させて下さい。それと異世界の事とかも俺が色々と教えるようにするので分からないことがあればどんどん聞いて下さい。俺も色々とこの世界で生きて行くために学ばなければいけないことは山積みだと思うので色々と勉強したいのと、異世界の情報が少しでも手に入るのであれば手に入れときたいので」
こうして真斗君は、しばらくこの世界に居座ることになったようです。それに真斗君の言っていたことにはとても納得が出来る。この世界での常識などを知っていなければきっと生きていくことが困難になってしまう筈だもの。それにこの世界の情報を手に入れる為にはどうしても必要なはず。だからこそ真也は真斗君の話を聞き入れることにしたんだ。まぁ異世界にずっと滞在するのはさすがにはまずいかなって思ってたからね。ただでさえ彼は真耶さんっていうお姉さんの婚約者なんだろうからあまり長居はできないんじゃないかなとも思う。ただ異世界からこちらに戻って来る時はかなり疲れた様子だったので当分の間は向こうで過ごすことになると思うけどね。
そんなことを考えていた時だった、真斗君の身体を突如光が包み込む。私はその様子をみてすぐに分かった。彼が異世界に帰るんだということを。真斗君も同じことに気が付いたのかとても寂しそうな表情をしていた。
そして光に包まれながら真斗君と目が合い、彼は優しく微笑んでくれる。それはどこか悲しげに見えながらもしっかりと私を見据えてくれていたの。まるで、俺の事は気にしないでくださいって言ってくれているかのように思えて。その言葉を聞いてしまうともう引き留める事は出来ないって悟っちゃった。そして真矢が私達に声を掛けてくるとそのまま視界は眩しい白い輝きによって埋め尽くされた。
俺は目を覚ました。そう、異世界に戻れたんだ。まぁ戻ってきたというよりは召喚?されてまた戻って来れた?そんな感じか。とにかくまた戻ってこられたって事に変わりは無い。さて俺はさっきこの世界を去ろうとしたんだけど俺の事情を知らない人からすれば急に俺がいなくなるという不可解な事態が起こるわけだし。それは当然俺を慕ってくれていた人たちを裏切る行為にも繋がりかねないから。そう、俺はこれからどうしようかと考えなければならない訳で。ただこのままここに留まっておく訳にはいかないのも事実なんだよな。だってここは異世界、俺の事を理解してくれるような人は多かれ少なかれこの世界にいるかもしれないけど、俺の事を何も知らない人もいるかもしれないから、下手したら命を狙われたりして面倒なことに発展しかねない。
でも、正直俺としてはこの世界にいてほしいという思いもあったりする。何故なら彼女は俺がこの世界に来て初めて会った人なんだ。正直彼女がいてくれたら俺の心の支えになってくれたりもするかと思って。だってこの世界は俺が知っている地球とは違う世界。俺が知っている地球よりも過酷な世界で生きている。だから、彼女のように普通に接してくれる人がいると俺的には心が休まる。そして何より彼女と別れることが名残惜しくなっていたからだ。でも彼女は元の世界に戻りたいと願っているから無理に引き止める訳には行かないよな。だから、俺の本当の素性を打ち明けるのは今じゃなくてもいいと思った。まぁいずれ話さなければならない日が来るだろうけどな。でも俺はこの世界から立ち去る前にやっておかなければならない事があるからそれを実行してからこの世界を離れることにするか。俺はそう心に決めた後、行動を開始することにした。
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私はこの世界を去る前の晩に真也の部屋に訪れていた。本当は今日、真也に全てを伝えようとしていたんだけど真也は異世界に戻ろうとしていたから話すことができなかった。それに彼は異世界の言葉を理解して私に話してくれてる。そして私の素性について知って貰おうと思ったのだけど、結局私は言い出せずに終わってしまった。
それから彼は元の世界での生活を楽しんでほしいとだけ告げて私は部屋に戻った。そして真斗くんがこの世界を去ると私は思ったの。だから真矢は彼を見送りに行こうとしたのだけれど、私は彼の力の事も考えていなかったし私達の関係上、彼がいなくなっても今までのように過ごすことなんか不可能だということを理解させられたから彼の姿を見ることが少し怖くなってしまったの。だから、彼に会うのをやめようとしたけど、でもやはり彼のことを最後まで見届けたかった。
なので真斗くんの姿を探すと彼は宿の庭に一人で立って夜空に輝く月を眺めているのを見つけた。そして真斗くんもどうやら私の存在に気付いたらしく私の元に近寄ってきた。真斗くんはいつも通り優しい笑顔で迎えてくれた。
「どうかしましたか?」
真斗くんからそう聞かれてしまった私は何も返すことが出来ずただ黙ってうつむいてしまっていた。こんな状況だと何かを喋ることが難しいし、喋ろうとすると胸の奥が苦しくなるし、どうしてなのか自分なりに疑問を抱くけどそれでも答えが見つからないままだ。
「あの、彩奈さん?大丈夫ですか?」
私が無言になってしまったことで心配になったのか真斗くんに顔を覗き込まれる。そこで私が我に帰った。そして慌てて彼から視線を逸らすが彼は何故か笑みを浮かべているようだ。その様子だと私が考えていた事がばれてしまっているみたいだ。
「その顔、私が何を考えていたのか分かるのね。」
「はい。俺、そういう人の考えてる事って結構わかるんですよ。それでさっき彩奈さんと会って話しているときに実はあなたが俺に伝えようとしていたことの内容を考えていました。そのことで俺はあなたの悩みに答えを出すことが出来ます。あなたに答えを伝える為には彩奈さんが伝えたい事を教えて欲しいです。あなたは、何を考えているんですか?」
どうやら真斗君は私に対して遠慮することなく本音で話してくださいと言ってきたようだ。それならば彼に素直に気持ちを伝えた方が良いと判断した私は彼に向き合うようにして立った。そして彼がどうするのかを見ているとその隣で私も立っているように指示してくる。これは真也の隣にいても良いという意味なのだと解釈したので、そのまま立つことにする。
「ありがとうございます。それでですね、単刀直入に言うと、僕は彩奈さんにこの世界での居場所を提供しようと思えたので、もし彩奈さんのご迷惑にならないのであれば、僕と一緒に暮らしませんか?もちろんお金に関してはある程度は出す予定です。まぁさすがに生活できる程度の金額には収めるつもりですが」
え?一緒に暮らす?どういうことだろう。真也の言っている意味が全くわからないのだけど。でも、なんで私がそんな申し出を受け入れようと思っているのかと言うと答えは既に決まってる。だって、私は彼に救われた。だから私は彼と少しでも長く過ごしていければって、そう思っていたから。だから彼の申し出を受けようと思ったんだ。それに、私自身で彼に真実を話すことが怖かったのでちょうど良かったんだよね。だから、ここで私にその勇気を与えてもらった。だから今度は私からの恩返しとして真矢ちゃんから頼まれた仕事を手伝うことにする。真也君はきっと真矢ちゃんの婚約者であるからして、きっと将来真矢さんを娶ることになるはずだしね。だからこそ私は真哉君に色々と協力することにした。
そして、真矢さんに真也君の事情を説明することになったの。真也君は私と二人で話がしたいと言っていたので私達は二人で話をした。真矢さんの話を聞いた上で私から真也君の素性を打ち明けようと思った。ただ、まだ心が準備できてないので、そのことについてはまだ言わずにおくことにする。でも、いつかは話さなければならないことなのは確かだと思う。だから私は自分の口から伝えることに意味があると思って真也君のことは自分で話すことを決意したんだ。それにしてもまさか私が異世界に行けることになるなんて思ってもいなかった。それも真斗くんから貰ったこの魔導書のおかげで。ただ真矢さんは真斗君の正体を知っているらしいので真也君ももしかしたらこの世界では真也と呼ばれているのではないかと考えた。そしてそれは間違ってはいなかったの。真也君には名前が2つあるみたいなの。だから私は真耶さんの事は真耶さんと呼ぶことに決めたんだ。真矢さんに聞いたところ、真矢さんは真耶さんのお姉さんなんだとか。つまり真斗君には双子のお姉さんがいたってことになるんだ。そんな事を思いながら真也君を見ると真斗君の顔には冷や汗が流れていた。そして私の方をチラリと見てからまた目をそらしてしまうの。そんな態度を取られると少し寂しい気分になる。
「あの、俺はこの世界の人間ではないんです。簡単に説明すると、俺はこの世界とは別にある地球と呼ばれる世界から来た存在なのです。そしてこことは別の世界に存在するある組織に所属しています。その組織はこの世界とは敵対関係でありまして、先程言ったこの世界に来た目的は異世界から現れた魔物の討伐が任務なのです。俺に与えられたチート能力というのは触れたもの全てを破壊するというもので、俺はこれを破砕と名付けて使っています。そして俺がこの世界を去る前にやるべき事があると言った理由がこれで説明できます。俺は異世界を行き来するための方法を手に入れる必要がありました。この世界にはそういった手段が無いので異世界に行くことは不可能だと考えておりましたので。この異世界を旅立つためにまずはその方法を入手出来るだけの力を身に着けなければならないと思いこの世界を後にしようとした訳なのです。」
やっぱりそうなんだ。だから私と会うまで真斗君は必死だったのかなって。確かにこの世界の人たちは強いのかもしれないけど真斗君なら勝てるような相手なのかと私は思ったのだけど、この世界の人じゃ真斗君の力は使えないということなんだと思う。だから彼は私からの助言に従って強くなる必要があったと。それに、彼の強さは別世界で培ったものだったということなのね。なら仕方ないよね。私は彼がどんな世界に生きてきたのかを知らないし、真斗くんの過去に何があったのかを知らないのだから私から聞くことはできない。でも、これから彼が私と出会ってくれてから色々な事を知れるんじゃないかなと今は思えるようになったの。だから、私は彼がこれから歩んで行くであろう道のりに同行させて貰うことにしようと思うよ。だってそれが、彼が救ってくれた私の役目だもんね。
それからしばらくすると、彼は元の世界での生活に戻りたいという意思を見せた。でも私は彼の事をこの世界で受け入れてくれる人がいると信じてるから、彼が元の世界に戻ることを決心したところまではいいんだけど、彼が私に言いたいことを全て話してくれた訳じゃないと思うんだ。彼の表情からは葛藤しているように見えたから本当は元の世界に戻って欲しくないと心のどこかでは思っているのではないかと私はそう思い始めていた。だから私は彼を止めなければと思ったんだけど結局止めることが出来なかった。
その後の真矢さんの行動は私から見ていても分かるくらい焦っていたのがよく分かった。彼はこのままだと確実に死んでしまうような気がする。どうにかしないと。私にもなにか手伝わせてほしいんだけど真矢さんが何も教えてくれないし、もどかしくてしょうがないんだけど、でも何か良い方法は無いものだろうか?
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翌朝、彩奈さんと一緒に部屋に戻ると真弥が待っており、彼女から今回の騒動についての事を聞き、俺は彼女の言葉を信じる事にした。なぜなら彩奈さんが俺が元いた場所に帰ろうとしている理由について俺が知らないことを彼女が知っていたからだ。彼女は俺の事をよく見ていて、尚且つ信頼を寄せているように感じられるのだ。だからこそ今回、彼女が真矢の話について語って聞かせてくれた内容を聞いていてとても感動した。
正直な所を言えば、今までは真矢を信用していた訳ではなく疑うという行為ができなかっただけなのだが。でも昨日の一件で俺はこの世界で真矢の言うことよりも彩奈さんの信じて欲しいという言葉に耳を傾けることにしたのである。まぁ、だからといって完全に信じると決めたわけでもないけどさ。
さすがに今の段階で真矢を完全に信じるのは早計だろうからな。もう少しだけ様子見をするかなと俺はそう考えながら彩那と朝食を食べていたら突如玄関の扉が開かれ誰かが訪れた気配を感じると突然部屋の窓が割られた。
「おい!そいつを殺せ!」
真矢の言う通りに行動しようか迷ったがここはあえて無視する事にする。ここで真矢を庇って彩奈さんが人質になってしまったら元も子もないのである。
俺はとりあえず窓から離れて彩奈さんの手を握り、彼女には何もしないように指示を出した上で、俺は彩奈さんと彩矢を連れて急いで外に出ると真矢がこちらに襲いかかって来ようとするのが見えた。だが俺はそれよりも先に動き出して真矢の腕を掴んでいたのである。そのまま俺は真斗から距離を取るようにして移動を始めると背後から追いかけてきている気配が感じ取れるが、おそらく真矢のものだろうと思われる。まぁ仮に真矢以外のやつが俺たちを追っかけてきているとしても問題無いのは確かだし、むしろそうして欲しいと願っていた。なぜなら俺は今のうちに試したいことがあったので。
俺は走りながら手に握っていたスマホを取り出し、この世界で使えるか確認したのだがどうも上手く使えなさそうだと気付いた。理由は簡単で俺が持っているこの機械がこの世界ではオーバーテクノロジーに近いものだと判断したからである。そこで試しに手始めに目の前にいる真矢にスマホを向ける。すると思った通り画面上にアプリのアイコンが表示されるが、そこに表示された文字を見たときに違和感を覚える。というのも日本語ではなかったのだ。それどころか見たことのない記号や文字が羅列されていた。これは明らかにこの世界の文字じゃないなと確信した。
それからさらに走った先で一旦足を止めることにする。その時に背後から迫ってきている真矢を確認する為に再びスマホを手に取って真矢に向けてみるとそこにはやはりと言うべきか真也と同じような文字の並びで真也の名前が表示された画面に切り替わるのを確認して確信に至ることができたから。そこで一呼吸置くことになって俺はようやく落ち着いた状況になりつつあった。
ちなみに今の状況はと言えば、俺の後ろに真斗、そしてその反対側に彩奈さんがいて俺の方に近づいてこようとしているのは彩矢であり、その更に後ろで追い駆けてきてるのは多分真矢なのだと思う。だから俺はひとまずこの場から逃げ出さずにその場に留まっていられる。しかしそれは真矢を逃がすことになるのは間違いない訳だ。まぁ別にそれでも構わんが、一応俺としては真矢の口から聞き出したいこともあるからまだここで見逃す訳にはいかないんだよね。だから俺としてはこの機会に真矢にはここで退場してもらいたいと考えている。だからと言っていきなり魔法を撃ち込んでくるのはまずいだろと言いたかったのが本音でもあるが。しかしそれも真矢の性格を鑑みれば仕方ない事なのかと思えてくるから不思議だよな。なんでこんなに俺の周りは面倒臭い奴ばっかりなのかね。でも俺は真也とは違うし真矢に殺されても構わないんだが。だって真也は一度死んでいるし、俺は異世界に行くことが出来るんだしね。俺が異世界で死んでもこの世界には俺が戻ってきていることを俺は知っているから、そこまで恐れる事ではないんだよ。
でもそれはそれとして俺は真矢を逃がしたくない訳なんだ。その理由は色々ある。例えば単純にあいつにはまだまだ利用価値があると思ってるからだ。それには真矢の生い立ちとかにも理由があって真耶と双子の姉妹だという事から真矢は姉さんと呼ばれているらしく、それは真耶と血の繋がりが少なからずあるということであり、真耶の過去を知る為の鍵になると予想している。それともう一つ、真矢はあの日、真耶から渡された封筒を開けて中の便箋を読むことで初めて姉の存在を知り、真耶と会話して姉の気持ちを理解出来た事で姉と仲直りすることができたと聞かされているからね。つまりあの手紙の内容は俺にとって必要な情報が含まれている可能性があると踏んで、俺はどうしても真也からその中身を聞き出したかった。もちろん俺も人のことは言えないけどね。だって俺は異世界の魔物討伐のために異世界転移の方法を探しに行こうとしているんだから。だから異世界の魔物に勝てる可能性を上げるためには手段は選んでられないと思っている。だからそのためにならいくら真矢から嫌われようが何されようが関係無くなってしまうくらいにね。
ただまぁ今はもう真矢を殺すと決めた訳じゃなくあくまでも捕らえることにしている。理由としてはこの場ですぐに殺すよりも生け捕りした方が有益に思えるからという理由でもある。なので少しの間だけは大人しくさせるだけに止めておいた方がいいかもしれないと考えているが、もしもそれが無理だった場合俺は容赦なく殺すかもしれないし、そのつもりで俺は行動することに決めていた。
さすがは元暗殺部隊長だけあって俺から逃げる術に長けているのは確かみたいだけど、それでも逃げきれないように追い詰めていけばいつか必ず追い詰められるだろうと思う。現に今現在そうなりつつある。なのでそろそろ終わりにしちゃうか。これ以上やっても無駄だと思ったのは、彩奈さんの方を見てみて分かったのである。
そう。この状況下で彩奈さんが真矢と戦闘になれば絶対に負けてしまうのは明白だからね。それに俺は二人とも無事に帰すために動いているのにこの二人が戦い始めてしまえばどちらかが怪我してしまう可能性もあるし、そうすると真弥を助け出すことができなくなる可能性も高い。だから早く真矢を拘束する必要があった。
だから俺はまだ動ける彩奈さんにお願いをした。そして俺の意図を読み取ったのか彼女は黙って真也に向かって走り始めると俺はスマホに表示されたアイコンを選択してスマホに表示されている魔法をタップする。すると画面上に映し出された真矢を覆い尽くせるほどの光輝く魔法の槍が現れ真矢に襲うと俺は真斗を気絶させにかかる。真矢の身体は一瞬で地面に倒れることになり、それと同時に真奈は彩奈によって取り押さえられていた。これで俺は真矢と戦わなくても済んだし彩奈さんは無事である。
それから彩奈さんは真矢に対して魔法を行使しようとしていたが俺は彩奈さんを止めていた。なぜなら彩那の魔法はかなり強力なものであり、もしこの世界に魔力が無い場所で使用すればどんなことが起きるか予測できないからである。
彩奈さんには今すぐ魔法を解除してくれるように指示を出すが彩奈さんはすぐに魔法を止めてくれたので俺は真奈に近づくと彼女の口に巻かれていたテープを外すことにした。だがその際に彩奈さんと目が合うと俺は思わず身構えてしまったが、そんなことはどうでもいいと思った俺は彩奈さんの手を借りて起き上がると俺を見下すように見ていた真矢にこう告げた。お前には今から俺についてきてもらって話をしようと思うと。
しかし当然ながら彼女は納得できる訳がなく俺が差し出した手を払って拒絶反応を示していた。でもそんな彼女であっても俺は強引に連れて行くことを決めていて、彼女を担ぐと俺は彩奈さんの案内の元にある建物に向かうのであった。
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その頃、俺こと天城 真矢と双子である彩奈さんの二人はというと俺は彼女から質問攻めにあっていた。彼女はまず俺のことを誰だと問いかけてきたのだが、正直言えば俺から言わせてみれば彼女が俺の事を知らないことに驚きを感じていた。だって普通、真矢の妹である彩奈さんが真矢のことを知っていても不思議はないはずだからだ。でも現実にはそうなっていないから、だからこそ疑問に感じていたのである。
そして次に彼女が聞いてきたのが真矢が俺の幼馴染である真央を殺した犯人である事についてである。しかしこれにはさすがに驚いた。だってあの真矢が俺の知り合いを殺めたってことが信じられなくてさ。だからこそ彼女にどういう経緯で殺したのかを聞いてみると俺が想像していた通りの内容が返って来た。それは真矢に俺のことを聞いたからとしか言いようがないと彩奈さんは言っていたのである。まぁそりゃそうだよな。そもそもどうしてこの人が俺を真矢だと勘違いしたかって話だが、この世界では真也と俺の顔はあまり似ていなかった。でも俺の場合は真矢と瓜二つだし俺も自分で鏡を見た時に似ているなとは思ったから。まぁそういう理由からこの世界の俺は真矢に間違われて真矢に殺されたんだろうと俺は勝手に解釈するのであった。
「真矢君?私の言ってることが分からないのかな?」突然の衝撃的な言葉を受けて、思考を停止させていた僕だったが我に返ると真矢の言った内容に耳を傾けることにした。それはつまり真矢は異世界召喚に巻き込まれた存在だという事を。しかしそれでも信じたくない気持ちが強い。だって異世界召喚に巻き込まれて真矢だけが生き残ったなんてあまりにも理不尽ではないか。それならなぜ真矢が選ばれたのか、選ばれた理由が存在するはずである。それはおそらく神と自称した女性にこの世界を救える唯一の希望は真矢だけしかいないから真矢のスキルやステータスは最高にしてあると言われたと言っていたらしい。
確かに異世界召喚に巻き込んだ張本人がその人物の能力に細工をしないわけもないのだからその点に関しては真矢の話が本当なのだろうと僕は思っていたのだ。それに僕の記憶の中では真矢は勇者と呼ばれていたのも確認が取れたのでこの考えが本当なのだと確信したのもある。しかしそうなってくると真矢はこの世界で生まれ育った訳ではないということになる。
しかし、それでもやっぱり受け入れられなかった僕はつい声に出してしまい真耶に話しかけていた。君は何の為にこの世界に来たのかと。そして、真矢の話を聞いた後にもう一度、真矢は自分がこの世界に呼ばれた理由について考える事にすると決めた。
だってそうしなければ前に進めないし、ここで足を止めるような奴だったら俺はもう友達をやめても良いかなって思ってるんだよね。だから俺は真矢が本当に答えを見つけて俺に教えてくれれば良いかと思っていたんだけど、その前に彩奈ちゃんから意外な発言が出てきたのである。彼女は俺に自分の目的を話してきた。それは姉を助ける為に異世界に行きたいとのことだった。その時に真矢は異世界に行った事があるんですかと言ってくると彩奈は姉である真矢の過去に関係があると思って真矢の話を聞くことに決めたらしく、その話を真矢に聞かせていたのである。
ただ、それを俺はただ眺めているだけだったが、ふとあることを思い出してしまった。それはあの時の事であり、あの時は俺が異世界に飛ばされている間の事だったから俺自身覚えていない事が多いし何が起こっているのかさっぱり分からなかったので彩奈から話を聞かされていた訳である。それでその時に俺も色々と聞いたからこそ今、俺の前に真矢と彩奈がいる事が理解できた。そして俺の推測からして真矢が真耶を憎むようになったのはあの事件があったせいだと言うのは簡単に分かることだった。
なぜなら真矢が真耶からの手紙を受け取った翌日には真耶の姿はどこにも見つからずに行方を眩ましており、真耶と親しかった人によれば家出でもしているんじゃないかという話になったから。それに、真耶の両親も最初は家出しただけだと楽観視してたみたいだが日にちが経つに連れ不安になって真矢を探し始めており、捜索願いも出されていたのである。でも真矢が見つかることはなかった。なのでその日から数日が経過した頃、突如としてニュースが流れたことで誰もが驚いたのである。その内容は異世界に召喚されてしまったという内容だった。そしてそこには勇者となったはずの真矢の写真が載り、さらにテレビに映った真矢は行方不明になる前と違っていてまるで別人のように変わり果ててしまっていた。それが真矢を更に追い詰めることになった。だから俺はあいつを恨んでいた。でも、まさかそれが双子の姉妹だったと誰が予想できよう。
俺はその話を聞いた途端に頭を抱えて混乱していたのだが、それでも俺はどうにか落ち着くために彩奈さんに質問をぶつけていた。この写真が撮られた場所はどこかと。だが彩奈さんが答えた内容は俺は知っているところだった。なぜなら俺はこの世界に戻ってきた際に彩那の気配を感じたのだから、それに気付くことが出来ていれば俺がこんな目に遭う事も無かったのかもしれないがもう過ぎた話だ。
そして俺は彩奈さんと一緒に真矢を連れて行くと俺が気絶させていた彩奈さんの兄である彩斗に預けることにした。彩斗は意識を取り戻していたのですぐに彩奈から事情を聞こうとすると彩奈に抱き着かれて困惑し、さらには泣きながら真矢は生きているということを伝えると彼は安心するどころか俺を責め始めたのである。それも当たり前だろう。なんせ目の前で妹の彼氏が刺されているのを目撃しておいて助けられる手段があったというにも関わらず何もせずに彩奈を危険な場所に連れて行ったのは彩斗からすれば許せることではないはずだから。
でも彩奈さんは兄である彩斗が心配しないように嘘を付いて彩斗には真実を語らないように頼んだのだ。俺はそのお願いを聞くと俺と彩奈はその場を離れようとするが、その時の彩奈の表情はどこか苦しげであったけど、俺はその理由が分からなかった。そして俺は二人を置いて建物の中に戻ると俺のスマホに着信が入っている事に気付いた俺は画面を確認するとそれを確認した瞬間に驚愕してしまった。なぜなら画面に映し出されていた文字を見て、この世界に戻って来てからの疑問を全て解決させる鍵がそこにあったから。そう。それは母さんがこの世界に転移してきたというメッセージである。
「え?どうしてお母さんの名前がここに?いや。それよりお母さんもこの世界に来ていたの!?」俺はそんな風に一人で呟くと、俺の母は何を隠そう異世界に行けるアイテムを持っているのだからいても不思議ではなかった。だけどそれならば何故俺に連絡をしてこないのかは謎でしかない。そんな事を考えて俺が一人悩んでいると俺をここまで案内してくれた少女である美紀さんの声を背後で聞くことになった。
「あ!やっと見つけたー!」彼女の明るい声で現実に引き戻されると彼女は嬉しそうにしてこちらに駆け寄ってきていたので俺は思わず驚いてしまったが俺はどうしたらいいのだろうか。そもそも俺はこの世界のことについてほとんど知っていないため下手なことを言えば余計にややこしくなることになってしまうことは明白なだけに困ってしまったのであった。
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*私は天城 彩奈と言います。私には姉である真矢さんがいましたが、今となってはそれが原因で私が天城 真矢さんの人生を奪わなければならなかったのだと今は思うようになりました。だってお姉ちゃんは私の事ばかり優先してくれて自分から誰かと仲良くしようとしなかった。そしてお姉ちゃんを孤立させていじめられていた原因は私の存在があったからだと思うのです。それを考えるとやはり私は悪い妹でしかなかったと自覚するようになり、それ故に私の心の中では常に罪悪感が湧いていたので私はもうお姉ちゃんに会う資格など無いのではないかと考えていました。
それに私はもう既に一度死んでしまっている身なのであればもうこの命を無駄にする意味はないと思うと、今度は自分が生きたいと思った人のために使おうと思うようになったのです。そこで私に一つの目標ができてしまい、まずはお姉ちゃんを殺した人の復讐を果たすことこそが私にとっての目的にしようと思い立った。しかし、ここで問題が発生したの。まずはこの人が誰なのかを知る必要が出てきたの。なぜなら真矢はあの人に殺されてしまっているはずなのにその人は真矢の死体を見たと言ってきたから、だから私はこの人の言葉を鵜呑みにするのではなくその人の正体を確かめる必要があった。だからその人がどんな人かを調べる必要があると思ってこの人について色々と探ってみたの。そしたらとんでもないことがわかったのよ。この人を簡単に説明しますね。
その人の名前は雨宮優斗。そしてこの人の年齢は十八歳。そしてこの人はかなりの変人で女性に対しての扱いが荒かったりするので男性からも敬遠されるほど性格に問題がある人物らしいの。しかもかなりの女好きで何人もの女性に手を出そうとしているのでかなり評判が悪いみたい。しかし見た目だけは良くてイケメンと言われるほどの顔をしているらしい。だから女の子にモテているらしいんだけど、本人は女性が嫌いみたいなの。それで過去に何か女性絡みの問題を起こしていたらしくその噂のせいで女性を近づけさせないようにする人もいるの。そして何よりこの人と関わって不幸になる人は多いとか。
そして、この人の職業は魔道具開発の第一人者らしくて様々な物を開発していたようなの。それで彼が開発した物の特許使用料を国から貰っていたからそれなりに金持ちでもあるし、彼の作る武器はどれも凄い効果があって、国も無視出来ない存在だと言うことも分かった。でも、そんな事よりもこの人はお姉ちゃんが勇者に選ばれた後に突然姿を消したことから、実はあの場にいたという可能性が浮上したのよね。
それとこれはあくまでも憶測の話だけど、もしかしたらこの人も真矢と同じように勇者召喚に巻き込まれた被害者かもしれないという線があると踏んだわけ。なのでその可能性は十分に有り得るしそうなるとこの人も私たちと同様に元の世界に戻りたいと考えてるんじゃないのかなって思ったわけです。でももし本当にそうなら、私は一体どうすべきなんでしょうか。私はもうお姉ちゃんとは会うつもりは無かった。だからもう関わらないようにしようと考えていたの。でも本当に彼が勇者召喚に巻き込まれて、尚且つ異世界に残されてしまった可哀想な人であるならば、それは流石に不味いと判断することにしたの。だからこれから彼に話しかけようと思います。
そして、私は彩奈に連れられるまま、その少年と共に部屋に入るとその瞬間に彼は気を失った。それはきっと精神的な物から来る疲れが溜まっていたのだろう。だが私は彼をソファーの上に寝かせると少しの間、彩奈に任せることにすると私は美紀の方に向かった。美樹は既に目を覚ましていて私が近寄るなりすぐに立ち上がってくれた。それで私と向かい合った後、すぐに彼女から話しかけられたので私もそれに応じていく。
「彩奈さんは無事ですか?」
「えぇ、とりあえず怪我をしている様子もない。ただ、精神状態が安定していないようであまり話をしてあげれないの。それでもあなたの妹さんが一緒ならなんとかしてくれるかもしれないと思っているから任せてきた」
「やっぱり。あの子には負担をかけさせたくないんですけどね。それでもあの子の言う通り、今は彩斗に事情を説明しないといけませんし、真矢が行方不明になっている今、真矢のことを彩奈に伝えてやらないといけないから、ここは彩奈にお願いしたいところですよね。そして彩奈さんが戻ってくるまで時間潰さないとですね。それに今頃、彩斗と真矢が対面しているはずだからそちらの事も話さなくちゃならないので時間がかかってしまいますが、その分だけ情報を共有しておきましょうか」
それから私たちは彩奈が戻って来るまでの間、真矢のことについて話す事にした。そして彩奈の話では、真矢がいなくなった日の出来事について話を聞くことができた。そして私はその話を聞いた瞬間に頭が真っ白になり、そして彩奈の言葉の意味を理解すると同時に涙を流すことしか出来なかった。だってそれはあまりにも理不尽だったから。それに私が知らない間にそんなことになっていたと知れば無理もなかっただろう。
彩奈の話から私が聞いたのは、この世界に帰って来た真矢の変わり果てた姿を見ていると彼女は私に対して怯えるような表情を浮かべるようになった。それには何か訳がありそうに思えたが私には分からなかった。だけど彼女は自分の事については頑なに何も話そうとはせず、彩奈の質問に対しても曖昧な返事をするばかりだった。
だから彩奈と私は彼女の事を気にしつつ、真矢を探すことにした。そして二人で探すのは効率が悪いので二手に別れることにしたのだがその際の彩奈の顔を見ると明らかに嫌な予感がしたため彼女の腕を掴み引き留めようとしたが彼女は大丈夫だと言わんばかりに微笑むだけだったため渋々納得せざるを得なかった。それに加えて彩奈は絶対にこの世界から消えてしまう気がしたので私は彼女にお願いをした。それは真矢を見つけるために必ず生きて帰るようにと、私にとって大事な妹を救えるのであれば私はなんでもする覚悟があるのである。
それを伝えると彩奈は真剣な顔付きになると私の願いを快く受け入れてくれた。そのため、私は彩奈を信用することにして、彼女を行かせてあげたのだ。その後私は彩奈が無事に帰ってくるのを祈ると彩斗を連れて彩奈の後を追いかける事にした。私はこの世界での知り合いがほとんどいない状況である為、彩奈と別れた場所に向かうには一人では不安であったため、私は彩斗を頼るしかなかったのだ。
そして私が一人になって数分が経った時に背後から誰かに呼ばれたような感覚に襲われたので、私は後ろを振り向くと、そこにいたのはこの世界に戻ってきたばかりの私の愛おしい人であり、私の大切な人でもある人。天城 彩斗であった。それに気付いた私はすぐに駆け出すと彼の元に駆け寄ったのだ。
そして私は天城君を抱きしめようとしたけど、彼の身体が血だらけになっていたことに気付くとすぐに彼から離れていった。そこでようやく天城君は意識を取り戻すと彼は辺りを見回してから私の方に顔を向けてくる。私はそれが懐かしくて思わず泣いてしまうが何とか耐えると彼に事情を話す。
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俺は雨宮さんに連れられて美紀さんの元に行くと俺はソファーの上で目が覚めた。
「お、お兄ちゃん!?やっと起きたの?ねぇねぇ、お兄ちゃん!聞いて欲しいことがあるの!!」といきなり大声を張り上げると俺に飛びついてきては嬉しそうな表情でそんな事を言い出してきた。そのせいで俺と雨宮さんの密着度が増していくとそれを見ていた雨宮さんの視線がどんどんと鋭利になっていく。それに俺がビクッとしていると彩菜は慌てて離れていった。その瞬間に彼女が残念がっているような感じで安堵の息を漏らしていたのがとても印象的であった。
しかしそれよりも今は何故この場にいるのかが謎なんだけど、とりあえずここは大人な対応で冷静に対応しよう。じゃないと殺されそうだし。だから俺は落ち着いて深呼吸を一回挟んでから会話を始めてみることにする。
「彩菜ちゃんがどうしてここに居るのか教えてくれないか?」
「お、覚えてないの?」と、何故か驚いた顔をされたけど俺としては心当たりがないから首を傾げると彩那ちゃんに抱きつかれたのは分かる。しかしその理由は全くもって分からない。すると彩那ちゃんは泣き出してしまって、それに慌てると更に強く締め付けてくるものだから、これでは本当に窒息死しかねないと思い始めた時、彩那ちゃんはゆっくりと力を抜いていき解放されたのである。
「ごめんなさい。実はあの日からずっとお姉ちゃんが心配で心配で、もうお姉ちゃんがこのまま死んでしまうんじゃないのかと、そんな事ばかり考える毎日を過ごしていて、もう、どうすれば良いか分からなくて。そんな日々を繰り返してる内に、お姉ちゃんがいなくなる前の事とかを思い出してみたの。そして私はその時に見た光景のことを思い出すことが出来たんだ。そして思い出したのがお姉ちゃんを殺した男の人の姿を見た記憶。その人の見た目はとても恐ろしくて、私はその人を見る度に震えが止まらなくなったの。だけど私はそれでも、どうにか勇気を出して話しかけたんだ。そしたら案外いい人だったのかもしれないって思うようになってきて、それで私は思い切ってお礼を伝えてみる事にしたんだ。それで話しかけたら、お友達になれるんじゃないかと思ったんだよね。それで私は話しかけてみると向こうからも返してくれて、意外にもその人と話しが弾み始めると楽しくなって来ていつの間にかに普通に喋れるようになって、気付いたら一緒に遊んでいたりしたの。そして私はその時にあることに気付き始めてて、もしかしたら、これは恋の始まりかもしれないって思っていたら、ある日から突然、お姉ちゃんは居なくなってて。だからきっと、あの時にお姉ちゃんとあの男が出会っていて殺されたんだと気付いたの。
でもその男はどこにもいなかったし、そもそも男がいたかどうかすら怪しいくらい、綺麗さっぱり痕跡が無かったからお姉ちゃんに確認してみるも、何も知らないと言われたから、結局真相を知る事が出来ずに、もう二度とお姉ちゃんに会うことが出来ないんだろうなって思ってて。でもまさかこんな形で再会出来るとは思わなかったから嬉しいです!」
俺はそこまで彩菜の話を聞くとその彩斗と彩那の関係が全く想像がつかずにいたので何と答えてあげればよいのか分からなかったけど、取り敢えず適当に誤魔化しておく事にした。
「あぁそうなのか。いや、それは良かった。それより、彩斗が生きていたことは分かったから少し離れて貰えないかな」
すると彩奈はすぐに俺の事を離すと今度は彩奈の番だと言わんばかりの勢いでこちらに詰め寄ってくる。正直に言えば少し怖いので出来れば遠慮して欲しいところなんですが、やはりダメみたいですね。
「あなたの名前は天城 彩斗ね。それとあなたは私に聞きたいことある?」
「特には無い」
「そう」と短く答えるとそのまま彼女は沈黙してしまうがそれも長く続かず、彼女はまた俺に対して質問をして来る。
「ところであなた達はこの世界の勇者で間違い無いのよね」
「そう、だと思うけど、そう言う君は一体なんなの?」
彩奈は彩斗の質問を受けると少し考え込んだ様子を見せるとしばらくして、彩斗に話を始める。そして彼女の口から聞かされる事実に俺は言葉を失ってしまうのであった。
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私には昔から仲が良い幼馴染がいる。そしてその人こそが私の好きな人であり、私は彼に自分の気持ちを打ち明けられずにここまで来てしまった。だからこそ今回の件を利用して、彼に想いを告げるべく頑張ってきたわけだ。
そして私には夢がある。私はその夢の実現の為に今日という日に賭けた。その為に私は彼に告白する事を決意したのだ。それなら今日は彼にとっては特別な日になるに違いないはずなのに、彼はどこか様子がおかしいのだ。それに彼が何かを隠していると言う事は薄々感じ取っていた。だけどそれを追及することは出来なかったのだ。なぜなら私と彼との関係は、お互いの秘密を共有しあうだけの関係だったから。そして今朝の出来事は、その均衡が崩れかけた出来事であり、私は今から彼に伝える。そしてその先に待つ結果を私は覚悟しなければならないだろう。
私は今、彩斗の部屋の前に立っている。そしてこれからこの部屋で私は彩斗に私の秘めていた本心を明かすつもりである。その結果がどうなるにせよ、私は彩奈に打ち明ければきっと、前に進めるような気がしていた。それに彩奈は私と彩斗の事については理解を示してくれているので私がどんな答えを出したとしても受け入れてくれるはずだと思っている。そう信じることで私は自分の心に余裕を持たせることに成功したのだ。
そして扉を開けると彼はベッドに寝っ転がっており彩那と彩奈はその近くに腰掛けていたのだ。そこでまず彩奈と彩那が彩奈に抱きついていて私に彩那が泣きついている状況を理解するまでにかなりの時間を要したがなんとか理解出来たのである。それに加えて彩奈の方を見ると私の事をまるで化け物を見つめるような眼差しで見ており恐怖を抱いているのは一目瞭然だったので私はその場を後にすることにしたのだ。
そして私はこの家に戻ってくるまでの間。何度も深呼吸を繰り返したが心臓がうるさく鳴っていてまともに歩くことも出来なかった。そのためこの家に戻って来てからも足下はふわついた状態で落ち着かないでいるとそこに彩奈が現れたのである。
そして彼女は私が戻ってきたのを目にすると安心しきった顔を浮かべてから私の胸に顔を埋めて来たのだ。その瞬間に彩奈から放たれている甘い匂いに思わず私は胸の高鳴りを覚えた。しかしそれを抑えてから、彼女にどうして私の部屋にいたのか尋ねることにした。すると彩奈から聞いた話ではどうやら私は昨日の夜から彩菜と二人っきりでこの世界に来たらしいのだ。しかし私がそれを否定すると彩菜の方は私が嘘を言っていると判断して彩那に私の言った内容について確認をしたところ彼女は私が嘘を言っていないと分かり戸惑うと急に黙ってしまったのだ。
それから私は彼女達に事情を説明すると二人は驚いたような表情を見せ、私は彩菜が天城君のことを気に入っていた事を思い出すと彩那の方に彩斗が生きていたことを報告するととても喜んでくれていたので一先ず安心することができたのである。そして私は二人が楽し気にしている間に彩菜に彩斗が生きていた理由と、彼女がここに居る理由を聞いてみることにすると彩菜は何故か顔を赤くしてから慌てていたのでどうしたのだろうと疑問に思うとすぐに落ち着きを取り戻すと彩那が彩斗が生きているのが嬉しかったので自分も付いて行きたいと申し出て来てそれに彩菜が同意したらしくこうして三人が揃ってこの異世界にやってきたと言う事を知った。しかし彩菜は何故天城を好きになったのかが分からなかったので私はそこを聞き出そうとしたが、その問いに答えることはなかった。しかし彩那の方は天城に彩奈が生きてるという事実を伝えに行った時に、私は実はお姉ちゃんは生きてたよと教えてあげたのだと伝えると彩那が泣いてしまったのは印象的だった。それに彩那は彩那の方でも私に天城の事が好きなのか尋ねてきて、それに私は否定したのだがそれでも食い下がるようにしつこく質問してくるので私は観念したかのように彩那の事を少しだけ認めてあげることにした。まぁ、それでもまだ認めることは出来ないので保留にしてあるのだが。そんなことを思い出している内に彩那が私と話がしたいと言ってきたのである。なのでその言葉に素直に従うと何故か私に抱きついてくるものだから少し焦ってしまいながらも私は彩奈の背中に手を置いてからゆっくりと彩那の頭を撫で始めた。
すると彩那は段々と泣き止み始めたのか、涙目ではあるものの私の顔を見て笑顔を見せてからお礼を言うのでそれに対して私はお礼はいらないと告げてあげると彩那はとても可愛らしい笑みを見せたのでつい抱きしめたくなる衝動を抑え込むと、私は彩那の口から出てきた衝撃の事実を聞くことになる。それはどうやら彩那が見た夢というのが、私に彩斗が殺されそうになる夢だという事で私はそれを聞いた時。体が震えて止まらなかったのと同時に私は心の底から彩斗に対して殺意が芽生え始めていたのであった。
俺は彩奈から聞かされた話を自分なりに解釈しようと努力していた。というのも彩奈が言うには彩那を殺した奴が彩斗を殺しに来たと言うのだからその可能性が一番高いのではないかと考えたのだ。
そしてその夢の中では、彩奈と彩斗は一緒に過ごしていたが突如として現れた黒い鎧の男が二人の目の前に現れる。そしてその男は明らかに彩斗を殺す為に襲ってきたのは確かであり。その男の容姿についても覚えていて。その男は恐ろしいほどの殺気を纏っていたという情報しか得られなかった。
つまりそれだけで判断するのは難しいかもしれないが少なくともこの彩奈の話を聞いた限りでは、俺の事を暗殺者と勘違いしてもおかしくはないような気がしてきたのだ。だって彩奈もそう言ってるんだからな。だけど仮にそうであれば俺に対してあんな殺意に満ちた眼差しを向けるのも納得出来るというか。そもそも彩斗と彩奈の関係って何なんだろうか。普通に考えると兄妹ってところなんだろうけど彩奈の様子からしても、俺と似たような関係だった可能性もある。それなら俺は余計に彩奈の想いに応える事が出来ないって訳だ。俺は彩斗ではないのでその想いがどれ程の重さなのか俺には理解してあげられないだろう。
だから俺は、その気持ちがどれだけ大きいものなのか、それが知りたかったのだ。もしそれが大きいものであるならば俺はそれを理解してあげられなかったら、きっと後悔することになると思うから。だけど俺がいくら考えたところで分かるわけがないのだ。ならここはもう開き直りでいいじゃないか?俺の考えなんかより、相手の事を考えてあげなきゃいけないんだよな。よしっ、じゃあ後は当たって砕けるしかない。そうと決まったらまずは彩那に対して謝るべきなんだよな。そして自分の正直な気持ちを伝える。そうするべきだと自分で自分に言い聞かせると彩奈と彩奈に向かって彩那に話しかける事にした。
「あのさ、一つだけ彩那に聞いておきたいことがあるんだけど」
「んっ?」
「えっとその前に彩那から離れてもらえたりとかってするか?」
彩那はまだ抱きついたままだったので離れてくれるか尋ねると意外にも簡単に解放してくれたのである。
俺は彩奈と彩那の方を向いて話を始めた。そして彩那に謝ることから始まった。そして彩奈の事も。本当は俺に想いを寄せてくれた女の子がいた事。そして俺は今からその人に告白するつもりだと言う事を打ち明けて、その返事をする前にその人の想いに応えられなかった場合その人はきっと傷付く事になるから、俺は自分の気持ちに嘘をつく訳にはいかないと自分の想いをはっきりと口にした。その言葉を彩奈に伝えた時の彼女の顔を見た瞬間に罪悪感のようなものを感じた。だけどここで躊躇するわけにはいかない。
彩奈と彩奈は互いに目を合わせてから二人でこちらをジッと見てくるのでその視線を感じながら自分の想いを伝えた後にまずは二人に自分の気持ちに偽りはないことを説明をした。しかし俺の想い人が誰かなんてのを聞かれたら答えることが出来ない為。その部分は濁す事になってしまった。しかし彩那はそれについて何か思う所があるのか考え込んだ様子を見せた後、何かを決意したのか口を開いた。そして彼女が発せられた言葉によって俺達は更なる真実を知ることになったのである。そう、彼女は実は俺達が異世界に来る前からこの異世界にいたと言うのだ。しかもその理由については俺のことが好きだから。しかしその感情に嘘はなかったのかを問われると答えに詰まってしまうようだったが、最終的には嘘ではないと言い切った。そうすると彼女の姿は突然変化し始めたのだ。
彩奈の姿をしているがその姿は彩奈とは似つかない姿に変化していく。そしてそこには黒髪ツインテールの美少女が立っていたのだ。それこそ俺が見惚れてしまう程に。そして彼女から伝えられた内容は俺にとって驚きを隠せないものであった。そして俺達の関係性や俺に対する彩奈の思いなどを聞かされた後で最後に彼女が言った一言が、今の今まで俺が抱えてきた謎を解くものだった。
それは、彼女からすれば当然の話だったのであろうが、俺達にとっては驚愕の内容。そして彩那の口から語られた内容によればどうやら俺が死んでしまったと知らされた彩奈は俺に自分のことを覚えていて欲しい一心で彩那の身体に憑依したのだという。そしてこの異世界に辿り着いた後に彩那の記憶を覗き、そしてそこで天城君が生きていたことを知った彩那はその事をとても喜んでいたそうだ。そして彩奈はこの世界に来てから天城君を捜している時に天城君を見つけてそれからずっとこの異世界で天城君と一緒に生活していたのであると。しかし彼女は自分が元人間でこの世界に元々生きていた事を隠して生活を続けてきたと。何故隠していたのかと問えばそれこそが天城君との思い出の品だったらしい。彼女は自分の姿を天城君に見られてしまったことで怖くなったと言っていた。
それから彼女は自分が天城君を殺した犯人を知っていると話すのである。
それを聞き俺は彩那と天城の関係を尋ねたのだがその答えを聞けば聞くほど天城は彼女に利用されていたのではないかと思えてならなかったのである。彩斗の方は彼女に対して特別な感情を抱いている様子はなく、あくまでも幼馴染としてしか認識していないようで。そんな彼女に殺されかけたというのだから本当に天城は可哀想なやつだと思う。
それ故に俺は天城に同情してしまう部分もあり彩奈のことを少しだけだが見直したような気がしたのであった。
しかし、この世界の魔王を倒したのは実は俺だと彩奈が暴露してしまい俺が勇者だという事がばれてしまい彩奈からどうして俺が彩奈を殺そうと思ったのかと聞かれたので。その時に俺は記憶を失った状態で異世界に来ていたこと、そこで魔物達に村が襲われていた事。その状況で彩斗は彩奈を助けようとしたが力及ばずに殺されたことを告げる。
すると彩奈の方は驚いた表情を見せていたが彩那の方はどういった事情かは知らないが知っていたのか。
「やっぱりお兄ちゃんはお姉ちゃんを助ける為に命を捨てたんだね。お姉ちゃんの為に。私はそれが嬉しかった。だからお姉ちゃんに生きていて欲しかったから。だからお姉ちゃんを天城に渡したんだ。そして私に出来る事をやったんだよ。私は彩那お姉ちゃんの味方。だって私はお姉ちゃんと約束したもん。お姉ちゃんの事をお願いって言われたから、私は彩奈お姉ちゃんを守るよ」「そうなんだ。私はこの子には感謝してる。この子の願いは私が絶対に叶えてあげないといけないと思ってる。だから彩那が私の事をそこまで大切にしてくれてるなら私は彩那がこの先も楽しく生きていけるように彩那の側にいたいと思えるの。だけど彩那は私には天城を好きになれないかもしれないし天城と結ばれる未来が訪れることはないと思う。それでも彩那はこれから先の人生を楽しんで過ごせるのかしら?もし彩那が辛い思いをして生きていると言うのなら私は、その時はいつでもあなたの元に戻ってくるわ。だからそれまでは頑張ってね。あなたの事は嫌いにはなれないし、大切な妹なんだもの」
彩奈の話を聞いた彩那はとても嬉しそうにしてから涙を流すのであった。彩那は自分の過去を話してくれた時のように泣き出しそうになったのをグッと堪えてから俺の顔を見つめながら微笑みを浮かべた。その彩那の笑みは、どこか彩奈と重なって見えたような気がしたが気のせいだろうか? そして彩那が落ち着いた後で彩奈がどうして俺に対してあのような行動を起こそうとした理由を説明してくれた。
そしてそれを知った俺だがその事実を信じることが出来るかどうかはさておきとりあえず彩奈の言葉を聞いてみることにするとどうやらこの世界は元々は神によって創られそして神の思惑通りの世界へと姿を変えたという。ただその途中で邪魔者が現れ。その存在が今俺と行動を共にしている彩奈という訳だ。
それにしてもその話の続きがまたぶっ飛んでいるなと思いつつ話を聞こうとすると今度は天宮と彩斗もその場に姿を現すことになる。そして二人は彩那の姿を見た後に何故か驚いていた。その様子を目の当たりにして何か違和感を感じるなと思っていると俺はある事に気づく事になる。そう言えばさっき彩奈が二人に向けて話しかけようとしたけどそれを止めた。
でも結局その後彩奈から俺が彩斗ではなく俺自身であり天条真司であることと、そして彩奈の事が好きであることを告げたのである。すると案の定と言うべきか天宮が激怒し始め、俺が元勇者であり彩奈と天瀬を暗殺しようと企んでここにやってきたのだと告げるが、それに対して俺はその暗殺計画を逆に利用させて貰うことにする。つまり俺は彩那に対して嘘をつくことはせずに彩香に全てを話すことに決めたのである。俺が異世界の人間で元の世界で一度死に異世界召喚された存在。
そしてその事を天城彩華と名乗る女性が俺を異世界に呼び寄せ俺が暗殺者であると勘違いして俺を殺そうとしたという事とそして彩奈に対して俺と俺とどういう関係で俺のことが好きなのかという話。彩也は彩奈に対してお前と血の繋がった実の姉なのだと告げた上で俺の事を好いているということを告げる。そしてその事に対して俺も正直な気持ちを伝えたのである。
俺は彩那と出会ってからは彩奈とは一緒に暮らしていなかったのであまり詳しくは分からないと伝えておくと彩奈の方は天城に想いを寄せていたことを打ち明けるが俺は彩斗が天崎彩奈を振ったという事実を知ることになる。そして俺はその事を聞いた後にそのことについて言及すると彩奈は顔を真っ赤に染め上げながら天城の方に顔を向ける。天城は何の事について話されているかは理解出来ていないようであったがその彩奈の表情から察することは出来たようで俺が知らない内に何やら色々と話が進んだようであるが、俺にとってはその出来事を知れば知る程、ますますこの三人との関係に頭を悩ませることになるがそんなこんなあって今こうして三人の関係に一区切りついたことで改めて皆の前に顔を合わせる。
彩奈の方は相変わらず恥ずかしそうにしているのでそんな彼女を落ち着かせるべく俺は彼女の方に向かって手をかざすと、彼女の体が淡い光に包まれていき彼女の体は一瞬だけ震えると徐々に大人しくなっていく。そんな彼女の姿を俺は抱きしめると耳まで赤く染まってしまう彼女だったが俺は構わず抱き寄せ続けた後にキスをしてあげることにしたのである。すると更に彼女の体から力が抜けていくように感じるのである。そしてそんな状態の彼女の服を脱がせ始めると彼女はされるがままになっていたのだがやがて彼女は我に返るのである。
そこで彼女から発せられた一言は、まさかこの年になって自分が抱かれるとは思いませんでした。だったのだ。俺はそんな言葉を受けて苦笑いするしかなかったが彼女が満足するまで相手を務めるのだった。そして彼女はようやく解放された頃には疲れ切った様子になっておりこのまま眠りにつくと言い出す始末。なので今日くらいは俺のベッドを貸してあげることにした。俺はその寝姿を見てから俺の意識は再び暗転することになるのである。そういえば俺は彩斗に対して謝らないといけなかったんだけど。天城に殺されかけたことを謝ろうとしたところで俺が目を覚ましたら彩斗と彩奈はもうこの場にはいなかった。そして天城に俺が彩斗を殺してなどいないことを証明する為に天城に会わせて欲しいと伝えるのだがそれは無理だと言われるのである。そして天城から伝えられた事実が衝撃的過ぎて俺はしばらく立ち直れないような事態に見舞われてしまうのであった。そして俺は自分の部屋に戻ることにしたのだった。そして部屋に戻ろうとしていた途中俺を待っていたかのように俺の前に現れたのは天坂彩斗だった。
俺は彩斗の事を信用していなかった。だから彼にこの世界にいる目的を問うが彩斗の口から飛び出した内容は驚くべき内容だった。彼はこの世界に元々いた勇者だった。しかもこの世界に来る前に魔王を既に倒し終えているのだという。しかし魔王を倒すまでは彩奈に好意を抱いていたようだが今は違うのだという。俺はそこで疑問を抱いたのだが天城の奴が何故彩奈を殺したという嘘を天城自身が信じてしまっているかと言えば、その理由はこの世界の人間が全員、神である彼女によって操られていたからであると。
それならば天城にも俺が元の世界に帰れる方法があるのではないかと考えた俺は早速天城の元へと向かって事情を説明しようとしたが、しかし彩那がそれを止めるのである。彼女はその事で自分が彩奈に対して何か隠し事をしているのだという事に気づいた俺は彩那がどうして彩奈を自分の家に住ませているか尋ねてみるとその答えとして俺を家に連れて帰るために準備をしていたのだという事が分かる。それ故に俺は彩那の本当の狙いが何なのかが分からなくなる。だが俺と天城との会話の中で天城は彩那の様子が最近おかしくなっていることに違和感を覚えており、彩奈に対して天城は何か知っているのか尋ねるが彩那はそれを否定した。そして天城には悪いと思ったが俺は彩奈に問い詰めることを決める。
そこで天城は彩奈は本当は魔王の討伐に成功した後で行方不明になっているのではないのか。だから自分は彩那を連れ戻そうと考えていると告げてくる。しかし俺としてはそんなことはあり得ない。だから俺は彩奈は彩斗の目の前に存在していると告げてやろうと思っていたのである。しかしここで俺達の様子を観察するように天坂が俺達の視界に入ってきてしまった。それで彩香との話の最中に彩奈が戻ってきたのはいいがその直後に彩斗は突然姿を消す。だがその後俺と彩奈は彩香に連れられてその場から離れることになった。そのせいで俺達が戻ってくるまでの間に天城からどのような話し合いが行われていたかを知ることが出来なかった。だが俺達は天城を何とか言いくるめて元の世界に戻す方法を探し出そうと思っていた矢先に天崎さんと彩斗が現れてその計画は水泡と帰してしまう。
そこで俺は彩奈と天城に俺の本音をぶつけると。彩奈には拒絶されてしまったが、やはり彩奈の事を諦められなかった俺は彼女に告白した。そうする事しか出来ない自分を情けなく思ったし天城に怒られても仕方ないと思っている。でも天城の言葉を聞いているうちにもしかすると俺は彩那が俺の事を好きでいてくれる可能性を捨て切れてないんだなと思うようになったんだ。そして彩奈が彩斗と一緒にいたいというなら俺にはどうすることも出来ないんだ。彩奈の気持ちを尊重したいと思うが、だけどどうしても諦められない部分もある。だって好きな人に好きって言って欲しいんだ。それが例え自分じゃなくても。
そして天宮も俺の気持ちを後押しするように天崎に対して俺のことを愛してるなら真矢君を好きになってもいいじゃないかというのだ。その言葉に天崎が動揺したのは目に見えて分かったが、それでも彩香に対して何も答えることはなかった。俺はその光景を目の当たりにしながら複雑な気持ちを抱きつつもこれでやっと終わったと安堵することが出来た。そして天城が元の世界に戻る為の方法を天宮と共に調べ始めた。天宮も俺に協力してくれているので本当に助かっている。俺はこれからもこの世界に留まり続けようと決めたが、それは天崎彩奈が天宮の婚約者だと言う事と、そして天城彩斗が元の世界に戻った後に再び現れるかもしれないからだ。それを考えるだけで頭が痛くなる。彩斗がまたこの世界にやって来れば彩奈の命をまた狙われかねないからだ。それだけは絶対に防がなければならない。俺はそのために力を身につけなくてはならないと決心を固める。
そんな事があった翌日から俺はまた彩斗から訓練をつけて貰うことになったのである。勿論天城の件に関してはもう済ませたことである。彩香とも話し合ってあるのだし大丈夫だろうと思っている。ただあの時、最後に見せた表情は気になったけど。でもあれは多分、俺が気にし過ぎた結果なんだろうと自分で勝手に結論付けたのだ。なのであまり深くは考えないようにしておくことにする。そして今日もまた俺は天城と彩斗に指導して貰うことになっているのだ。そう言えば俺はこの二人の戦闘を見ていないが果たしてどれだけの強さがあるのだろうかと興味を引かれる。天宮の奴は元勇者だと聞いていたがどの程度の実力の持ち主であるのかを確かめたいとも考えている。俺は今のうちに少しでも強くなる為に頑張ろうと決めてまずは体力をつけるための基礎練習から始める。そしてそれからは剣の訓練に移るのだがこれが中々大変であり俺と天条の戦いを見て天城はアドバイスをくれるのだが、俺はそんな事を言われてもすぐに実行できるほど頭が良くなかったから、結局は自分で工夫しろと天城からは言われてしまう。
俺のステータスではレベルが上がるとHPの量がどんどん上昇していくが、攻撃はそこまで上がる訳ではなく、攻撃力は大体100前後くらいしかないと天城に指摘されてしまう。俺の場合はスキルを活かす戦い方をすれば良いらしい。それと、天城は俺に対して魔法を教えることにしたようで俺は天城から魔法の知識を叩き込まれる事になった。そんな事をしている内に俺の体が少しばかり熱くなってきたのである。これは一体何なのだと思い俺は彩華に相談しようとすると、俺の額から汗が吹き出してきて更に呼吸も苦しくなり始めていた。そういえば俺はまだこの世界の病気に関して知らないことが山程あったのだ。俺はその事実に気づいて天城や彩香に治療の方法を聞き出してから回復魔法をかけてもらうことで何とか難を逃れる。その時に俺は自分の体に異常がないかを調べると魔力の数値が大幅に減少していた。恐らく今のが限界ギリギリの威力だったのだろうと予測を立てることが出来る。それに俺の現在の魔力は200万近くまで減っていることから天城は相当な実力者だということが分かったのだ。だが俺はこの世界の人間はどうしてこんなに強いんだろうかと考えると俺だけが弱いという訳ではないと知って安心出来た。そうでなければ俺は皆に足手まといと思われているのではないかと思ってしまうから、それは俺にとって最も避けるべき事態だった。だから天城との戦いで勝てるように俺は強くなりたかった。天城の戦闘能力がどれほどのものかは実際に戦った俺の方が知っているが俺の推測が正しければ天城は相当に強かったはずだ。それこそ元いた世界でもトップクラスの腕前を持つ人間なのは確実であると言える。しかし彩乃は彩那と彩奈に対して何か違和感を覚えているようだったが俺にはその意味が分からない。そもそも何故彩那は天城に殺されたと噂されているのに彼女は生きていたのであろうか。その疑問は尽きなかったのである。
そんな疑問を抱えながらも俺は今日一日を終えるのであった。明日も俺は天城に色々と教えてもらう為に特訓をする予定だ。なので今日のところはこの辺で失礼させてもらうとしよう。
俺は自分のベッドに寝転びながら考えるのだった。
そういえば昨日俺はどうして天城に対してあんな事を言ってしまったのかが思い出せない。俺は彩斗をこの世界で見つけた時は真っ先に声をかけようとしたのだが何故かそれを彩那が止める。
「真也様。どうか天坂彩那とは関わらないでください」
そんな言葉を彩那は俺に向かって告げてきた。俺は彩那にその理由を聞くと、天城の身に何かが起こった際に一番最初に疑われて被害を受けるのは彼女であるというのだ。そんな事は俺としては認めたくなかったので彼女の話を無視する事にする。彩香が俺を止めるという事も俺は無視したかった。
だが彩奈にはそれが通じず、彩奈と口論になりそうになったところを天城に止めてもらった。そして天城にどうしてお前らはそんなに天城にこだわるんだと聞くと。彼女は彩奈の事が好きだからだと言っていた。俺はそんな事よりも天城が彩奈の事が嫌いと言ったので俺は彩奈の事が好きなんだなと納得して天城が嘘を言っているように聞こえたのだが、その話を彩那が遮った。その話は彩那の前で言うことじゃないと言ってきたので俺は渋々従ったが。そして彩那は天城がどうして自分の家に住んでいるのかという理由を語ってくれた。それこそが彼女が彩奈に対して執着を抱く原因となった出来事で、天城の母親が彩那に殺されてしまったということを聞かされた。俺はそれを聞いて驚きはしたが、同時に彩那は天城と血が繋がっていないと知った。
そこで俺はもしかしてと疑心暗鬼に陥りそうになるがそんなことを考えても意味はないと思い。俺はとにかく今は彩那を説得することにした。彩奈をこの家に連れ戻すことは出来ない。もし連れ戻すとしたらそれ即ち天城が殺されるのと同義だから、だから俺はそれを避けるためには彩那が自分から離れていくことがベストだと考えて彼女をこの家に居続けることを勧めてみた。そうする事でしか彩那はここに留まらせることが出来ないと思ったからである。
そして彩那も最終的には俺の提案に乗ってくれた。しかしその時の彩那は悲しそうな顔をしていて、それが演技だとは思えないほど真剣な表情で俺の話に応じていた気がするんだがそれは本当に気のせいであっただろうか?それさえも俺にはもう分からなくなっていたのである。
*
***
<彩香視点> 真矢君にはああ言っておけば何とかなると思って彩奈を連れてきて真矢君の前に立たせたんだけどまさかここまで彩奈のことを気に入ってくれていたなんて思ってもみなかったよ。だって私の予想では天崎さんの方に行くと思っていたし、その考えが外れてくれれば嬉しいなと思っていたのだけどそうはいかないみたい。私はそんな事を考えつつ天崎さんのことについてどうしようかなと考え始めたのです。そう、今まさに天崎さんが自分の部屋に閉じ籠って出てこないんですよ。
私はそんな状況を見かねて真耶さんに相談しようと思いましたけどどう考えてもあの人はそういうの苦手そうだし彩奈ちゃんに任せることにしました。
そして次の日の朝になって彩香さんに呼び出されたので俺は彩奈と共に彩香の元に向かうことにした。そう言えば俺の両親はどうなったんだろうと心配になるが彩香に聞いた所問題ないとのことだった。なので俺もとりあえずはその言葉を信じることにした。そうしなければ不安で押し潰されてしまいそうだから、そう思うことにして。
俺は彩香に天城について聞こうと思い彩香の元へ行こうとすると彩香に天城を呼び出してこいと言われて俺は素直に彩香の言葉に従うことにした。俺はその命令通りに天城がいるであろう書斎へと足を踏み入れたのだ。天城の姿を探すと本棚を背にして立っていた天城を見つけることが出来て俺は安堵する。そんな天城に対して俺は何も喋らずただじっと見つめていると。
「何の用だ?俺は天崎からお前の護衛をする様に言われたのだが、その本人が俺の前に現れるとは何とも珍しいことだと感心してしまうぞ」
「別に俺に会いに来たんじゃねぇんだよ。ただ俺と一緒にいたら変な視線を感じるようになったからその原因がなんなのかを調べてる最中だ」
「成る程。お前は今、俺から逃げ回っていたわけじゃなかったと言う事か」
「あぁ。俺は確かにあんたから逃げ出していたけどその理由は単に嫌だからという訳ではない。俺は自分の力がどれだけ通用するのかを知りたいからその訓練のために天城を探していただけだ。勿論それだけじゃない。あの女は俺達の味方ではないと言うことを俺は見抜いている。あの女の狙いは俺でも天条でも彩奈でもない。天城にこそあったのだと俺は確信している。つまりあいつがこの世界に戻ってきた本当の目的は天城だと思っているから警戒してるだけなんだ。だからあまり俺の近くに寄ってくるなって」
そう俺が言い放つと天城は驚いた表情を見せた後、何かを言いかけようとしていたがすぐにやめて俺から距離を取るとそのまま黙ってしまった。そうして天城が立ち去ろうとしたその時だった。突如、俺の足元に魔法陣が出現し、そして光が溢れ出す。そしてその魔法陣に飲み込まれてしまった。そう思ったのが最後、俺の視界はブラックアウトしてしまい。次に目を覚ますと俺と天城は見知らぬ場所にいた。
そして目の前には俺を転移させたと思われる女神らしき姿があったのである。
そして天城に目を向けると、やはりというか彼もまた女神と相対していたのだった。俺は天城に何が起こってしまったのかを聞きたかったのだが、それよりも先に俺達をここへ連れて来たのが彼女であることを理解した瞬間、俺は即座にその場から飛び退き天城を守るような体勢をとった。
しかしそんな行動を俺は後悔することになった。俺と天城の間に一瞬のうちに彼女は姿を現しており、俺の首筋に短剣を当てられたのだ。その行動はあまりにも自然で不自然な動きでまるでその場にいきなり出現したかのように見えた。その事から彼女は間違いなく天城を狙っていて、天城はそれに狙われている。だが俺が守るより早く天城は魔法を使い彼女の腕を凍らせ拘束しようとしたのだが彼女はそれを軽くあしらうようにして天城の背後に回る。俺はその光景を見て俺は彼女の方が格上だと思い知らされる。
そう、俺と彼女との力の差はそれほどまでに離れていた。恐らく彼女のレベルは既に100を越えていると俺は推測した。そうでなければこんな速度で動くことは絶対に出来ないからだ。俺はそのことを確認すると。俺と天城に対して攻撃を仕掛けてきた存在に対して、俺達はどう立ち向かえばいいかを考える。天城の方に顔を向けると俺と同様に天城の額にも汗が流れていて。その表情には動揺が見え隠れしており明らかに平常心を保っていない事がわかる。そして天城に問いかけようと口を開こうとすると彼女は口を開いた。
「ここはどこだ?」
天城の質問に答えるように俺は周りを再度見渡す。そして俺は自分の目を疑った。いやそもそもどうしてこんな事になっているんだと疑問を抱かずにはいられなかったのだった。
天城の声に反応した天の女神がゆっくりとこちらを振り返ると。その瞳が俺と天城の事を捉えた。その刹那、俺に衝撃が走ると同時に全身が痺れる。そのせいでまともに動けなくなった俺は膝をついてしまう。俺はその痛みに歯を食い縛りながら耐えようとする。しかしそれは叶わなかったのだった。
「さすが勇者といったところですね。まさか私に一太刀浴びせるとは思っておりませんでしたよ。しかも今の一撃はかなり痛かったです。その実力に敬意を払い名乗っておきましょう。我が名はルーシャ、神の一柱。創造神の使い魔でございます。お二人の名前を教えては貰えないでしょうか」
「俺は佐藤真也だ」
俺はそんな名前を名乗りたくはなかったが、ここで偽名を名乗れば天城に対して嘘をつく事になる。そんな事はしたくないと思い俺は真実を語る事にしたのだ。俺が名前を言った直後、彼女は笑みを浮かると、再び言葉を俺にぶつけてきた。
「なるほど、その名前に嘘偽りはないみたいですね。貴方の実力に敬意を表しまして、この世界のこと、天城様のことや、これからの事などを説明しましょう」
<真也視点> 俺は女神と名乗る人物から話を聞かされることになるがその内容は余りにも突拍子のないことばかりが飛び出してきていた。そう、彼女が言うことには、どうやら天城はこの世界で最強の生物で魔王と呼ばれる存在と戦わなくてはならないらしいということ。またそれと同時に天城は魔王と戦う前に他の者達の手助けをする必要があり。そのために力を身につけないといけないとのことで、この世界を探索する必要があると言われた。そうしてその役目は何故か俺が選ばれた。
そんなことを突然言われたので当然のことではあるが俺としては、ふざけんなと言いたくなる訳で。それ故に俺は女神に対し反抗的態度をとってみたがどうやら彼女には通用しないようだ。そして結局の所、俺の身体には特殊な呪いがかけられているということが分かりそのせいで本来ならば使える筈の能力が封印されているという話を聞いて俺は内心焦りを感じ始めていった。それはつまり異世界のアイテムなどが使えなくなってしまうのではないのかと思い不安になった。
そして最後に女神から与えられた力は『全能力向上』であり。それはあらゆる身体能力を上げることが出来るというものなのだそうだ。しかしその恩恵を受けただけでは意味がないらしくあくまでもそれを発動させなければ効果は得られないのだという。そこで女神はその効果を発現させるための鍵になるものをくれたのだ。その鍵というのは指輪型のアイテムだ。この指輪の使い方について説明を受けたが、正直に言って俺はその話を信用することは出来ず。
なので俺は女神から言われた通りに自分の指からそれを取り外し、俺のことを見ていた彩香の元に近づき手渡したのである。その様子に気付いた天城が何をする気かはわからないが俺の行動を止めようとしたが俺はそんな天城を制止し、俺は彩那に手渡すことで何か変化が起きないかどうかを確かめるための実験をすることに決めたのだ。そして結果から言わせてもらうが、残念な結果となった。何も起きなかったので彩那の手を握り念じるようにお願いをする。
「お前ならこれを扱えるだろう。そしてこれはお前にしか使えないものだ。だからどうか頼む俺を助けてくれないか」
そう彩奈に対して真剣な声で俺は懇願した。俺は今この時、自分が出せる全ての声を振り絞って言葉を伝えたつもりだ。しかし結果は変わらないままだ。俺は落胆する気持ちを隠しきれずに天城に向かって一言謝罪する。それに対して天城は苦笑いをしながら許してくれた。そんな様子を見て、俺はまだ天城に甘えすぎていることに気付き、反省をしたのであった。それから俺は彩奈の手の中にある指輪を受け取る。そう、俺も試した通り。この指輪は誰でも装備することが出来る代物だ。
だが彩奈にその事実を伝えると少しだけ不安が和らいだのか、安心しているようだったので俺としても一先ず良かったと思っておくことにする。彩奈から渡されたその小さな宝石のようなものが埋め込められている銀色の指輪を手に取りまじまじと観察してみる。特に変哲のないシンプルなデザインのものだった。そう、見た目だけでいえば。俺はそんな指輪を見ながら何かあるのではないかと疑い続ける。すると突然、頭の中に情報が流れ込んでくる感覚に襲われた。そんな経験は前世も含めて初めてのことだったのでかなり驚いた。そしてその結果分かったことがあるのだが、どうやらこの指輪の名前は世界改変装置と呼ばれるものらしく。
これを装備している状態で俺が望んだことを願えばその事柄が叶うかもしれない。但しその条件というのがとても厳しいものであり、そして俺達三人では無理だということ。更には一人は戦闘に特化しており俺達が持っているスキルを全て使うことができるようになる代わりに、それ以外の能力は極端に弱くなってしまうという。だがこの世界で俺の知っている人間は天城だけであり、その彼が俺達の敵になるということから俺はその申し出を受けることを決心した。
しかし問題はその後にあった。この道具を彩奈が使用するためには、まずこの世界の人間から認められる必要があったのだ。この世界に生きている人間は全部で5人いる。その全員の加護を受けるか、もしくは信頼されるような何かをしなければその道具を使用できないのだ。俺の場合は、天城に認められて天城からしか力を借り受けられない状態となっている。そして俺と天城はお互いの利害が一致して協力をしている為か、お互いの信頼関係は強いものになっている。そうでなければ、いくら彩奈に頼られてもこのアイテムを渡すことはなかった。だからこそその点は心配していない。しかし天城については俺の中で不信感があり。その点に関して、まだ完全に信じ切ることはできてはいない。そう、俺はそのことについて悩んでいたのである。
そして彩奈の方にも、俺が考えている問題と同じようなものが浮かんでいるようだ。俺の予想は、俺の時と同様にその問題を解決する方法はあると思うのだが、それがどのようなものなのかが分からずにいる。だが俺はその問題を解決するための方法を思いつくことができてしまったのでそれを口に出したのだが、俺の言葉を聞いた途端に俺の視界は真っ暗になり意識を失ってしまう。俺は気絶させられたのだ。
目が覚めると俺は見知らぬ天井を見て、自分がベッドの上に横たわっているのだと気づく。一体どうしてこうなったのかと考える前に、隣にいたはずの二人がいないことに気づき慌てて周りを確認すると俺の足元で寝ている天城の姿が目に入ってきたのだ。天城が眠っている姿を見たのはこれが始めてだ。いつも起きている時は鋭い眼差しをして隙が全くなかったからだ。そして暫くすると天城のまぶたが開き俺の方に視線を移してくる。俺は天城に声をかけようとするが、その瞬間に自分の置かれている状況を思い出すことになる。そう、俺は女神に眠らされて、気が付けばこの状況に陥っていた。俺はそのことを天城に話す。そうすると天城が何か思い当たる節があったようでその問題について語り始めた。
そう、どうやら女神との話を終えた後、俺と天城がどうするか話し合っていた時。天城の方に俺をどうしたいのかを聞いてきた人物が居たらしい。その人物の性別は不明だが天城の返答を聞くとその人物はそのまま去っていったとの事だ。
そんな出来事があってから俺はどうやら眠りに落ちてしまっていた。しかし何でこの場には俺以外の人物がいるのか不思議で仕方がなかった。そして俺は彩那に対して質問を投げかけると、彩那が言うにはどうやら俺が目覚めた時に誰かと会話をしていたらしい。そんな彩那の発言を聞き俺はその相手のことを詳しく聞いてみることにした。その相手こそが天城の元に現れた女神だったと言うので、俺は驚きの表情を隠すことができなかったのである。
<真人視点>俺は目を開けて、自分の腕を眺める。そして俺はゆっくりと体を起こすと辺りの様子を確認することにした。そこは白い部屋で俺はその部屋の真ん中で寝ていたらしい。俺は立ち上がろうとするが身体の違和感を感じてしまいその場で倒れこんでしまう。その衝撃で、俺の近くに立っていた天城の足下に転がり込んだ。俺は何とかして起き上がるが、体に上手く力が入らずにふらついてしまう。
そんな俺の姿を見て天城が話しかけてきた。俺は天城の声に耳を傾けると、どうやら彩乃さんの件は終わったと伝えてきたので、俺は詳しい話を聞いてみようとしたのだったが。どうやら天城もその話は聞かされていないらしく、俺達はこれから起きるであろう事態に身構えることにした。そうして数分後に部屋の扉が開くとそこにいたのは、白衣を着た眼鏡の男性と女性の二人組であり彼らは部屋に入ってくるなり、いきなり謝罪してきたのであった。俺は二人組の事を知らん振りしていたが女性の方が名乗ったので、どうやら知り合いだという事が発覚し、この二人の正体がようやく分かったのである。そして彼らが言うにはどうやらあの日の出来事を覚えているのは俺達だけということであり俺達は彼らからこの世界の真実を聞かされることになる。そしてそれを聞かされた俺は愕然としてしまうと同時にあることに気づいてしまった。その真相は俺にとって受け入れがたいものではあるが天城も同じことを考えたらしく二人で話し合うことになったのだ。それは彩華さんについての話で彼女こそ俺達が異世界転生した際に助けることの出来なかった人であり、そのせいもあって彼女はこの世界の人達とは深く関わりたくないと思っていたということが分かった。
しかしそれは俺達も一緒なので、俺は彩華さんを救う為に動き始めることを決意した。そしてまず俺達が行わなければならない事は天城の仲間を増やすことだった。そう、俺は彩奈に天城と仲の良い友人を作ることで彼の能力を引き出して貰おうと考えたのだ。そこで俺は彩奈に天城に話しかけてもらい友達になるよう説得して欲しいとお願いをしたのであったが。
そんな俺の考えなど知らない彩奈は、あっさりと引き受けてくれたのである。そして天城はと言うと彩香に頼まれたのが嬉しかったのか満面の笑みを浮かべていて俺の提案を素直に乗ってくれるみたいだったので。俺はとりあえず安心し、俺も天城と同じように行動に移ることにしたのである。俺は彩奈が頑張ってくれればそれでいいと思い。
彩奈は天城の元に行き話をすることに、俺は天城の元に近づいて行った。そして俺の行動を不審に思った天城が警戒しながら俺のことを迎え撃ったのであるが、彩奈の援護もあり無事に和解することに成功したのである。そんなこんなで俺は今の状況について考えるのを止め、まずは自分のステータスを確認してみることにする。俺はそうすると案の定、俺が望んだ通りの状態に変化していたのであった。俺はまず自分の職業欄にある能力を確認することにするとそこには、魔法職の能力が全て使えるようになっていたのだ。次に武器の確認を行い剣技なども扱えるようになっていることを確認した後はアイテム欄を開いて中を確認したところ。何故か全てのアイテムとスキルを習得することが出来ていたのであった。そのお陰もあって俺は、かなりのパワーアップを果たすことが出来たのである。
これで、ある程度のことは対応できるはずだと思っているところで彩香から声をかけられたので彩香の元に向かうと彼女の指先から小さな炎が出現するとその炎が生き物のように変化していく光景を目の当たりにしたのである。その炎がやがて蛇のような形に変わるとそのまま勢いよく飛び出していくではないか!しかもその蛇のようなものは天城に襲いかかっていきその身に宿した力で吹き飛ばして天城に一撃を与えた後、俺に向かって攻撃を仕掛けてきたので俺も彩奈のくれた指輪の力で攻撃を防ぐと、その炎を弾き飛ばすことに成功する。しかし俺がそんな攻防を繰り返していると突然俺の脳内に直接ある情報が送られてくると、その瞬間に体が急に重くなってしまった。そして俺は力を使い果たし地面に倒れる。
しかしそれでも諦めることなく、なんとか立ち上がってもう一度だけ攻撃をしようとしたら、彩奈の炎が突然消えてしまったのである。
その現象に驚いていたら今度は天城が何かの気配を感じたのか後ろを振り向いたら突然姿を消したのであった。その出来事に俺は唖然として動けなくなってしまう。一体、今のは何が起きたというのだ?そう考えているうちに再び、俺の頭の中に何かの情報が入り込んできた。
そしてそれを読んだ俺はすぐに、自分の目の前で起きた現象を察した。つまりはこういうことだ。先程、俺が見た情報は俺の記憶であり俺の持っている能力の全てがこの世界で行使することができるようになり。そして更に、俺のステータスの身体能力は今までの数倍以上にまで強化されており、さらにアイテムボックスの中には俺がこの世界に来た時に得たスキルを使うことができるようになったのだ。更には天城がこの世界で持っているスキルとこの世界に来てからの経験値を手に入れることが出来るのである。これは恐らくだが俺が女神に眠らされた際に何かをされていた可能性が高いだろう。そしてその効果で天城は彩奈によって力を授かったということになる。
それにしても天城は何故、彩奈に対してあんなに優しい目つきをしていたのだろうか。俺はその疑問がずっと引っかかっていたのだが今はそれよりも彩奈の方を気にかけていた方がいいと判断した。俺は急いで彩奈の方へ近づき安否を確かめると彩奈の方は特に外傷はなく無事だということで一息ついた。そして俺は念のためにと天城の方を気にかけようとしたが彼はもう既に、姿を消しておりどうしようか悩んだ挙句、俺の方でも何か出来ることがないか考えてから彩奈に声をかけたのだが彩那から返答がない。
おかしいと思って彩那の方を見ると俺が想像もしていなかったものを見て、驚愕してしまったのである。なぜならば彩那が俺のことを抱きしめてきて、泣き出してしまい、訳が分からず戸惑っていると彼女が泣きながら俺に語りかけてきたので俺が何とか彼女を落ち着かせようとした瞬間。
突如、空が曇り始め、雷が落ちると共に大雨になったのだ。俺達の周りだけが何故か雨が降っていないのが分かると俺は自分の目を疑うが確かに俺達の周囲に水が存在しないことが分かるので、俺は冷静に分析を始めることに、そして俺は結論を出したのだ。おそらく俺が手に入れた能力の一つが原因だと、俺が手に入れた能力は俺の知っている範囲内ならどんな場所にいてもその空間にいる人に影響を与えるという代物であり。それは人だけではなく自然にも及ぶらしく。天候までも支配することが出来るようだ。しかし俺自身にはそこまで影響が出ないのが救いではあったのだけどね。
俺達は暫くしてからその場を離れ天城と合流するために移動することにした。俺の予想でしかないけど。きっと、天城は何処かに飛ばされている気がしたので、俺はとりあえず彩奈と一緒に移動することにした。俺には彩那がついているので心強いと思った俺は彩奈の肩を持ち一緒に移動し始めた。そして暫く歩き続けた俺は、とある建物を発見するとその建物の方に向かい始めたのである。そうして俺達が向かおうとしていた先には天城が立っており俺達は何とか天城と合流することに成功した。
それから彩奈を天城に預けると彩奈は早速自分の役割を理解して行動を開始し、俺はこの世界を散策することにしたのであった。この世界の事を何も知らずして動くわけにはいかないと思い立った俺は、彩華さんのことについて調べるため街の中を歩いている時にふと気がついたことが有りその疑問を晴らすため近くの店に入ってみることにしたのだ。そして入った店に書かれていた内容を読んでいるうちに俺の中で色々と理解することができ。それと同時に、彩香から聞いていた女神の言っていた事が真実だったという事にも気づくことができた。しかし、そんな事は別に問題じゃないと思えた。
だって俺はこの世界の人達の為に頑張れるからね。俺は改めて決意を固めると彩奈に報告するべく一旦戻るのだった。
そして俺は天城を連れて彩奈の元へ戻る。彩奈のそばまで来ると俺は天城が彩奈のそばにいることで安心し、彩奈も天城と話すことによって少しずつ気持ちが落ち着いてきたようだった。そこで俺は天城が彩奈から何をして貰ったのか聞いてみると天城が言うにはどうやら天城の力を強化するのを手伝ってくれたみたいで。俺は天城の実力を見ていなかったせいか、どれくらい凄いのかは分かっていなかったのだが天城の口から出た言葉は俺にとっては意外なものであり、思わず笑みがこぼれてしまったのである。まさか天城が自分の事についてここまで言えるようになっているとは思ってもいなかったのだ。そして、俺達三人は天城の仲間を増やすため、そして彩華さんの情報を掴んで彼女を救うために行動をし始めることになるのであった。
私の名前は天上真奈と言います。私の家は元々普通のサラリーマンの家であったのですが父の仕事の関係で引っ越しを繰り返すことになってしまいました。そうして色々な場所に住んでいたのですが私が中学生の頃になり、父は海外で仕事を始めたこともあり私は一人で過ごすことが多くなり。寂しい日々を送っていました。そんなある日に突然、異世界に行ける方法を見つけたのである。
最初は何の冗談かと思ったけれど試しにやってみてダメでしたらその時はその時に考えればいいと、思っていたが思いのほか上手くいったようで。本当に私はあの世界に行くことができるのだと思い。嬉しくなって家族と別れて一人暮らしを始めてから、私はあの世界に行き来するようになっていたのである。そうしていく内に次第にあの世界が大好きになっていたが。そんなある時に天城さんと出会ったのだ。
彼は最初こそ怪しい人だったが今ではすっかり信用ができる人であると思う。だから彼がこの先も一緒に来てくれると言うことは嬉しい限りで、私自身も彼に感謝しているので。
そんなことを話した後は彩奈が、また暴走したりしたこともあったけど。彩奈が仲間になってくれてからは、一気に進むことが出来ていた。
しかしそんな中で彩奈の友達でもある天城が突然姿を眩ませたのだ。彩那が必死に天城を探していたのだが見つからないらしく、彩香が心配した表情をして彩那のことを慰めていた。私は彩那を励ましながら自分も彩香と同じように天城を探しに行った。そして私はこの世界の王に会うことに成功し、王様から情報を聞き出そうとしていた。その結果からこの国で起きた出来事については大体のところを把握することができ、天城を探すために再び行動を始める。
その後から様々な事件に巻き込まれたりしながらもなんとか、この国に潜んでいる敵を倒すことに成功することが出来たのだけれども天城だけは見つけることが出来ずに、その日はそのまま休むことになり。次の日の朝を迎えたので。私は皆を起こしにいくことにしたのである。
「彩ちゃん!早く起きないと学校に遅れちゃうよ?」
朝になると真っ先に目覚めるのは決まって、この子のはずなのだが今日はまだ布団の中にいて起きる気配がない。
「仕方ないわね」
この子を無理矢理起こそうと思えば起こすことはできるのかもしれないがこの子は今、頑張っているのでそっとしておいてあげようと思っていた矢先、急に家の扉が開き、誰かが入って来たような音がしたので振り向いてみるとそこには天上君がいたのだ。
天上の突然の出現に驚いたものの、直ぐに落ち着きを取り戻し話しかけた。
するとどうやら天上君は私の力の源について知りたいことがあるらしく質問してきたので、私は天上に自分のスキルを授けることにする。
スキルを渡すとすぐに天上は外に出て行った。
そしてしばらく時間が経った後、突然に目の前の景色が変わったことに驚いていると彩那に肩を揺さぶられて意識を取り戻す。そうして私が起きたことを確認した彩那はすぐに天城君の様子を見に行ってくるといいどこかへ行ってしまった。残されたのが自分と天城とでなんとなく嫌な予感がしたため天城に念のため護衛をつけるようにと伝える。
そして私は天城君と二人で話をすることになったのだけどそこで天城君が言った言葉は衝撃的なものであったのだ。
実は俺が今までいた世界では魔法が使えないどころか、魔物も存在しなかったんだが彩華が俺の世界に来てくれる際に一緒に連れてきてくれたおかげで俺が元いた世界とは違うこの世界で生活することができた。
しかし俺は元の世界でも俺のスキルで無双をするつもりだったのに何故かその能力を発動することができなかったので。俺の本来の力を使えるようになるためには俺は女神の加護を受けなければならないのだがその方法を彩華が教えてくれなかった為に彩奈に聞いたら、その方法はどうすれば良いのかという疑問に対する回答としては彩奈から、キスをしてもらい彩香の力でステータスを上げてもらうのが一番の方法だということだったらしい。
そうして、俺が彩那に対してお礼を言い彩那を抱きかかえて顔を近づけようとしたら天城から止められてしまい。その事に少し不満を覚えたのだが天城が何かに気付いた様子を見せた為俺は彩那を降ろす事にしたのだが天城の視線の先にあるものを見た瞬間、自分の目が点になってしまうほどの驚きを覚えることになる。なぜならば俺達の目の前には俺達を追ってきた彩香の姿があったからだ。
そして彼女はいきなり、自分のことを俺と同じような存在であり、自分の姉だと名乗った後に何かを俺に伝えようとしていたのでとりあえず話を聞いてみる事にする。その内容は、自分が何故ここにいるかという話と何故俺のことを気にかけ続けているかということを話し始め。その理由というのが自分の姉である彩華を助けてほしいというものだった。
俺達はとりあえず彼女の話を聞いた結果、彼女を仲間に引き入れておく方が色々と良さそうだと判断し、彼女には一緒に俺達のチームに入ってもらうことに決めた。そうして彼女との話を終えた俺は、一旦家に戻り彩奈を連れてくることにしたのであった。
そして彩奈に彩華のことを説明し終えた俺は彩華と話をする事にした。そして俺が彩華にどうして俺の前に現れたのか聞くと、やはり彩華もこちらの世界に来ていたようで、そしてその目的は彩奈に力を与える事とこの国の国王に頼まれ、俺達に接触しに来たとのことだった。
そして俺達は彩香の願いに応えるために彩香に俺の能力の一部を与えた。そして彩香が去ったあと俺は彩那にあるお願い事をした。それは彩奈の護衛役になる事で、彩那には既に了承して貰っている事なので後は彩那の意思次第だが俺の予想では恐らく彩那も天城と同じく俺について行くだろう。そして俺は彩香から受け取った手紙の内容を思い出しているのである。それはこの世界を創造したのは女神と呼ばれる人物で、俺は彼女が彩那を狙ってくるであろうということを。
しかし今の俺には彩那を守るだけの力はないのだから俺自身がもっと強くなる必要があると思ったのだ。俺は俺の為にも俺を支え続けてくれる人達の為にも強くなり、彩華と彩奈を絶対に守って見せるのだ。その気持ちを胸に刻みつけ、俺は改めて覚悟を決めるのであった。
俺達が家を出る頃には既に外は薄暗くなっていたので。俺と天城は家に戻るために家路へと着いていたのだがそんな時ふと俺はあることに気づいた。
その事を確かめるため俺は立ち止まり。天城に後ろを向いて欲しいと言う。
そうして天城が振り返るとそこには案の定、見知らぬ男がいるわけで天城と男がお互い睨み合っていると突然、謎の爆発が起きるとそこには一人の女性が立っていた。そうして俺達に近づいて来る女性に対し俺は身構えようとするがその必要もなく天城の一撃が女性の腹に命中し、女性は倒れ込んだ。
「いやーまさか一発喰らうとは思いませんでしたが。なかなか面白い技をお持ちのようですね?私はこれでも神を名乗っているんですよ?」
そんな言葉と共に倒れた女は立ち上がり始めるので、今度は油断せずに本気で倒そうと決めた俺は再び攻撃を開始しようとしたのだが。
しかし俺が行動を起こすよりも前に天城の拳が炸裂したのか先程と同様に女の人は地面に倒れ込んでいたのだ。しかし今回はそれで終わらず男は天城を蹴り飛ばし、再び立ち上がってきたのだ!そしてそんな男を見て天城も警戒を強めて攻撃を繰り出し始めたのだか全て空振りに終わり。そればかりか先ほどとは違い男の速度が更に上がっているように見えたのだ。しかし天城の方も負けておらず、男の攻撃を避け続けていたのだが。徐々に天城の動きが悪くなっていき、とうとう膝をついて息を荒げ始めた。そこでようやく男が天城から距離を取る。そこでやっと男の顔が見えるようになった。
そこで見えた顔は俺の想像通りで、以前、俺と初めて会った時に見せたような表情で笑みを浮かべていたのだ。そうして男はゆっくりと話しだす。
「貴方の力はこの世界の人間としては異常過ぎるんですよねぇ。私の速度に追いついたり。ましてや反撃なんてできる人はいないと思っていたんですけど」
そんな言葉を喋る目の前の男を黙らせるべく、全力で戦おうと考えたその時だった。突然、彩那が現れたかと思うと俺と天城の前に割って入ってきたのだ。そして彩那は天城に対して自分の力の一部を天城に譲渡すると宣言する。そして天城の身体に変化が起き始めると同時に天城が纏っていた雰囲気が変わるのを感じた。しかしそんな状況になってもなお男は余裕の態度を見せていた。そして遂に天城の変化が終わりを迎えたのだがそこにいた天城の姿に俺は驚かずにはいられなかった。
天城の見た目が変化して行ったのは分かるのだ。そしてそれがどういった理由であるかもある程度予測は出来ていたのだが実際に目にした姿は、俺が知っているものとはかなり違うものであったのだ。その姿を簡単に説明するならばそう、一言で言うなればイケメンの魔王様である。そう言ってしまえば分かりやすいかもしれないが。
しかし今目の前にいる天城の姿はどう見ても魔族というわけではなく、どちらから言うならばイケメンのお兄さんと言った感じなのである。そのため俺は天城に声を掛けるタイミングを完全に失ってしまったのだ。
俺と天城が唖然としながらその様子を見守っている中、俺の妹である彩華が突然現れ。妹はいきなり俺に抱きつくと耳元で何かを囁き始めるので俺がそちらに気を向けた途端に、妹は天城に抱きついてしまう。
俺は彩奈と彩華の二人がかりで抱きしめられているせいで動けなくなってしまったのだ。それから少し経つと天城と彩那が俺達から離れるので俺は彩那が何をしようとしているのかを聞く。
どうやら、天城のステータスを上げるのに彩那がキスをするとの事だった。俺と彩奈と彩香の3人で天城の周りにいることにしたのだが。しかし何故か突然に天上と彩奈に彩香までもが集まってきて、4人に同時にされるのかと不安になったのだが結局天上だけが彩奈とキスをすることになり。その瞬間、俺は嫌な雰囲気を感じ取った。しかし彩那が突然俺の方を向くので。その瞬間を見逃さずに天城と彩那を引き離そうとしたが天城の奴が急に強くなったものだから、逆に天上に腕を掴まれてしまい。天上に唇を奪われそうになるので、どうにか防ぐことに成功した。そして俺が彩奈を自分の方に引きよせると彩奈は頬を膨れさせながら不機嫌な様子で、俺をじっと見つめてくる。
しかし今はそんなこと気にしてはいられないのだ。
そうこうしている間に天上の様子がおかしくなり始めていたので俺は急いで彩那に彩奈と天城のところに行くように促す。彩華と彩菜の二人も心配な為早くこの場を離れた方がいいと思い俺も彩奈の後を追ってその場から離れたのであった。そして天城は天城にキスをして、彩奈が天城に手を触れる。
彩華は彩華で何故か嬉しそうな顔をしていた。彩華の話では、天城には何か秘密があるらしくそれを知れば彩華は彩香に会えるかもしれないと言っていたのだが彩那が触れた事によりどうやらその方法は彩香に聞いた方が良いとのことだった。
そして彩那に彩華が俺のことを頼んだことを話したら彩那は何故か涙を流していて彩香に何があったのかを聞いてくる。
どうやら彩香が天城の中に入っていったらしいのだが、その瞬間彩那の目から大量の涙が流れ出し始めて、慌てている俺達に対して彩那は泣きながらも彩香を助けてほしいと言ってくる。
そうして俺達は彩那のお願いを聞くために動き始める。彩那を慰めて家に帰らせると俺達はすぐに天城の家へと向かう事にする。そうして辿り着いた家の中には、ベッドの上で寝かされている彩華の姿があり。そんな彼女の様子を見ていると彩那は彩華に向かって駆け寄ろうとする。そんな彩那の事を天城が引き止めようとしたので俺は彩那の手を掴み。彩奈の方を見てみると、彼女は何かを考えていたのか俺の言葉に従って天城に近づいていく。
彩華の様子を確認した俺はまずは回復魔法をかけるが効果はあまりなさそうだったのでとりあえず俺の能力の一つを使い、彩奈と一緒に彩華の治療を試みる。
そうして彩香の状態が良くなっていくにつれ。俺はこの能力について改めて考える。これはどう考えても神の領域に入っているだろうと思われる力であり、俺が使うとかなりのチートになってしまう。ただ彩香を助ける為には仕方のない事だとは思うが。
ただ問題はまだ解決していないため、俺は彩那に対してもう少し我慢するように伝えるが、それでも彩那は諦めきれないようで彩香に声をかけ続けるが、一向に反応はない。
俺の見立てでは完全に意識を失なっている状態だろうと判断したので彩那は一旦離れてもらうと、彩香の身体に触れ。その状態で俺と彩奈は能力を発動する。
しかし結果は失敗。そしてその事実を受け止めるしかないのである。そんなとき、突然扉が開かれ彩那が中に入ってきた。
俺は咄嵯の事で反応出来ずに固まってしまったが、天城の奴はすぐに対応をし、彩那を部屋から出すことに成功してくれた。しかし俺にはそんなことよりも重要なことがあるわけだ。
そうして俺達は家から出て行くのだが。その際に天城からある提案を受ける。それは俺達がチームを組むことでお互いの目的の為に協力をするという内容だった。
正直この話は俺にとってもありがたい申し出だったため。天城と協力関係になるのも悪くないだろうと考えた。そこで俺達がお互いの名前をまだ知らないことに気がつき、俺は自己紹介を行う。それからは、俺の家の方に皆を招待してそこで話し合いを行うことにする。
それから暫くしてから天城と彩也、それと彩那が戻ってくると天城は俺が予想もしなかった言葉を口にする。俺が神であると名乗った時、俺は確かに驚きはしたが、直ぐに受け入れることができ。神であると言われたところであまり実感がわかないというのが本当のところだった。
そして彼は自分の名前と自分の素性を話し始めた。しかしここで天城に衝撃の真実が発覚した。なんと天城は元々この世界の人間ではなく別の世界の住人だったそうだ。そして天城の言う神様の言っていることが本当であれば俺の能力は神の力の一部ということになる。
つまり俺の能力はチートを超えた存在になっている可能性があると言う訳なのだ。しかしそうなると何故俺にだけこんな凄い力をくれたのかが分からない。そしてその理由が知りたくて俺も俺の持つ全ての情報を話すことにした。
そしてここからはお互いに持っている情報を整理することにしよう。そう思い天城の方を見ているとあることに気づいた。天城の表情がかなり暗いものになっているのだ!しかし俺の考えている事が分かっているかのようなタイミングで天城は語り出したのだ。俺がなぜあそこまで強いのかを。それを知った時俺は驚くしか無かったのだ!まさかそんなことが起きるとは思いもしていなかったので俺は動揺を隠しきれなかった。そうして俺は一つの結論に辿り着く。そうか俺には前世の記憶があって、それ故に今の俺は強くなっているということに。しかし、そんなことはあり得るのだろうか?もし俺の考えが正しいとすれば俺は今まで普通の人生を歩んでこなかった事になるのだ!そんなはずがない。だから俺は、天城に俺の前世のことについて聞いてみることにしてみた。天城によると俺の前に天城という男が居たという事は確かなようだった。そして天城の話を聞き終えた俺は俺の前にいた天城という人間がどのような人間だったのかを尋ねる。
そして返ってきた返答を聞いた俺はかなりショックを受けた。なぜなら、俺の前にいた男は自分のことをクズ野郎と言い、彩花に対してとんでもない仕打ちを行っていたらしい。しかし彩那の話では、その男の容姿は、目の前にいる天城のような姿をしていたという。俺は、自分の身体に何かしらの異変が起きているかもしれないと感じ取り。すぐにでも検査を行って貰うべきだと思ったのだ。しかし、今すぐ検査を行うにしてもどうすれば良いのか分からなかったので俺は自分の能力を使って天城の姿を自分のものに変えることにしたのだ。
すると、自分の姿に変化が訪れる。俺は天城と同じように金髪と金色の瞳に変化して。髪の色は少し長くなったような感じで。
顔立ちはイケメンになったと思うのだがどうなのだろうか?そんなことを考えながら俺は天城を見る。すると天城も同様に自分に起きた変化を確かめていた。そして俺達は自分の姿を見て。俺と天城はそのままの格好で外に出て行ったのである。
天城に案内されるままに歩いていくと、そこには大きな屋敷が存在していたのだ。しかもそこの屋敷を見ただけで相当な権力者であると分かるほどの大きさと豪華さだったのだ。俺はここに来る前に既に着替えており。今は天城が来ている服装とほぼ同じものを着ているため、それほど違和感はないはずだが、俺は不安を感じ始めていた。しかし俺には不安を払拭する方法があると思い出したので、それを天城にも伝え、俺は天城が俺を家に連れて行くように促すのであった。
俺はこの国の王様と王妃様に挨拶をしたのだがどうやら二人は俺の事情を知っているようだ。
しかし二人からは、彩華のことや、彩華が行方不明になった原因については聞くことは出来なかったが。しかし俺はこの国に来てすぐに分かったのだが。やはりというべきか、俺を召喚した国が何処なのかがはっきりとわかった。そしてその国はどうやら隣の国であり、しかも、この国と戦争を始めようとしているらしく。そのため俺を呼び出したんだろうという事も分かってしまう。まぁ当然といえばそうなのだろう。いくら俺が魔王を倒すために選ばれた勇者とは言え、相手はこの世界でも有数の軍事国家であり、そんな大国を相手に一人で戦えるなど普通はありえないことだ。だからこそ、俺はこの国に呼ばれたのだと理解できたのだ。しかし、俺にそんな力があるかどうかはまた別問題だと思うんだよね。それにしても、俺はこれからどうやって生きていくかを考えなければならないのに、そんな時にどうしてこの国は隣国との戦争の準備なんかしてるんだ。俺は思わず頭を抱えたくなる衝動を抑えながらもどうにか平静を保ち。この国の王と謁見することになったのであった。
俺は天城に案内されて、国王のいる場所に連れて行かれることになる。俺はこの国ではかなりの重要人物の様で、俺の顔を見た兵士は、まるで敬礼を行うかのように俺に対して敬意を示してくれたのであった。
そうして天城と共に城内にある豪華な建物に向かうと、その入り口には一人の少年がいた。どうやらその人物が天城が俺の事を呼んでいると言ったらしく。俺達はその建物の中へと入っていくのだが、そこは先程までとは明らかに違う場所で、俺はその部屋があまりにも広くそして豪華な造りに驚き、言葉を失っていると、その部屋の奥にある王座に座っているのが俺達を迎えてくれた男性であり、俺はその人が放つ威圧感と迫力に飲まれそうになるが。天城はそんな様子もなく、むしろ堂々としており。俺の方が逆に気後れしてしまう。しかし、俺達の様子を見た男は優しい口調で話しかけてくると、俺達は席を勧められ。そこに腰かけることになる。そうして俺と天城がそれぞれ席に着くと、俺達と向き合うような形でこの国の支配者であろう男性が座ったのだった。
俺は目の前に存在している二人の人間のことを観察していた。この二人が只者ではないということはよくわかる。しかしそれでも、見た目的には俺とあまり変わらないぐらいの年齢にしか見えず。正直信じられない。これが異世界と元の世界の差なのだろうか。俺は改めて自分の住んでいる世界の事を知ることが出来ていないという事実を知り。愕然としてしまった。
そんな俺の事を余所に天城と会話をしている男性だが、俺はそこでふとした疑問を感じたのだ。何故この人は天城の事を知っていて。俺のことを見て驚くどころか俺の知っている名前を口にしたのだ。俺はまだ天城から自分の本名を聞いていないはずなのだが。
俺は天城に尋ねてみると、どうやらこの国には様々な文献があり、俺の名前が載っていたという話をされてしまい。更に俺が持っている能力を聞かれたので、俺は隠さずに答えてしまう。
俺の持っている能力は主に回復と、その回復速度を上げるものだ。他にも能力はあるみたいだったが、今の段階で確認が取れるのはこれだけなのでこれ以上の能力の事は伏せることにしたのである。そんな話をしながら俺はこの場には何しに来たのかを聞こうとするのだが天城はそれを止めて先に要件を話すことにしたらしい。そうしてこの国の代表者は俺達に用件を伝えるのだがその内容は俺にとっては予想外の内容だった。俺達はこの国の騎士と訓練を行い、実力を示す事でこの国から報酬をもらう事ができるのだというが。それはおかしい。なぜなら、そんなことならわざわざ俺と天城を呼びつける必要もないからだ。つまり、俺達が戦うのはあくまでついでなのだと分かり、これは間違いなく何かあると確信できるわけだ。俺はそう考え天城にそのことを告げると。どうも俺の想像は間違っていなかったらしく、あの男性はこの国が俺の持っている力を必要としていることを伝えてきて。天城は自分が神であると告げたのだ。
天城の言葉を聞いた俺は驚いた。まさか俺よりも年下に見える男の子から神様ですと言われると誰が予想することができるというのだろうか?しかし俺が驚愕している間も、俺の知らないところで話はどんどんと進んでいき。最終的には俺の事を神と認めてもらえたことで俺は正式に神として認められることになり。それから俺は天城と別れると。何故か俺は彩花の部屋に向かっており。部屋に入るのと同時に俺の目は彩花の裸体によって遮られてしまったのだった。
それから数分が経過すると俺が服を着替えた状態の彩花を連れて天城のところに向かったのだが。天城のやつは自分の服を貸してくれれば良かったものを、いきなり俺に着替えを渡してきやがったのである。
俺は仕方なく天城の用意した衣服に着替えることにするのだが、彩花の前で自分の着替えを見せないといけないという恥ずかしい気持ちになりながら着替えを終わらせた俺は天城が待っているという部屋の前までやってきたのだ。しかし天城は既に待っており俺が部屋に入った瞬間、俺は突然腕を引っ張られてそのまま抱き着かれてしまう。俺は訳が分からない状態になっているが何とかして状況を把握しようとするが。しかし、そんな努力も無駄になるようなことをされてしまうのであった。そうして俺はこの世界に召喚されてから一番の出来事を迎える事になるのであった。
天城と俺はお互いの姿を確認しあいお互いにその姿を褒め合った。しかし、俺にはそれよりも重要なことがあった。何故俺が天城と同じ顔つきになってしまったかということだった。俺は、自分の顔を手で触ってみる。そうすると確かに俺の顔が変化していた。しかもこの顔には見覚えがある。確かこれは天城が変身していたときの顔そのものではないか。もしかすると俺の持っている能力には他人の姿を変えるという効果があるのか? そして俺がそんなことを考えている間に、俺はいつの間にか俺から離れていっていた天城を追いかけるため急いでその場を離れていく。そしてしばらく歩いているうちに俺達は天城の家に辿り着きそしてその家の大きさにも驚くのだが、俺はまず天城に能力の事を教えて欲しいと言うと。天城は自分の姿を変化させたのだと言って、目の前に鏡を出してきたので俺はそこに写っている姿を見て唖然となるのであった。
目の前にいる金髪の少女は自分の姿を映しているのだと信じられなかった。しかし目の前に広がっている光景が自分の目で起きていることを事実だと認識させ。それと同時に俺の中に存在していた違和感は解消されたのだ。しかし俺はまだ安心することができなかった。自分の能力の事を詳しく知っておく必要があり。そのために俺は自分の持っている力を検証していくことに決めるのだった。俺は、とりあえず天城に質問を行う事にした。俺はこの世界に来てからまだ間もない。だからこそ、俺の知識はこの世界でも通用しない可能性が高く。だからといってこの世界での生活に慣れるためには少しでも早く自分の知識を手に入れることが必要不可欠。しかし俺の持つ力は、俺自身よく分かっていない部分も多くあり。それが不安要素の一つでもあったのだ。しかし天城のおかげで俺の能力は判明したのだが、天城曰く、俺の身体の変化はおそらく俺のいた世界の影響が大きいのではないかということだった。しかし俺は、それを確かめる方法を思いつくと。早速実行することにしたのだ。
俺は天城にお願いをして。俺は天城が出した大きな水の玉に触れることにすると。俺の全身が一気に冷たくなっていく感覚に襲われていき。次第には、身体が震え始め。意識を保つことで精一杯の状態に陥ってしまうのであった。
俺は必死に自分に治癒魔法をかけ続ける。俺にはまだ余裕があったはずなのだが、途中からはそんなことも言ってられない程苦しくなってしまったのだ。しかし俺がいくら頑張っても俺の体調が良くなることはなく、むしろ悪くなっている気がするのだ。しかもそれだけでは済まなくなってきた。俺が苦しみ始めたことにより、天城は大慌てで俺のことを助けてくれるように言ってきたので、俺は天城に指示に従うと、俺はその場で倒れてしまい。そのあとの記憶はなかったのである。
「はっ!?」
俺は目を覚ますと見慣れない天井を目にする。どうもベッドで寝ていたようで上半身を起こすとそこには天城がおり。どうやら天城はこの家に誰かがいることを警戒していたようだが、天城はそんなことはお構いなしと言った様子で俺に飛びついてくる。俺が驚いていると天城はそのまま俺に思いっきり抱きついてきていて、そんな状態で俺はどうしてこのような状況になってるのか分からずに困惑してしまい。俺は一体どんな行動をとったらいいか分からなくなってしまった。しかしそんな俺とは対照的に、俺は何故か自分の体が軽くなった様な感覚を覚えていく。
俺は不思議に思った。何故こんな事が起こっているのかと、俺は天城から離れて確認することにするが特に変わった事はなく。ただ天城と会話を行っていると、天城が急に俺に対して謝ってきた。天城は俺のために色々な準備をしていたようであり、俺はそのことに感謝の気持ちを伝えたのだ。すると今度は、この国の王から手紙を受け取ったと言われ、天城にその中身を確認するように指示されると、天城はその内容を読んだ後にとても嫌そうな表情をしたのであった。
俺は天城に事情を聞くことにしたのだが天城の話によるとその王の手紙の内容に俺に対して会いたいという内容が書かれているらしく。どうやらその王と会わないと話が進まないため会うしかないと。そんな風に話をされていると、家の扉が開かれ、中性的な顔つきの少年と、背の高い男性が現れ。俺はその二人が俺のことをこの国の騎士と紹介してくれたのであった。
それから、二人の騎士達と一緒に移動すること数分。辿り着いた場所は城のような豪華な造りの建物であり。そこで俺達は王様のいる部屋に案内される。そして俺は初めて王の容姿を見たわけだが、どう見ても小学生にしか見えない。
俺はこの国の王はどういう人なのか少し疑問に思っていたのだが。俺と向き合うような形で席に着くとその考えはすぐに変わることになる。この人が今まで見て来た人達の中で恐らく最強クラスの実力者であることには間違いなかった。しかし同時に俺の頭の中には何故自分が呼び出されることになったのかその答えを聞けばすぐに分かってしまい。そのせいもあって俺はあまり良い感情を抱けないでいたのである。それはこの人に何か裏がありそうで警戒してしまう。
「貴殿には勇者の力を与えることができたのだが、一つ聞きたことがある」
「はい?」
俺はこのタイミングで呼ばれるとは思っていなかったし。正直この人の言葉に不信感を抱きながら返事をしてしまったのだ。この人は俺に何かを隠しているということに俺は確信を持ったのである。すると俺の言葉を聞いたこの国の王である少女は笑顔を浮かべて俺に話しかけてくる。どうも、彼女は俺と話をするのを心待ちにしていたようだが、正直に言うとこの人の話なんて聞く必要はないと思ってしまうのだった。
そんなことを考えていると、この国で一番偉い人物だという王様が口を開くと、突然俺は自分のことをこの国の騎士として欲しいと言い出すのだった。
俺がその言葉の意味を測りかねていると。俺が何か言葉を発する前に。俺の前に座っている王が突然俺の手を取り握手をしてきたのである。俺は驚き、そして俺は手を引こうとするのだが、王様はそれを許さず、そのまま俺の手を離さないようにして俺を自分の元に引き寄せると、その流れのまま、俺は椅子から立ち上がらせられ、そしてそのまま俺が座っていた位置にこの人物が移動してくるのである。俺としてはこの状況を受け入れるつもりは全くなかったが、相手が俺の事を強制的に連れていくというのなら俺としてもその行為に逆らうことができないと判断せざるを得ないと思った。しかし、そんな事を考えていると。隣にいた女性が立ち上がり俺の腕を取ると、強引に腕を組み、そして俺を引っ張ってこの場から離れていったのだった。
そんなことがあり、現在俺は天城の部屋に戻っていた。俺は今何が起きたのか整理していたのだが、未だに信じられないことが多くあり、そんな中、突然部屋の中に入ってくる者達がいた。俺は反射的に臨戦態勢に入る。俺はいつ敵が襲ってきてもおかしくないという緊張感が走り、天城の方も武器を構えた。俺はいつでも魔法を発動できるように集中する。しかし天城の方に動きがなく。俺は一瞬だけ戸惑いを感じながらも。俺は天城の行動を見て安心した。
「あなたが、神さんですか?」
そう尋ねてきたのは、俺のよく知る人物であり、先程までこの家を訪れてきた女の子。名前は確か彩花とか言ったか?その子はなぜか彩花の名前を使って俺の事を神と呼び出してきたのだ。俺はいきなりの状況の変化についていけなくなり戸惑ってしまうのだが、そんな事は知らないという様子で彩花は俺に近づいてきて、俺は彩花から距離をとるために一歩下がるのだが、その行動により俺の隣に立っていた男とぶつかる。しかし俺が慌てて謝ろうとするが男は一言も喋らず。俺のことを鋭い眼光で睨みつけてくるだけだった。俺は恐怖を覚えてしまうが。俺も引くことができずにその場に立っているしかなかったのであった。するとそこにもう1人、男が部屋に入ってきたが、その人物は俺が知っている人物だ。
「リディア様、どうかなさいましたか?」
そう言って部屋に入ってきたのは天城の姿に変身した時と同じ姿をしている人物。おそらくこいつも天城と同じく異世界から来た存在だと思うがこいつは誰なんだ?そんなことを考えている間に、彩花は俺達のやり取りを見ており。俺に近づこうとしてきたのだが天城の姿をした男が、俺を守るかのように間に立ちふさがり。俺に向かって話し出したのだ。
天城の姿になった男は天城が元々住んでいた世界の人であり、天城は俺の持っているような能力を持っていないが天城から能力を分けてもらったらしい。ちなみにその能力というのが俺達が持っているような魔法が扱えるようになるスキルを持っているのだという。
天城の姿に変わったこの人もやはり、天城と同様に、この世界に来てから天城と出会うまでは天城と同じように元の世界に帰るために行動しており、その時の仲間に魔王と呼ばれる人がおり、彼はその力を使い、この世界から帰る方法を探していたと言うのだが。残念ながらこの世界で死んだ者は元の世界に戻れないと言う事が分かり。この世界から生きて脱出する方法はあるにはあるが、それはリスクが高すぎる。だから仲間達は諦めてしまったのである。しかし天城は仲間の静止を振り切りその手段を探し始め、結果、見つけたのだが、それは天城自身が死ぬ必要があるらしく、天城は自分が死ななくても済む方法を必死に探した結果。この世界にいる俺達の存在が天城に希望を与え。自分達のように、天城がこちらに来れる方法が他にないかと、この世界に訪れ。俺がこの世界にいることを突き止めてここまでやってきたのだと。しかし俺にはその話が理解できなかった。何故なら天城は一度この世界にやってきた経験があるのに何故再び同じ方法でやる必要があるんだと思うからだ。
俺は天城の話を聞きながら目の前の男のステータスを確認した。その瞬間、俺は自分の目がおかしくなったのではないかと疑い始めた。なぜなら、目の前の人物は天城よりも強いのだ。天城は剣の使い手であり、天城は剣士としての才能があったのか。天城は元々持っていた才能に加えて、この世界でも修行を重ねていた為かなり強くなっていたのだが、それと比べてもこの人物の方が遥かにレベルが高かったのである。そしてこの人は魔法使いでありながら天城よりレベルが高く、魔力の総量に関しては明らかに天城よりも高いのだ。しかも天城には持っていない魔法の適性もあった。それは回復系統のものであり、この人物はどうやら聖属性の適正があるようだ。俺は目の前の相手の強さを目の当たりにして驚き、そんな状態でも俺は冷静さを欠かずに天城に確認をするのであった。
天城が天城でないと俺には分からない。なので俺はまだ天城本人かどうかを確認する必要があった。そして天城が俺の質問に対して天城自身であると答えると俺は天城に対して何故俺にその事を伝えなかったのかを問いただしたのだ。
すると天城は申し訳なさそうな顔をして天城自身の考えを話し出す。どうやらこの世界に来る前の俺は、勇者でありながら魔王に騙され、裏切られて、この国に召喚されて。その結果、この国は俺が今まで見て来た中で最悪最低の国だったと。そして天城はこの国の現状を知って俺が苦しんでいることに気付き。俺が苦しまないようにする為に俺と別れることを選んだのだということを教えてくれた。俺の頭の中で色々と思考がまとまらないでいると。そこで天城が俺の疑問に対して説明を始めた。この国には、実は2人の王がいて。俺を召喚したのはこの国の女王であり、俺は女王の命令で、騎士の格好をしているのだが、実際は女ではなく男で。その事に気付かない兵士達が俺はずっと勘違いをされていたようで。本当はこの国から追放してほしいと思っていたようだ。
俺はそんな状況を聞かされても正直何を言えばいいのかさっぱりわからなかったが。とりあえず今はこの国の騎士として働くしか俺に残された道はないと言われたので俺は仕方がないと思い。その話を受け入れることにした。
それから数日の間俺は騎士団の訓練に参加するようになり。この国の騎士がどれほどの力を持ちどれだけ俺のことを信用してくれているかを知ることができた。俺はそこで騎士達と一緒に訓練を行っていると騎士達の中でも実力の高い人達が集まり。俺はこの人達はこの国の精鋭の騎士であるということを聞かされることになり。そんな人達と一緒に俺は訓練を行いながらも俺達は王国にある迷宮を攻略することになり。そして迷宮の中に入るとそこで俺達はとんでもないモンスター達に遭遇するのであった。しかしそこで俺は今まで見たことがないほど大きな魔結晶を発見することになるのであった。
それから俺と、この国の姫君。それに他の冒険者と一緒に迷宮を攻略し、最下層に到達すると。そこには今まで見たこともないぐらいに大きな魔結晶が存在していた。しかしそれだけでは終わりではなかったのである。その魔結晶は突如、眩いばかりの光を放ち始めて、その光が消えた後には巨大な扉が現れたのだ。俺達が驚いていると、扉が突然開くと。中からは大量のゴーレムが出現してきた。しかし俺達の実力ならばこの程度のモンスターは敵ではないと、そう思い俺は戦うことに決める。だがここで俺達に予想外の出来事が起きる。
それはこの場にいた全ての人間と魔物が一瞬にして光の塵となり、消滅してしまったのである。そしてその場に残ったものは俺の体と俺の腕を組んできた少女だけであり。俺は一体何が起きたのかわからず、その光景を見てただ固まっていると少女が俺に声をかけてくる。俺としてはどうして俺が生きているのか不思議に思っていたが。そんな事を少女に聞いても無駄だと思い。取り敢えず俺は自分の腕にくっついてきたこの子が俺の命を助けてくれ。さらにこの場所に俺を連れてきてくれたことを理解できた。だから俺は礼を言おうと思ったが。その前にこの子はなぜか俺の名前を呼ぶのであった。
俺は天城の知り合いの女の子が部屋に入って来た時、最初は誰なのかさっぱりわからなかったのだが、俺が警戒態勢に入ったので、おそらく敵ではないだろうと。そう考えたのだろう。俺は俺の腕を引っ張る彼女に対し俺は抵抗することができなかった。なぜなら俺は今この子によってここに連れられてきており。下手に逆らうわけにもいかないと考えたからである。すると彼女は天城の姿に変身し、その後すぐに元の服装に戻った。俺の方としても、彼女が何者か気になったのだが。彼女はまず俺に謝罪してきたのだ。そして俺はなぜ天城の家に訪問したか理由を説明してくる。その話は俺にとっては衝撃的なもので、彼女は天城と友達になり、一緒にこの世界に遊びに来たのだが、その時に俺は天城の事を天城と呼び。彼女にもそう呼ばせているので。天城のふりをして俺と会話していたのだと。そんな事が可能なのかと疑問に思うが、実際天城と話をしていて違和感はなかった為。本当に天城なのではないか?と考え始めるが俺は目の前にいる女の子の顔を見てしまい。やっぱり無理だよなと思ってしまったのだ。何故なら俺は彼女の顔を見てしまうまで。天城の事を完全に天城と認識していたのだ。しかし、実際にこの子の姿を見ても俺はこの子と天城を同一視できない。それは天城が俺の前では天城という女性を演じていたというのもあり。普段の天城の姿は男性に近い恰好をしていた。その為に今の天城の姿は本当の天城というわけではない。
そして彩花は、俺が天城だと誤認させる方法がありそれが俺の目を見たときに発動するスキルを使用していると教えてくれる。俺にはその事がよく理解できていなかったのだが、その目を見るとどうやら相手の記憶を見ることができるようで。しかも俺の記憶だけではなく、俺と触れている人の物を見ることができると、彩花はそんな事を言ったのである。俺はその話を聞いて俺は思わず彩花と離れようとした。
俺だって男なんだぞ?なのに、いくら天城が相手だといっても、そんな能力を持っている人と二人っきりなんて嫌だ。しかも俺の心の声が聞こえるということは、俺が考えている事が相手に全て筒抜けになってしまうと言うことである。
俺が自分の身の危険を感じ始めたのを察したのだろうか?俺の体は何故か言うことが聞かずにそのままの体勢を維持してしまっていた。これは何かしらのスキルの効果だと考えるべきである。そして、そのスキルの効果は、おそらく俺の想像通りであるはずだ。そしてそんなスキルを発動している本人はその能力をコントロールする事ができないのか、自分の意思に反して俺に抱き着き続けているのだ。その結果俺は天城の姿の彩花の胸に抱かれてしまっている状態である。しかしこのままでは何も進展しないと悟った俺はどうにかしようと考えたがどうすればこの状況を脱することが出来るのかと俺は必死になって考えてみるが、そもそもこの人は俺の事を覚えておらず。それに加えて俺は彼女と会っていないことになっているためどうすることもできなかった。そこで俺はなんとかこの拘束から抜け出そうと力を入れようとするが、俺が力を入れても全然ビクともしない状態になってしまったのだ。それどころかこの女性は俺を抱きかかえる力をどんどん強くしてくるものだから正直かなり辛い状態になっていくのである。
そして俺は、自分の力では、この人を振り払うことができないと感じて、ここは大人しくしておくことにすると決めたその時だった。いきなり目の前にもう一人の天城が出現した。その人物を見て俺は驚くと目の前の人物が俺に向かって手を伸ばしてきて俺に触れてこようとしてくるが、しかしそれを寸前のところで防ぐことに成功するのであった。そして目の前の人物は驚いた様子を見せるが、俺はすぐに後ろに下がり、距離を取ろうとしたが既に遅く目の前の人物はいつの間にか接近しており再び手が伸びてくるが俺は何とかその手を掴んで抑えたのだった。そのせいで俺の体に少しだけ触れられてしまったが俺はそんなことより、どうしてこいつがこの場に現れたのかを問いただした。すると天城が答えてくれたが天城が話してくれた内容は驚くべきもので、どうやら目の前に突然現れた天城は、実は本物の天城ではなく、彩花の変装だというのだった。そしてその天城がどうしてこの家を訪れたかといえば俺がこの世界に転移させられる前に起こった事が原因で、その件について相談しにやってきたと天城本人から言われた。
しかし俺にとって天城が偽物であるということはすぐに理解できて。俺は天城の言葉を聞き流してその場から離れようとしたが、そこで俺の前に天城の姿をした謎の女性が突然現れて俺の行く道を塞ぎ俺に対して笑顔を向けてきたのである。その表情を見てなんとなくだがこの女の目的が何となく分かった気がして俺は逃げるために急いで走り出そうとするが体が動かなかった。俺は何故動かないのかわからない状況だがとりあえず動けない理由を知るべく周囲を見渡すとそこには複数の人の姿が確認出来た。
「やっと捕まえたよ真斗君」
そう言って俺の腕に抱き着いて来たのはこの家の家主であり、今は男になっているはずの天城だった。そしてその横には見知らぬ少女の姿もあったので、そっちの方には視線を向けると少女は俺のことを興味津々と言った感じで見てきており。
それから俺はしばらくの間、二人に挟まれるように座らされた状態でこの世界の現状と勇者の使命などについての説明を受ける事になった。
「私達勇者は本来召喚されこの世界に呼び出されると。女神様から加護を与えられるんだよね。私は回復魔法を得意とするヒーラーだから回復に関する加護が与えられてるんだよ」
俺は天城が話し始めた事を耳に入れながら目の前に出された紅茶を飲み干す。俺は紅茶というものがどんなものか知らなかったが天城に聞いた所紅茶というのは砂糖の入ったお茶であると聞き俺は初めて飲んでみて、あまりの美味しさに衝撃を受けて驚いてしまうのであった。
そんな事はどうでもいいと言わんばかりに天城は、俺の方をじっと見つめてきている。正直俺がこの家に訪ねてきた時の第一印象としてはおっとりとした雰囲気を纏っており。とても優しそうな人であると感じた。しかし、今こうしてみるとその性格は偽りのものであり。その本質はこの世界を救ってくれという願いを込めて俺がこの世界に連れて来られた時に女神と名乗る存在から与えられた加護の能力が、相手を強制的に支配できるというものであった。この事実を知り俺は非常に危険な相手なのでは?と思い始めていた。
俺が目の前の女の子のことを天城ではないと認識できた理由。そしてその天城と同じ姿をした人物が俺のことを襲って来た理由。そして俺の腕を強引に引きちぎれる程の握力で握りしめてきたその理由。そしてその天城がなぜここに来たのかを俺に説明してきたのだ。その話を聞く限りだと天城はその勇者の使命を果たすことを心の底から望んでいるわけでもなく。むしろ嫌がっている節があり、この場に訪れた理由も俺を天城だと思い込ませるためである。そう考えれば、今までの言動は全て納得がいったのだ。天城は自分の事を女性だと思い込んでいるが実際は男性である。その事を知っているのは同じ境遇の仲間だけであり。天城がそのことを知っている人物は俺を含めて五人いると聞いている。天城の他にも俺以外の人達が異世界に来ていて、天城と同じく勇者としての使命を与えられた人物であるらしい。その仲間達は現在、天城の加護の力により、天城と共に行動しているようで、天城の事を自分達の主と認識しているようだ。
そんなことを考えていると天城の口からとんでもない情報が飛び込んできたのであった。それは天城を含めた四人の能力を教えてもらうことができたのだが。その内容というのが、まず一人目は俺の腕に抱きついている少女――彩花である。彼女は天城と同じようにヒーラーであるのだが、天城よりも更に上をいく実力を持っているようで。彼女は自分と触れ合った人のステータスを見ることができる。しかもその精度も凄く正確であるのだ。その証拠として天城のステータスを見てもらえないかと言われたが俺には天城のスキルである偽装能力が発動されているため、俺には天城のスキルを見ることはできなかった。そしてその事を告げると天城も何かを思ったらしく。今度は彩花が自分のステータス画面を見せてくれと言い出し、俺はそれにしたがって俺に見せてくれたのだがその内容は天城とは比較にならない程に恐ろしい物であった。
彩花はヒーラーなのであるが自分の持つ魔力だけであらゆる物を消滅させることができる破壊の魔女である事が判明したのだ。その力はかなり強いのか天城と腕を組んでいても天城の方が力が劣っていたのである。俺はこの事を知ってしまい俺は改めて天城の正体を探ろうとはしたが天城の方はというと特に動揺した様子はなかったのである。そればかりか自分の事を普通に接してくれる人が居て嬉しいと言って笑みを浮かべている始末で、天城も俺に好意を持って接してくれるため俺は、このままでも別に良いかなと思ってしまったがそれはそれで問題なのだが、このままこの二人の事を信じてしまうのも危ないような気がしたので。
彩花は天城の事をマスターと呼んでいるのを聞いて俺は、この二人はどういう関係なのか気になって聞いてみる事にしたのである。するとどうやら天城は元々男性でありその見た目を女の子に変えたのだとか、そして彩花もその被害者の一人だと言うのである。そんな事をあっさりと告げられ俺は驚くしかないのである。そんな事を考えていると彩花の方からも俺の事について色々と質問を受けることになったので俺が話せる範囲の事を話した。そしてその話を聞き終えて彩花の口から出た言葉はとても信じられる内容では無く。俺は、そんな馬鹿げたことがあるはずがない。これは嘘を言っているだけだと決めつけていた。
そして俺は天城をこの部屋に置いて出ていこうと思ったのだが天城は俺のことを絶対に逃さないと、言い放つと彩花に抱き着くように指示を出してきて、その命令に従い彩花は天城に抱き着いたので俺が逃げるのを諦めると天城は笑顔になり彩花の頭を優しく撫で始める。彩花は、俺の事を見ながら嬉しそうにしている。俺が二人から解放されるのはまだまだ先の事になるであろう。俺は自分の身に一体何が起きるのか、不安を感じながらもこれからも頑張って行こうと心に決めるのであった。
天城達との邂逅を終えて俺達はこの国の城の中に入ることにした。城の入り口には門番がおり俺は自分の名前を名乗りこの城に入れてくれないかと尋ねてみたが門前払いを受けてしまい。
仕方がなく街に戻るために馬車に乗り込もうとするその時だった。急に目の前から大きな物体が俺達に近づいてきた。俺は、咄嵯に身を守る体勢をとったのであるがその巨大な物は地面に着陸した。
そして、俺の目の前に現れたその生物を見て驚くことしかできなかった。何故ならその巨大な生き物というのはこの世界で見たことがないほどの大きさをした。竜だったからだ。
この世界に転移した当初は俺だって多少は驚きはしたけど流石に目の前に大きな竜が現れるなんて予想できないだろう?
「貴様らはここで何をしていた」
目の前に現れた巨大竜が、突然話しかけてきて、驚いたのは俺だけではなく隣にいた天城も同様だったようで、目を丸くして驚いていたが直ぐに天城はその巨大生物の問いに対して答えようとしていて。天城はすぐにこの場から離れようとする。しかしそれよりも早く巨大生物の翼が動き始めていて俺は慌ててその事について天城に教えるが間に合うことはなく、天城と彩花の二人とも、そのまま巨大生物に連れ去られてしまったのであった。俺は天城と彩花が捕まってしまった状況を見て呆然と立ち尽くしてしまった。するとそんな俺に対して先程の巨大生物が俺の方へ視線を向けたのである。
「おい人間よ。お前は何をしている」
目の前の怪物は俺に対して怒気を込めた声で話しかけてきたので俺は少しだけ体が震え始めた。だがそれでも俺はその声の主が、目の前に存在している巨大生物であることを確認して俺はどうにか逃げようと考え、俺は一目散に逃げ出すが。しかしそれは叶わず。一瞬で回り込まれてしまい。俺を捕まえると怪力で持ち上げられてしまうのであった。
それから、しばらくの間俺は、目の前の巨大竜に振り回された挙げ句、何度も地面に向けて放り投げられたりと散々な目にあったので本当にこの化け物が天城の言う通りの存在なのか分からなくなってしまった。そんな事を考えていると目の前から天城が連れていかれたはずの場所が、明るくなり始めた事で俺は天城がどうなっているのかを確認するべく、その光の元へ近寄った。
そしてその光が消えていくと同時に、天城の加護の力による洗脳から解放された天城の姿を見ることができた。
天城は何故か服を着ていない状態だったが無事である事を俺に知らせてくれたのだ。
その事に俺は心底安心する事が出来た。
それから俺が目の前に存在する天城を連れて行ってきた謎の巨大生物を睨むと、その巨大生物もどうもこちらに視線を向けてきたので俺は身構えたのであった。
目の前に居る俺が敵と判断すべきかどうかの判断ができないが。とりあえず警戒はしておくことにすると、その正体は、なんと天城の幼馴染の女の子の天音だった。
俺はその事を知らずに天城だと認識していたのだから、俺にとってその事実はあまりにも衝撃的すぎて思考停止してしまうほどの事態になってしまったのは仕方がないことだと思う。そして俺がその事実を知り固まっている中。その少女は俺に何かを話しかけてきたが正直俺の耳には何も入ってきていなく。俺の心の中で、まさかという思いしかなかった。そしてその俺の様子を不思議に思ったのかその少女は首を傾げていた。俺は、俺のことを天城だと勘違いしていたことを伝えて。そしてその勘違いを利用して俺を殺そうとしていたことまで聞かされて俺としては目の前の少女には頭が上がらないというか、もう何も言えないような状態になっていた。
その少女に俺の正体がばれてからはとにかく俺はその天城という男と天城の仲間達が向かった場所へと行く事を決めたのだがその前に目の前に居座っている少女の事がとても気になる事だらけだったので彼女にいくつか聞きたいことを尋ねた。
彼女は自分が元々男である事を知っている事。彼女の性別を女性だと思い込ませるための道具を持っている人物と仲間であったこと。彼女もまた別の世界の住人であり、この世界を救いたいと思っていたので仲間と共に行動している事を説明してくれた。その話を聞く限りじゃやはりあの天城はこの子と一緒に行動していたということが真実だということが分かった。そこでふとある疑問を抱いた。この子は何故ここにやってきたのか?それが少し引っかかったが今はそんなことを考えている暇はないのでまずはこの子をどうにか説得しなければいけなくなった。しかし、その考えが甘すぎたのか俺の説得は全くと言って良いほど効かずむしろ天城の居場所を突き止めるために一緒に行動すると言われてしまえば、俺はもう黙ってついてくるように促すほか無かったのである。そして俺と天城と名乗る彼女は、この国の王様に会いに行くことになったのだが俺は未だに彼女がこの国を治める王の娘だと知った時は驚愕したが、それを知っても俺には関係なかったので。俺は彼女を天城という少年の元まで送り届ける事にしたのであった。
それから俺は彼女と行動をともにし、この国が今どういう状態であるかを改めて知ることができた。彼女は、真矢という人を探し回っているのだという。俺はその名前を聞いたとき何か違和感を感じたのだが特に気にしないでおいた。そんな俺の様子を見た天城という女が真也と何かあったの?と聞いてきたので。
俺はこの国に召喚された際に起きた事件の事を説明した。その話を聞いた後天城さんは自分の知っている情報と食い違いがないと口にした後、俺の話を聞いてくれた。俺はこの人に俺の事情を話しても問題無いと判断したので、今までの事を全て話し。これから俺は天城の事を探そうと思っていると話すとその天城という女の子は自分もその話に乗ると言ってきて俺は驚いたのである。その理由は、その話を詳しく聞くためにもその人がこの国の王と面会をするべきという話になって俺達は王に謁見するため城に向かう事が決定したのであった。
それから俺達は天城が乗せられて戻ってきたと思われる馬車に乗り込んだのだがどうもおかしいのである。その事は、この馬車に乗ってからずっと天城は俯きながらぶつぶつ呟いているような気がしたからなのだ。
最初は俺は、その様子を見ていても別に害はないから良いやと考えていたのであるが流石に時間が経つにつれ心配になった俺は何度か声を掛けてみたのだがそれでも返答はなく完全に無視される始末になってしまい、このままではどうにもならないと思い始めた頃にようやく馬車が止まり。馬車から降りるように言われたがどうやらここはどうやら城内にある牢屋の前らしく、俺以外の三人もここに連れてこられたみたいだったのだが。彩花に関してはどうしてこうなったのかという理由を知っており彩花は申し訳なさそうな表情をして天城に謝罪していたが当の本人はと言うとまだ様子がおかしかったので、彩花は俺と目が合った際に助けて欲しいと訴えかけてきて俺はそれに承諾すると俺はその二人に声をかけることにした。
すると彩花は真也くんお願いと声をかけられたので、俺は天城の手を掴み無理やり天城を立ちあがらせるとそのまま天城を牢屋の前まで連れていき天城をそのまま放置した。その瞬間天城は正気に戻ったようで彩花と天城が抱き合っている事に驚き、その後自分の姿を確認したのだろうが裸になっている自分に驚き悲鳴を上げていた。それから俺が天城に、お前がやった事だ。文句があるなら俺ではなく、お前を騙し続けたそいつに言えと俺はそう言って彩花達の方に向かって歩き出したのである。すると背後から天城の怒声が聞こえてきた。そして俺の方へ向かって来ようとしていたが俺は彩花の方を向いて、彩花が持っていた鞄の中から適当に着替えを選んで貰いそれを受け取って、そしてその着替えを受け取った俺はその場で素早く着替るのだった。その着替えが終わると天城は怒りのせいか顔が赤く染まっていた。そして、天城が何かを言いたげな顔をしている事を察知したが。俺はそんなのは知らないと言わんばかりに無反応でその場を離れようとすると天城が待てと言い出して俺の腕を掴んだので俺は天城の手を無理に離して再び俺は歩き出すのだった。
「貴方達!いい加減にして!」
「天音。落ち着くんだ。ここで君が感情的になれば奴等にとっては都合の良い事にしかならず。君の大切な友人が危ない目に遭うかもしれない。君の目的は、あくまでもその少年を探す事であって、こんなくだらない争いに付き合うことではないはずだ」
「っ!?」
その言葉に私は、何も言い返せなかった。そしてその私の様子に、彼は私の元から離れて何処かに行こうとした。その行動は当然と言えば、それまでなのだが。私の事を信用していない証拠でもあるのでそれは、それで腹が立った。だから、つい、彼の事を大声で呼び止めてしまうのだった。するとその男は、私の方へゆっくりと振り向き何が目的なんだと問いかけてくるので。私はただ、あの人の居場所が知りたいだけだと答えるとあの人はそんな俺の質問に、俺には何も分からないのだと返事をしてくる。だが、私はそんな言葉は嘘だと確信した。なぜならば、目の前に居る人物は真也で間違いないから。だけど、目の前にいる真也という男性は、私のことを天城と呼んできたのだ。確かに、私が女だとばれれば、そういう事もあるとは思うがそんな簡単に信じられるはずもない。だから私は、目の前の男性は偽者だと判断することにした。
それから暫くの間、目の前に居る男性に対して敵意を向けると、向こうは少しだけイラついたのか舌打ちをしながらこちらに近寄ってきたと思った矢先に。いきなり蹴り飛ばして来たので少しだけ痛かったけれど私はその行為に対して少しだけカチンと来たのだ。だから私も目の前の男に、同じ行為をやり返す事に決めたのだ。それから私は彼に攻撃を仕掛けたの。だけど攻撃は全て避けられてしまったのである。でもその時に、一瞬だけ見えた。彼が纏っている鎧には見覚えがあったのだ。それこそ先ほどまで一緒にいたはずの人物の装備と酷似しているものだったので私はますます目の前に居る男性のことが分からなくなった。
それからしばらく睨み合いが続いたあと。突然あの男性が武器を構えたまま私の事を本気で殺しにかかってきそうになったので私はその攻撃を何とか避けることが出来た。
そしてその一撃は地面を大きく穿ったため、下手したら死んでいたのではないかとさえ思ったほどであり私は冷や汗が流れていく感覚がはっきりと感じていたのであった。そしてその隙に私は、彼の後ろに回ろうとしたの。しかしそこで私はまたまた予想だにしない出来事が襲い掛かってくることになるの。
何故なら、その男性の姿は既に消えていたからだ。一体どういうことだと思って周囲をくまなく調べてみるがどこを探しても居なかったのである。そんな事を考えていた時だった。後ろから誰かに口を手で押さえつけられ身動きが取れなくなってしまったのである。
それから私は必死になって逃げようとした。でも全く体が動かない。しかも口を押さえられているため、魔法を使う事ができないで居た為。今の私にはどうする事も出来ない状態のまま拘束され続けていたのだ。
それからどれくらい時間が経っただろうか?ようやく私の拘束が解けた後すぐに自分の身体を触り異変が無いかどうか確認していくのだったが。どうやら何もされなかったようだ。それに安心感を覚えつつ、私を捕まえた人物の顔を確認するために視線を向けた。
その人物はとても美しい銀髪を持った少年だったのだが、どこかで見たことがあるような気がする容姿をしていてその少年と目が合った後。何故か私の名前を呼ばれてしまい、何故その事を分かったのか聞いてみると、彼は自分の記憶の中にあった情報と一致するのと、この世界に存在しない服装と髪型をしていたことからその結論に至ったのであると言われたのである。その話を聞いている最中、もしかしたら彼は私の事を女として認識していたのかとも思ってしまったが、流石にそれは無いと思うのであった。そしてその話は本当なのかどうかも分からない。だけどこの国に来て、私を女と分かってくれたのはこの国には殆どいないと言っても過言ではないのである。だからこそ私は嬉しかったのと同時にどうしてそんな事を言うのかという疑問が生まれたので。とりあえず、話を最後まで聞いてから考えようと決め込んだ。
どうせこの国は私達が探している人達の敵のようなものだ。そう思っていたのでその話を聞いても良いかと思ったのだが。その内容は想像を絶するもので、この国の王と勇者である真矢さんはグルでこの国に戦争を仕掛けていると言う事実だったのである。そしてこの国が今行っている作戦の内容は。まず初めに、この国の戦力のほとんどを奪い去り、残った者達だけで他の国々の制圧に乗り出して、この世界に存在するほぼ全ての国を支配しようとしているのだという事を聞いたときはこの国はどうかしてしまったのではないかと思ったが。
どうもそうでもないらしくこの国は元々からこのような政策を行っていたらしいが。この前の召喚を行った際にその力に目を付けたこの国の王は他国の王に同盟を結ばせる事で。自分達が有利になるように立ち回りながら侵略をしようとしているということを聞いて。もう呆れてものも言えないというのが正直な感想だったのである。それからその説明をした後、私の元にやってきたのがこの国の宰相である天城と名乗った人物であったのだが。その話を聞きながら私はあることを考え始めていた。それは私の探し人であるこの国のトップの人こそが、真也という人物ではないかと。そう考えたのである。だから私はその真也について知っている事を全て話すと天城はそれを聞き入れた後に天城さんの事情も聞くことが出来、彼女が何をしたいのかも把握することができたのであった。
そしてその話を聞いた俺はどうすればいいんだと心の中で嘆いていた。なぜならば俺はこの国を潰すためにここに来たのではなく、あくまでも俺達は旅をする仲間が一人行方不明になり、探している途中でこの場所にたどり着き。たまたまここに捕らえられていたという天城を救出できたというだけの話で。そもそも俺は天城のことを天城と呼ぶつもりなど無かった。だから天城が俺に対して話しかけてきて俺はその言葉を否定せず、天城の話を受け入れたのだ。だけど天城は、それが嘘だと決めつけて、自分が女であることと天音という真也がつけた偽名を名乗る事を要求してきたので仕方なく俺はその要求に従ったのだ。そしてその事を素直に受け入れたのは俺なりに天城に対する敬意のつもりだった。だが天城から告げられたのはその天城が本当は男だという事と。俺達と天城の探し人である人物との関係だった。
その話しを聞いていた俺は天城の言う事が正しければ天城と俺は本当に無関係であると証明されたわけである。つまり俺と天城の出会いは決して偶然なんかではなく。全て仕組まれていたものだと。そんな馬鹿なと最初は思ったが天城の様子を見るとその言葉に信憑性が増した。そして俺を捕らえた兵士達が俺達の話をしていると突然慌て始めだしたのである。そんな様子を目の当たりにした俺はまさか、俺の存在がばれたのではないと不安になった。
「さっきの話は真実だぞ。私は確かに女性ではあるが。君が女であるという事を否定していない」
天城は、そんな俺に対してとんでもないことを言い出してきたのだ。その言葉に対して天城の事を良く思って居なかった兵士達が天城に詰め寄って天城の服を掴み無理やり天城の事を引っ張っていったのである。その光景を見たとき、何が起きるのか大体予測ができたがそれでもその行動を止めることは出来ずにいたのである。だからそんな事をしたところで意味がないという事は分かっているはずだった。だが俺には止めることは出来なかった。だって相手は王族だ。その行動を止めた瞬間に俺の首は飛ぶだろう。
天城が兵士に連れて行れたあと残された俺の前に現れたのは。今まで見たことがないぐらいの美少女だった。
そして彼女は、いきなり自分の胸を触りだすと、何かを確かめるかのように触っていた。だけど、特に違和感はないらしく、首を傾げて不思議そうな顔をしてこちらを見つめてくるが、やがて興味を失ったように再び、こちらの方を向き話しかけて来たのだ。
そしてそんな少女の自己紹介が終わった後。こちらにやってくると俺の手を握ってきて。
これから宜しくと言ってきたのである。
「えっと。よろしく」
「ああ」
彼女の名前を聞くのを忘れていたので聞いてみたところ天城とは全く関係ない人だった。だけど俺の名前を教えたところ天城と同じ反応を示したのだ。だから、もしかしたら、こいつも真也と何らかの関係があるのではないかと思うようになっていたのだ。そしてその予感は見事に的中していたのである。だから天城が戻って来た時には何が起きたのかすぐに分かったのだった。そしてその状況から考えて天城が助け出したのだとは分かるが問題はそこじゃないのだ。
なんと天城はその連れ去らわれていた女性のことが好きになってしまったのである。しかもかなり強引にアプローチをかけており、その度に、女性は困惑したような態度を取っていてその様子を見ていて可哀想だと感じる反面、少しだけ羨ましいと思ってしまった。その思いに気がついた時俺は自分の感情の変化に戸惑いを感じていたのである。
そして、この日をきっかけに、彼女と色々なことをしていく事になるのだが、この世界で彼女と出会い、彼女に恋をして行くにつれ俺は自分の中で一つの変化が訪れたのだった。
俺は今、自分の部屋で椅子に座っており。そこで考え事をしていた。
今日は色々とあったな。そう考えていると不意にドアがノックされた音が聞こえて来たのである。その音の方に視線を向けるとそこには先ほど出会った女性が立っており。
彼女はお礼をしたいから、私の家まで来て欲しいとの事だったので断るのも失礼だと思い俺はついて行く事にしたのである。
そしてしばらく歩いていくと一軒の大きな建物に到着した。
俺は目の前の建物を見て驚きの表情を隠しきれなかったのである。何故ならこの建物はこの世界に来てから初めて見る建築物だったからである。しかも、その建物はどう見ても普通の家とは明らかに違う雰囲気を出していた。その建物の中には人が居るようで、俺は恐る恐る建物の中に入ってみることにすると。その建物を一望する事ができる吹き抜けになっていて、そこには豪華なシャンデリアや絵画などが飾られていた。
それからその奥の部屋に向かうとそこでは食事が用意されていて。とても美味しそうで俺のお腹も鳴り響いたのであった。
その音を聞いた女性はくすりと笑うと。席に着くと料理に手を付けていく。
そして、食事を終えた後俺は、その女性の方を見ながら質問をした。どうしてそこまでしてくれるのかと。その話の内容に対してその女性は微笑んで答えたのである。
「私、貴方のことが好きです。それに私の友達になってくれませんか?」
こう言われてしまった以上仕方がない。そう感じてしまい俺もその女性と一緒に行動する事になった。その事を嬉しく思っていると。いつの間にか外の景色は夕暮れに変わってしまい空には月が見え始めていた。
そして、この国の夜がやってきたのである。そんな時に突如として警報が街中に響き渡った。そして外から叫び声が聞こえる。その言葉の意味を理解できなかった俺はとりあえず外の様子を窓から眺めることにした。すると、そこにはこの国の騎士が戦っていたのである。
一体どういうことだと疑問を抱いていると一人の男性が、その戦場の中に入っていくのが確認でき、俺もすぐにその場に向かって行ったのであった。その男性の後を追い掛けるとそこにいたのは何とも奇妙な服装をしている者達であった。その者らは剣を持っていなく。その服装と顔を隠すために白い仮面を被り。その手には槍のような物を持っている集団であった。そんな異様な集団に対して騎士団員達も圧倒されていた。だけどその中で勇敢にも一人の少女がその者達に立ち向かおうとしていた。そして、その少女が一人で、あの集団を相手にして戦えるとは到底考えられない事であり。俺は、急いでその子を助けに行くと女の子を守る様に陣取ることにした。そして後ろを振り返り。俺の後ろにいるこの子を守り切る為の作戦を必死に考えていたのだが。その考えはすぐに無駄になってしまうことになる。その者達の実力はかなりのものだったのだから。そしてその男達は瞬く間にこの国にいる全ての騎士達を倒していきこの国から去っていったのである。その光景を見た俺はただその人達を見送る事しか出来なかったのである。そしてその戦いの直後。今度は俺の所に敵が迫って来て。俺とその子はその攻撃によって気絶してしまうことになったのだ。だが俺はその時に見た。その男がこちらを見る一瞬の間だけで俺の正体を見抜いていたという事に。
それから意識を取り戻した時にはすでに周りが騒がしくなっていた。それはどうやら、あの戦いの後、何者かに襲われているようだったのだ。俺の視界はなぜか霞んでおり、あまり周りの状況を把握していない状態だったが、それでもその状況をなんとか理解しようとした。そんな状態のまま、ふと見上げてみるとそこに映るのは天城の悲痛の表情であったのだ。そんな天城の姿を見ていた時、何故か俺は天城と目が合ってしまったのであった。
「お前、誰だ」
天城から話しかけられて俺は、正直に答える事にする。俺の本心を伝えた上で天城に協力できることはないのか、俺はその話を詳しく聞く事にしたのであるが、その話は余りに無謀過ぎるものであった。なぜなら、天城は今ある場所に向かっていて、俺もそれについて行きたいと伝える。しかしそれではダメだと言われてしまう。だが、その理由を聞くとその話を信じた。なぜならば、この国にとって天城の存在はあまりにも強大過ぎて下手な行動を取ればその国に滅ぼされかねない可能性があるからだそうだ。
だから俺は仕方なくその話を受け入れて一旦天城が向かうその場所へ向かう事にした。天城は、俺を連れて行かない理由はあるらしいのだがそこは聞かなかったのである。
その途中で俺がこの世界にやって来て最初に目覚めた場所で、何かが起こっている事を感じたのだ。
俺の体は、何かに導かれるようにその何かの方角に歩みを進めたのである。そんな事をしている間。天城が、急に足を止めたのである。そして天城が見据えていた場所には俺が目を覚ました場所と同じ所から、謎の生物が飛び出してきて、天城はそいつを倒すべく行動を始めたのだ。そして戦闘が始まるとその生物の速さは尋常じゃなくて天城でもなかなか対処しきれない相手で、そんな相手を俺は呆然としながら見守っていた。だけど俺も、このまま見ているだけでは駄目だと感じ、自分にできることを探し始めた。だが天城が使っている技はこの世界では一度も見た事がなく。俺はどうしようもなくて。そんな時。俺は自分の中に眠っている能力を発動させる事に成功したのだ。そしてその結果。天城の手助けをすることに成功する。その事でようやく天城に認められるようになり。その後、天城の指示に従い行動を開始した。
そして俺は、天城の目的のために行動することになったのだった。
あれ?ここどこだろう。私は、自分のベッドの上で寝転がって、窓を開けながら考え事をしていたのである。
そして自分の置かれてる状況を思い出した瞬間に一気に覚醒して私は勢いよく立ち上った。
「そうだった!私真斗さんを王都に連れて行って。真人君の姿を確認した後にすぐに別れちゃったんだ!」
そんな事を思い出した瞬間、すぐにでも真人のことが心配になり部屋の外に出ようとすると。
突然誰かの気配を感じ取った私はすぐに臨戦態勢を取る。だけど、そんなことをする意味などないとすぐに悟り、扉を開ける。
その部屋には二人の少女がおり私の方に近寄ってくると、私がここにいることに対して疑問を抱いてきた。
「リディア姫、何故、この部屋から出て来られたのですか?」その質問に対して、今から、自分がしようとしていたことを考え直すことにする。だってここは、どう考えても普通の家ではなく。もしかしたら牢獄かもしれないと今さら気づいたからである。そしてその質問に対して素直に答えたところどうやら私は勘違いをしていたみたいで二人は慌てて頭を下げてきた。
しかし、その慌てぶりに逆に困惑してしまい思わず笑みを浮かべてしまったのだ。だけどその直後だった。いきなりその家の中に入ってきていた人が、私の方を見て驚きの声を上げたのである。
「お父様!?どうしてこちらに来たんですか!?今は危険ですので早くお逃げください!!」
そう言うなり私に対して怒鳴りつけて来る。
「何を言っておるんじゃ!!ワシの娘を助けにこない親が何処におると言うのじゃ!!!だから安心せい」
「えっ!?私のことを知っているの?」
「当然でしょ?貴女は、私達の家族なんだから、それにこの人は私のお兄様なの」
「へぇーそうなんだ、ところで、お兄ちゃんの年齢を聞いても良い?」
そう問いかけると、私のお姉ちゃんと妹はとても困った顔をしていて。
「そうよね、私のお父さんがそんな事を教えてくれるわけないものね、お母様も教えてくれなかったし、きっとまだ言えない事情があるに違いないのよ」
私はそんな二人の態度から、何か深い訳があって、本当の事が言えなかったのではないかと考えを改めることにした。そしてしばらくすると。その男はどこかへと消えてしまい、残された私はとりあえず、二人と一緒に居ることにした。するとその二人がこの世界について詳しく教えてくれたのである。
この世界は魔獣という怪物が存在しておりその魔獣は人間を食べる為に襲い掛かることがあるそうだ。その話を聞き終えた時に私は、やっぱりかと思い、これからどうすれば良いかを考えていた。そこでまず一番の問題が。今の自分はお金を持っていないことに気が付いてしまう。この世界で使えるようなお金があれば、どうにかなるのだけど。その話を姉妹にする。
「私達が知っている限りですが。リディアさんに、渡す物ならあります」
その言葉を聞いて私の顔が笑顔になる。
「私達に、ついてきてください、ただし。お忍びでの外出なので絶対に、この仮面だけはつけていてください、それからその武器は使わないようにしてもらいます」
それから私は言われた通りに行動する。
その少女達について行くと、とある場所に案内される。その建物の外観を見ると、かなり大きな屋敷であり、そこの庭にある花壇を手入れしている女性が、私をじっと見つめて近づいてくる。
「あら、リディじゃない、今日はどうしたの?何か忘れものでもしてきたのかな?それとも誰かと一緒に出かけたりする予定でもあったの?」と聞かれてしまう。それに対して私は、「ううん、何でもないの、ただ、ちょっとお使いをしなきゃいけないだけだから、気にしないで、それじゃまた明日ね」と言いその場を去ろうとしたのだが、それを遮られてしまったのである。「ねえ、貴女も一緒に来たらどうかしら?最近仕事が立て込んでいて、あまり休めていないみたいなの」
そう言われてもその提案に少し戸惑ってしまう。だけど結局私は断ることが出来ずにその少女達と一緒につれて行かれることになったのであった。
私は今この屋敷に滞在させてもらうことになったのだけれど、その前に一つだけどうしても気になっていることがありそのことについて尋ねることにした。それはあの男性がこの家に帰ってきたときの様子の変化であり、明らかにその男性が動揺していたことに疑問を抱いたので、その事を尋ねるとすぐに返事が返ってきて。なんでもあの男性が娘と、その恋人と思われる少年と仲良く話をしていたそうだ。しかもその光景を見て微笑んでいる様子もありそれがあまりにも印象的だったので覚えているという。
私はそんな話を聞いた後で。一体どのような関係なんだろうかと疑問を抱く。それからしばらくして私はその女性に呼ばれる。それからその女性の部屋に連れて行かれて。そこにいた男性は、とても疲れているのか眠っていたので起こすかどうか迷ってしまったのだが、その悩みは不要だったらしく。すぐにその女性は起こしていいと言っていたのである。それから私とこの家の当主が話し合いを始める。その話の内容が私の事だったのだが私はそんなに珍しい存在なのかと不思議になった。だけどそんな私に、当主のおじさんがこんな質問をぶつけて来たので正直に答えると驚いた表情を見せたのであった。
「本当に君は何者だい?どうしてその若さでそんな実力を持っているんだ?」と質問を投げかけられて私はこう答えた。
「私自身、何故こんなに力が出せるのかわからないの、でもこの力で人を守れるんであればそれで構わないの」
そんな話をした後。私は部屋に戻される。私は、さっきの話で出た、私の事について考える。そして私はある結論に至ることになる。この国の王家の子供の一人だという可能性についてである。そしてこの国に何かが起きたのだと私は考え、その真相を確かめる為、私はこの家の中を動き回ろうとしていた。そしてその時である。突然この部屋の扉が開き一人の男性が現れて私は身構えるが。その人物は私が想像していた人物像とは違い。どこか優しそうな顔をしており。私の方を見るなり私に話しかけて来て。私を客人として迎えてくれたのである。私はその人物から色々な事を聞かされる。
まずこの国の王族に、何が起こったかを知らされ。私の存在がどれだけ貴重なものかの説明をされたのである。
そしてこの国を治めてくだっているのはその国王でもなく王子でもなく。王女であるということ。
その事実を知った時、私は衝撃を受けると共に疑問も生まれていたのだ。
私が聞いた話が正しかったのならば私はこの国から狙われる事になり。もし私が、このままこの家で匿われていればいずれはこの国に攻め入られる恐れがあると思ったからだ。そしてそんな事を考えている最中でも話は続いていく。
「まあリディア姫が心配する事は何もありませんよ。リリアナ王国は、他の国と違って魔導士の質が高いことで有名ですから。魔獣ごときにやられたりは致しません。それに今現在、この国の周辺では、多くの国々が手を組み合って大規模な戦闘を行っていますからね」
「えっ!?今、大規模とか聞こえたんだけどどういうこと?何かが起きてるのは分かるけど。一体その戦闘の規模はどれぐらいのものなの?まさか大陸を真っ二つに分ける程の戦いが繰り広げられていたりしてるの?それともこの世界を半分吹き飛ばしてしまうほどの大爆発が何度も起きているの?」
「えっと貴女がいった事は、どちらも違いますが。そうですね、貴女になら真実を伝えましょうか、この世界には複数の国が存在しており、それらの国は戦争を幾度となく行っている。その中で一番勢力を誇っている大国が存在していて、このアストレア帝国もその一つだったのですが、つい先日このアスタトリア帝国に宣戦布告が届きまして。我々はすぐにでも行動を開始するべく、こうして戦力を整えるために動いていたわけです」
私は、その説明を受けてから思った。どうしてこの世界の人は、そんなことをしてしまっているんだと。その話を聞いただけでもわかる。この人達は平和ボケをしているのだと感じた。何故この世界でそんな事態になってしまったかは分からない。しかし今の話を聞いていただけで、もう戦争なんてする必要は無いのではないかと思ってしまったのである。だからこそ、私もその戦争で戦うことを決意する。
そして、これからの行動方針を決めるのであった。
私の名前はリリア。私はリディア様のお付き兼専属護衛だ。今はお父様に言われて王都にお連れするためにお屋敷の外に出る途中なのだが、途中でこの家の庭にある大きな庭園に目を奪われた。そこには見たこともないような美しい花々で埋め尽くされていて私の視線を奪ってしまうほどだった。
そして私達はしばらくその場所で時間を潰す事にしたのだがその時間が長すぎたため私達がこの場所に訪れたことは直ぐにばれる事になった。
そのせいで私はお父様の娘様の護衛を解任されてしまった。
だけど、その判断に納得できなかった。
確かにあの方のそばにいてはいけないと言われてしまったが。その理由も話してくれなかったので尚更理解ができないのであった。だけどそれでも諦めるつもりはなかった私は、なんとかリディア姫の側に居させて貰えないかとお父様を説得しに行ったのだった。
「お主もわかっておるだろう?あの方は、ワシらにとっての希望じゃ、お主はあの方に危害を加えたいとは思ってはおらんのじゃろう?だがあの方を危険な目に遭わせるのは絶対に許さんぞ!!」
そう怒鳴られてしまう。だから私はこれ以上何を言ってもダメだと思い引き下がることにしてしまったのであった。
そしてお父様は、その足でどこかへと出かけて行ってしまい一人きりでいる時間が出来てしまう。するとそこへ使用人が現れる。
その者は私の事を探していたようで、その用件を聞く。すると驚くべき言葉を口にする。
「奥さまより言伝があり、旦那様が、リディア様のところへ向かうのなら。この紙をリディア様に渡しなさい。と言ってましたので」
その使用人が渡してきた手紙を受け取る。
私はその差出人の名前を見た瞬間。体が熱くなる。
「リディ」
その名前を呼ぶと何故か胸が高鳴るのであった。そしてリディアと言う人物が気になるあまり私は、その人物に会いに行くことにしたのであった。
「失礼します」
「あら?どうしたのかしら?リディアになにか問題でもあったの?もしかしてリディアがなにか粗相をして怒らせてしまったの?」
そう言う母に対して私は。
「いえ、そんな事はないのですが、私、お嬢様に会わせて欲しいんです」
そういうと母は首を横に振ってしまう。そしてこんな事を言い始める。
「無理に決まってるでしょう?だって、あなたも知っての通り、この屋敷ではメイドの雇用は禁止になっているのよ、それなのに、あなたの身元すら知らない者を屋敷の中に入れる訳ないでしょ?」
そんな事を言う母親に苛立ちを覚えるも我慢するしかないと思う。
私はそんな風に自分に言い聞かせてからその場を去ろうとしたのだがその背中に声をかけられる。
「ああ、そうそう、一応忠告しておくわね、この家に来るまでは気を付けなさいよ」と言われたのであった。その言葉の意味が気になった私は聞いてみることにする。
「それはどういう意味でしょうか?」
「うーん、どうしようかな、やっぱり教えておくべきなのかな?だけど貴女に余計な事を喋ると私が、あの母親達に叱られそうだし。うーん、でもまあいっか」と言った後。私の顔を見てこう口を開く。
「実は、最近この国の周りで色々と異変が起こってるらしくて、それで貴女みたいな子を雇おうとすると、貴女のような子を狙う奴らがいて誘拐したり、貴女の素性を調べるかもしれないから気を付けるようにっていう警告をしに来たんだよ。あっ、あとこの国の人達はあまり信じていないらしいんだけどさ、魔獣と呼ばれる怪物がこの世界に現れているらしくて、この国の人間に危害を加える事がないとは限らなかったりするみたいだよ」
そんな事を聞かされた後、私は部屋を追い出されるようにして外に出されてしまうのであった。
そして私はリディア姫に会う事は出来なかった。
「なんで私の身分を明かすことが出来ないのだろうか?私はこの国の為に役立てると思っているのにどうして分かってくれないのだろうか?」そんな事を思いながら、その帰り道、私達二人は襲撃を受ける。その時に私はリディと離ればなれになってしまう。そしてリディアと離された私は必死に追いかけるも、その男と戦闘になってしまい苦戦を強いられる事に、しかし私はその男を倒してみせ無事に再会することができたのだった。それから、私はリディアに、なぜ私を連れて来たのかの説明を受けさせられるが結局何も答えられなかった。
私はリディアと一緒にいたいだけなので、理由が思いつかなかったのだ。でも、それでもリディアは優しくて。私は思わず涙を流してしまった。私はその時から心からこの少女を信頼してついて行こうと思ったのである。そしてリディアは、自分が異世界から来た存在だと言い始めたのである。最初は信じられなかったが、その言葉を信じるしかなかった。だって、私が今まで見てきていたものとあまりにもかけ離れていたからだ。でも私が感じたのはそれだけではなかった。私は異世界について語る彼女の表情や声がどこか嬉しさのようなものが溢れ出ているような気がした。まるでその世界について憧れを持っているかのようであったのだ。そんなリディアを見つめていた時。彼女は突然。私の手を取り何かをしようとするのである。その行動に私は動揺するが、リディアに急ぐように言われたので、その手を掴んだまま走ったのである。そして、たどり着いたのはこの世界の人間が決して入らないと言われる禁断の場所に辿り着いたのだった。そこで私は、その扉を開けるための条件をクリアしなければ扉は開くことができないと知り。リディアに協力を求めた。そしてリディアの協力もあり扉を開けることに成功するのであった。しかし扉を開いた途端リディアは苦しみだしてしまうのである。私はリディアの身に何が起きたのかと不安になるが。次の瞬間にはその症状は収まり。リディアの瞳は青から赤く染まってしまう。そして彼女はとんでもない事をしだすのである。私は慌ててリディアを止めたが彼女はそれを聞かずに暴走を始めてしまう。
そして私自身も、リディアを止めるために戦ったのだがやはり敵わず吹き飛ばされてしまう。そして私はここで死んでしまうんだと思った時、私は、何者かによって守られた。それはリリアと名乗る女の子で、そして私達は、彼女が生み出した転移門で、この世界とは全く別の世界へと移動することになるのであった。
そして私はその世界でリリアと出会いこの世界で起きている魔獣と呼ばれる生物をどうにかする事になり、その道中。私はリリアに助けられる事になる。しかしその出来事を快く思わなかった者達がいたのである。その者こそが、私の命を狙い続けた、あの両親だったのだった。そして両親はリリアに復讐を果たそうと襲いかかるも返り討ちに遭ってしまう結果となってしまう。しかしそんな中、一人の男が乱入してきて、私達が戦う羽目になってしまう。そして戦いが終わった時にはもう私も体力が限界を迎えていて意識を失いかけた。だがその私を救ってくれた人物が現れた。その男はリディアの父親であり私の命の恩人でもある方である。リディアのお父様であるその方は私の身に起こった事情を知ると直ぐに私をお城へと連れて行くと。私を保護してくれることになるのであった。その後お父様に連れられて向かったのは王都にある教会であった。私はそこで自分の身を護るために魔法を覚えさせられて、ある程度の力をつけるまでそこで暮らす事になったのであった。
私はリディアを守るために力を欲したのだ。
私は強くなりたいと思っていたのであった。だからこの教会で修行を始めたのだ、私はお嬢様の護衛騎士であるためにもっと強くなる必要がある。私はそう思っていたのである。
だから毎日、厳しい修行を行っていたのだけどある日の事、お嬢様に呼び止められる。
「リディアよ。そろそろ休憩にしましょう。今日はこれくらいにしておいた方がいいと思うの」
「ですが私はまだ」
私は、まだまだ強くならなければならないと、そう思っています。
「無理はよくないわ。私はリディアに傷ついてほしくないもの」
「大丈夫ですよお嬢様、この程度、どうということはありません。私はお嬢様に救われるまで、ずっと虐げられてきました。あの地獄のような日々に比べたら、今の方がまだましです。だから私はもっと強くなって。お嬢様の役に立ちますよ」
だからそんな言葉を口にしてしまった。それが失敗だったなんて、私はその時知るよしもなかったのであった。
そして数日後、私とお父様はまた別の街に向かうことになりました。なんでも、そこに私の知り合いがいるとの事でその人を訪ねに行くというのです。そして到着した場所は、リディア姫が住む町で、この町に私は滞在することになりそうでした。するとそこで一人の少女と出会ったのです。その子の名前はリディといい。その人はなんとリディア姫だったのですが私は気づきませんでした。何故ならその姿は前に見た彼女とはまったく違い別人に見えてしまったんです。なので私は思わず、その事を告げてしまうとその少女がいきなり襲い掛かって来たんです。私は何もできずにただ呆然と立ち尽くしてしまいました。そしてそのまま私はその子に倒されてしまい、そのリディアさんも私に興味を失ったのか去って行くと。そんな状況の中で私の前に現れてくれた人物がいたのです。そう、リディアお嬢様に、私を助けて欲しいと言われたリディアちゃんともう一人のリディアちゃんが。私は二人のリディアさんに抱き着かれて戸惑うのであったが、その二人からこの姿にされてしまった原因が分かるまではここに居ても良いとリディアお嬢様に言われたのであった。そんな感じにリディア姫と私の物語が始まったのだ。
俺の名はリクと言う名前なのだがこの世界にやって来た時、ある組織に所属して、そこのボスからは勇者と呼ばれてしまった。その理由は俺はとある目的を果たすためにこの世界へやってきたのだが。その際にその組織の人達に助けてもらいその見返りとして勇者と呼ばれるようになっていたのである。ちなみにその時、一緒に連れて来た相棒のユイと共に旅を続けていたのだがその道中で出会った女の子と恋に落ち結婚することになった。そして子供にも恵まれ幸せな家庭を築きあげたのであった。そんな感じで人生を全うした後は、俺は元の世界に戻り、普通に死んだのでした。
しかし、何故か知らないが気が付くと、異世界の日本と呼ばれている場所で目を覚ましてしまう。
そんな感じで転生した俺の目の前に姿を現したのはなんとリディアと名乗る少女でした。どうやら彼女もこの世界の出身ではないらしくしかも、こちらの世界で暮らしているらしいのです。そして彼女は、リディアとしか名乗らない不思議な存在でしたがどうやら彼女の本当の名前はリディアではなくリディだそうなんですが。
とりあえずこの子がなんでこの世界を訪れているのかを聞き出す事にしたのですが、どうも記憶が曖昧になっていて話してくれません。だけど、もしかして異世界の住人だったりしますかね。だとしたら凄いですね。この子の話を聞けば何か面白い情報を教えて貰えるかも知れなかったからな。そしてこの子の正体についても気になっていたのであった。この世界の住民であるのなら、どうして俺の名前を知っていたのだろう?それとも、この世界には同姓同名の人が沢山いてたまたま同じ名前の人物が目の前にいただけなのかな?まあ、考えてみても仕方がないので今は深く考えないようにしようと思った。
それにしてもリディアと名乗ったこの子。どこかで見覚えがあるなと思いつつ、よく観察してみると。その瞳の色とかがリディアそっくりであった。まさかこの世界では、双子が存在しているとかないよね。そんな事を思ったけど、リディアが言うには、自分は異世界からの旅人であり、自分が暮らしていたのはその世界の人間達の間では禁忌とされていたらしく。その為に彼女は迫害を受け続けてきた。
でもそんな彼女はある日突然姿を消してしまう。その事実を知った父親はリディアが行方不明になる前に起きた事件を調べる為にその現場に向かい。そしてリディアを見つけ出して保護しようと動き出したが結局間に合わず。
父親に助けを求めようと家に帰る途中に魔獣に襲われ、命からがら逃げ切ったものの。その時には母親は殺され、父は瀕死の重傷を負い、娘であるリディアは行方不明になった状態で。彼女はリディアを探す為に再び旅に出る事を決めた。
そして旅の途中で俺に出会うのである。でもその事については特に語ることはなかった。
「ところであなたがリディアの婚約者ですか?」と聞かれた時に、その通りだと答えた。
リディアの話を聞いて、俺は、彼女がこの国でどのように暮らしてきたのかについて話を聞いたのだ。すると彼女の口から出てきたのは自分の過去についてである。この子は、自分の父親が自分の命と引き換えに自分を救った事。それからこの世界で生きて行くために色々な技術を身につけて行ったことなど。自分の過去について話し出し始めたのであった。
そしてそれは、まるで自分がもう死んでしまったような感覚に陥ったのであった。それはリディアにとってとても辛い出来事であったはず。なのになぜこの少女はこんなに強い心を持つことが出来たんだろう? そう思えてきて不思議だった。きっとこのリディアと言う女の子も、自分がこの世界でどんな生活をしてきたのかを詳しく語ったわけではないのかもしれない。それでも彼女は強い心を持っていたのである。その事が凄いなと思って。
「リディアよ、少しいいか」と声を掛けるお父様に対して「はい」と返事をするリディアは、やはりリディアであって。
しかしお父様から、お前には隠していた事があると言われてしまうのであった。
「どういうことでしょうか」と問いかけるとリディアは、お父様の言葉を信じたのか涙目になり。そしてお父様の言いつけを守りこの場で魔法を使った。その結果この空間に歪みが生じ、その歪みに飲み込まれそうになったので私は慌ててお父様の手を取り、この世界から抜け出すのであった。
私はリディアの手を掴んで転移を行う。
「一体どこに向かっているんですか」
とリディアから尋ねられたので、俺は素直に転移する先に何があったかを告げた。するとリディアは「なるほど。お父様は最初からそのつもりだったんですね」と言って笑ったのである。
そして無事に転移を終えると、リディアはすぐに行動に移った。
「どうぞお入りください」
そう言ってリディアの案内を受けて中に入るが、そこは小さな村だった。だがしかし俺の目に飛び込んできた光景は明らかに異常なもので。村のあちこちに魔族と呼ばれる生き物達が倒れていたのであった。それも、かなり弱っていて虫の息の状態になって。そんな魔族の子供達を保護している施設が存在して。その施設の院長と対面を果たした後、そこで生活しながらリディアは、リディアとしてこの世界で暮らす事になったのであった。
私はこの日。自分の意思で人を殺すことを決意した。その対象はもちろん自分の家族を殺した奴等である。だからあいつらに私の苦しみと辛さを思い知らせる。その覚悟を決めて。私はその日の夜に行動に移すことを決めた。
その日の朝、私が朝食を用意しようとするとお姉さまが起き上がって来て私の傍まで歩いて来るとお礼を言い始めました。私は最初こそその態度を見て驚きましたが。その理由を聞いた時はとても悲しく感じましたが。お母様の事を思い出して納得しました。
私は、この人に何をしてあげればいいのか分からず困っていたのである。
「あのリディア様。その、お体は大丈夫なのでしょうか」そう聞くとリディア様は笑顔を見せてくれた。どうやら私はその顔を見た瞬間。この人の役に立てたことが嬉しかったのです。そう思っていたらなぜか急に胸の辺りに違和感を感じました。
「リディアよ、少し良いかな。これから私と一緒に城に来てくれないだろうか。そしてそこでお前の父と話し合いたいと思うのだが構わないか?」
そう聞いてきたのはリディア様のお父さん。しかし私の目の前にいるのはこのリディアという女性のはずだ。その証拠に私は先程からリディアという女性を見続けている。しかし私は、そのリディアさんがリディア本人だと理解してしまったのだ。だって目の前のリディアさんの姿と、今、私の前に現れてくれたリディアさんの雰囲気が同じなのだから、それに気が付いた私は。もしかするとこの方は私と会うのは初めてで。それで私と会えたことで安心しているのかも知れなかった。そんな感じで私は彼女にどう声をかけてあげるのが良いのか迷ってしまっていた。だけど私は、この方の役に立ちたくて仕方がなかったのだ。そうしないとお父様に捨てられてしまうんじゃないかと怖かったから。そう思うのと同時に、もしここでこのリディアさんに拒絶されたら私はもうおしまいだと思い始めていたのであった。
「どうやら、まだリディアの心の中には残っているようだな」
お父様から告げられるとリディアお嬢様は黙り込む。お父様にはなにやら事情を知っているようだった。その事で俺は疑問を抱くが今は話してくれる雰囲気ではないと俺は察した。そして俺のそんな気持ちが通じたのか、リディアのお父様が俺達にこの世界のことについて教えてくれることになったのであった。
俺とリディアが部屋に入るとそこには二人の男性が立っていた。
その二人は俺とリディアの姿を視界に収めると。いきなりこちらに近づいてきて俺とリディアを強引に抱き寄せてくる。俺は突然の出来事に戸惑っていると、リディアは涙を流し始めた。その様子に気づいたリディアのお父様が二人に声をかけてきたのであった。
「貴公達は、一体何者なのだ。私の娘の体に何が起きているのかね。リディアよ。その男に抱かれて苦しくはないのか」
リディアは、首を横に振る。それを見た俺はどうしていいのか分からなかったけど。とにかく彼女を抱きしめ続けたんだ。そうすれば少しでもこの子を慰めてあげられると思っていたから。だけどそれが間違いだった。その事に気付かない俺に対してリディアは必死に抵抗するも虚しい結果となる。そして俺が彼女を抱き寄せる力を緩めると今度は彼女のお腹から、俺の腕の中に赤子が飛び出して来たのである。俺はあまりの衝撃的な展開と、そして生まれて初めてみる赤ん坊の顔に戸惑いを隠せなかった。
そして、お母様がお亡くなりになったと聞いた時は目の前が真っ暗になるような気がした。
それから私は自分が妊娠していたことを聞かされ、さらに出産が近い事も教えられて。その事を聞いた途端、不安になり、もしかしたら自分は死ぬのではないのかと思ってしまうほど動揺し。どうしてお父様もリディアお姉さまも平然としていたのか不思議で仕方がありませんでした。でも、お父様は私よりも先にお気づきになっていたみたいで。だからこそあんな質問をしたんだと思います。でも、それでもリディアお姉さまは平気だと言うので私は、お姉さまは強い方だと思って尊敬しました。
それから数日後にリディアが出産をして。俺の子供を産んだという事実を受け入れることが出来ずに。そして自分の子供がリディアの体から出て来たことを受け入れられずに、ただ呆然とするだけだった。しかし子供が生まれてきてすぐに、子供の産声を耳にしたことで我に返った。
「リディアよ、その子をこの世界のために育ててはくれないか」とリディアの父親が言うとリディアのお母さんとリディアは「え?」と驚いた反応を見せた。その言葉を聞いた俺は当然のことながら混乱してしまい。この世界のためとはどういう意味なのか、それとも何かの冗談だと思ったのである。
それからしばらくして、俺はこの世界に魔王が現れようとしているという話を聞いて驚くことになる。まさかリディアが勇者の血を引き継ぐ者だという事を知る事になるのである。その事実を知ってしまった俺は一体どうしたらいいのか困惑することになったのであった。
「あなたには、この子を育てる義務が発生しました」とリディアの母親に言われてしまい。どうしたものかと考えていると、リディアが「お願いします。どうかこの子を私の変わりに」と懇願してくるので。結局この子の面倒を見る事になってしまったのである。
そして俺に子育ての経験がないことを伝えるとリディアの母親は「なら一緒に頑張りましょう」と言ってくれたので。その言葉が俺をどれだけ救ってくれたか、それはもう計り知れないほどであった。しかしそれと同時に、この世界を救うということはつまりリディア達の世界を救うためでもあるわけで。そう考えただけで頭がおかしくなりそうだったのである。そんな状況の中で、この世界に現れた魔族について詳しい話を聞かせてもらう。
リディアの父親が語った内容は俺にとっては衝撃的だった。この世界に現れる魔族。それは、元はと言えばこの世界の住人だった者達であるらしい。彼らは異世界人であるリディアのお父様の手によって魔族に変えられたそうだ。そしてお父様の目的はこの世界から魔物と呼ばれる生き物を排除してこの世界で人間だけが住む場所を作ることだったそうなのである。そしてお父様は自分が生み出した魔族を率いてこの世界を支配していた。その目的は世界を手に入れることとリディアの故郷を侵略することであったようだ。だがお父様はある日。自分の息子であるこの世界の支配者と戦うこととなる。そして死闘の末。リディアのお父様が勝利し息子を討ち果たしたのだと聞かされた。しかしその代償は大きかったようで、その後、お父様の体はどんどん衰弱していきついには息を引き取ってしまうのである。その話を聞いた俺はなんでリディアのお父様はわざわざリディア達の世界に来なければいけなかったのだろうかと考えたが、その理由までは教えてくれなかったのであった。しかし俺はその時ある可能性を考えていたのだ。その理由を知った上でリディア達がどのような行動をするのか、それを観察したいと考えていたのである。
「お久しぶりです。あなたの娘は無事。立派に育ちましたよ。あなたの願いは、叶いましたよ」と誰かが言っているように感じて、ふと目を覚ますとそこには見知らぬ景色があったのだ。そこは薄暗い部屋のような場所で私はどこか分からない場所に居て不安になるもなぜかこの場所に来た理由が分かった気がしたのである。すると急に見知った女性が姿を現したので私は安心して彼女に抱きついていたのであった。
私がリディアお姉さまと一緒に生活する事を決めたのはその日の夜のことだったのです。リディアお姉さまと一緒に寝るのは嫌じゃなかったので私はお姉さまとの生活を始めることにしました。お姉さまが言うには私はもう子供ではなく、一人前の女性なので一人でもやっていけるだろうと言う事で、私を一人前の女性にしてくれたのはお姉さまだと言うのは内緒の話なんです。だけど私ももう十八歳なんですよ。だからそろそろ結婚相手を自分で決めないといけないのです。私はお兄様と結婚したいと考えています。お父様とお兄様の仲は悪いのですが私にとってはとても良い家族だからです。でも最近、リディアお姉さまが少し様子がおかしいのです。その理由が分かりません。しかしお母様が亡くなった日から少し性格が変わったのかもしれないと私は考えており。もしかしたらそのせいかもしれなかったのですね。しかし私としてはそんなに変わっていない気がするのであまり心配していませんが、それでも気にかけてあげるのが私の役目だと勝手に思っており。そう思っていた時。私はなぜか体が震え始めると目の前に一人の男の人が現れる。
その人は、私のことを見つけると優しく抱き寄せてくれるので、最初は抵抗しようと思ったけど。私は彼の優しい手と顔を見て何故か胸の辺りが温かく感じ始めて、次第に安心し始めるので。このまま彼に抱きしめてもらいたいと私は感じてしまうのであった。
その翌日から俺はリディアと一緒に暮らすことになったので、リディアの父親と一緒にこの世界のことを色々と聞いて回ったのである。そしてまずはこの世界を救いたいと言ったところリディアのお父様は「この世界のことは私達に任せて欲しい」と言われたのである。しかし、この世界の人達だけでは絶対にこの世界を救うことが出来ないと、リディアの父親に言うとリディアの父親は俺の言葉に納得していた。なぜならリディアが魔王の子を産むことでリディアはこの世界の救世主になれるからだと言われてしまい、俺は一体何のために魔王を倒す必要があるのか疑問に思い。どうしてこの世界は救われないのかを質問するのだが、リディアのお父さんは何も答えてはくれなかった。
そしてその次の日に、この国では最も力を持つと言われる存在。大神官に呼び止められてしまい、俺がどうして魔王を倒したいと望んでいるのか問い詰められるので、俺は全て正直に答えることにすると、大神官に「貴公の実力を見させてもらうぞ。もしも実力が伴っていないと判断した時は、リディア様と共に国外追放してもらう」と言い残されて、リディアの部屋に戻ろうとしたらそこにリディアが立っていた。そのリディアは昨日までとは違い俺に冷たく当たるようになったのである。その事に疑問を抱いた俺はリディアのお姉さんに相談をすることにしたのであった。
リディアのお姉さんにこの事を告げると「リディアも年頃なんだから。優斗君が嫌いになっていく時期もあるのよ」と言われてしまった。それを聞いた俺は、やはりそういうものなのかと改めて実感することになる。リディアとの距離感を保たないとダメだなと感じた。そう思った時に俺はリディアが俺の事を嫌う理由を考えてみる。そしてリディアに好かれていると自信を持てる部分が一つもないことに気づく。その事に気づくと、俺はリディアから嫌われるようなことをしていないはずなのに。どうしてここまで嫌いになってしまったのか。そう考えると悲しくなってくる。そしてどうして俺はそこまで女性に拒絶されてしまうのかと考えるようになる。しかしいくら考えようとも、その原因については分からずじまいで。俺はその事ばかりを頭に浮かべていた。
それから俺がリディアに対して距離を取っていることを悟られたらしくリディアが「どうしてお姉さまに対してそんなに素っ気なくするのですか?」と聞かれてしまう。その言葉に俺はなんて答えればいいのか困っていた。本当の事を言うべきかどうか、迷ってしまったのだ。そうすると「やっぱりお父様に言われたことを気にしているのですね。そんなことを言われても私はあなたの事を好きになることはないと何度も言っているのに。もう放っておいてください」と突き放される。リディアに言われると心が痛くなるが、俺だって傷ついているんだからと。俺の方がもっと苦しいんだよ。という想いを込めていると、それに気づいたリディアは俺に向かって魔法を放ってくる。俺に魔法をぶつけてくるリディアの顔は怒っているように見えた。しかしリディアは、俺を本当に殺そうとは思っていなくてただ俺と話をするための口実だと言う事は分かっている。しかし今の俺にとってはその攻撃は命取りになってしまうわけで。その事が分かっていた俺はなんとかしてその攻撃を避けることに成功する。そしてリディアの攻撃を避けきったところでリディアはなぜか驚いていたが俺はリディアと話すのを諦めてこの場を立ち去ることにした。そしてリディアの傍から離れようとすると、リディアに腕を掴まれて。
それからしばらく時間が経って、私はお父様の元へ行くと、お父様が私にある人物について語ってくれる。その人物は私の幼馴染で、私の婚約者であり。私が勇者の血を引き継ぐ者であるという事を知る人物であるらしい。その人の名はリディアの両親と、私のお母さんを殺した犯人でもあると、リディアは言っていたが私はお父様を信じている。
そしてそれから数日後に、お父様は勇者と名乗る人物に負けてしまい殺される直前になって私は、勇者によって殺されてしまうが、そこで私の前に神が現れて、勇者と戦うために異世界へ召喚してくれると言う。
「お前に勇者と戦うチャンスをやろう。ただし条件がある。勇者と戦う際にお前が死ぬ前に一度だけ生き返らせてやる。だからそれまでに、リディアとあの男を殺してこい」と私に言い放った。
私はこのチャンスを逃すわけにはいかないと思い。リディア達を殺すことを決意したのであった。しかしどうやってあいつをリディア達の元へ送り込むかが問題であった。
リディアと俺の関係は悪化しており。この状態ではどうすることもできない。ならばいっそのこと俺はここから離れてリディアから離れた方が良いのではないかと思うようになり。そして俺はリディアとお姉さんの三人で、俺の世界で暮らしていた時を思い出す。
俺は彩奈が死んでしまって以来。ほとんど自分の世界に帰ることはなかったのである。その事から、リディア達はきっと今頃。寂しい思いをしていることだろうと思っていたのである。だから俺はリディア達に会いに行き。今までのことを話すことを決めたのであった。するとお父様が「それはいい考えだと思うぞ」と賛成してくれる。俺はリディア達に謝りたいという気持ちで一杯だったのだ。俺はお父様の許可を得ることが出来たのであった。そして、俺はお兄様の部屋へと向かうのであった。
私はリディアと話をすることに決めたのでリディアの部屋を訪ねると、リディアは私の姿を見て驚いた表情を浮かべた。それもそのはずである。お兄様はリディアに冷たく当たるようになってしまったからである。そんな私をお兄様が私の元に訪ねてきてくださったのだ。それだけで私はとても嬉しいと感じてしまいます。しかしお姉さまが居るせいか。なかなか本音を打ち明けられずに、お姉さまに聞こえないように小さな声で私はお話を始めることにしました。
「お久しぶりです。あなたの娘は無事。立派に育ちましたよ。あなたからの頼み。ちゃんと叶えましたよ。ありがとうございました」と、私はお礼を言っていました。そしてお姉さまの目の前に現れる。私はもう子供ではありません。だからこの姿を見せるためにお父様は私を子供の姿に戻してくれたのです。しかしお兄様は私が子供に戻ったことに対してとても驚かれたのです。私は子供じゃないんですよ?だからお兄様は私の成長した姿をもう一度見てほしいと思ってお兄様と二人っきりになれる時間を作ろうとしたのですが中々作ることが出来ず。私にとって辛い毎日を送っていたある日。
私がお姉さまに呼ばれてしまい、お姉さまと一緒にリディアのお母様のお墓参りに行こうとしていたのです。その時に私はふと、リディアのお母様のことを考えていました。お母様が亡くなったのも、私が生まれて間もない頃に病気で亡くなってしまったそうです。
私はリディアと一緒に街に繰り出していた。そして私と二人で歩いていた時のことです。急に私の胸の中に温かいものを感じるようになると、そこには懐かしい記憶が流れ込んできたのであった。これはもしかすると、お母様の記憶なのかと思っていると、リディアは「どうかされたのですか?」と言ってきたので。なんでもないと答えたのだがやはり何かがおかしい。このリディアの反応はあまりにも自然すぎる気がする。もしかしてリディアはお姉さんのことを忘れてしまったのかと。不安になっているとリディアのお腹に突然、子供が生まれてくる。
俺はリディアに赤ちゃんが生まれることを知らせに来たのだが、その時、俺の中で違和感を感じ取る。もしかするとリディアの子供を産んだ女性とは、この世界のお姉さんの可能性が高いのではないかと思う。だがそうなるとリディアとの約束を破ることになる。なのでそのことについても相談しておきたかったのだが、今はリディアのことが優先だと思いリディアに子供のことを伝えることにする。
するとリディアはとても嬉しそうにして。そして俺とリディアが一緒にお出かけしているところに偶然お姉さまと出会う。そしてその日の夜にお父様と一緒にお姉さまとリディアの三人で食事を取っていた時に私はお姉さまに相談をしようと考えて、リディアのお母様の話をする。するとお姉さまからリディアの母親の事を聞こうとして、私はリディアの母親がリディアを生んだときに病に侵されて、そのままこの世を去ってしまったという事を聞かされた。そしてその事について私がショックを受けて何も言わなくなったと思ったリディアが心配をして、「私のせいでそんなに落ち込んでしまい申し訳ありません」と言い始めたのである。私は慌てて訂正をすると、お姉さまは私の事を優しい人だと言われ。お母様に似ていたとまで言われる始末。私にとってはあまり嬉しくはない。私はそんなに出来た人間ではないからだと言いたいところだったが。それを我慢しながら、これからはお姉さんの代わりに私がこの家を守るのだと伝える。
すると何故か、お姉さんも協力してくれることになり、俺はこの家に住まわせてもらうことになった。俺はリディアの母親からもらったペンダントを取り出すと、それを見て不思議そうにしているリディアは俺に対してそのペンダントは誰からもらわれたのか尋ねてくる。その時に俺はリディアに俺の母と妹が死んだことをリディアに説明する。その話を聞いたリディアは悲しい目をしながら黙っていたのであった。その反応を見る限りではやっぱりリディアがお姉さんの事を覚えていないのは間違いなさそうだ。
俺はお姉さんの事が忘れられなかった。その事で頭がいっぱいで俺はお姉さんの事ばかりをずっと考えてしまうようになっていたのである。
俺の事をリディアと彩奈の両親に紹介したいという話をリディアに持ちかけると、お兄様はどうしてそんな事を考えているのか分かりませんと返されてしまう。それからお姉さまの様子が少し変わったように見えますが。まさかリディアがお兄様の事を意識してしまっていてお姉さまと張り合うための行動なのではないかと思ってしまいました。でもリディアは昔からそういうことをする娘ではなかったので多分大丈夫だろうと。私は信じていたのですが。
リディアと久しぶりに会うことができ。リディアから俺にプレゼントを渡され、俺がリディアと会って話をしたかったのはそのことだと、俺は伝えようとするが。どうやらいつの間にか俺は寝落ちをしてしまったらしく。リディアと話をしていた時の記憶が無いのだ。だけどリディアに抱き着かれて。そして俺はある事に気づく。このリディアの柔らかな肌の感触はまるで女の子のような柔かさなのだと。そのことから、俺はまだ夢を見ているのかなと思っていた。
そして俺とリディアの関係が悪化して。それからしばらくして。リディアとお姉さんに、リディア達のお母さんのことやリディアと過ごした思い出を話す機会が訪れて。リディアのお母さんについてお話しすることができた。
「お義母様。私とっても幸せですよ」とお姉さんが笑顔で言うとリディアは複雑な表情を浮かべながらも「良かったわね。彩奈」と言っていた。その光景を見ながら俺は心の中で彩奈のことは絶対に忘れないようにしようと心に決めたのであった。
「勇者の件については任せろ。必ず勇者を殺してやろう。だから安心しろリディア達は何も気にすることはないぞ」と、言う。リディアの願いを叶える事は出来なかった。しかしその代わりと言っては何だが。勇者を倒す事は出来るようになったのだ。これで問題は無くなったはずだろう? リディア達は、私の提案に驚いているようだった。しかしすぐに、勇者を私一人で倒してくるから大丈夫だというとリディア達はかなり心配していたがそれでも私を信用してくれると言ってくれたのであった。しかし私にも勝算はある。まずは念動のスキルを使うのだ。そして次に、この力を使って、自分の姿を別の誰かに見せれば、恐らくリディア達と敵対していると思われる人物は間違いなく勘違いをする。その隙を突いて私はリディア達に攻撃を仕掛けてリディアの誤解を解けると思うのだ。後はその時に、私はリディアをこの世界に送り込むことに決めるのである。
私は今、お父様と一緒に、王城へと向かい。そしてリディアとお姉さまの三人で、お母様のお墓参りに向かったのである。その途中で、私はリディアの表情が暗く、そして何か思いつめたような表情をしているのを見て気になった。しかしその理由が分かるのはもう少し先になってからであった。
お父様が、王都に着いた後に、私の頭を撫でてくださったのです。その手はとても優しく温かかった。
リディア達はお母様のお墓に向かってお祈りをするのと同時に、お母様の墓標に私とリディアが親子であることを説明してくれる。お姉さまも自分の事をお母様と呼べと言うのだがお姉さまに言われても正直あまり嬉しくはなかったのは内緒の話である。しかしお母様もきっと許してくれると思いながら私はこの場にいるお母様と、リディア達と一緒に楽しくお話をしていた。
しかし私達は知らなかったのである。お母様のお墓にはもう一つ。大きな石が置かれていて。そこにはお母様とよく似た名前の文字でリディアと書かれているのであった。
「ねぇ、リディアのお母様。この子は一体誰なのかしら?」
お姉さまの口から突然発せられた言葉を聞いて私は困惑してしまうのであった。この子は私と同じ名前の女の子ですけど。お姉さまはこの子を知っているのですか。もしかしてお姉さまの隠し子とかかと思ったのだがお姉さまは「違うよリディア。これはお父様があなたに残したメッセージだよ」と言い出したのである。私はこの子のお母様を知らないので、どういう意味なんだろうかと思っていると、リディアのお父さんがリディアのお母様の名前が書かれた石を指差し。リディアちゃんのご先祖さまである女性の娘で君の妹であるということを説明した。
私はリディアと一緒にお風呂に入ることになると、私の胸を見たリディアに、私の方がリディアよりも成長していますからと言われてしまい私は悲しくなった。そのあと私はリディアに私の胸はまだまだ成長するんですからと言われてしまい、私はリディアが私より大きくなっても負けないんだからと言い返したのであった。リディアと仲直りが出来たので私は凄く嬉しかった。
私は、私とリディアのお母様に、私の本当の家族のことを聞きたかったのでお姉さまの所に行く前に私はこっそりお母様に近寄ると私はお姉様に、私のお母様のことを聞いたのであった。するとお姉様はリディアに、あの石に刻まれていたリディアという文字の意味を説明する。その説明が終わると、私はどうしてお姉様はお母様の名前を刻むのかと尋ねたのであった。お姉さまの説明によれば、お父様とお母様は恋仲だったらしくて、その二人の間に生まれた子供がリディアであり。そのリディアが、お父様と結ばれた女性の娘であるから、私はお母様と血縁関係のある存在でもある。そしてリディアがこの世界に来られたということはリディアは異世界に転生している可能性がある。その可能性を信じてリディアの苗字と名前を彫ることによってこの世界に来たときにすぐに見つかるようにするのと、もしもリディアが自分の意思で、リディアの世界に戻ってくるときが来た時のためにその時にわかるようにするためのものだと説明したのである。私はお母様から貰ったペンダントを手にするとそれを眺める。お母様の形見のペンダントを私はとても大切にしていた。そして私はお姉さまにそのことについて感謝の言葉を述べたのである。
そして私はお母様のことをよく知らないのは事実だが、私にとってはお母様の生まれ変わりが、目の前のリディアだと言われた私はお母様の気持ちを理解したいと思って、私はお母様に私なりに精一杯お礼を言うと。
「あら嬉しい事言ってくれるじゃない」とリディアが言い出して。
私は、私はただ、お母様に少しでも恩返しがしたいと思っただけですからと答えると、お姉さんが、私がお母様ならそんな事を言わなくてもいいと注意する。でも私はお姉さんが言っていたことを、少し羨ましく思えたのは言うまでもなかった。
そして私とリディアは二人で一緒にお姉さまにお願いをして、リディアをリディアが元々暮らしていた世界に送り込む事を許可してもらえるとリディアが嬉しそうにしている姿を見て、本当によかったなと思えてきた。それからしばらくしてリディアは元の世界に戻るための方法を見つけるために王城に出かけてしまったのである。リディアが居なくなった後にお姉さまと一緒にお話をした。私はリディアと、これから先ずっと一緒だということを伝えたらお姉さまが、「それはどうかしらね」と言ったがそんなことはないと反論をしたら「私だって、リディアとはいつまでも仲良くいたいと思っているわよ」とお姉様は言うのであった。そして、しばらく雑談をした後、お兄様に会いにいく事にしたのでした。
俺はリディアの事を抱きしめる。リディアも俺の事を受け入れてくれたみたいだし。これでもう大丈夫だと思い。俺もそろそろ部屋に戻って休んでもいいかもしれないなと思っていたら、俺がリディアの部屋から出ていこうとしたタイミングを狙われてしまう形で俺達はリリアと遭遇する事になった。俺達はどうやらお互いに会うタイミングを間違ってしまったらしく。お互いに顔を見合わせていたが。そこで俺はリディアからリリアに話しかけてくれないかと言われてしまう。
俺は今、彩奈と俺の関係をリディアと彩奈の母親である明菜さんに伝えたのだが彩奈の事を思い出すと心苦しくなるなと感じているのだ。そして彩奈と別れてからもう三年経っているんだよな。彩奈と初めて会ったのが五歳の時だから今は九歳になるのかな。それから俺は真央と会っていないけれど。元気にやれているかな? 俺が今思えば真央も彩華と似たような年齢のはずなのにあいつは何であんなにもしっかりしていているんだろうか。
「それで勇者様。私達をお呼び出しなさった理由を教えて頂いてもよろしいでしょうか?」
俺はそのリディアの言葉で俺は、まだ話していないことがあったと気が付き。彩奈の話をする事にしたのであった。リディアは彩奈の名前を聞くと驚いたような顔をする。しかし、すぐに真剣な表情に戻ると「リディア、彩那の事が好きなの?それとも妹のことが心配になった?」と尋ねられる。リディアに彩那のことは、家族だと伝えると、私達と同じですねと言われて納得をしてくれたのだ。だからリディアも彩奈の家族の一員であるということを話したら、リディアは凄く喜んでくれたのだ。
しかし彩奈の話をしているとやはり思い出してしまうな。リディアのお母さんと、リディアの父親との話は衝撃的だった。リディアの父親は、自分と結ばれなければ。リディアを幸せにすることは出来ないと理解していて、そして自分の立場と、リディアの立場の両方を守る方法を取ると決断を下したのであった。
俺は、リディアのお父さんとお母さんが愛し合っている事は凄く理解できる。だけどもリディアはリディアでやっぱり自分の両親と暮らしたいと願っていて、リディアはリディアでリディアが産まれた時にすでに両親が離婚をしていたらしく。
その時に、父親に引き取って貰えるはずもなく。母親は父親の家に預けられて育てられたそうなのだが。その母親も、再婚をした男性との間にリディアは生まれてしまって、母親の新しい夫は子供を産むことが出来ない体だったので。そしてその義理の母は子供を身ごもってしまったので。そして義母の夫が出産の時に亡くなってしまい。
残されたリディアが、施設で暮らすことになった。
しかし、その施設の環境は決して良いものではなかった。食事も最低限の量しかもらえないし。職員に、暴力を振るわれたこともあった。そして何よりも、自分がリディアに何もできなかったせいで、大切な娘を傷つけて辛い思いをさせてしまっていたと、自分を責めていたのである。リディアの母親は、リディアの父親に迷惑をかけたり、悲しませない為と自ら命を絶つことを決意していたらしい。
だが、そこにたまたま居合わせた、リディアンの父親に説得されてしまい。自殺をやめることにしたのだという。リディアは父親が大嫌いだと言い張っていたが、リディアはその実。リディアの父親は心の奥底では大好きであったのだと思う。しかし、リディアは素直になれなかっただけなのだと思う。そしてそんなリディアだからこそ俺は放っておくことはできなかった。そんな俺の心の中を見透かされたかのようにリディアはこんなことを口にしたのである。
「私なんかに気を使わないでいいですから」
リディが何かを言いかけていたが俺の耳にその言葉が届くことは無かったのであった。そしてリディアが突然倒れてしまう。慌てて駆け寄ろうとするとリディアに手を掴まれ。そして俺は引き止められた。そのあとリディアが倒れたのは、精神的に限界を迎えた結果だった。そして、リディアは自分自身に呪いをかけていると口にしたのであった。俺はどういうことなのか尋ねるとリディアは答えるのであった。
リディアには魔力があるということと。リディアは自分の体に眠る魔族の力を制御できていないので、それを無理矢理押さえ込んでいるのが現状だと言うと、この状態のままいるとリディアは死んでしまうと言われたのであった。このままではいけないので俺はとりあえずリディアがこれ以上無茶をしないようにと注意をしてあげようと決めるのであった。リディアが俺を信用できないならそれでも構わないけど俺は俺のやり方で何とかして見せると。
俺はこの国の王城にいる人達から見れば招かれざる存在なのは百も承知だが。リディアの味方をすることに決めた。だから、リディアに俺のスキルの力について詳しく説明すると、俺がリディアを助けると約束し、リディアも俺に協力すると言ってくれるようになった。これでどうにかリディアを救う事が出来る。そう思うことにしたのだった。
そしてその後、リディアにどうして異世界召喚に巻き込まれたのかを尋ねられたが俺はリディアがどうして巻き込まれたのかがわかっていたし。それに、彩奈が、俺が召喚されるきっかけを作ったんだと説明しようとしたら。リディアがそんなことをするわけないじゃないですかと怒られてしまった。俺はリディアの言葉を信じていなかった訳じゃなかったが一応は彩奈が、どうして異世界に呼ばれたのかという経緯を説明した。
それからしばらくすると俺達がリディアの部屋から出たタイミングで俺達のところにお母様がやってきたので。俺はお母様にお願いをしてみることを決める。それはリディアと一緒に元の世界に戻りたいという話である。その話をした瞬間お母様が、私達と一緒にリディアの世界に行きたいというのである。当然反対をされるとは思っていたのであるが。お母様がどうしても行きたいと口にするのであった。お母様はお父様の事を忘れたくないのだと思った。しかし、俺達はリディアの故郷に帰ることになる。そしてそこで俺達は元の世界に戻ろうと考えている事をお母様に告げると、お母様から元の世界に戻る方法があるという話を聞いた俺達は驚いた顔を見せるとお母様も申し訳なさそうな顔をしていた。どうやらその方法が、この世界で誰かと結婚して、子供が出来た状態で元の世界に帰還する方法だったのだ。
だから、俺は元の世界に戻ることをお母様に話したところ、お兄さんはお姉さんと一緒に、彩奈さんの所に行ってくれないかしらとお母様は言う。
確かにお姉様と一緒に彩奈と会う事が出来れば俺は彩奈に会う事ができる。しかし、お姉様と一緒に、彩奈と会いたいと思っているがお姉様の事情を考えると、彩奈を、お姉様の元に連れて行く事は難しいのである。だから、彩奈に会うためにはリディアに協力して貰わないとダメだろう。リディアに、お姉様の事情を説明すると、リディアはすぐに俺のお願いを受け入れてくれたのであった。お姉様はお姫様なのであまり公に姿を現す事は出来ないため。リディアを、私の専属の護衛として雇う事で。彩奈の元に行く事を許可してくれたのである。リディアは、俺が彩奈に会いたいと話すと。すぐにリディアが俺に協力をしてくれると言った。そしてリディアと彩奈の母親と父親が会えるようにセッティングをしてくれたのだ。そして俺と彩奈の母親とリディアとリディアのお父さんが会う場所が決まったのだ。そこは彩奈の母親とリディアの父親が出会った公園の近くのカフェテリアのテラス席である。そして俺は彩奈とお母さんに、会ってみたいと話したら、彩奈は喜んで受け入れてくれて、彩奈がお母さんに頼んでくれることになったのだ。しかしお母さんの体調が悪くなった時に、リディアが彩奈に連絡を入れて彩奈が彩華の所に来れるようにと手配までしてくれていた。そして、リディアは彩奈が、自分の母親の病気を心配してくれて嬉しかったと話していた。
それから俺は、俺達をリディアに預ける際にリディアの両親は彩奈と俺達を対面させる為に時間を取ってくれている。だけども、もしもその時が来たとしても彩奈と彩華は、俺と彩奈の関係を知ってしまったので、お互いの気持ちが変わってしまったかもしれないな。だけども、彩奈は絶対に彩奈の本当の気持ちを聞いておかないといけないよな。俺は、その前に彩奈を連れ戻しておきたいと心の底から思ったのであった。
リディアとリディアのお母さんが仲良くなれるように協力をし、これからは彩奈の母娘を、この国に招いてあげることが出来るようにする。そのためにも早く彩那を見つけて彩那が無事かどうかを確認しなければならないなと思っていた。
そして今、俺はこの城の庭でリディアのお兄さんと二人で向かい合っているのだが、正直リディアの兄のことがよくわからないのである。しかし今思えば彩奈もリディアのことをあんまり知らないのに、俺と恋人になってくれたのかと考えると凄く不思議な話だよなと思ってしまっている。リディアは本当によくやってくれたのだと俺は実感してしまう。リディアに改めて感謝したいと思う。しかしリディアのお父さんのことが気になる。
一体何者なんだ?俺が気になりながらお爺ちゃんに視線を向けると、お爺ちゃんは何も言わずに首を振っているのであった。俺はリディアのお父さんは俺が想像をしている以上に厄介そうな人だと感じていたのであった。
リディアの父親について考える俺にリディアが声をかけてくれる。その言葉を聞きながら俺の頭の中では先程、リディアに言われたことを考えてしまっていた。そして俺はお祖父さんに声をかけられたことによって意識を戻す。するとリディアのお父さんが話しかけてきた。
「初めまして。私はレイナと言います。君はあの時の子供だね。久しぶり、そして元気そうで良かった。君の名前は確か、ユウキくん、でよかったかな?」
俺はいきなり、初対面にも関わらずに名前を言い当てられて驚きながらも、俺は返事をする事にしたのである。
「そうですよ。えっと貴方はもしかして」
俺はこの国に来てからずっと思っていた疑問を口にすることにした。
「あぁ。私もこの世界の人間ではないんだ。それで今は国王をやらせてもらっているんだよ」
「そうだったんですか。てっきりどこかの国の王さまがこちらに迷い込んで来ただけだと」
俺は目の前の人物がリディアのお父さんであることを理解したのである。俺はリディアが異世界召喚に巻き込まれた経緯を知っているので納得することができた。俺達が会話を交わしていく中、俺と王様の会話が一段落ついたところでお母様とお兄さんがこちらにやってきた。そして、俺はリディアとお母様と一緒に、異世界召喚の話をすることにし。俺はお母様に俺と彩奈の関係を知られてしまうが。お母様は俺を叱るようなことはしなかったのである。むしろ、今まで彩奈と会わせてくれなかった事を謝ってくれた。そして彩奈も俺のところに行きたがっていて。彩奈に、俺のところに行かせてあげられたらいいんだけどと言ってくれるのであった。彩奈は俺が異世界に来たことなんて信じていない筈だし、それに、俺の居場所もわかっていないだろう。
それに、俺の方こそ。お母様と、彩奈のお母さんを一緒に連れて行く方法は無いだろうかと考えていて欲しいがいい案は思いつかないのである。お母様達が、異世界に来るには俺と彩奈がこの世界で結婚をしてからしか無理だと思うんだ。しかしお父様の話によれば、リディアには俺の事が見えないようであった。これは、彩奈も同様だったんだ。お姉様と、お母様と、彩華はどうなのかはまだ確認できていないけど。多分俺と彩奈にしか見ることができないんだろうなって。そして俺はこの世界で結婚したら、彩奈も、元の世界に戻る事が可能なのではないかと考えたんだ。でも俺はお父様から異世界召喚の事について聞かなかったし、お母様も知らなかったと言っていたし。お兄さんにだって俺達の事は伝えてあるが、異世界召喚については、お兄さんも、リディアがどうして、お姫様なんかをやっていけてるのかとか、どうしてリディアに魔族の力が残っているんだと、色々と考えていたんだ。俺はそんな事を考えていると俺の考えにお母様が賛同してくれたので俺はホッとした。
お母様達は、リディアが異世界召喚された経緯を話したおかげもあって俺達の事を信じてくれているのであった。俺はお母様とリディアが、仲良さそうにしている姿を見て少し嬉しく思うのであった。俺は、お母様達に彩奈の事と、彩奈が生きている可能性を伝えたが。やはりまだ確信が持てないため俺が彩奈の事を詳しく話しても信じてくれるかどうかわからない。ただ俺達が異世界からこの世界に戻ってきたときに彩華はリディアを見ていたらしい。だからリディアは彩華と、お母様とお姉様とリディアが一緒になっても問題ないはず。
俺の話を聞いた、リディアと、リディアのお母様は彩華を呼んでくることにしてくれる。そして彩奈は異世界召喚されてすぐに彩華の元に行こうとしたが。リディアと俺達の世界では時間の流れ方が違う為。俺達のいた時間は異世界の時間よりとても長い。だから彩奈は、俺達の時間の中で10年間眠り続けていたのだ。だからこそ、彩奈の年齢は16歳のままだったという事だろうな。そして、彩奈が眠りについている間はリディア達の世界も時間が進んでいたようで、彩奈が眠りについた後に、お父様達がいた世界とこの世界を隔てる扉が現れ。そこからやってきた人間がこの世界に侵略をしてきた。お父様達はその侵略者の事を勇者と呼び。そして彩奈が眠っていたのも、この世界での時間で3年くらいであると教えてくれたのである。俺の推測だと彩奈の年齢は17歳で成長が止まってしまったのであろう。そして彩奈が眠っている間にこの国が滅ぼされる寸前まで行ったことがあったがリディアが機転を利かせたことでどうにかこの国は救えたのである。その事から彩華の母親がこの城でリディアの母親と共に過ごして、その後リディアのお父様と結婚した。そして生まれたのがリディアであり。さらに彩菜であると聞いている。
そして俺はお兄さんとも話をしてみるが。俺の言葉だけではリディアのように信じてもらえず、しかも俺は異世界から来たということを言っても信じてくれない始末で、困った状況になってしまった。そこで俺はこの国の王様と俺とお兄さんでリディアに頼み込んで。俺は彩奈の写真をお兄さんに見せてもらうことにした。
すると俺の顔を見ただけで俺の言おうとしていることをわかっくれたようだ。リディアがお兄さんと、俺を二人だけにしてくれたので俺は写真を見せて貰うことに。そしてそこには幼い彩奈の姿があったのである。俺の想像通り。彩奈は幼女になっていた。俺はこの世界でも彩奈を見つけることが出来た喜びを噛み締めていると。彩奈がお兄さんと話している時に。俺が写っている写真がある事に気づいた俺はリディアに頼んで写真を一枚撮って貰った。その写真は俺と彩奈だけが笑顔で映っており。その写真をみた俺はすぐに彩華の部屋に向かったのであった。
俺は、お姉さんがいる部屋の前まで来るが中から人の気配を感じることはできなかった。だが中に誰かがいた痕跡はある。
俺はこの部屋に、何かヒントが無いか探していると机の上にメモが残されていた。そこに書かれてあった内容を見て、この部屋の持ち主が、この部屋を出て行ったのだろうと俺は感じ取った。しかし彩花とリディアがどこに消えたのかは分からないまま。俺は一旦この国にいるはずの、お父様や、リディアのお兄さんを探しに行こうかと思い。その場を去ろうとすると彩花のお母さんに、俺が持っている写真を見せてほしいと言われたので俺は彩花と一緒に撮った写真を渡したのであった。
そして俺は彩華がいなくなった事で、お父様もお兄さんもこの城にいない可能性があるのかもしれないと思うと、急いで探さないと大変な事になる気がしていた。
しかしリディアに彩華のことを任せれば大丈夫だとは思うが心配だった俺はリディアに相談すると、俺に付いて来てくれることになり俺達はこの城を探索する事に決めた。
俺はこの城内の、人を探して歩いているとお父様とお兄さんを見つけた。俺は二人が俺に気づいて近づいてきたところで俺は二人に向かって話しかけることにした。
「あの、リディアに聞いたんですが、俺達が異世界召喚された後に何が有ったのかを話して欲しいのです」
俺はそう言うとお二人は俺がリディアから俺と彩奈が異世界に召喚されていた事を聞いていた事を思い出して納得してくれたようです。そしてお父様は俺に何が合ったのかを説明し始めたのであった。俺は彩奈を探す手がかりになればと話を集中させて聞くのであった。
彩奈が消えてから俺はお姉さんの捜索を始めた。彩花は俺が探し回っている最中に見つけたが、彩奈は一向に見つからなかったのである。そして俺はお祖父ちゃんの家に行ったりして情報を集めてみたり。彩奈の行方についての情報を求めてお祖父様の知り合いを当たったりしたが有力な情報は手に入らないのであった。
そんなある日、俺の所にはリディアが来たが、俺は異世界に飛ばされた直後のリディアとの会話を思い出していた。確か、お兄さんは、俺の目の前で姿を消したとリディアから説明を受けていたからだ。俺の頭の中に、お兄さんとリディアは一緒に行動していたんじゃ無いのかという疑問が生まれ始めていた。俺はお兄さんとリディアを疑うような事は考えたくないと思っていたが。お兄さんはこの世界にはいなかったはずだ。そして、リディアと一緒なら異世界の狭間に落ちたお兄さんが生きているわけがないんだ。それなのに何故俺の前に姿を現したのかがわからなかった。俺はお姉様とリディアに会って話がしたいと思い、彩奈の事も相談するために彩華に会いに彩奈の元に行くことにした。彩奈に会うためにはお姉様の許可が必要みたいだけどな。彩華も俺と彩奈の関係を知ってしまっている以上仕方ないだろうが俺にとって彩奈の存在は家族も同然なんだ。俺にとっては一番大切で愛しい存在である彩奈の事が、俺とリディア以外にわかる人間が現れたのならば俺はその人物の事を信じる事が出来ると思っているんだよな。俺は、そんな事を考えながら彩奈が眠る場所に辿り着くことができたのだ。俺は彩奈に声をかけるが反応はなかった。やはりまだ眠っているようだった。俺は彩奈を早く起こしたいがために。どうすれば彩奈が起きるのかを考えていたのだが何も思いつかなかったのである。
それから俺は彩華の部屋に彩奈の意識を戻すためにある道具を取りに向かっていた。それは、俺が異世界召喚される前に通っていた高校で使っていた物だ。俺はその高校から持ってきた、ペン型カメラを彩奈の所に持っていき彩奈に向けてシャッターを切る。するとフラッシュで俺と彩奈の周りに光のサークルが出来る。すると彩奈は目覚めて。そして俺を抱きしめたのであった。俺も彩奈の事を強く抱き返したのであった。俺はもう二度と彩奈を一人にしてはいけないと心に誓っている。そして俺と彩奈の感動の再会の邪魔をしたお父様達には、俺がこの世界で生きてきた10年間を彩華が体験したことをお父様と、お兄さんに伝えてもらい。そしてお兄さんは俺達兄妹のために動いてくれることになったのである。
俺と、彩奈はリディアとお母様達と共に、俺達が召喚されて、すぐにリディアのお兄さんからこの世界に来て欲しいと言われて城に来たらしい。そしてリディアの兄貴と王様の話し合いの結果、俺はリディア達のいた世界に旅立つ事になったのだ。そこでリディアは、彩奈は眠りについたままなので俺と彩奈は別々で生活してもらうことになる。リディアもリディアのお兄さんも、お姉さんも、この世界の住人として暮らしてもらうとのことだった。お母様と、お父様と彩華はお留守番をして、この世界の管理をして欲しいと言われた。俺は彩奈とはしばらく離れることになってしまうのが辛かったが俺はすぐに、俺達のいた場所に帰ることができると信じて俺は、お父様達にお別れを告げるとリディアとお兄さんと一緒にゲートを通ってこの世界とリディア達の世界を繋ぐゲートを使ってリディアとお兄さん達と俺達が住んでいた世界に戻っていく。そこで俺はリディアと別れる事になり俺はお兄さんと一緒にリディアの故郷に向かうことにしたのである。
俺とリディアがゲートを使い移動した先はお兄さんがリディアの故郷の王都と言う街に到着したのだ。そしてリディアと俺もそこに向かうことにした。俺が着いた時は夜だったが、俺達が到着した事に気付いた王様やリディアのお姉さん達が出迎えてくれていたのである。王様からは色々と質問を受けた。俺は彩奈と別れた事を伝えて彩奈が眠りについた原因と、異世界転移の仕組みを説明したのだ。すると王様は彩那のいる城に向かい、リディアの父親とリディアの姉がこの場に残ることになった。
そして、俺達はお兄さんに俺と彩奈はこれからこの国の勇者扱いになる事を伝えられ。そしてこの国の王族として俺達をこの国の一員として歓迎すると言っていた。俺がどうしてこの世界に戻ってきたのかと尋ねると、彩花がこの城で寝ている間にこの国にも異変が起きていたらしくてリディアのお兄さん達はその問題を解決するために奔走していたという。そして俺と彩奈をこの世界に残していった理由をお兄さんが俺達に説明する。俺はその話を黙って聞くことにしたのである。
リディアのお兄さんが話してくれた話は、まずこの国は勇者と魔王が戦うという言い伝えがあったそうだ。しかし、ある時から、ある事件がきっかけでリディアの国は侵略を受けて、今では俺と彩奈をこの国に呼び寄せる前にこの国は滅びようとしていたらしい。その時にリディアがお兄さんとリディアの父とで力を合わせて侵略者を撃退したことで今の平和な状態が続いている。しかしその代償も大きくて。今は復興の最中であり、リディとのお姉さんの容態が良くなくこのままでは命を落としてしまうのは目に見えていたので。俺の力を借りたくて、俺がこの世界にやってきた時にはすでに手遅れだったらしい。リディアはリディアで自分を助けてくれた人達が苦しむ姿をこれ以上見たくなくて自分の意思を無視して行動を起こした。しかし、彩奈と俺が一緒に暮らすようになってからリディアの心は癒やされていたのだという。
俺がリディアの話を聞いた後、俺は自分がこの世界で暮らしていた時の記憶を取り戻そうとしたのだが何故か全く思い出せなかったのである。そのことにリディに問いかけるとリディアはこの世界にくると元の世界の記憶を失ってしまうと教えてもらった。そして俺達はお兄さんに案内されたこの城の一番高い建物に向かったのであった。そこにはリディアとお姉さんの姿はなく。そしてリディアのお父さんも姿を消しており。残された俺達は仕方なくリディアとお姉さんを探すため。そして彩奈ともう一度出会う為に俺は行動することにしたのであった。
私はリディアにお姉ちゃんのことを託した後はお兄さんに連れられてこの国で一番の高さの建物に向かうのであった。そこに辿り着くとお兄さんから衝撃的なことを言われたのである。私とお姉ちゃんは双子なのだが、その事を知らなかったのだ。
そしてお姉さんの名前だがお姉さんは彩華という名前だった。私も名前を教えてあげたら彩華お姉ちゃんはとても驚いていたのでどうしたのか聞くと彩華お姉ちゃんは私が眠った後にお兄さんとお姉ちゃんの二人がこの世界を救っていたことを知りとても驚いたのである。
それからお姉ちゃんの部屋まで行くと彩奈ちゃんはお姉ちゃんのベットで眠っており、私は彩奈ちゃんを起こすと泣き出した。そして彩奈ちゃんは、お姉ちゃんにお礼を言っていて。彩奈ちゃんはお兄さんと二人で異世界の扉でリディアのお兄さんがいる所に行って来たと彩奈ちゃんから報告を受けた。
リディアのお兄さんに会って話をしたところ。リディアとリディアのお兄さんがこの世界を救ったと聞いてお姉ちゃんは信じられないと言った顔をしていたのである。
その後お姉ちゃんは、お兄さんと一緒に、この世界で彩華お姉ちゃんに彩奈のことを任せることにしたのだ。そうする事によって、彩奈の体が元に戻れば。きっと、お兄さんは元の体に戻る事が出来るはずだと。お兄さんはお姉ちゃんが眠るように息を引き取ったと伝えて来て。お兄さんも、この世界に残り。彩華お姉ちゃんと、一緒に彩奈を守って欲しいと言われたので私はお兄さんに頼んでみたのだ。
彩奈ちゃんをこの世界に残したままだと。またいつ狙われるかわからない。なのでリディアのお願いもあり彩奈の意識を目覚めさせることにした。そのためにお姉ちゃんに彩奈ちゃんの部屋に通してもらって、お姉ちゃんはリディアと一緒に異世界の扉を使いリディア達が住んでいた異世界にお姉ちゃんと一緒に移動した。そこで、私はお姉ちゃんと別れた後は、お姉ちゃんと彩奈の意識を戻してもらうための装置を作り始めるのである。それから数日の間。彩奈は眠ることになり。その間、彩奈の事を彩奈とお姉ちゃんに任せることになったのだった。そして彩奈とお姉ちゃんには異世界の狭間にいるお兄さんと彩奈のお兄さんが来てくれていた。そこで私は彩奈を起こそうとするが、どうしても起きなかった。そこで彩奈と一番相性の良いお兄さんなら彩奈を起せると思ったのである。私はリディアから彩奈に意識を戻すためのお札を渡してもらいお兄さんを呼ぼうとしたのだ。お兄さんを呼んでお姉ちゃんには部屋を出て行ってもらうことにした。その方がリディアも気が楽になると思ってのことだ。そこで、お兄さんにお兄さんとお姉ちゃんにはこれからの彩奈の事を話してもらうことになったのである。
彩華さんとお話しをしていたら、突然部屋の窓が割られた。僕は咄嵯に彩那さんを守る体制に入った。しかしそれは、無駄なことに終わったのである。何故ならば僕が守ろうと、身構えたと同時に何者かが僕の方に駆け寄りながら剣を振りかざしてきたからだ。そして、彩華さんを斬られるかと思いきや、その一撃を防いだ人物がいたのである。
それはリディアのお兄さんで彩那さんのお兄さんだった。彼はこの世界に来て、彩華さんを助ける為に行動しに来たと言うのだ。そして彼が、彩那さんを守るためにお姉さんが眠っているこの世界に来たということを聞いて、納得したのである。そしてお兄さんが、僕に彩奈さんに何があったのかを聞きたいと言う。僕は彩奈さんに何が起こったのかを説明して。そして彩奈さんを救い出す方法を説明したのである。その方法は、彩華さんを彩奈さんの側に寝かせる事と。お兄さんと彩華さんがこの世界に来る前に彩奈さんのお兄さんとお兄さんがこの世界に戻ってくるまでに作っていると言っていた彩奈さんの魂をこの世界に引き寄せる機械を使えば大丈夫だと思う。だからまず彩花さんとお兄さんと三人でこの国を立て直して欲しいと伝えるとお兄さんは何かを考えていたようだけど、お兄さんは彩奈の為に行動すると言うのである。そこで彩花さんをこの世界に呼んだ理由は彩華さんがリディア達の世界を救う為の切り札であり、その彩華さんはもう亡くなってしまった事を伝えて、彩華さんをこの世界に残しておくと危険だと言うことを伝える。
お兄さんは少し考えていたが彩華さんを連れて行くと言う決断をして。そしてお兄さんとお姉さんと別れたのである。そしてお姉さんとお兄さんがいなくなった後に彩奈さんの様子を見るために彩華さんの部屋に向かうとお姉さんは彩奈さんの体を大事そうに抱えていた。そして、彩華さんに彩奈さんをベッドで横にさせた方がいいと告げると彩奈さんをお姉さんに彩奈さんの部屋まで案内するのである。そして僕はお兄さんにお兄さんが今、作って待っている彩奈さん専用のお守りの事を知らせてからお兄さんと別れ。リディアにこの世界の状況を尋ねた。
リディアはこの国で起きた出来事を教えてくれたのである。お兄さん達とこの国の現状を知った。お兄さん達はこの国の王族や貴族の連中に対して激しい怒りを覚えたようでこの国の人達を全員皆殺しにしようとしていたらしい。それを止めたのはリディア達の父親らしい。しかしリディアの父親はこの国の国王や貴族達に復讐をしたいというお兄さん達を止めることができなかったと悔しい気持ちを吐露したのである。そこで、お兄さんと彩奈さんをリディア達の国に呼ぶことをお兄さんと決めた。その時にリディアがリディアのお姉さんにこれからこの国に起きるであろう惨劇を予知で見たらしいのだ。その光景は悲惨なものだったらしくリディアが見たくないと思うような光景らしい。しかし、リディアのお姉さんはその未来を見届けることを選んだのだ。
そしてお兄さんは、この国に異世界の扉を使って、リディアのお兄さんと彩奈さんの二人でリディアの世界の勇者の力を宿した彩奈さんの兄を連れて戻ってきた。そして彩奈さんとお兄さんと彩奈さんが目を覚ますと。リディアが、彩奈さんの意識を覚醒させ、そしてお兄さんがこの世界での彩奈ちゃんの体とこの世界に来た時にあった肉体と精神とを融合させることにしてくれたのである。その事でリディアとお兄さんは彩奈さんの肉体と魂が元の状態に戻り。この世界で目覚める事ができたと。リディアのお姉さんと、リディアが教えてくれたのである。その事にお兄さんはリディアのお母さんにこの世界に呼ばれた経緯を教えてあげてほしいと言ってくれた。
私はお兄さんに言われた通りにお姉ちゃんに事情を説明するとリディアがこの世界から異世界に戻る準備を始めた。そして異世界に帰るための儀式をするために、この城で一番高い場所に移動するのであった。そこにはお兄さんがいて私達は儀式の準備を始める。お兄さんはリディアに私と彩奈ちゃんがこの世界にやって来た時にお兄さんが使っていた武器を持ってくるようにお願いをする。リディアはそれに応えて異世界に行くための入り口を開いた。そして、お兄さんは自分の持っている武器を取り出してその刀を天に掲げる。
そうすると、お兄さんは異世界の扉に消えていったのである。
それから数分の間私はこの部屋で彩華さんと話をしていた。そうしているとお兄さんが現れて私達の元に駆けつけてくる。そして私はリディアに頼んで彩華さんに異世界の扉に入ってもらい、彩奈さんが目覚めるまで異世界で生活してもらうことにしたのである。その事を彩華さんに伝えるとお姉さんが彩奈を抱きしめている姿を目にして、私はリディアと一緒に彩奈さんの部屋に向かったのである。そして彩奈ちゃんは目覚めるとすぐに私の顔を見て涙を流すと泣き出してしまったのだ。
その後私はリディアにリディア達が住んでいる世界と繋がっている異空間を開いてもらったのである。私はその世界に行き。リディアのお姉さんやお姉さんの母親にこの世界で起こったことと、お兄さんのことを全て伝えたのだった。そこでお兄さんは、この世界で死んだ人間として登録されてしまった事を聞いたのである。お兄さんは自分がこの世界の住人じゃないと言う事を知っていてそれでもお姉さん達を助けるためにこの世界に残ることを決めてお兄さんとお姉さんは彩奈さんの側で生活するようになったのである。そこでお姉さんは彩奈ちゃんを鍛え上げる為に訓練をしたそうだ。その結果、彩奈ちゃんも相当な実力を持っている。私は彩奈ちゃんがこの世界に来てからこの国に訪れた。そしてお兄さんが異世界に帰って来た後、お姉さんと二人っきりで話がしたいと言われ。私は彩奈ちゃんと彩奈ちゃんのお兄さんを異世界に送り返したのである。それから、お姉さんと私は話を続けた。そうしていく内にお互いの話も終わり私はリディアのお兄さんと一緒にリディアの世界に戻っていったのである。
リディアは、お兄さんとお姉さんと異世界で生活をしていて。お姉さんがお姉さんのお姉さんやリディアのお姉さんに私がお兄さんと彩奈ちゃんのお兄さんと一緒に異世界に召喚された経緯を説明していたのだった。そこでリディアのお姉さんとお姉さんのお兄さんが異世界に呼ばれ、お姉さんがこの世界に残った理由を聞いてお兄さんとお姉さんが涙を流して、リディアのお姉さんと抱き合ったのである。そこでリディアのお姉さんがこの世界から去る日が訪れた。
そしてお兄さんはリディアの世界にお兄さんとお姉さんとお兄さんと彩奈ちゃんを呼んで、リディアとこの世界を救ってくれないかとリディアに頼み込み。お兄さんとお兄さんとお兄さんがこの世界の人ではなく、別の世界の人でこの世界を救いたいと思っていることを告げた。そしてリディアが、この世界が滅びた原因が自分達にあることを話すとお兄さんと彩奈さんのお兄さんが自分達が必ず世界を平和にするから信じて欲しいと言い出したのだ。そしてリディアのお兄さんはリディアの両親に、リディアのお父さんとお兄さんとお姉さんは彩奈さんとリディアのお母さんとお兄さんと彩奈さんとこの国の王様や貴族と、リディアがこの世界を去る事とリディアの世界が危ないことを伝えて。彩奈さんとこの世界の人々を救うために協力する事を約束する。その会話が終わった後にリディアが彩奈さんを元の世界に戻したのである。
彩奈ちゃんとリディアの二人がリディアのお兄さんが開いた異空間に入り込んだ後リディアのお兄さんが彩奈ちゃんとリディアのお兄さんが消えた場所に立ち手を広げ。そして魔法を発動させると二人の姿が見えなくなり、しばらくすると、この世界に戻ってきた。リディアの二人は彩奈さんを元の世界に帰すための魔法を使ったと言うと、この世界に戻ってきた彩奈さんがこの国を救う決意をして、この国の人々を救いたいと口にした。リディアは、彩奈ちゃんにこの国の王女様を任せて。この国の復興をお願いした。そこで、彩華さんとお兄さんがこの世界に戻ってくるとリディアにリディアの家族にお兄さんがリディアにプロポーズをした。それを受けてリディアはお兄さんと正式に結婚したのである。リディアはこの世界の勇者を彩奈ちゃんに託し、リディアの世界を救った英雄としてこの国を彩奈さんと彩奈ちゃんの兄妹に任せ、彩奈さんに国を頼むと言って彩奈ちゃんはこの国の王になった。そしてお兄さんはこの国の王子と結婚した。リディアの両親はリディアの兄がリディアと結婚をしたことを祝福していた。それからこの国の王族は皆リディアの国に移住したのである。この世界の魔王を倒してリディアと彩華さんのお兄さんは異世界に戻ろうと決めた。
そこで私はお兄さんから彩華さんと私と彩奈さんのお兄さんにこの世界の人間とは違う能力が備わっていることについての話をすると、リディアは少し考えていたようだったが私にお兄さんに聞いた方がいいと助言をくれたのである。
そして私はリディアに異世界の扉を出してもらって異世界に帰り、リディアのお兄さんから異世界に来た経緯を詳しく聞き、私はこの異世界で暮らし始めたのである。リディアはリディアが住んでいる世界に私を連れて行きそこで暮らす事にした。そこで私とリディアは、私が住んでいた世界で彩華さん達が住むことになるこの国を復興させる計画を立てることにしたのであった。そこでリディアのお兄さんはこの国の王族達を連れて、この国の人達の希望を聞くことにしたのである。そして彩奈さんとリディアのお兄さんが彩奈さんにこの世界に来る前に異世界に存在していたこの世界の住民やこの世界の人達の魂の結晶を集めてこの国に封印した事を教えた。その話を聞き彩奈さんは、リディアのお兄さんにこの国で彩奈さんと一緒に生活して欲しいと言って。彩奈さんとリディアの二人でこの世界に来た時に着ていた衣装と装備をお兄さんに手渡して。リディアのお兄さんはリディアと一緒に彩奈さんの願いを受け入れた。そして、リディアのお兄さんがリディアのお姉さんのところに駆けつけて。彩華さんのお兄さんはリディアと一緒に行動し、私は彩華さんのお兄さんと一緒に行動する事を決めたのである。
私とリディアのお兄さんは一緒に行動をすることを決めるとリディアは、彩奈さんと一緒にこの世界で暮らしているお兄さんの元に行って事情を話してきたのである。その事に彩奈さんとリディアのお兄さんは驚くとお兄さんはリディアの話を全て聞いてから彩奈さんに彩奈さんの意思に従うように言い聞かせると。彩奈さんはお兄さんの気持ちを受け入れて、リディアのお兄さんは彩奈さんのことを幸せにするように言って彩奈さんのことを抱きしめた。
そして、彩華さんとお兄さんと彩奈さんはリディアの住んでいた世界に移り住んだ。彩華さん達は、私とお兄さんが彩華さん達に話したことを伝えるとリディアのお姉さんとお兄さんと彩華さんは涙を流していた。彩華さん達は私達がリディアの暮らしていた世界に住むのならば自分もついて行くと決めて私達と一緒の家で住むことにした。彩華さん達がリディアのいた家に移り住む準備をしている間に私は真也がこちらの世界に戻ってきているか気になって異世界の門を開き真斗に連絡を入れると異世界に戻ったという事が分かった。その事は彩奈さんとお兄さんと彩華さんに伝え、私はお兄さんと一緒に彩奈さんと一緒にこの世界に戻る。お兄さんとお姉さんとお兄さんのお姉さんは彩奈さんと一緒にこの世界に戻り彩奈さんとリディアのお兄さんは異世界に残る事になり、彩奈さんと彩香さんと彩矢ちゃんは私の異空間の中で生活することになった。
彩華さんはリディアと彩奈さんのお兄さんに彩奈さんにこの世界に残る事を選んだことを説明して。彩華さんは彩奈さんとリディアとこの世界の人達が笑顔で暮らせるような国を作ると言い、お兄さんは彩奈さんのことを支えると言ったのである。そこで私は彩華さんと彩奈さんにこの世界のことを任せることにして。お兄さんは、異世界にいる仲間達に会いに行くといい、異世界のゲートを使ってリディアとこの世界に残った。私は彩奈さんとお兄さんにこの世界をよろしくお願いしますと伝え、私は異世界に戻ると異世界の扉を閉じたのである。私はリディアとお兄さんにお礼を言うと彩華さんと彩奈さんにお兄さんをお願いしましたと伝えたのである。
私は彩奈さんにこの世界をお願いされたことと異世界のことやこの世界が滅んだ理由についても話すとお兄さんも彩奈さんも真剣に話を聞いてくれて私は、リディアにこの世界のことは大丈夫そうですと話し、リディアはお姉ちゃんがいればこの世界は安泰だと口にしたのであった。
俺は今リディアの家に向かって歩いている。
リディアと彩奈はもうすぐ到着するという連絡を受け、彩奈の案内でこの世界の事を知ろうと思いながら向かっているのだけど。やっぱりこの世界に戻ってきた時、突然俺が現れた事で大騒ぎになっていたみたいで。リディアが上手くフォローしてくれていたみたいなんだけどね。そんな感じに、これから起こることを楽しみにしながら彩奈とリディアの自宅に辿り着く。すると家の前ではリディアの両親に、彩華、彩矢ちゃん、彩奈、真耶が待っていたのであった。みんなに挨拶を交わしてから早速彩奈の案によりリビングに向かうと。そこには料理や飲み物が用意されておりリディアの両親が、俺たちに椅子に座るように促してきた。それからリディアの両親から歓迎の言葉を受けてからリディアのお母さんが自己紹介をしてからリディアとリディアの父親、彩華が簡単にこの世界での事を説明する。それを聞いた後リディアの両親は少し驚いていたが、受け入れてくれたようだ。リディアがお姉さんにこの世界を救う為に協力して貰ったと伝えるとお兄さんにこの世界の人間ではないと聞き驚いていたのが印象的だった。リディアとリディアのお姉さんがお兄さんにリディアとこの世界の人間とはどんな違いがあるのかと質問をしていてそれにお兄さんと彩華とリリアナで答えてくれて、その後リディアはリヴァイアサンに頼んで、この世界に異世界の住人を呼ぶ事ができるようにしてもらうように頼み。異世界の住人を呼んだのが始まりであると説明して。リディアとこの世界の人達では身体能力に差がありすぎて戦いになれば間違いなく負けるので異世界から呼んだ人たちを召喚できる能力を異世界の勇者として授けたという。
そこで、異世界に飛ばされてすぐにリディアがこの世界にやって来たと聞けば、リディアと彩華はリディアの世界が滅びかけていてその世界で魔王を倒した後に彩奈をこの世界に呼ぶことになったのであると説明した。それからこの世界の人達がリディア達と同じ力を身につけて、リディアはこの国の王女様になって、この世界の人達はリディアの国の国民となり国の復興のために活動してくれたのだという。この国は魔王軍の襲撃に何度も見舞われていたけど。異世界から来た勇者とその仲間の能力で国を護って貰っていたという事だと言うと、お兄さんのお姉さんが、その話を知っていたのでこの世界を救ったという事は納得できたのだが。リディア達がこの世界に来た経緯については疑問に思ったようで。その理由を彩花に聞いていたのである。
「その、勇者の人には悪いけどどうして、あなた達はこの世界にやってきたの? この世界の人達を助けてくれるなら嬉しいし助かるんだけど、何か特別な理由があったんじゃないの?」と彩花はリディアに対して言う。それについて彩華が説明をして、彩奈ちゃんは異世界の扉を使えるようになったと言うので彩華はその扉を実際に使ってみせて彩奈ちゃんに異世界の門を出して見せたのである。そして異世界への門を開いたまま維持して。それをリディアと彩華のお兄さんに見せるとリディアは彩華の説明を聞いて、彩華は異世界に行った際に彩奈に異世界に来てもらうために彩奈を呼び出した時の状況を話したのだ。その彩華の説明を聞きリディアと彩奈のお兄さんは納得している様子だったので彩奈のお兄さんは彩奈のお腹を見て妊娠していることを確認して、自分の子供を産ませるように言ったのである。
そしてその話を聞き彩華がリヴァイアサンから与えられた力についても話し始めようとした時に玄関のチャイムが鳴ったのでみんなで出迎えるとリディアが戻って来ていて。リディアのお姉さんは彩華のお兄さんと顔を合わせるなり抱きしめて泣き出してしまい。お姉さんはお姉さんでリヴァイアさんの加護がなくなっている事に気が付いていなかったのである。そして、彩華のお兄さんとリディアはお互いにこの世界で起こった出来事を話し始めたのであった。そしてお互いの話を聞き終えると彩奈のお兄さんとリディアのお姉さんは涙を流し始めて、そして彩奈がリディアの二人に駆け寄っていく。そして彩華がお姉さん達を落ち着かせようと彩華はお姉さん達に事情を説明した。
その事を知ったお姉さん達はこの世界にやってくるまでにこの世界で何が起きたのかを教えてくれた。この世界と異世界では時間の流れが大きく違っていてリディアの世界とこの世界は同じ時間の感覚で動いていないのだと教えてくたのだった。それはこの世界に来る前にリディアはリディアの暮らしていた世界に行って来たから知っている事実だという。
そしてこの世界とリディアの暮らしていた世界では一ヶ月ほど時間が進んでいてリディアの暮らしていた世界の方では、魔王軍が現れて魔族と魔物の軍勢によって世界が蹂躙されているらしい。しかもその数は今までにないくらいに膨大でこの世界にいた魔族の殆どを魔王軍に引き入れたらしく。この世界にいる人間の数も圧倒的に向こうの方が多く。このままではいずれ世界は支配されてしまうだろうと。この世界とあちらの世界では約三年ほどの開きがあるのだから。そこでリディアのお姉さんは自分達の持っている異世界へ渡ることのできる道具を使って彩奈の暮らしていた異世界とリディアの住んでいた世界をつなぐゲートを作ってくれるように頼んだのだが彩奈が彩華に異世界の扉を使って彩奈をお兄さんに呼び出すことをお願いしたのである。
俺は異世界の門を開くとリヴァさんの姿を見つけて挨拶を交わすとリヴィアが異世界に戻って来て、リディアとこの世界と俺の事をリデア達にも説明してくれた。それでリディアとリディアの家族と彩奈のお兄さんにリディアのお父さんとお母さんと妹がこちらに向かってくる。みんなリディアの両親のことを覚えていたから安心できたのだろう。
みんなが挨拶を交わした後、リヴァイアさんの転移の能力を使ってリディアの家に移動すると。リヴァイアさんは彩奈と彩奈の兄に彩香の様子を見てくると言って彩花と彩香の部屋に行ってしまう。リディアも異世界に帰っていった。そしてリリアナの転移のスキルを使うのにリディアとリリィと彩香の3人はこの世界に置いていくことにしたのであった。なぜなら、彩奈のお兄さんにこの世界に残るかこの世界を去るかを選べと言われた彩那さんに、お兄さんはお兄ちゃんのところに行くといい。それに異世界に戻る気がない彩那ちゃんを連れて行ったら迷惑になると思ったからだそうだ。
異世界に行く準備が出来たのでリディアと一緒に彩華の部屋に異世界への扉を出すとリディアの両親達とリディアのお姉さんに彩華と、リヴァイアさんに転移の能力をコピーさせた後にリディアが、私もお姉様達と行きますと言い出しそうになり彩奈とリヴァイアさんの2人で説得するのに大変だったのだ。俺はリディアの説得に成功したが異世界の扉を通れるのは彩花さんだけなんだよと言うと、それなら私はこの世界の人間じゃないから関係ないでしょと。リディアに言われると何も言い返せなかったのであった。リディアがどうしても異世界に連れて行ってくれないなら彩華を殺して自分も死ぬと言い出して大変な目にあい。彩華はそんなリディアを説得してリディアを宥めるので本当に苦労したのであった。まぁ彩華の両親は彩花の彼氏である俺に命を助けられたことでリディア達についていくことを承諾したんだけどね。
「みんなこれからよろしくね。これからみんなには魔王を倒してほしいと思っているわ。この世界のために戦ってほしい。どうかしら。」とお母さんは言う。
お母さんはみんなにこれからのことについて聞くと、真也君に助けてもらった命はみんなの為に使いたいとみんなは口にする。すると真由ちゃんが、
「あの、彩ちゃんのご家族とはどうされるんですか?」と質問した。するとお母さんは真悠のお父さんとお母さんには、この家の地下に真悠と一緒に住んでもらう予定よと話す。それを聞いたリヴァイアさんは、それじゃダメだと思うと言う。
リディアはお母様とお父様は、お姉さまのお世話をするのですと答える。真悠さんが、それではリディアちゃんにばかり負担をかけてしまい、それじゃいけないと思いますと言うとリヴァイアさんが、リディアさんはリヴィ様ですとリディアに注意をされていました。そして彩華さんがリリアナと真悠さんに、私の両親が地下で生活することはいいけど。リディアは彩奈のお兄さんと結婚するんでしょう。それなのに一緒に暮すことは出来ないんじゃない?というとリディアさんはお兄様は異世界の勇者様なので。リディアと婚約をしていて結婚をしているようなものでしょと言われて納得していました。
そこで彩華が異世界への門を開き、彩華さんにこの世界に来てもらい、異世界の人達は彩那さんに異世界へと案内された。彩那さんは、異世界へ行くために扉の所に来たのだが、その時にはもうリディアと彩華のお兄さんは姿を消していて彩華と彩那さんと美紀さんにリディアのお姉さんだけが残っていた。リヴァイアさんは彩那さんを見て。彩奈の妹だと判断したが。リヴァイアさんが彩華さんを異世界に連れて行こうとすると彩華さんに断られてしまって彩華さんは彩奈ちゃんに異世界でのことを説明するために一度家に帰るといって異世界の扉から出ていったのであった。それを見送ったリヴァイアさんが、彩華に頼まれていたリディアをリディアの家に連れてきたのだと言うとリディアさんのお姉さんが、リディアさんに異世界へ戻ってきてほしいと言うとリディアはお姉様に申し訳ないので無理ですと断ってリリアナは、彩奈さんに彩奈のお兄さんにこの世界と異世界を行き来する能力を与えることで異世界に行っても彩奈ちゃんは彩華さんと会えるようにしようと思い彩奈のお兄さんにリヴァイアさんの力のコピーを渡したのだと説明してくれました。
彩華のお兄さんがこの世界に来るのを拒んだのは彩華が妊娠したと彩華から聞かされたため彩華の負担を考えたからである。その話を聞いたリヴァイアさんはこの世界にいる魔族を倒してからこの世界と彩奈さん達がいる異世界の両方の行き来ができる方法を見つけるために異世界に戻りたいと言ったら、みんながこの世界と異世界の両方を行き来できるようにしてくれて、リヴァイアさんは彩華のお兄さんと彩華と一緒に異世界とこの世界を移動することのできる方法を必死になって探し始めたのだった。だがそれから数ヶ月後、リヴァイアさんは異世界の魔物達に殺されてしまうのである。リヴァイアさんが魔物に襲われたのを見たリヴァイアさんのお兄さんとリディアさん達は異世界に行き、リヴァイアさんの敵を取ろうと決意をした。その後すぐにリヴァイアさんは彩華のお兄さんと結婚して、そして子供が生まれ、子供を産んだ彩奈さんと真悠さんの二人が異世界に行ったのである。リディアさんとリヴィアさんはお姉さん達がいなくなったので仕方なく二人で生活することにした。だが彩奈さんの赤ちゃんが生まれそうなのを知ってリリアナが彩奈さんの出産に立ち会うことになりリディアにリヴァさんの転移のスキルで彩奈さんのところに行って彩華とリヴァイアさんと異世界の人達を呼び出すのに力を貸すことにしてリヴァイアさんがリディアさんと彩奈のお兄さんとリディアの両親を連れて彩奈さんのもとに向かった。彩華さん達はこの世界では彩那が産むことになる。
「私達は異世界で暮らしてるんだよね。お兄ちゃんもこっちに戻ろうと思うんだけどいいかな。リディアさんと彩奈のお兄さんにリリアナちゃんにも聞いてみて欲しいんだけど。それとリディアさんも。私も向こうの世界に行くつもりだよ。」
と私はお兄ちゃんと、リディアさんとリリアナちゃんに伝える。するとリディアさんに彩奈さんは異世界で暮らす気はないんですよねと言われるが。お兄ちゃんは彩華や彩那と向こうの世界に住むことになった。リディアさんはお兄ちゃんが異世界の勇者なので当然そうすると思っていたと言っていました。
異世界に戻るとお姉ちゃんがお腹の子を出産しようとしていたが。私とリディアさんの2人がこの世界に帰ってきたことでリヴァイアさんの敵を取ることができるようになったため。リヴァイアさんにリヴァイアさんのお兄さんにリヴァイアさんの魔力をコピーしてもらって、リディアさんと私が力を合わせることにより。この世界にある異世界の門を開けることに成功したのであった。リヴァイアさん達のおかげで、こちらの世界の人間だけで世界を救うことができるようになり私は、みんなに感謝したのだった。
俺達のいる世界は平和そのものであり、彩花さんの両親達と俺達5人はこの世界で仲良く暮らすようになっていたのだけれど俺にはこの世界に戻ってきてからもずっと気にしていることがあった。それは俺がまだこちらの世界に転移してくる前の日、彩花は突然行方不明になった事である。俺はその事でずっと悩んでいたのだ。そこで俺は彩花さんの行方を調べてもらうことにしたのだが。その結果俺は彩花の両親に、彩花の両親は彩花の身に何が起きたのか全く知らないということが判明したのであった。そこで彩華のお父さんが何か知っているんじゃないかと思ったが。彩華のお父さんに尋ねてみたら何も知らなさそうだな。彩華はどこに行ってしまったんだろうか。そして彩華が消えたことで彩華の家族が彩奈さんに対して冷たい対応になってしまった。だからなのかは分からないが彩華は彩那さんと二人きりになってしまう。俺はそれが心配なのだが、しかし、そんな時、急にリヴァイアさんがリヴァイアさんが異世界に戻ると言ってリディアと彩華さんを連れて異世界へと消えてしまった。
そしてリディアが異世界に戻った後に彩華のお父さんが異世界に戻ってくるように言うと彩奈さんは彩華さんに異世界には来れないことを告げてリヴァイアさんと彩華さんを連れて帰ってしまったのであった。リディアが異世界に戻る際にリヴァイアさんはリヴァイアさんのお父さんからリヴァイアさんのスキルの能力をコピーさせて貰った。異世界の人達とリヴァイアさん達家族で彩奈さんのご家族に謝罪すると、彩華さんはリヴァイアさんにお父さんとお母さんが急に出て行って寂しい思いをしたこととリディアちゃんとリヴァイアさんと離ればなれになったことを話すとリヴァイアさんに泣きついて、リヴァイアさんにしばらくこの家に泊まってくれるようにお願いをしました。リヴァイアさんは異世界の門を閉じるまで、彩華さんの家に滞在していました。リヴァイアさんは異世界の門の番人になります。そして異世界の魔物を倒すと決めています。そして異世界の人達はリヴァイアさんがこの家にいる間は、リヴァイアさんの指示にしたがって、彩華さんと一緒にリヴァイアさんがこの世界の魔族を倒した後異世界に帰れるまで滞在します。リヴァイアさんはこの家を拠点にしてリヴァイアさんは彩華の両親のところにいます。リヴァイアさんはこの家を拠点として異世界の魔物と戦うことにします。リヴァイアさんはリヴァイアさんの父親にもらった魔法袋を持っているのですが。その中にはリヴァイアさんがリヴァイアさんの父に作って貰っていた異世界の扉の鍵のコピーが入っていた。それをこの家の地下室のリヴァイアさん専用の隠し部屋に置いておきました。
異世界の門を開けた後は、俺と彩奈さんの両親がリヴァイアさん達と一緒に異世界にいくので、彩奈さんの父親は異世界での生活に慣れるまでリヴァイアさん達にお世話をしてもらうことになっている。異世界のリヴァイアさんは異世界の扉を守ることだけに集中するために彩奈さんの家でお世話になることになっていて。異世界の扉を閉じたら、リヴァイアさんは自分の父親のもとに戻ろうとするかもしれないが、それでもこの異世界にリヴァイアさんがいる限りリヴァイアさんは安全でいられるはずだ。リヴァイアさんはこの異世界では、彩奈さんの家の居候として生活することになっている。異世界の彩華はもういないから俺の妹の彩奈は、異世界の俺の彼女ではなく。彩華の従姉妹になるんだよな。俺の彼女の彩那がリヴァイアさんに甘えながら異世界のことを聞きまくっているけど大丈夫か?でも彩那が嬉しそうな顔で楽しそうにしているから良かったよ。
異世界の魔物達が、この世界に出現してから一か月後。彩那さんのお兄さんは、異世界の魔物達を異世界に返すことに成功したのであった。そして異世界の扉をリヴァイアさんが異世界とこの世界をつなげる扉に改造してくれたので彩奈さんとリディアとリヴァイアさんの3人が、この世界に戻ってくることができた。だがリヴァイアさんはリヴァイアさんの父親と母親も一緒に異世界の扉の向こうに行ってしまいました。それから彩華のご両親はリヴァイアさん達のことを信用できないといい始めたのである。そこで俺は、彩華のお母さんの気持ちもよくわかるから俺の友達がこの世界にいるなら俺は会いに行きたいんだよねと言うと。お父さんは仕方ないと言い。それから彩華さんの母親はリディアとリヴァイアさんとリディアの両親はこの世界で生活していけそうですかとリディアに尋ねるとリディアは、彩華の母親と彩奈さんと一緒にこの世界を案内してくれると嬉しいですと答えたのである。リディアと彩華さんと彩奈さんがこの異世界にやってきてからはリディアがリヴァイアさんに頼んで異世界とつながる扉と、彩華さんが異世界で手に入れたスキルの魔法の杖で異世界の人とこの世界に通信できるようにしてくれている。それで俺は彩華さんのお兄さんとリディアさんと彩奈さんの4人で異世界に行こうとした時にリディアさんと彩奈さんはリヴァイアさんのお兄さんについて異世界に行くことを決めていて、リヴァイアさんは俺と彩奈さんが行くところであればどこにでもつれて行ってくれると笑顔で話したのであった。そしてリヴァイアさんがリヴァイアさんの父親の作った魔法の道具の転移門を開いてくれたのである。俺はこの世界に戻ってくるまでに1カ月以上かかっていて。その間彩華と連絡を取りたかったのだけど異世界とこちらの世界の時間の経過が違うため連絡が取れずに、彩華が行方不明になってから二ヶ月半が経っていて俺はかなり彩華を心配していたが彩華が無事でいることを願うしかなかったのである。俺とリヴァイアさんが異世界のリヴァイアさんの家の外に出ると、リヴァイアさんのお兄さんは彩華のお兄さんとリヴァイアさんとリディアさんに俺達は彩奈さんのところに向かってくると伝えてから異世界に行くとリヴァイアさんに伝えて異世界に転移していった。俺とリディアとリヴァイアさんも彩奈さん達の待つ場所に向かったのであった。そして異世界に到着したら彩華さんは元気に暮らしていたのだった。そして彩華さんと再会できたのはよかったんだけど彩華さんは彩華さんではなかったのだ。それは、彩華さんは記憶を失っていて別人のように明るくなっていたのだ。彩華さんのご家族は彩華さんが異世界召喚に巻き込まれて死んだことを知らずに彩華さんが存在していると思っていたため、彩那さんを娘と受け入れてくれたのである。そして俺の家族が全員揃って、リヴァイアさんのお兄さんのおかげもあってみんな無事に彩奈さんの家に戻ってこれたのだ。リヴァイアさんのお兄さんには、感謝しても仕切れないくらいだ。だから俺は異世界に帰ってからしばらくするとリヴァイアさんに俺が異世界から持ち帰ったアイテムのスキルの魔法袋を預けることにしたのであった。すると彩華の母親が異世界に行けないので彩奈さんのお母さんと一緒にリディアに色々と質問し始めたのでリディアさんと俺はリヴァイアさんを連れてこの家から出ていったのであった。
私は異世界に戻ってきたが。この異世界には彩華のお父さんが作り出したリヴァイアさんという私より年下の娘がいた。彩華は異世界に行っちゃったし、異世界の魔物を倒さないと彩華とは会えない。そして異世界の門が閉まったら異世界にいけないのは、残念だがしょうがないと思う。そして異世界の彩華は今どうしているんだろうか?彩花さんには悪いけど。私が彩華の代わりになるからね。異世界で頑張ろう!そして私の家にはお父さんと母さんが暮らしている。そして異世界から帰ってくる前に父さんからリヴァイアさんのお世話をするように指示されていたのでリヴァイアさんと一緒にこの家の居候になったのである。そして異世界とこの世界を繋ぐ門はリヴァイアさんしか通れないので、私は異世界で彩華とリヴァイアさん達と過ごすことになった。リヴァイアさんは彩華と見た目が全然違っていたけど。中身は変わらないようだ。そんなわけで私は異世界での生活を楽しみながら魔物を退治していたのである。そんなある日リヴァイアさんに魔物を倒した後に、魔法を使ってみてと言われて、リヴァイアさんに渡された魔道書に書かれている呪文を唱えてみると。この世界でも普通に魔力が使えたので魔物を倒してみてくださいとリヴァイアさんが言うので試しにリヴァイアさんが作ってくれていた魔物に魔法を飛ばしてみるが。この魔物に直撃したらこの魔物は死んでしまうのではないか?と思い。リヴァイアさんにそのことを聞いてみたら大丈夫ですよと言われた。この世界に来てから一ヵ月ぐらいたったある日のことリヴァイアさんと一緒に魔物を倒したときに、あることに気が付いた。この魔物を倒す際に魔法を使わず素手で魔物と戦っていたのだが。魔法を使えばこの世界の人よりも早く強くなれることが分かって。それに気付いた私は魔物に魔法をぶつけるようにして倒し、私はどんどん強くなることが出来たのである。この世界ではリディアさん達みたいに身体が強化できなかったが。私は魔法を使えるようになったおかげで身体能力の強化と、リヴァイアさん達には教えてもらわなかった回復魔法を使う事が出来るようになっていたのでリディアさん達と同じように戦うことができるようになっていたのであった。
この異世界は、リディアさんにお願いをして私とリヴァイアさんだけで暮らすことにした。そして彩那は天城の事をまだ好きではないと思うので2人の結婚の話は、彩那がいない間にリヴァイアさんと話し合って進めてもらうことになっていたのである。異世界のリヴァイアさんもリヴァイアさんのお父さんがリヴァイアさんのご両親の為に異世界との繋がりを無くしたからリヴァイアさんはこの世界で暮らすしかなくて。でもリディアさんが、私達が一緒に住むために彩奈と一緒の家に住んでほしいと言ったので、私はリヴァイアさん達と異世界に帰ってきたのだが、リヴァイアさんの家にお世話になっていたリヴァイアさんのお父さんは異世界に転移するのを拒否したのだ。その事に私は少し驚いたが。でもリヴァイアさんのご両親はリヴァイアさんのお兄さんがいれば大丈夫だろうと思ったらしいので異世界の扉が閉じた後で、私は彩那と天城に会うため異世界に戻ろうと決心をしたのである。そして異世界から戻る日になり、リヴァイアさんはリヴァイアさんのお父さんがリヴァイアさんの事を大切に思っているならこの世界で暮らしてほしいとリヴァイアさんはリヴァイアさんのお父さんに伝えた。そうしてリヴァイアさんが異世界の門を開くと。リヴァイアさんの父親であるリヴァイアさんのお母さんはリヴァイアさんに、あなたも異世界に行きなさいと言い出してリヴァイアさんは困惑しながら異世界に転移をしたのだった。それから私はリヴァイアさんにこの世界に来る前に彩那が住んでいた場所の近くに、この世界に戻ってきた彩那がいると教えられた。そこで彩那を捜すとすぐに彩那を見つけられた。そして彩那に話しかけようとしたら突然現れたリヴァイアさんの兄を名乗る人が、私をリヴァイアさんと勘違いして彩奈に近づいていったのである。リヴァイアさんは、あの男は彩那の事が好きで、リヴァイアさんのことを嫌いだと彩那はリヴァイアさんが言ったと言っていた。だけど、私にはリヴァイアさんがリヴァイアさんじゃないことが分かりました。でも私はリヴァイアさんを庇おうとしてリヴァイアさんの兄だという人に自分がリヴァイアさんだと告げたのである。そうすると彼は急に取り乱し始めたのだ。リヴァイアさんとそっくりな容姿をしているからと言って、私に対していきなり暴力を振るい始めた。
リヴァイアさんが異世界とこちらの世界を繋ぐ門を開けるとそこにはリヴァイアさんのお母さんとお父さんが立っていた。
俺は彩奈さんを探そうと家を飛び出した時リヴァイアさんのお兄さんが家を訪ねてきたのである。リヴァイアさんのお兄さんは俺に対して彩奈さんはもう異世界には帰ってこないと告げた。リヴァイアさんのお兄さんの言葉が理解できなくて、俺は何を言っているのか分からないと問いただしたらリヴァイアさんのお兄さんは俺に掴みかかってきたのである。俺は、リヴァイアさんに俺達は実の姉妹で彩也さんと彩奈さんも姉妹なのだということを告げられてしまい俺は動揺してしまったのだ。
リヴァイアさんの父親は、リヴァイアさんと俺の関係を知ってか俺と話すことを嫌がった。俺は彩奈さんと連絡を取れないまま異世界に帰るとリヴァイアさんのお兄さんとリヴァイアさんのお母さんに別れを告げることになったのだった。
俺が異世界に戻ると、異世界の門が閉まるまで1ヶ月半もあった。なのでその間にこの異世界に慣れておくことにした。そしてまず最初にこの世界の魔法を調べることにしたのであった。
俺はリディアとリヴァイアに魔力があると言われたので。自分の持っている魔力を感じ取れるようにならないと魔法が使えないんじゃないかと考えたのだ。とりあえずこの異世界には魔法の本があったからそれを読みあさって色々と研究することにした。それでわかったことは、異世界にいる間は自分の中のMPが減らないということだけ。それと異世界での魔力を回復する方法はこの異世界にはないみたいだ。
次に魔物を討伐しようと思ったんだが、彩那がいないので、彩奈さんや彩矢さんと相談してから倒すべきかどうかを決めることにしたので、しばらく様子を見て彩奈さんと話をしようと決めた。そして俺は家を出てリヴァイアの家で世話になることが決まった。そしてリヴァイアのお父さんが俺の部屋に泊めてくれたのである。俺がこの世界に戻るまでに時間が経ち過ぎているかもしれないのでこの世界から出る方法を探す必要があると考えていたのである。しかし、リヴァイアが言うには異世界とこの世界を行き来できるのはリヴァイアのお父さんしかいないみたいなので。俺はどうすることもできずにいた。
異世界に戻って来たのはいいが、リヴァイアさんと一緒に住むことになってしまった。異世界に戻った時にはリヴァイアさんと一緒に暮らすと決まっていたが彩那は異世界では彩花がいなくなったショックで彩華さんの姿に見えていたらしいが。天城の事を好きな気持ちはまだあるが、天城に会った時に、彩那と会えばこの恋を諦めると天城は彩華に言われていたから、リヴァイアさんの事について彩華には何も言えないと思っていたのだが。このリヴァイアさんと、リヴァイアさんのお母さんに彩那を彩花ではなく、リヴァイアさんと双子だということにして、彩華の代わりに彩那とこの世界で暮らすことを決めたのである。リヴァイアさんとこの世界の彩華は見た目が瓜二つだし。俺も彩華の顔は覚えてるので問題ないだろうと思ってのことだった。そして彩華のお父さんにもこの世界と異世界を繋げてもらうことになった。彩華はリヴァイアの事が好きだから彩華に彩那の事をリヴァイアさんに任せてくれないかとお願いしに行ったが。彩華は首を縦に振らなかったのである。それどころかこの事は彩那とリヴァイアさんだけの話にしといてほしいとも言われてしまったのである。まぁこの世界では、リヴァイアさんが行方不明になった彩那の振りをしていて。彩華と彩那は異世界とこの世界を行き来するのだから彩那とリヴァイアさんは、この世界で一緒に暮らすことになるわけだから、彩華としては異世界に行く必要もないと考えているようだが。それでも彩那がこの世界で彩奈の変わりになると言うのならと、リヴァイアさんと彩那と暮らすことを認めてもらえることになった。こうしてこの世界での生活が始まることになり彩那とリヴァイアさんと一緒に暮らすことになったのだが、俺はこの世界に来たときに持っていたお金が異世界で使えるとは思わなかったので、異世界から持って帰ってきたこの世界でも使うことのできるお金を持っていくことにする。そうして異世界での滞在期間は、リヴァイアさんと、リヴァイアさんのご両親に世話になっている間に。この世界の事を覚えてこの世界の人たちとコミュニケーションを取るのも目的としてこの世界に滞在しようとリヴァイアさんのお父さんが言ってくれて。この世界で暮らしていく上でのアドバイスをしてくれたのである。そうして、リヴァイアさんの家に世話になり始めて3日目くらいに。異世界の扉を開くためにこの世界に残らなければいけないはずのリヴァイアさんの父親が突然異世界の門を開いてしまったのである。
私は天城さん達が異世界に行ってしまいリディアとリヴァイアのお父さんとお母さんに、お姉ちゃん達と暮らしていた家に住まわせてもらってから三日間ぐらい経った。この世界に来て、この世界の
勇者パーティーから追放されたので、自由に暮らしたい!〜最強の加護を貰ったけど満足できない冒険者へ送る第二の人生〜 あずま悠紀 @berute00
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