(二)-2

 薄暗い部屋の中で泣き声が壁に反射して鳴り響いていた。

 そこは駅前にある総合病院の霊安室だった。

 担ぎ込まれると、加奈江にはすぐに救命措置が施されたとのことだった。しかし、すぐに医師により死亡が確認されたという。死因は頭部や全身を強打したためらしい。

 夜になって彼女のお母さんがやってきた。その際、私は彼女のお母さんと面識があったので、一緒に部屋に入れてもらうことができた。

 そのとき、彼女のお母さんに「加奈江に何があったの?」と強く肩を掴まれて問いただされたけど、私には「詳しくはわからない」としか答えられなかった。

 そして霊安室で、加奈江の顔から白い布が取り外されると、お母さんは膝を折って泣き崩れた。

 私も、紫色の唇と蒼白の彼女の顔を見て、涙が頬を伝って床に落ちるのを止めることができなかった。


(続く)

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