(二)-3

 翌日、学校を休もうかとも思った。ママは「辛いなら休んでもいいのよ」とは言ってくれた。でも、私は行くことにした。加奈江が飛び降りた理由を知りたかったからだ。

 朝、教室に入ると、早速前の日のことが噂になっていた。

 それは同じクラスの立木君のことだった。加奈江は、どうも校舎の屋上で彼と会っていたらしい。そこで、彼女は彼に突き落とされたのではないかと噂になっていたのだ。

 以前加奈江と一緒にお昼ご飯を食べたとき、彼女は立木君のことが気になると言っていた。「どうせなら告白しちゃいなよ」なんて冗談めかして私は言ったことがあったが、奥手な彼女は結局その後も特にアプローチをしたりはしていなかったようだった。

 対して立木君も中学からの同級生だった。中学三年生のときは同じクラスだった。成績は普通くらいで、サッカー部だった。立木君は地味で目立たなかったが、部活も一生懸命だったし、真面目な性格だったので、彼のことがすごく好きになる女子は少なくても、彼のことを嫌いな女子はいなかったと思う。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る