エキシビジョン作品 6月11日公開分
【Ex- 155】必見!?彩花ちゃんの没ネタサルベージ会
「あぁ、失敗したなぁ……。この
「なんです先輩、急に物憂げな声出して。失敗って言うなら五手前の7八銀が悪手だったんですよ。3九龍と飛車取りに回られるのが見えないのはダメでしょ。結局それで先手を取られて6二の金にも逃げられちゃったじゃないですか」
「ウルサイわね。サとイとカしか喋れなくするわよ」
「
「じゃなくて、あたしが失敗したって言ってるのは、今回の匿名コンのこと。ほら、『【No. 090】「サイカイ」を取り戻せ!』と比べて、『【No. 105】「新匿名短編コンテスト再会編」以外を取り戻せ!』はそれほどコメントを貰えなかったじゃない?」
「それは仕方ないでしょう。回を追うごとに評価が少なくなっていくのは、匿名コンに限らず何でもそうでは?」
「んー、それ以上に、ラストの呼びかけが良くなかった気がするのよ。足りない文字をコメント欄で埋めてもらうって趣向にしたせいで、却ってコメントの内容が限定されて書きづらくなっちゃったんだと思わない?」
「それって僕のせいってことじゃないですか」
「そんなこと言ってないわよ、後輩の失態は先輩の責任だし?」
「失態って思いっきり言ってますし……。ハイ、そんなこと言ってる間に『必至』ですよ。あと七手で詰みです」
「えぇっ、もう!?
「おっと、AIでカンニングしようったってそうは行きませんよ。発動、ひふみんアイ
「こらっ、女子のスマホを覗くなっ」
「気が向いたら犬の写真とか見せてくるくせに」
「あー、あたし今日はもう将棋の気分じゃないなー、もっとこう運任せのゲームがしたいなー」
「これだよ。【No. 105】が【No. 090】と比べてポイント取れなかったのは先輩のそのキャラのせいじゃないですか?」
「あっ、そうそう、匿名コンの話してたんだって。実は後悔してることはまだあるのよね」
「せっかくの心温まる龍神様の話の直後に変な怪獣映画パロディをぶっこんだ件とか?」
「アレはむしろ狙い通りにウケてくれてたでしょ。そうじゃなくて、結局思ったほど作品出せなかったなーって話よ。まだまだやりたいネタは沢山あったんだけどね」
「えぇ……。あれだけ好き勝手やったら十分でしょ」
「あたしだって最多投稿賞欲しかったもん。ということで、♪じゃじゃーん、
「エキシビジョンでの没ネタ振り返りは既に別の方がされてるじゃないですか。二番煎じはそれこそウケないですよ」
「いいじゃないの、何人がやっても。むしろ、これを機に皆やったらいいわよ、没ネタ供養」
「まあ聞くだけ聞いてあげますけど……。どんなネタがあったんです?」
「んーとねー、定年退職した元刑事が、ずっと追ってた犯人と時効後に再会する話とか」
「うーっわ、ありがち」
「そう? じゃあ、特撮テイストで、怪獣に成り果てたかつての友人を涙ながらに倒すヒーローの話とか」
「それもよく見るなぁ……」
「あとはー、滅びた惑星でご主人様の帰りをずっと待ってたメイドロボットの話とか」
「なんかそれもどこかで見たような話ですねえ」
「何よ、さっきから。仮によくあるモチーフだとしても、実際今回の匿名コンにはなかったんだからいいじゃない」
「まあ、それはそうかもしれませんが。じゃあなんで書かなかったんです?」
「だって、刑事のやつは、現実に重大事件の時効ってもうないし
「ヘンなところでリアリティにこだわるなぁ……」
「怪獣のは、なんかもう特撮ネタはいいかなって」
「まあ、ウケる層が限られてきますからねえ」
「メイドロボのは、宇宙飛行ネタで考えていく内に、変わりに変わって全然違う話になっちゃった」
「あれ、それは出したんですか。どの作品です?」
「そんなの内緒よ。言っちゃったら匿名コンにならないじゃない」
「えぇ、何を今さら……」
「あとは、そうそう、人間の体が絵の素材にされてて、美術館に展示されてる想い人と再会するなんて話も考えたんだけど」
「何ですかそれ、こっわ。絵の素材って物理的に!?」
「そうそう、油絵の表面に目とか手とか突き出してるの」
「こーっわ」
「でも、美しい作品になれて彼女は幸せだったのよ」
「うーん、一部の性癖には刺さりそうな……。でもなんで書かなかったんですかそれ」
「だってあたし、怖いのとかグロいのとか苦手だもん」
「完全に思いつき
「あとねー、色んなシチュエーションでの再会ネタを最速でクリアしていく、再会RTA
「あ、それはちょっと面白そうですね」
「でもゲーム実況に詳しくないからやめたのよ」
「残念なんだか賢明なんだか……」
「あたし的に一番書きたかったのは、光源氏と紫の上が転生して現代で再会するコメディ物なんだけど」
「源氏ネタは前に板野さんがやってませんでした?
「てか、【No. 090】でちょっと源氏の話したでしょ? それでもういいかなって」
「源氏の話っていうか漫画の話じゃないですか。まあ、それこそ古典ネタも人を選びますからねえ」
「あっ、閃いた! このネタ、今からエキシビジョンでやっちゃわない? あたしが紫の上の生まれ変わりってことにしてー」
「先輩のどこに若紫の要素があるんですか。百歩譲って
「ふっふっふ、よくぞ見破ったな後輩。実はあたしは
「
「もうちょっと本気で驚きなさいよっ」
「だって明らかに今この場で思いついたウソですし。ていうか、いいんですか。多分これが本当の本当に最後の出番なのに、こんな適当な終わり方で」
「AIのマネした後書きでサヨナラよりはマシだったんじゃない? それに、最後とは限らないわよ。また匿名コンが開催されるなら、きっとまた会える日は来るわ」
「いや、次の匿名コンにこのキャラのまま
「その時はその時で、なんか上手い逃げ道を考えるわよ。ではではっ、読者の皆さん、またどこかでお会いできますように!」
「ありがとうございましたー」
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