エキシビジョン作品 6月4日公開分

【Ex- 139】短編小説はこうしてボツになる

 こんにちは、アイデア担当です。

 今回は執筆担当に採用してもらえなかった、いわゆるボツネタを紹介していきたいと思います。



○タマシイムマシンと俺

 船の事故で奥さんと子供を失った男のもとに手紙が届く。特殊なタイムマシンを発明したので過去を変えてみませんか? 半信半疑のまま男は研究所とやらに行く。そこには魂を十二時間だけ過去に送るマシンがあった。細かな設定は出来ないとのことで、とにかく過去、奥さんの近くという条件で魂を過去に送ってもらう。たどり着いたのは奥さんが学生の頃、推定一〇年前。男の魂は奥さんの飼っているインコの中に入り込んでいた。十二時間が経過するギリギリ、真夜中にようやくカゴからの脱出に成功し、ペンを咥えて「●月●日 〇〇号という船には乗るな」とノートに綴る。だが戻る予定の時間を過ぎてもインコのまま。どうやらタマシイムマシンが不完全だったらしい。まあでも若いころの奥さんを眺めながらインコとして過ごす日々も悪くないかなと思い、男はクチバシで小松菜を食むのだった。 


ボツ理由:前半の重苦しさと後半のほのぼの感のつながりが悪い。タイムマシンものは面白いのがすでにある。



○雀匠列伝!

 舞台は場末の雀荘。イカサマ雀士、堀井ケヅルと三柿ケンサクが再会しそのイカサマの腕を競い合うというお話。堀井ケズルは雀牌彫刻家の異名を持ち、鋭く研いだ親指の爪で牌に絵柄を彫ることができる。三柿ケンサクは雀牌研磨士の異名を持ち、親指の腹をわざと荒れさせ固くしておき、どんな牌でも絵柄を削り取り、瞬く間に白に変えてしまう。二人はライバルとの再会に闘志を燃やし、誰も見たことない手を作り上げる。


堀井:スーソーをウーソーに、スーピンをウーピンに削り、さらには己の血で赤く染め一三個の牌すべてを赤ドラにする。


三柿:積もるたびに牌を研磨し、一三枚すべてを白にする。


全赤VS全白。はたして勝負の行方は……二人とも雀荘の店主に叩き出され勝負はお預けになりましたとさ。ちゃんちゃん。


・ボツ理由:麻雀は人を選ぶ上にネタがあまりに馬鹿馬鹿しすぎる。そもそもそんな手じゃ上がれない。



○歌を忘れたカナリアは

 主人公は女性。大学の音楽サークルで一緒だった友人と三年ぶりに再会する。その友人は抜群の声と歌唱力を持っていて、あまりの才能の違いに主人公はボーカルからギターに鞍替えした経緯がある。その友人がいまは歌っていない。歌なんて儲からないしお腹いっぱいにならないし新型コロナも無くせないし何の意味もないという彼女に、主人公は怒る。あなたの歌声は神様からのギフトだ。それを捨てるなんて許せない。あなたの才能に絶望して歌をやめた私はどうなるんだ。友人はそんなの私に関係ないと反論。口論となる。言いたいことを全部言い合ってすっきりした二人は和解し久しぶりにカラオケに行くことに。あんたの歌、結構好きだったんだよ、と友人。そういうの結構傷つくんですけど、と笑顔の主人公。


・ボツ理由:落ちが弱い。音楽ネタは他にいっぱい書かれているから。



○タイムカプセルもの(仮)

 高校時代の仲良し四人組A子、B男、C美、D太が再会し、廃校になることが決まった学校の校庭の隅に埋めたタイムカプセルを掘り返す。中身は手紙。C美とD太は結婚していて、A子はB男に当時片思いしていた。でもB男は部活動に夢中で恋愛には無関心。今日掘り出すタイムカプセルの手紙をきっかけに当時の想いを伝えようと考えている。だが、手紙の入ったはずの缶には泥水が入り込んでいて手紙は読める状態ではなかった。A子は告白を諦めようとするが、手紙はなくても想いは伝わるとC美に背中を押され告白することを決断……したところで物語を終わらせて結果は想像にお任せするパターンで。


・ボツ理由:タイムカプセルの話はすでにあるし、話に目新しさを感じない。



○時パスタ

 落語の時そばをパスタでやる。イカ墨パスタでお歯黒になったりとかしたらなんか面白いかも。


・ボツ理由:面白くないし再会を入れる要素が無い。



○ねずみくんの初っ切り

 絵本のねずみくんのチョッキのパロディで、ぞうさんと相撲とる話とかどう? 最後は伸びたまわしがブランコになるってことで。


・ボツ理由:タイトルが面白いだけで中身がない。


 まあこんな感じでせっかくアイデアを出してもそのほとんどが採用されずに捨てられてしまいます。とほほ。

 結構頑張ってると思うんだけどなあ……。

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