5月30日 公開分
【No. 152】さて、いますぐ解読できるか、一読者よ
最愛の一番弟子へ
かの日以来、 三年と五日か。賢き一番弟子よ。
さかしまな一味が奸計を依頼し、 査証係の一部が官職を逸した 詐欺行為を勢い任せで敢行したが、いまや 幸いなるかな。いつぞやの怪現象は一度も 再発なく、厭わしい感覚にいつまでも さいなまれず、いい具合に
昨今は異様な影にいらだち、 殺伐と
再三、一筆くらい書こうと言っては 些事にいつもかかずらわって、いつの間にか 去りゆく日に嫌気を感じていたところだ。
先回りして入り用を片付けてしまい、いけないね。性というものかな。掻き入れどきで。因果関係を 細部までいつも解明したいと……意気込みすぎかい? 五月雨式の委託仕事で簡単にはいかないのだけれど。茶飯事だから要らぬことは勘弁してくれよ。いまも 催促されて急いで仮まとめの意見書を 再読していたのさ。移住を考えようか……忙しすぎて 障りがあるが、意地だ。格付け一級を 授けられているからね。数々の異名も 最初から意味あって、軽々しく一蹴すると 最後に痛い目を……階級を言い渡されたら、 差し当たり維持するのが賢い一策なんだ。
さて、一番弟子よ。稼業にいそしみ
サバトの一夜に神が異界の 桟橋に憩うと、覚醒した生き霊も 桟橋に急ぎゆくとか。海神に
差し当たり居場所を確保してから行きなさい。
指図する意味は皆目なく、いつでも 匙加減で依頼ごとを完結していいのだがね。 さりとて、いくらか過保護に言いたいものなのだ。 災難はいずれも回避して生き延びなさい。
『桜色の一角獣には格別のいつくしみを』
散々に言い古されたとはいえ、過去の偉人が 最高の偉業を完遂して、畏敬こもった 賛辞をいくたびもかけられた
さあ、意味が解明できるか、一番弟子よ。
再度、一緒に歓談するいとまを 割けるまで、いつでも書き送っていいからね。
最愛の一番弟子へ、かくり世の
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