【No. 115】『結ぶ未来』第十話オーディオコメンタリー版

 雨の音。皆さん、こんにちは! 一条舞役の佐野雪葉です!

 舞の家が映る雨の景色。こんにちはぁ! 二宮結役の宮田カンナですぅ!

 自室で宿題をしていた舞。『結ぶ未来』第十話オーディオコメンタリー版は、この二人でお届けします。

 溜息をついてシャーペンをよろしくお願いしまーす!置いて立ち上がる。お願いしますぅ!

 ──暗転。引き続き雨の音。さてさて、

 回想。前回のお話としてはぁ、

「じゃあ、じゃあ、舞は、結と舞が言い合いをわたしたちが姉妹だって、したところでしたね。ずっと知っていたの!?」

 言い募る結。そう!顔を逸らす舞。衝撃の事実ですよぉ!

「ずっとってわけじゃないよ。カンナちゃんは実際、知らされてなかったんですよね?でも、そうだね、どうでした?結よりは知ってたかも」姉妹って知って。

「どうして!?びっくりですよぉ! どうして教えてくれなかったの!?」台本見て、わたしも結と同じ気持ちになりました!

「どうしてって……だって」そうですよね、わたしも最初びっくりしましたもん。

 顔を上げて結を睨む舞。雪葉ちゃんは、知ってたんですよね?

「結が能天気だったから!実はわたしが知ったのって結が能天気にお父さんの話なんかしてさ、第六話の収録時点なんです。わたしには本当の両親はいないのに!実際に舞がその話を知ったのと同じタイミングで、わたしにはお父さんの思い出ないんだよ!」わたしもその時は衝撃でしたね。

 はっと傷付いた顔をする結。あぁ! あの時の!

「そんな……わたし……」あの時の舞の演技、迫真でしたよねぇ。

 結の顔に舞も傷付いた顔をする。迫真というか、あれはわたし自身の衝撃もあったんですよね。

「わたし、ずっと舞ちゃんのこと、それでなんですねぇ。羨ましかった」

「わたしは、本当の家族が欲しかったよ」ここの結ちゃんも良い泣きの演技だと思いますよ。

「舞ちゃん、うわぁ!ずっとなんでもできて、雪葉ちゃんにかっこいいし、可愛いし、そう言ってもらえるの嬉しい!ずっとかなわなくて」ありがとう!

「なにそれ。それにここの、わたしはずっと、結が羨ましいよ」感情のぶつけ合い、お互い遠慮がなくなってきたっていうか。

 雨の音。わかるぅ!

 雨の中、佇む二人。カンナちゃんがこうくるなら、自分はこうだな、みたいなのがわかってきたっていうか。

「わたし、舞ちゃんのこと、わたしも!本当に好きで、ずっと、仲良しで、ここまでの中で、お互いの呼吸? みたいなぁ、これからもずっと友達だと思ってた」雪葉ちゃん、本当にわたしのお姉さんだった!? みたいなぁ。

「わたしだって!でもわかる。でも、結を見てると思っちゃうんだ、お互いの演技がわかるようになったよね。なんでわたしじゃなかったの、様子見しなくて良くなったっていうか。って」てか、わたしがお姉さんなんだ!?(笑)

 雨に打たれる結の顔。傷付いた表情。雪葉ちゃんの方がしっかりしてるので、お姉ちゃんですぅ!(笑)

 ──暗転。よしわかった、妹よ(笑)






 結の家のキッチン。ここからは、カンナちゃんと、一人でお茶を飲む健二の姿。お父さん役の山村総一郎さんとのシーンですね。

 部屋着の結がやってくる。はい、山村さんといえばもう大ベテランさんでぇ、健二は振り向かずうつむいたまま。いつも胸を借りるつもりでいますぅ!

 結は健二の斜め後ろに立つ。このシーンも、アドバイスしてもらったんですよね。

「お父さん」そうなんですぅ。

 結の呼びかけにも、健二は顔を上げない。どんなアドバイスだったの?

「お父さん、知ってたんだよね?わたしの中に緊張と遠慮があるのを見抜かれちゃって、 舞ちゃんのこと、知ってたんだよね!?もっと感情ぶつけて良いよって、 知ってて黙ってたんだよね!?」僕は全部演技で返せるから遠慮しないでって。

「……そうだな」かっこいい!

「どうして!?ですよねぇ! どうして教えてくれなかったの!?でもわたしそれで、余計緊張しちゃってぇ。 もっと早く知ってたら、わたし……」その後、噛み噛みになっちゃってぇ。

「……すまない」ああ、わかる! いたたまれないよね、そういうの。

「謝ってほしいわけじゃないよ!」実はわたし、山村さんとの共演二回目なんですよぉ。

 黙って湯呑みを握りしめる健二。二回目! 最初はいつだったの?

「わたし、わたし……研究生時代に吹き替えで一言だけ台詞もらってぇ、舞ちゃんと喧嘩しちゃったよ……その作品に山村さんも出演されていてぇ、喧嘩なんか、したくなかったのに……」アフレコの時にたまたまいらしたんですよねぇ

「俺は……すまない」お、その時に何かあったんですか?

「謝らないでよ!そうなんですよぉ! わたしは! わたしはただ!やっぱり緊張が声に出ちゃっていて、 舞ちゃんと……」たった一言なのになかなかOK出なくてぇ。

「お前たちが楽しそうにしているのをうわあ、思い出す、初めての頃。止めることはできなかったんだ」わたしもすごい緊張したな。

「そんなことじゃない!それで、山村さんが ねえ、わたし、舞ちゃんからわざわざお手本をやってみせてくれて。お父さんを奪ったんだよ!研究生へのサービスだったのかもだけど。わたしがいなければ、姿勢とか呼吸も、お父さんと一緒にいたのはアドバイスをもらってぇ、舞ちゃんの方だったのに!」それがすごく励みになってぇ。

「そんなことを言うな!」うん、うん。

 立ち上がって振り返る健二。本当に、あのおかげで頑張れたんですよぉ。

 椅子が倒れる。わかる。結がはっと健二を見る。そういう出会いってあるよね。

「だって……だけど……だから今回、わたしが舞ちゃんからお父さんを山村さんとの共演って聞いてぇ、奪ったんだって……わたし……再会をすごく楽しみにしていてぇ、それって、お父さんからも山村さんのおかげで成長して舞ちゃんを奪ったんだって……」頑張れてますって見せなくちゃって。

「言うな!」それは結の肩を掴む健二。力入っちゃうよね。

「だって……わたし、きっとそれでそんなつもりじゃ……わたし……」張り切りすぎちゃってぇ。

 泣き出す結。

 結を抱き締める健二。わかるよ。健二にしがみついて泣く結。わたしだってそうなると思う。

 結の泣き声。

「お父さん、わたし……わたし……でも、山村さんに受け止めてもらって、どうしたら良かったの……?ちゃんとぶつかることができたって、 どうしたら、このシーン、舞ちゃんは傷つかなかったの?」すごく頑張れたなって思いますぅ。

「お前たちは悪くない。うん、うん。お前たちのことは、実際、カンナちゃん、二人とも大事に思っている」今回すごく成長したよね。

 返事をせずに泣くだけの結。ほんとにぃ? 嬉しいなぁ。

「俺が全部悪いんだ。本当に。俺を許してくれ」成長できる作品だったなあって思う。

 結の泣き声。それは本当に。雪葉ちゃんも成長したよねぇ。

 ──暗転。お互いにね。

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