美しくて切ないお話ですね……。
人のうらやむような才色兼備に見えた「あの子」が内心どれだけ窮屈な思いをしてきたのだろうと想像すると、心が痛く苦しくなります。
個人的には、自分の行動を誰かから決められるごとに、好きなものややりたいことがわからなくなって、なにも楽しめなくなって、心が死んでいくように思います。
胸をギュッと握られるようなお話でした。
新しい出会いが、どうか素敵なこれからの始まりでありますように。
>あなたは、鉄の裁ち鋏を握りしめていて。
>私はあの子の、おさげ髪を握りしめていた。
この対比がとても好きです。
深い制御の効いた物語でした、お見事です。
編集済
主人公が美しい、すごいと思うことは全て彼女を縛っていたもので、彼女は主人公の無邪気な称賛にどのような気持ちでいたのかと。
空気を感じるような文章でした。好きです。
「切なかった賞」に推します。
自分という物を探し求めて苦悩し、その先に答えを導き出した人というのは美しくみえるのでしょうね
素敵なお話でした
編集済
場景が拡がり、香りたつような素晴らしい描写に息をのみました。
いまでも失恋をしたときに髪を切りますが、髪を絶つという行為には昔から様々な意がこめられていたといいますね。平安の頃も世俗を捨てて、女性として生きることを辞めるときに髪を切り落したのですが、これを「落飾」といったそうです。
「死にたい」のではなく「生き直したい」
……胸に刺さります。
ほんとうに素敵な小説を拝読させていただきました。ありがとうございます。
追記:
切なかった賞に推させていただきます
ただ、ただ筆力に圧倒される作品でした。凄い。
これまでどれほど我慢して、自分ではない自分の中に、自身を押し込めて来たのか。窮屈で仕方なかっただろうなと胸が痛みますし、本当に我慢強い方なのだなと尊敬に似た感情を抱きもします。
この時代、彼女を卒業した「あなた」が生きていくには困難も多かったでしょうけれど、どうか自分らしい生き方をしてほしいと願ってやみません。
「あなた」視点の物語も読みたくなりますね。
これは……すき。
細かな時代背景など描いていないけれど、この時代のことや女性に求められているものがありありと浮かんで来て……書かずに伝えるということをやっているのが凄いです。
多分ですが、この時代の裁ちばさみって少し重くて古くなっても良く切れますよね。昔家にあったものと似たようなやつかなぁと思いながら読んでました。
作者はあの方かな?違うかな?こんな風に予想するのも楽しいですね。
細かな説明がなくとも、この物語の時代感が分かる。女性にどんな役割が求められていたのか。
空気感まで写しとるような文章に息を呑みました。
最初と最後の一文は全く同じなのに、受ける印象がまるで違う。お見事です。
おさげ髪を切って自分でないものになる。
裁ち鋏という重く鋭い切っ先が、少女の手に抱かれていると考えただけでも空恐ろしかったです。その危うさ、美しさがとても素敵でした!
ありがとうございました。
>さあーっと音を立てて、裁ち鋏で布を真っ二つに裂いていく潔さは、胸がすくようで。
>ごとりと重い音を立てて、作業台に鋏を置いた。
布を断っていくときの気持ちよさとか、鋏を持って何かに思い悩んでいる緊張感などが直に伝わってくるようで、素敵なシーンでした。
美しい話や……。こう、少女でも少年でも、周囲の環境によって捨てざるを得ない子供心というものを儀式めいたものによって自ら断ち切る話というのは美しいですよね。
ああだめだ好きなやつだ以外に言葉が出てこない苦笑。良かったです。とても。