10/16(日)新監督就任会見

10月16日(日)15時——。球団本部事務所


「それでは、第35代キャッツ監督に就任する島谷新監督の就任会見を始めさせていただきたいと思います」


ひな壇で司会の職員がそう言うと、島谷新監督が藤田オーナー、百南球団社長、原田GM兼球団副社長とともに姿を現し、着席した。


「キャッツの監督に就任することになりました、島谷です。どうぞよろしくお願いします」


開口一番、そう挨拶をする新監督に、無数のフラッシュが焚かれた。


「それでは、一問一答形式で質問を受け付けて、島谷監督よりお答えしたいと思います。まずは、大阪日日新聞さんからどうぞ」


「はい、ありがとうございます。……島谷監督。まず、今のお気持ちは?」


「とても、ドキドキしています。何しろ、引退してまだ1年で、コーチの経験もありませんからね。しかし、GMから電話がかかってきて、『例のアレよ。頼むわ』と言われた以上、逃げるという選択はありません。やるしかない、そんな気持ちです」


例のアレって何だよと、笑い声が起こる。


「チームは今年17年ぶりの優勝を遂げました。連覇に向けて期待がかかりますが?」


「もちろん、そのことは承知しています。辛井監督代行が残されたこのチームをまずはしっかりと引継ぎ、足りない所があれば補って、来年は連覇を目指したいと思います」


「今のチームの印象は?」


「全体的に若く、特に投手陣は夢がありますね。ただ、その一方で野手陣の方は課題が山積していると思っています。主軸を打つ選手が育ち切っていないことやエラーが相変わらず多いことが挙げられるかと。まだ日本シリーズが残っていますが、その後に控える秋季キャンプでは、その辺をじっくりテコ入れしたいと思っています」


「来季の構想は?」


「センターラインと4番、抑えの固定。そのためには、桐浪の説得から始めないといけないかなと思っています。あとは、坂藤を真の4番にするために、練習をさせます」


「その練習ですが、秋季キャンプではどのような時間にしますか?」


「本当なら、坂藤を徹底的にしごきます……といいたいところですが、どうやらWBCの強化試合もあるようなので、彼に危機感を与える、そんな選手を用意できればと思っています。差し当たっては、2軍にいる猪上、右川あたりを候補に考えています」


「ドラフトが20日に迫っています。補強のポイントは?」


「もちろん、今年は打者中心になります。但し、いくら打てても、守備がダメな選手はNGですかね。その辺りは、当日までスカウトの方々、GMとも相談して決めていきたいと思っています」


「もし、競合になったら?」


「当然、クジは自分が引きますよ。GMに引かせたら、外しますからね」


「最後に、ファンへのメッセージを」


「優勝チームを引き継ぐのですから、もちろん来年も優勝します。そしてそれが何年も続く、常勝チームを作り上げたいと思っています。期待していただいて結構です」

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