10/13(木)対バードズ勝利 4-1 【3勝0敗】

10月13日(木)19時——。鳴尾浜球場


「もちろん、ここは申告敬遠で」


3回表、2OUT1塁の場面。バッターは村豚というところで、迷わずそう告げた。レフトスタンドのごく一角からはブーイングが起こるが、気にすることはない。これも勝負だ。


「とにかく、あいつにだけはホームランを打たれたらダメだ!」


確かに、ここで一発打たれれば、1対2と逆転されるが、それ以上にこのファイナルステージの流れを失いかねない。村豚はバードズの象徴なのだ。


ただ、その次はオズナ。楽に打ち取れる相手ではない。昨日も初回に同じように村豚を敬遠した後、いい当たりのレフトフライを打たれている。おそらく、狭い神社の森球場なら、ホームランになっていたであろう。


「いい外人だな。引き抜けないかな……」


「流石にそれは……」


つい埒もない話をミスターとしてしまう。こんな頼りになる外人がいれば、坂藤も尾山も、もっと楽に打てるようになるのにと思って。


カーン


そして、打球はショートへ転がった。


「よし、これでこの回は……えっ!?」


なんと、信じられないことに仲能がボールを弾いてしまった。


「あのタコ!なにしてんのや!」


白原さんが横でキレた。椅子を蹴飛ばし、前に座っていた上田が飛び上がった。


「まあ、まあ、落ち着いてください。2OUTですから、大丈夫ですよ」


リードは1点しかない状態で満塁だから全然大丈夫ではないが、取り合えずそう言って宥める。幸いなことに、次の村中はライトフライに終わり事なきを得た。


「おい、仲能!次の打席で必ず結果を出してこい。いいな!」


「は、はい!」


ベンチに戻ってきた仲能に檄を飛ばす白原さんの声が聞こえた。汚名返上のタイムリーヒットを打つのは、これからわずか5分後の事だった。

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