10/2(日)対バードズ 3-3 【86勝52敗5分け】

10月2日(日)18時20分——。鳴尾浜球場


試合が終わり、グランドに整列する。今日で公式戦は終了。次はいよいよクライマックス・シリーズだ。


「……ただいまより、辛井監督代行より、皆様にご挨拶申し上げます」


だが、その前にファンへの挨拶を行う。一つの区切りをつけるために。


「1勝12敗1分け。今年、監督を代行することになったとき、チームはぶっちぎりの最下位でした」


今にして思えば、よくここから盛り返したなぁと思いながら話を続ける。


「もう失うものはない。そう開き直って必死に目の前の試合をチーム一丸となって戦いました。もちろん、上手く行くこともあれば、そうではないときもありましたが、こうして優勝という最高の結果に辿り着けたのは、ファンの皆様が背中を押してくれたおかげです。本当にありがとうございました」


万雷の拍手が鳴り響く中、一度ここで話を区切って頭を下げた。


「さて、新聞報道でご承知の通り、わたし自身はこの後に控えるクライマックス・シリーズ、そして、日本シリーズの終了後に一旦ユニフォームを脱ぎます」


その言葉を発した時、球場にどよめきが走った。スタンドを見れば、『辛井監督代行、辞めないで』といったプラカードを掲げて声を出しているファンもいる。思わず、胸が温かくなる。


「ゆえに、10月12日から始まるファイナルステージでは必ずここでバードズを破り、そして、日本シリーズを制覇できるよう、最後の力を振り絞って戦うことを誓います。最後まで温かいご声援のほど、どうかよろしくお願いいたします!」


パチパチパチパチパチ!!


満員の鳴尾浜球場の、360度から鳴り響く拍手と歓声。それを心地よく感じながら、スタンドに向けて拳を突き上げて、バックスクリーン最上部にあるポールを見る。


必ずあの場所に、来年こそは日本一のチャンピオンフラッグをはためかせようと、心に決めて。

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