9/28(水)対バードズ勝利 2-1 【86勝52敗4分け】

9月28日(水)20時——。神社の森球場


6回裏、2OUT3塁。1対0でリードしている場面。バッターは、途中出場の奥山だ。


「ここで嫌なのは、奥山にわざと三振されることだな……」


そうなれば、次の回に4番村豚が先頭バッターとなる。その場合は、逃げるわけには行かない。意地でも56号を打たせたくないとはいえ、何しろうちは、優勝チームなのだ。


「いっそのこと、この奥山も、その次の村豚も歩かせて満塁にすることも……」


「だが、それだとやはり逃げたように見えるでしょう。ガチの勝負でそんなことできますか?」


横にいたミスターと豊原コーチがそのように話し合っているのが聞こえた。言っている通り、ここで二人を歩かすのも結局逃げたように言われるだろう。


(仕方ない。次の回は、先頭・村豚と真っ向勝負で……)


……そう思っていると、奥山が打った。ピッチャーゴロを。


「向こうも三振させれば、わざとと思われるから当てに来たか……」


思わずそう呟いた。やはり、次の回は村豚との勝負は避けられない、そう思って。しかし……


「え……」


打球は1塁線上の微妙なところを力なく転がる。伊東が慌ててマウンドから駆け降りて、1塁へ投げるも悪送球。同点となり、ボールがライトへ転がっている間に、奥山はセカンドへ到達した。


もちろん、セカンドベース上の奥山は、嬉しさを爆発させてガッツポーズをする。だが、ベンチの嵩津監督は唖然とした表情を浮かべて、頭を抱えていた。


「ははは、結果往来だな」


これで無理に勝負する必要はなくなった。無論、ここは申告敬遠だ。その瞬間、嵩津監督のため息が聞こえたような気がした。

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