9/27(月)新聞を見て、嵩津辞任の感想を語る
9月26日(月)16時——。新幹線車中
「へぇ……嵩津監督、辞めるんだ」
駅で買ったスポーツ紙の1面に写る鼻水だらだらの号泣写真を見ながら、つい言葉を零してしまった。それにしても、もっとマシな写真はなかったのかと思いながら。
「まあ、9ゲーム差をひっくり返されれば、誰でもやめるのでは?」
ミスターがとある乳酸飲料を飲みながらそう言った。確かに普通はそうだ。だが、俺たちは普通じゃない人のことを覚えている。だから言ってやる。
「……矢崎さんは辞めなかったけどね」
すると、ミスターは口に含んでいた乳酸飲料を吹き出した。「そういえば、そうでした」といいながらも、その辺りにまき散らしたため、少し汚い。
「でも、そうなると、明後日の試合、花束渡さなきゃいけないのかな?」
「……めっちゃ、嫌そうですね」
心の中をミスターに読まれてしまったが、そのとおりだ。この写真の馬面野郎には、花束よりもニンジンの方がお似合いだ。
「とはいっても、やらないわけにはいかないんだろうな……」
「恐らくそう思いますよ。我々が神社の森球場に行くのは、今年最後ですからね」
例え嫌いな相手でも、大人は我慢して付き合わなければいけない。後で怒られないためには、もちろんそのことは弁えてはいるが……。
「そうだ。こういうことは、キャプテンにやらせよう。ケーキ焼くだけじゃ暇だろうから、丁度いいんじゃないか?」
「……心の底から嫌なんですね」
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