9/24(土)優勝セール体験記
9月24日(土)14時——。梅戸百貨店
「うそだろ……これ」
高速バスを降りてまず目にしたもの。それは、百貨店に入ろうとする客の長蛇の列だった。
『キャッツ関係の商品売り場へは、この入り口からご入場ください』
百貨店の入口側に置かれている看板にはそう書かれていた。ゆえに、仕方なく列に並ぼうとするが……列は果てしなく御堂筋沿いを南へ延びていた。
「一体どこまで歩けばいいんだ」
そう思いながらも、ひたすら南へ歩く。あと少しで国道2号線との交差点というところ、大阪駅第3ビルの前で列が途切れていたからそこに並ぶ。距離にして300メートルといったところか。
(セール3日目だというのに、やはりすごいなぁ……)
休日の関係で、どうしても来るのが今日になってしまったが、初日だったらどうだったのだろうかとつい思う。さらに言えば、これだけ多くの人が殺到している状況で、欲しいグッズは残っているのかと。
「キャッツ売り場へはこの専用エレベーターで向かいますが、一度売り場から退場した場合は戻れませんので、予めご注意願います」
待つこと約2時間。エレベーターの入口で店員にそう告げられてから、いよいよ売り場へ向かう。そして、エレベーターの扉が開いた先には、熱気が渦巻く空間が存在していた。
「ビールかけの時に選手が着ていたTシャツ!5千円!入荷しましたぁ!」
「優勝メンバーのサイン色紙はこちらでっせ!」
……様々なグッズがワゴンの上に並べられている。その中から、欲しいものを見つけながらカゴに入れていく。Tシャツは……XLサイズまでしかなく、少しサイズが合わないかもしれないが、とりあえず買うことにした。
それにしても、どれもこれも高い。小さな優勝メダルが1千円に、マグカップは2千円。唯一、500円クオカードが500円のまま販売されているのは救いであるが……。
「あ……これいいな」
思わず声を漏らしたその先にあるのは、優勝ロゴが入った小さなお皿。実用すれば、カキフライ2個を乗せることができるほどの大きさしかない。それが1,500円。だが、もちろん買いだ。部屋に飾るために。
「さて、こんなもんか……」
時刻はすでに17時前。このあと、18時の高速バスで帰るため、あまり時間的な余裕もなく、決断する。そして、レジを終えて、売り場を後にした。
「さて、あとは晩飯買って帰るか」
イカ焼きは外せないなと思いながら、エスカレーターに乗る。
「え……?」
階を一つ降りたそのとき、視界に入ってきたモノ。それは、優勝ロゴに選手のサインをプリントした大皿。3,500円と値札がつけられている。
「ははは……やられたな」
もし、これがあの売り場にあれば、1,500円の小皿など買わずにこちらを買っていただろう。だが、ここに置くことで、結局どちらも買わざるを得なくなる。
「仕方ないな……」
そう呟いて、皿が入った箱を取り、近くのレジに向かう。そして、思う。次の優勝セールでは、列に並ぶ前に通常売り場を一度見てから並ぼうと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます