9/23(金)対ギョッズ勝利 7-3 【84勝52敗4分け】

9月23日(金)21時15分——。宮島市民球場


「どうします?代えますか?」


マウンドに立つ磐佐の状況を見て、豊原コーチが進言してきた。今日は消化試合だし、点差も開いたから任せてみたのだが、ピリッとしない。


9回裏は1OUT1,2塁の場面。点差はまだ4点あるから、例えホームランを打たれたとしても、1点勝っているわけだが、今日もコントロールはアバウトだし、運が良ければアウトになるかなというレベルだ。無論、球速も昨年のいい時と比べれば全然出ていない。


「まあ、いいのでは。優勝は決まっているし、ここは彼に任せても」


例え負けたとしても、どうってことのない消化試合だ。そう決断して、マウンドを見る。


(それにしても……)


改めて思うが、あのときよくぞ守護神交代を決断したものだと。今日、坂藤にホームランを打たれたギョッズの中谷同様に、劣化著しく使い物にならない。ゆえに、あのまま守護神として任していたらと思うとゾッとした。一体いくつ負けていたのだろうかと。


「あ……」


そう思っているうちに、フライアウトをひとつ取り、最後のバッターも同じくレフトフライに打ち取りゲームセット。無事逆転されずに済み、隣の豊原コーチからため息が聞こえた。


「0点に抑えれてよかったです」


ベンチに戻った磐佐は開口一番そう言って笑った。しかし、結果オーライは明らかだ。


(CSでは使えないな……)


安堵の表情を浮かべる彼を見ながら、選手名簿の彼の名前の横に×と記すのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る