9/13(火)対ギョッズ敗戦 3-6 (M3)【81勝49敗4分け】
9月13日(火)20時——。鳴尾浜球場
「おい、ごら!山川!!おどれ、目ん玉どこについのんのやぁ!!今のがボールやったら、久利の球やか全部ボールやろが!!」
6回表、無死満塁。雨柳の投じた三球目がボールと言われて、白原さんがグランドにいる山川主審に向かって叫んだ。
「ちょっと、白原さん!抑えて!退場になりますよ」
気持ちはわかるけど、それ以上はまずいと思って慌てて抑えにかかるが……
「あれをボールに見えるんやったら、その目ん玉、糞の役にも立っとらんいうことやで!それならトイレに流してきたらどないや!!それとも、ギョッズに旨いもんでも食わしてもろたからワザとやっとんのか?」
さらにヒートアップして止まる気配がしない。
「ちょ、ちょっと、白原さん!言いすぎ!もうその辺で……」
再度宥めにかかるが、その間に内野ゴロで1点を取られてしまった。
「くそボケ!ボロ審判が!!おどれ、試合終わったら……」
流石にこれ以上はまずいと思い、ミスターと二人がかりで羽交い絞めしながら、ベンチの裏へと連れていく。
「離せ!辛井!!あのボケに思い知らせてやらなあかんやろが!!」
「ホント、勘弁してくださいよ。昨日、バードズの森川コーチがヤジで吊るしあげられたことを試合前に言いましたよね?さっきのアレ、騒がれますよ」
「それがどないしたんや!おまえらも見てたやろが!監督、コーチが選手を守らんかったら、誰が守るって言うんや!」
それは確かにごもっともなことだとは思った。しかし、方法が間違っている。
「とにかく、白原さんは監督室で頭を冷やしてください。試合が終わるまでベンチに入ることを禁じます。ミスター、打撃コーチの仕事は、井藤さんと相談しながら進めてください」
「辛井!」
「……白原さん。このチームの監督はこのわたしです。指示には従ってください」
だから、はっきりと伝える。自分の意志で。
「……わかったよ。ミスター……後のことは頼むわ」
白原さんは、苦悶の表情を浮かべながらそう言うと、その場を後にした。その後ろ姿に一抹の不安を覚えるが、今はまだ試合の最中。一先ずベンチに戻るのだった。
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