9月12日（月）23時——。大阪日日新聞

『M４』

明日の朝刊の1面に、大きく文字が躍る。

今日はキャッツが勝ち、バードズが負けたのだ。いよいよ、17年ぶりの歓喜の瞬間が現実味を帯びてきた。キャッツが明日、明後日勝利し、バードズが明日と16日のスネークス戦に敗れれば、その日試合のないキャッツの優勝が決まる。

「……9月15日には決まらないのか」

19年前のことを思い出したのか、チーフが出来上がったばかりの新聞を手にして呟いた。残念ながら、その日は試合自体が予定されていない。

「しかし、キャッツは16日試合が予定されていないだろ？どうするんだ？」

チーフの呟きに反応したのか、先輩記者が訊ねてきた。彼は、スネークス番で副留選手に関する記事を書いた男だ。

「当日は、監督・選手たちを球場に集めて、バードズの試合が８回に入ったところでベンチに入るらしいですよ。まあ……スタンドには観客入れるらしいですが」

隠す必要もないのではっきりとそう答えた。先輩はただ「そうか」とだけ答えた。

「だけど、折角優勝するのなら、鳴尾浜で決めたいよな？そうだよな？」

間に割り込むように、他の先輩記者がしつこく訊ねてきた。彼は、ラビッツ担当だ。どうやら、目の前で決められたくはないらしい。

「そうですね。間違っても17日の後楽園で決めるようなことがないことを祈りますね」

そのあとの18日から21日までは鳴尾浜だ。宿敵ラビッツの目の前で決めるのもいいが、できれば、本拠地で決めてもらいたいものだ。

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