5/19(木)対バードズ敗戦 0-3 【18勝25敗1分け】
5月19日(木)21時——。球団事務所
「それで、何か言うことはあるか?」
敗戦が決まり、球団社長がそう言った。同様に幹部たちの厳しい視線がこちらに向けられる。今日も完封負け。要するに、我々の集めたデーターが役に立っていないというお話だ。
「お言葉ながら……我々としても精一杯……」
「プロである以上、結果がすべてだ。君たちも現役時代、それを経験していると思うのだが?」
社長の言葉に、ぐうの音も出ずに黙り込んでしまう。このままじゃいけない。家族を養うためにも、弁解をしなければ。
「お言葉ですが、この人数ではデーターを集めるだけで精一杯です。大体、いままでこのやり方で問題になっていなかったはずなのに、なぜ急にそんなことを言われるのですか?」
「……監督代行及びコーチの意見として、そう聞いているからだ」
「それは、彼らが自分たちの指導力のなさを我々のせいにしているからで……」
「ほう……。つまり君は、あくまでも自分たちには一切の非はないというのだな?」
鋭い視線が自分たちに向けられるのに気がついた。まずい。このままでは……。
「わかった。では、今後、君たちにはデーター分析までは求めないこととする」
「は?」
何を言っているのだと思った。そんなことができるはずは……。
「原田君、入り給え」
「はい」
そう声が聞こえて視線を向けると、2005年の優勝監督、原田信明氏がそこにいた。
「まあ、そういうことだから、先程お願いした通り、君には統合作戦本部長に就任していただく。ここにいるスコアラー連中は、これからはただのカメラ係にするから、好きに使ってくれたまえ。使えんと思ったら、クビにしてもかまわん」
「承知しました」
おいおい……なにを言っているんだ。そんなことが許されるわけ……
「皆に改めて言っておく。今年、Aクラスにならなければ、我々は全員左遷されるかクビになる。そのことを頭において、職務に励んでもらいたい。いいか、来年があると思うな!!」
うそ……だろ?何でそんな話になっているのさ……。
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