5/18(水)対バードズ勝利 8-1 【18勝24敗1分け】
5月18日(水)21時——。神社の森球場
3塁側ベンチからレフトポールへと歩く。負けた日は罵声が容赦なく浴びせられるが、今日のように勝った日は皆温かい。
「ようやった!!明日も頼むで!!」
どこかから聞こえてきた声に帽子を取って手を上げると、拍手と歓声が鳴り響く。それが、非常に心地よい。明日もこうなればとつい思う。
それにしても、尼子は今日も見事だった。もちろん、ホームランはおまけだと思うし、スタンドのファンが掲げていたボードのように『二刀流』なんていうのは絵空事とは思うが、ピッチングについては完璧。同級生の佐々や浅川にも負けていないと思う。
しかし、一方で尼子の活躍によって、桐浪の居場所は完全になくなったとも思った。彼に期待していた役割をわずか20歳の尼子が果たしているのだ。この先、トレードに出したとしても、チームにとって損失はないだろう。そう確信させる今日の尼子の活躍だった。
「監督代行……。折角使ってもらったのに、期待に応えられずすみません」
バスに乗ろうとしたところで、春川が申し訳なさそうに声をかけてきた。使っておいてあれだけど、そういえばいたなということを思い出す。
「気にするな」
社交辞令で取り合えずそう言ったが、尾山や坂藤がいる以上、彼の居場所はとっくの昔にない。それでも、今日使ったのは、最後の見極め。……にもかかわらず、連続三振と最悪の結果しか残せなかったのだ。
かわいそうだが、余程のことがない限り、このままフェードアウトすることになるだろう。プロ野球の世界とはそういう厳しい世界なのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます