5月15日（土）17時半——。鎌倉球場

「おつかれさま～」

明るく声をかけて通り過ぎていくチームメイト。カバンに荷物を詰め込んでその後を追う。

玄関から外に出ると、そこにはバスが止まっている。乗車口の階段をゆっくり上り、空いてる席に座り、今日を振り返る。

４打数１安打１打点。

数字だけ見れば、まずまずだ。しかも、先制の犠牲フライ付だ。確かにそうなのだが……。

今日の昼過ぎ、噂のボルトが来日したらしい。ポジションは同じファーストだ。

しばらくは２軍で調整してからの合流になるらしいが、ボスたちは交流戦の後半あたりの合流を考えているらしい。

つまり、それまでに結果を出すことができなければ、俺はお払い箱というわけだ。

「……大丈夫だよ。マルトはサードもできるんだし、外国人枠もあるんだから……」

公私ともに世話をしてくれている通訳の本田が、隣に座ってそういうが、この足でサードなんか無理だ。ゆえに、今日の成績でも満足はしていない。あと１本は打っておきたかった。

「それよりも、足の具合は大丈夫かい？」

「ノープロブレム」

心配してくれるのはありがたい。……が、このままでは、仕事を失いかねないのだ。痛いだの痒いだの言っている場合じゃない。

そうだ。ホテルに帰ったら、筋トレをしよう。まずは休養中についた余計な肉を落とすことから始めないと。

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