5月13日（金）15時——。梅神電鉄本社会議室

「ラッキーゾーンの復活だが……この際、やってみようと思う」

キャッツ復興対策会議の冒頭、藤田会長はそう言い切った。当然、どよめきが起こる。

「会長……。前にもお話ししましたが、ラッキーゾーンを作るということは、唯一好調なチーム防御率に悪影響を及ぼす懸念があります。しかも、高校野球はどうするのですか？まさかと思いますが、その期間だけ外すとおっしゃるので？費用はどうなさるおつもりで？」

　それに対して、羽瀬社長がかみつく。防御率か……。確かに、球場が狭くなるのだから、ホームランが増えてそうなるだろう。

「本当に、そうなのか？球場が狭くなるのだから、ホームラン以外の長打は減るのではないのか？以前、神社の森球場でフェンス直撃なのにセカンドでアウトになった奴がいたが、球場が狭いからこそ、そうなったのでは？」

確かにあったな。尾山選手がレフトフェンス直撃打を打ったのに、なぜか2塁でアウトになった話。……なるほど、フェンスが近ければ、外野の頭を越えてもそんなに遠くにボールはいかないから、長打を防げるのか。一理ある。

「しかし、いつ工事をするというのですか。シーズンが終了した後ならまだしも……」

「6月6日から16日にかけて、鳴尾浜では試合は組まれていない。その期間で設置工事を行う」

「学野連への説明は？」

「文句があるのなら、他所の球場でやれと言えばいい。涼しいドーム球場でやった方が熱中症の心配もなくなるだろうしな」

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