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「はぁ?」
「あ……もしかして……」史奈が首をかしげる。「その頃使ってたスマホ、高校に入ったら買い替えることになってて、ちょうど卒業式の前日お母さんが店に古いヤツを持ってって新しいのと交換してきたの。たぶんその時、お母さんが既読付けちゃったのかも……あんた、中二病こじらせて変なアカウント名にしてたじゃない。だからお母さん、あんただと気づかなくて、そのまま放置してたんじゃ……」
「……」
全身から力が抜けた。
なんてこった。何もかも全て、誤解だったのか……
「私だってさ……あんたがいたから……あんたのことがずっと好きだったから、斎藤君の告白、断ったんだよ……それなのに、さ……いきなりあんたにブロックされて……」
史奈が涙目になっていた。
「……ごめん」
俺は頭を下げる。まったくもって、俺の早とちりだった。あの時告白できていれば、俺たちは両思いのカップルでいられたのだ……
「ねえ、尚之」
「ん?」俺が顔を上げると、史奈が少し恥ずかしそうな顔で、言った。
「今、付き合ってる子……いるの?」
「いや、いないよ」俺は即答する。「お前こそ……付き合ってる奴、いるのか?」
「ううん。いない」これも即答だった。
「そっか」
それっきり、無言。だが、先ほどまでとは全く雰囲気が違う。なんだか甘酸っぱくって、むず痒くて仕方ない。
「「あの……」」
二人が口を開いたのは同時だった。
「あ、ごめん。史奈、言ってよ」
「ううん。尚之から、どうぞ」
史奈が微笑む。今日初めて見た彼女の笑顔だった。月並みな表現だが、胸がキュンとなる。
「……」
やっぱ、こういうのは男の方から言うべきなのかな。俺は覚悟を決める。
「史奈、俺と……」
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