第一章 ただいま、銭湯中につき その3 猪口編
『カレー』と呼ばれる料理がある。
百年ほど前に
現在、そのカレーは独自の進化を遂げ、専門チェーン店や調味料が出来た。
『日本食』と言われて久しい。
多くの日本人もまた、多少の差さえあれ『家庭の味』の代表格としてあげるほど愛している。
本人の言としては「当たり外れが少ないから」という。
その彼が最近カレーで驚いた。
休日に幼稚園児の孫と知育番組を見ているとテレビの中の女性がこう言った。
――インドにはカレー粉はないんだよ
これには、孫以上に驚いた。
「ねえ、おじいちゃん。カレー粉がないのにどうやって、カレーを作るの?」
祖父に聞く。
「さ……さあ?」
そこから番組は進行した。
何でも、煮込み料理の総称が『カレー』なのだという。
その日。
「ご注文のチキンカレーです」
豊原県星ノ宮市郊外。
大手カレーチェーンに猪口はいた。
目の前のテーブルには大好きなチキンカレーがある。
その前で、スーツ姿の男が上品に野菜カレーを食べていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます