第9話 内緒の愛の告白

 次の日──。


 結局昨日は『よろしく』とお互いトークをしたきりとなってしまった。

 電話はこちらからする勇気は流石になかった。


 三限の授業が終わった後から白石さんは体調が悪くなったのか保健室へと行ったっきり帰ってこなかった。

 昼休みになり、スマホの電源をつけると。


 ん、白石さんからだ。


 白石さんからトークが来ていた。


 ……今、先生がいませんので保健室に来てください、か。


 チラチラっと周りを見た後、俺は席を立ち上がる。


 よし、誰も見てないな。

 ちょうどいい機会だ、俺も白石さんに聞きたいことがあるわけだし。

 二日前の話の続きをしなければ。



 保健室に着くと。


「失礼しま〜す」と中に入る。


 白石さんの言っていた通り、保健の先生はいないようだ。


 特に保健の先生がいないからといって何かがあるわけではないが、さすがにこちらのメンタル的にも白石さんと先生の前で話すのはキツい。


「白石さん、来ました」と一枚だけ閉まっているカーテンのところへと向かう。

「はい、私はここにいます」


 そして、俺はカーテンを開けるとそこには体育着姿で寝転がっている白石さんの姿があった。

 

「体調は……」

「ちょっと、三限の体育で気持ち悪くなりまして……ですけど、もう大丈夫です。あとは優くんとキスをすれば治りそうです!」


 なるほど、これが白石さんが俺を呼び出した理由というわけだな。


「保健の先生は──」

「お昼ご飯を食べに職員室に行ってます。ここで食べればいいのにですね」

「う、うん」


 なるほど、つまりまだまだ保健の先生が帰ってくることはないというわけだ。


「とりあえず、ここに座ってください」とベッドを叩く白石さん。

「はい」と俺はベッドに座ることにした。


 いや、さすがに何かが起こるなんてことはないよな。

 変な期待をするな、俺。


「し、白石さん?」

「なんです? それより、キスしてくださいよ。キ・ス!」


 自分の唇を触る白石さん。


「いや、それより先に一つ聞きたいことがあるんですけど」

「え〜、なんですか。その質問に答えればキスを……」


 合理的に好きな人とキスができる、断る理由がどこにもない。


「わかりました」

「はい、ではいいですよ」


 よし、聞くとしよう。


「あの、二日前言ってたこと……俺のことが大好きって……あれは──」

「そのままの意味ですよ、私、優くんが好きです。好きで好きで好きで好きで、たまらないほどに大好きなんです」


 やっぱり、白石さんは俺のことが大好きなんだ。


 心の中でガッツポーズを決める。


 もうこれは両思いってことだもんな。


「ありがとう……」

「いえいえ、それで……キスをお願いします」


 だったら、俺が取る行動は一つである。


「その前に──」

「はい、なんですか?」


 姉さんに見つからずに内緒で白石さんと付き合うしかないだろ。


 俺は白石さんの目を真剣に見る。


「ななな、なんですか、そんなに私の目を見て……濡れちゃいましゅっ♡」


 それが俺たちの幸せなのだから。


「俺は白石さんのことがずっと、好きでした。だから、付き合ってください」

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