第9話 初任務
みんなおはよう!
とってもいい朝だね!
こんなにいい朝なら、父上から受けてきた修行も気持ちよく受けれそうだ。
何? どうしてそんなに元気なんだって?
それはね、俺もリア充になったからだよ。
俺はロリコンではない。
どちらかと言うと巨乳のお姉さんが好きだった。
でも今ならロリコンって言われてもいいさ。
なんてったってロリの良さを知ってしまったからね。
珍しくマーチルは未だにベットで可愛い寝息をたてている。
まあ、昨日の夜は激しかったからね。
しょうがないだろう。
まあ、今回は俺が朝飯を作ってやるか。
この世界の冷蔵庫は貴族しか持っていない。
その為、肉や魚といった食べ物は、捌いたその日のうちに食べるのが基本だ。
または、干し肉などにして食べるのが一般的だ。
さて、俺が作るのは干し肉と野菜をパンに挟んで甘辛いソースをかけたなんちゃってケバブだ。
幸い調味料は揃っていた。
おそらくマーチルが昨日のうちに買い揃えていたのだろう。
「マーチル、朝だぞー」
「んっあっ、おはようレイク。ごめん、今から朝飯を作るね」
目覚めると、慌てた様子でベットから出た。
「今日は俺が作った。味は保証できないけどね」
マーチルが俺の作った朝飯を口にする。
しかし、少し不機嫌そうだ。
もしかして舌に合わなかったかな?
「美味しくなかった?」
「美味しい……私よりも」
可愛いかよ!
「それじゃ今日からレバゾアさんの所で仕事をしてくるから、帰りはいつになるかわからないけど、出来るだけ早く帰ってくる」
「うんわかった。気をつけてね」
ーーー
レバゾア商会へ入ると、まだ誰もいなかった。
「すみません。レバゾアさーん?」
……返事がない。
誰もいない様だ。
「おや、見ない顔だね? あぁもしかしてあんたが期待の新人のレイクかい?」
後ろから魔法使いの服装をした女性に声をかけられた。
とんがり帽子までつけている。
黒いローブをかけているが、女性の主張ははっきりと出ており、目元のほくろがエロスを醸し出している。
「思ってたよりいい男じゃないかい。私はルディ、今日はよろしく頼むよ」
今日? つまり今日はこの人と組んで依頼をこなすのか?
俺にはマーチルが……しかしこの人も捨てがたい。
俺の好みに一致している。
いかん、目線を上げなくては。
女性は自分の胸が見られていることにすぐ気づくらしい。
「はい、よろしくお願いします」
「おぉなんだいお前さん達早いじゃねぇか」
続いてレバゾアさんがやってきた。
「レバゾアさんが遅いんだよ。今日の依頼は何だい?」
「おう、昨日も伝えたが、今日はレイクとルディ、そしてあのバカ2人でゴブリン退治を頼む」
あのバカ2人とはおそらくガストさんとマストさんのことだろう。
「「誰がバカだ!!」」
そう言って例のバカ2人がやってきた。
「お前らにしては早いじゃねぇか。どうした、悪いもんでも食ったか?」
「うるせえ、今日は新人に舐められねえ様に早くきたのに、なんでてめえ既にいるんだよ!」
そうだったのか。
初仕事で最後に来てしまうのは良くないと思い、早めに来たのだが……
いや、どうして早く来て怒られなきゃいけないんだ?
よくよく考えればおかしいな。
「そんなこと言われても……」
「ほら、困ってるでしょ。それくらいにしな」
「そうだぞ、新人いびりなんて恥ずかしいぜ」
「んだとごら、てめえもするために早くきたんだろうが!」
「は? ちげえし、俺はいつも早く来てるし!」
どうやら図星らしい。
焦っている様にも見える。
「やんのかこら」「あん?買ってやんよその喧嘩」
こうなるとは思っていたが、やはり喧嘩が起きた。
「朝っぱらからよしな。近隣にも迷惑だろうが」
ルディさんはそう言うと2人に拳骨をくらわせた。
ルディさんは姉さん女房的な人なのだろう。
ーーー
俺は道すがらルディさんから冒険者の基本を教えてもらった。
基本的に依頼は4人1組で行い、報酬は4等分するらしい。
魔物から取れた素材なども基本的に売って金にし、分けるみたいだ。
ランス王国は魔王の住処から最も離れた場所であり、弱いモンスターが集まりやすいらしい。
しかし、ここ最近は魔物がおかしな動きをしており、油断ができないとのことだ。
今日の依頼はランス王国の近くの洞窟に最近住み始めたゴブリンの群れを退治するとのことだ。
その洞窟は鉱石の採掘に使っており、取り返して欲しいとのこと。
ゴブリンにはいい思い出がない。
不安は拭えない。
しかし、そんな俺の不安を汲み取ってからルディさんは俺にこう言った。
「安心して、私たちはかれこれ3年近くやってきてるから。あのバカ2人もああ見えて頼りになるから」
なんて心強いのだろう。
先程まで不安が嘘の様に消え去った。
そうこうしている内に、目的の洞窟の前の岩陰に着いた。
洞窟の前には見張りのゴブリンだろうか?
2匹の槍を持ったゴブリンが胡座をかいて座っている。
そこにルディさんは、魔法で光る蝶々を作り出し見張りのゴブリンの元へ送った。
見張りのゴブリンはその光る蝶々に釣られ、こちらへ近づいてくる。
十分に近づいた所でガストさんとマストさんがゴブリンの首筋を切った。
鮮やかすぎる死だ。
叫び声一つあげずにゴブリンがやられた。
これでは洞窟の中のゴブリンも見張りがやられたことに気がつかないだろう。
「スメルエリミネーション。」
続いてルディさんが俺たちに何か魔法をかけた。
「これは?」
「匂い消しの魔法。ゴブリンは目が悪い代わりに鼻がいいの。私たち人間の匂いはすぐバレるわ」
なるほど。
やはりこの人たちはプロだ。
ゴブリン退治に慣れている。
「それじゃあいくよ」
洞窟に近づくと、洞窟からは騒ぎ声が聞こえる。
おそらく宴会でもしているのだろう。
「数が多いな。20はいるか」
「ってことはゴブリンロードもいる可能性があるな」
「洞窟内はこちらが不利だ。炙り出すぞ」
「ええ、少し離れていて」
ルディがそう言うとポーチから野球ボール台の大きさの球を取り出し洞窟内へと投げ入れた。
その玉から白い煙の様なものがあがり、洞窟内を白く染めた。
「何を投げたんですか?」
「催涙ガス。そろそろ出てくるわよ」
ルディさんの言う通り、続々とゴブリン達が洞窟内から出てきた。
それをガストとマスト、そして俺が各個退治をした。
出てきたゴブリン達は武器などを一切持っておらず、無抵抗のゴブリンを殺す簡単な作業だった。
「出てきたものは全部倒しました」
「待って、出てきた数が少なすぎる。まだ洞窟内にゴブリンがいるはずよ。それを退治しないとすぐ繁殖して元通りになるわ」
再び洞窟へと足を踏み入れる。
催涙ガスはもうなくなっており、入っても大丈夫だった。
洞窟に入って少し進んだ先に部屋があった。
おそらく洞窟で働く人用の部屋だろう。
部屋は閉まっていたため催涙ガスが、効きにくかったのだろう。
俺はルディさんからあらかじめ渡されていた催涙ガスを部屋に入れた。
そしてドアが開かない様、男3人で抑えた。
案の定ドアを開こうと叩く音がする。
少しして叩く音がなくなったのを確認しドアを開けた。
そこには目や鼻を押さえて倒れたゴブリン達が10体程度いた。
しかしその多くは子供なのだろうか、体が小さい。
耳に残る嫌な鳴き声だ。
「どうします?」
こいつらはゴブリンだ。
しかしまだ幼い子供だ。
抵抗できない子供を殺すのは抵抗があった。
「子供だけど殺さないとすぐ繁殖してまた倒さないといけなくなるの。それに、このゴブリン達は人間を覚えてしまった。成長したら人間に危害を及ぼす可能性があるわ」
「ま、そういうこった。お前も冒険者を続けるつもりならならこういうことも慣れなきゃいけねえ」
「はい……」
俺は出来るだけ苦しみが少なくなるよう一発で命を絶てるように殺した。
しかし、その時のゴブリン達の表情は実に人間染みていて脳裏に焼き付いた。
「これで今日の依頼は終わりよ。さ、帰りましょう」
こうして、俺の初任務は無事に終わった。
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