伝えたいこと

「なんでこんなこと言うんだよ。日花が今でも好きだから……愛してしまっているから僕は忘れられないんだよ。」

僕は叫んだ。この感情は何なのか僕には分からない。ただ一つ確かなことは僕の何かしらの感情が噴火している。

「嬉しい。ありがとうそんなに思ってくれて。私は幸せ者だなって。そんな健司だからこそ幸せになって欲しいの。これが最後のわがまま。聞いてくれる。」

日花は感情を押し殺している声をしていた。その声を聴いていると僕の心が崩壊しそうになる。もうこんな何かで苦しむ日花は見たくなかったからだ。散々と死期が近くなり苦しむ日花を見てきた。だから今日ぐらいは何かに苦しまず心の底から笑ってほしい。それが今の僕のたった一つだけの願いだった。

「分かったよ。約束するよ。だから感情を素直に出していいよ。思っていること全部言っていいよ。全て受け止めるから。」

日花は感情を表面に出していた。重力に従って涙が落ちてゆき墓の土にしみ込んでいった。

「ごめんね。今まで抑えていたものが今になってあふれた。本当は…もっともっと生きていたかっ……奇麗な花を一緒に見たかった…ただ傍に居たかった。」

墓には日花の叶わない願いだけが聞こえてくる。それでも僕はどんなに悲しくなろうとも言葉を受け止めていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る