願い
「日花。…。」
名前を呼んで唖然とした。確かに僕の目には日花が映っていた。いや脳が勝手に作り出した映像に過ぎない。そう考え僕は確認した。僕の手は透き通る。
「私だよ。信じて健司。」
そう僕が作り出した日花は言っている。僕は耳を貸したかったが貸さなかった。でも何かしらの間違いで日花だったらと期待していた。あんなに過去は振り返らないって決めていたのに僕は質問をした。
「一年前僕たちが約束した事は。」
気がつけばまた涙を流していた。好きな人の目の前で。
「私と出掛ける約束。桜綺麗だったね。それに私が好きなポピーありがとう。嬉しいよ。」
日花はそう言って笑みをこぼした。間違いない日花だ。僕がどうしようもなく会いたかった人だ。
「ねえ。私の為に悲しまないで。その事を伝えたかったの。」
僕は涙をを止めた。もうこんな情けない顔を見せられないので。
「日花。ありがとう。でも僕は日花がいない日常は辛いんだ。もっと同じ時を過ごしたかった。もう叶わないし女々しいと思われると思うけど。」
「私もだよ。ずっと隣に居たかった。けどもう叶わない。けれども私は幸せだったよ。だから私の事は忘れて幸せになってほしいの。」
日花は少しだけ曇った笑顔でそんなことを言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます