移動
私たちは電車に乗って移動していた。今日はどうやら人があまり乗っていなかった。私はとなりに座っていた。電車は乗ってると心地よい睡魔が来た。どうやら健司はうとうとしていて眠そうな顔をしていた。終点が目的地だったので寝てもよいが今日で最後と決めていたから健司の顔が見ていたかった。
「寝ていていいよ。私が後で起こしてあげるから。」
そうして健司は寝始めた。途中で頭が寄ってくるが何とか持ちこたえていた。触れたかったが起こしてしまうと悪いと思ったから触らなかった。一つ前の駅に着いたらしい。どこには桜が舞っていた。あまりにも奇麗だったのでつい健司に声をかけてしまう。起きないことを分かりながらも。
「…よく寝た。もうここか。奇麗だな桜。」
ぼさっと寝言みたいな声で呟いた。また一緒に来たいと思ってしまうほどに。そんなことはもう望めないのに。
電車に約1時間ほど揺られて終点に来れた。繁華街のようなガヤガヤとした賑わいはほとんどないが結構な頻度で来るほどここが好きだった。本当に懐かしかった。もうここには足を運ばないと感じていたからだ。
「どこに行くの。」
声が届かなかったのか無言で足を進めていくのでついていくことにした。すこしだけ健司には少しだけ泣いていた跡があった。
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