世界の在り方

 白浜の詩を詠っていた。

 意味知らず、事見いだせず、関わりなく。

 黒百合の琴を奏でていた。

 愛を五度囁き、恋を限りある限り熱を纏い、憎悪にくべる真価を詩情と愛込めた。


 夜に劈く影法師。

 白に揺蕩う銀月。

 紅に惜しむ炎の偽花。

 青く微笑む地平の表裏。

 緑黄の愛でるもののけの脚。

 風食む灰の道標。


 今なき世界で愛おしいものは、つい枯れ始めた。


 竪琴の楔は人を枯らし、弦のしなりは稲妻をお呼び寄せ、斜陽の踊りは愛を啄む。

 人の声を獣と間違え、血の赤を命と見失い、それでもと魂を差し出しては睡灰のその日まで光を謳う。


 世界は歪に美しく、何より愛おしいほどに醜悪だ。

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