20. 惨敗

件名『惨敗』/差出人『部長』

本文

『地区大会、惨敗。

 寸評、「台本の内容はいいが、演技力に欠ける」

 以上。』

 そりゃあ、人間愛をテーマに書いたから、ね。

「残念だねぇ…」

 今は、作詞。作詞…。

「いやぁ…」

「いいじゃない…」

「でもぉ…」

「見せて…?」

 深森ふかもりが、あの新太あらたくんとナニかしているらしい。

「恥ずかしいよぉ…」

「こっちも恥ずかしくなってくるから…早く…」

 完全に、戯れ中か?!

「うん…」

「じゃあ、イクよ…」

 見るに見れん。

「い、いたぁいっ!!」

 その声に反応して、思わずチラッとガン見したら、

「まだ、あるよ…」

 単なるヒゲを抜いていただけだった。

「どうしたの?」

れんさんもしたいの??」

 首を横に振り、作業に戻る。

浅木あさきのはいつも見てるから、大丈夫」

「流石、深森くん…」

 そして、悶絶する新太くんの可愛い声が何度か聞こえて、いつの間にか聞こえなくなっていた。

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