「忘れてた、だとっ？！」

「はい…」

　打ち合わせだと知ったのは、数分前。たまたまマナさんの家の近くを通りかかって、古江（ふるえ）に捕獲された。

「メール見てくれた？」

「あ…」

　携帯の充電出来なくて、ＯＦＦのまま…。

「今の時代を生きてますかぁー？」

「生きてますよぉー」

　時差あるけど。

「マナさん、浅木（あさき）には紙媒体が必須ですよ」

　ヒラヒラと。

「忘れるから」

　手渡される。

「ＷＥＤＧＥのボーカル担当、よろしくおねがいいたします…？」

　そのコメントよりも、

　工事現場のイケメンが、お辞儀をしているイラストが気になって仕方ない。

　素敵だ。この絵師さん誰だろう…。

「いやいや、今のうちに探すのが得策でしょ…？」

「衣装がコレで…」

　マナさんは私の話を聞く気はなく、かっこいい衣装をちらつかせる。

　思わず、はいって言ってしまいそうな好みの衣装に息を吞む。

「蓮（れん）ちゃんは、そのままでいいと思って、「蓮」でいいよね？」

　むしろ苗字の方が聞き慣れてますよ。海咲（みさき）ちゃん。

「古江さん、珍しい…」

　羽佐（はさ）が、何か言いたげに。

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