第8話 行方不明
翌日
嫌な予感がしました。
朝、目を覚ましてベットで体を起こした私、朋は「嫌な予感」としか言えない奇妙な感覚に襲われました。
こういう事はたまにあります。
何か、不吉な兆し。 心当たりは――――あります。
クラスメイトの文くん。 禅野文。
なんと彼は殺人鬼なのです。 3年前に行方不明になったお兄さんの手がかりを求めて、今の学校に入学してきたそうです。
不吉と言えば、間違いなく不吉なのですが、不思議とワクワクしている私がいるのです。
私は自然とスマホに手を伸ばし、通知を確認しました。
「あれ?」と首を傾げました。
私が寝ている間も構わずラインでメッセージを送ってくる礼が沈黙しています。
何かあったのでしょうか?
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
朝の学校。
それに似つかわしくない騒めきを感じました。
クラスに入ると同時に注目を浴びます。 なぜでしょうか?
まるで――――
なにか事件があったかのような感覚。
―――――いえ、誤魔化すのは止めましょう。
事件があったのでしょう。それも私に関わる何か。
「礼は?」と視線を彼女の机に向かいます。
彼女は――――いません。
他のクラスメイトが寄ってきます。 その子は泣いていました。
泣きながらこう続けます。
「朋、聞いて……昨日、礼が……」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「文くん、力を貸して!」
放課後になりました。私は、文くんを美術室に呼び出して言いました。
「礼が昨日から帰ってないの」
そんな私に彼は――――
「大丈夫だから。きっと俺が助けて見せるからね」
力強く言いました。
「一体どうやって?」と聞くのは反則になります。
なぜなら、彼は動揺する私を慰めるために――――
「さぁ、それじゃ行こうか?」
「行く? どこへ?」
文くんはキョトンとした表情です。
私がおかしなことを言ったようですが、心当たりがありません。
そんな私に彼は――――
「礼を見つめるんだろ? 急がないと」
「え? 本気なの?」
「? 朋さんは本気じゃないの? 本気で礼の身を心配してるんじゃないの?」
「本気だよ! でも、それは――――だって」
「無理だって思っている。だから、否定する」
「――――っ! じゃ、じゃ……」
「できるよ。礼の居場所を探そう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます