第3話 かれはだれ?
夢を見ました。 蝶の、蝶になった夢を。
どこまでも自由に空を舞い、蜘蛛の巣に捕らわれるのです。
食べられ、命を落とす。
それかな恐怖を感じぬ事を驚き。
「あぁ、きっと私は貴方に殺されたかったのでしょう」
それは魔法の言葉でした。
夢が溶けていく。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「……変な夢」
私、鷲見朋は目を覚ますと夢の感想を呟きます。 それから、すぐに夢の内容を忘れました。
それから鏡。
首には痕が残っています。
うっすらと黒く指摘されなければ、誰にも気づかれない。
でも、それでも首を絞められた証拠。
時間を確認するためにスマホを手に取りました。
LINE、その通知に驚きます
礼『本当に救急車呼ばなくてよかった? 今からでもタクシー呼ぼうか?』
礼『大丈夫? 家帰れた? 夜間でも見てもらえる病気行こう?』
礼『連絡できない? 辛いなら明日は学校休むのよ!』
こういった内容がつらつらと並んでいます。
驚いたのは礼が送ってきたメッセージの量……ではありません。
当たり障りのない返信をしている私自身です。
記憶にない。もしかして、二重人格……なんてね。
「はぁ、我ながら器用だな」と呟きました。
親友に対して、それらしいメッセージを無意識に返しただけ……なんて心ない人間なんでしょうか? 若干、心が痛みました。
「さて、学校に行こう」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「ちょ! 朋、登校してきたの? 大丈夫、昨日倒れてたのよ?」
予想通り、礼に詰め寄られました。
「大丈夫、大丈夫。普段より、調子が良いくらいよ」
「そんなわけないでしょ! ……まさか、あなた、体育まで休まないつもりじゃないでしょうね?」
「ギクッ!」
なんてやり取りをしました。 そんな中、チラリと視線を感じます。
(あの視線! 昨日の赤い瞳!?)
確かに、今――――
確かに視界の隅で、赤く光るものが見えたのです。
(でも、そんな……人の眼が赤く光るはずが……でも、いる。それは確か)
昨日、私を抱きしめた相手。
それが自分のクラスメイトだと確信した瞬間、全身に寒気が通り抜けて行きます。
(根拠のない確信。それでもいる。問題は誰か?)
授業のチャイム。 みんな席につく。
私は、みんなよりも少しだけ遅く自分の席に向かう。
ゆっくりと、教室で座っているクラスメイトの顔を観察するように……
授業中も、1日そんな事を考え、気がつけば放課後。
なんとなく、その事を礼に相談すると彼女が予想外の事を言い始めたのです。
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